2009年 10月 11日
CGN代表の反町です。 台風「オンドイOndoy」が引き起こしたマニラの大変な洪水について前回のブログでお知らしたばかりですが、次の台風17号「ペペンPepeng」は、CGNが拠点としているコーディリエラ地方を直撃しました。おととい10月9日まで1週間以上雨が降り続き、とくに10月8日には大量の雨が降り、各地で土砂崩れが起きてたくさんの方が亡くなっています。 バギオ市内の多くの箇所で10月9日の夜まで停電し、ケーブルテレビも不通、どこもかしこも道路は濁流の川と化して土砂がすごい勢いで流れており、とても外出できる状態ではなく、被害の全貌は不明でしたが、徐々に山岳地方各地での甚大な被害の情報が入り始めています。 今日(10月11日)の朝のABS-CBNニュースでは、コーディリエラ地方では、193名死亡、46人が以前行方不明のままということです。今日、発行の日刊紙サンスターでは213名と報じられていました。刻々と被害者の数が増え続けており、これからさらに被害者の数が増えていくのではないかと懸念されます。(北ルソン日本人会(JANL)のブログに、現地ニュースの要約&翻訳がアップされているのでご覧ください。) バギオ市内だけで、11の土砂崩れで62名が死亡という情報があり、町のど真ん中の、お隣のラ・トリニダードに向かう幹線道でも大規模な土砂崩れがあり7人が犠牲となりました。私が3ヶ月前まで住んでいたキットマでは16人が犠牲に。今は空き家の以前住んでいた家も土砂崩れの被害を受けていると聞いてショックでした。 今までに入っている情報で被害が最も大きいのは、ラ・トニダードのリトル・キブガンという集落を襲った土砂崩れ。土砂崩れは8日の夜10時くらいに起き、あっという間に34軒の家を飲み込んでしまい、100人以上が生き埋めになりました。 リトル・キブガンはベンゲット州のキブガン地方からラ・トリニダードに移り住んだ人たちが住んでいるコミュニティです。キブガンはCGNがキープ協会とともに、2003年に最初の植林事業を行ったところで、現在BSU(ベンゲット州大学)に通っているCGN奨学生のうち17人のふるさとでもあります。CGNのフォレスターのうち、ブルーノとジュニファーもキブガンの出身。今年5月にも、以前の植林地のモニタリング調査に出かけ、また、栽培したコーヒーのフェアトレードについてのセミナーを開き、今後も事業を継続しようと事業計画書を準備しているところでした。 「もしかしたら、奨学生が土砂崩れに巻き込まれたかも」と一瞬青ざめ、携帯電話を持っている奨学生たちに連絡して調査してもらいましたが、「親戚が巻き込まれたものはたくさんいるが、幸いにも奨学生たちはみな無事だった」とのことでした。ひとまず安心したものの、被害にあった方たちに心ばかりのお見舞いに伺おうと、日本の方々から送っていただいたゴムぞうり、古着、タオル類に加え、缶詰、パン、インスタントラーメン、干し魚などを購入し、被災者が身を寄せている避難所と、土砂崩れの現場を訪れました。 ↑被災者の避難所は近くの小学校。掘り出された遺体もここに運ばれてきます。 心ある人からの食べ物や衣類の寄付もたくさん集まっていました。 ↑BSUの奨学生たちが救援物資を運んでくれました。 ↑掘り出された遺体は、小学校の教室に運ばれてきます。 遺体の身元が確認されると、黒板に名前が書き込まれていきます。 昨日のお昼の時点では58人の名前がありました。 泥だらけで呆然自失の人が教室の前にしゃがんでいました。 ↑ポリスの制服を着た人たちが半ズボン姿で必死で泥を掘り起こしていました。 ↑土砂崩れは、トリニダードからロンロン、ラムタン方面に向かう道路沿いにおきました。 無理な傾斜に道路を作ったため、山の形が不自然に切り取られていたのでしょうか。 ↑コンクリートの建物もあっけなく流されており、土砂崩れがいかに大きなものだったか想像できます。 リトル・キブガンでの土砂崩れのニュースとほぼ同時に入ってきたのが、マウンテン州のタジャン地方のカヤン村での土砂崩れの一報。18軒が壊され、現在までに15人の死亡が確認され、まだ15人以上が土砂に埋まったままということです。タジャンはCGNの副代表・ジャン・タクロイ教授とリリー、クリフォードの3人のスタッフのふるさとであり、カヤン村と共同で準備中の事業もあります。ジャンの親戚も土砂崩れにあったということ。ジャンを中心に現地と連絡をとり、米や食料が不足しているとの連絡を受け、土砂崩れで交通止めになっている山岳部に続く幹線道路のハルセマ道の開通を待って、救援物資を持って現地にスタッフが向かうということで、昨日10日朝よりスタンバイしていましたが、結局、昨日は道路は開かず。今朝の情報ではハルセマ道の土砂崩れは大規模なもので、18km地点から35km地点までは、徒歩で歩かなければならないということ。山岳民族の人の足で5-6時間の徒歩となります。復旧には少なくとも1週間という話です。必死の思いで土砂を掘り起こし続けているタジャンの人たちのことを思いながら、なすすべがなく、ひとつでも貴重な命が救われるよう、私たちには祈るしかできません。 また、CGNのカルラのふるさとのマンカヤンでも土砂崩れでも18名が犠牲になり、柏崎市の「未来予想図プロジェクト」で支援しているHCRCIの本拠地・ブギアスでも今日の時点でわかっているだけで、22人が死亡、30人以上が行方不明となっています。二つの町ともタジャンへ向かうのと同じハルセマ道沿いにあるため、バギオやトリニダードからの救援は、物資、人員ともほとんど現地にたどり着けない状態です。今日のミッドランド紙によれば、フォレスターのレナートの実家のあるベンゲット州ツブライのアンバサダー村でも12人が犠牲になったと報道されています。 バギオ市でさえ、すべての幹線道路がいまだ閉鎖されたままで陸の孤島状態ですから、ここから先の山岳部の村々への道路が開通するにはまだまだ時間がかかるでしょう。また、電気のない村、停電したままの村も多く、なかなか正確な情報が把握できません。そこが、マニラでの災害とは大きな違いといえるでしょう。迅速な対応ができないのがなんとも悔しいところです。 CGNでは、私たちのネットワークを通して情報を集め、今後の復旧活動に向けて、必要とされている支援をしていきたいと考えています。義捐金に加え、古着、寝具、生活用具、文具、工具、農具などの寄付を受け付けますので、よろしくお願いいたします。 ●義捐金の振込先 ゆうちょ銀行振替口座 001401-51319 口座名:コーディリエラ・グリーン・ネットワーク シティ・バンク 銀座支店 普通196-2043 口座名:ソリマチマリコ フィリピン国内からお振込みいただく場合 Bank of Philippins Island(BPI) Baguio Session Branch Saving 0573-3058-76 Cordillera Green Network お振込みいただいた場合は, saliwmusic@hotmail.com 反町まで、メールにてご連絡いただけましたら幸いです。 古着、寝具、生活用品、文具、工具、農具などの送り先: (郵便局から送付の場合) Cordillera Green Network Inc. P.O.BOX 540, Baguio City, 2600, Baguio City,Philippines Tel:074-423-0839/0928-521-8124 (国際宅急便Door to Door で送付の場合) 荷物の量が多い場合は格安です。下記のHPを参照ください。 http://www.cellphone.ph/DoorToDoor/index.html 送り先:Cordillera Green Network Inc. #14 General Lim St., Baguio City, 2600, Philippines Tel:074-423-0839/0928-521-8124 どうぞよろしくお願いいたします。 なお、バギオに続く幹線道路の、ナギリンアン、ケノン、マルコスハイウエイはいずれも大きな土砂崩れでいまだ閉鎖。バギオではすでにガソリンスタンドではガソリンが売り切れとなり、不安を抱いた住民の米をはじめとする食べ物の買占めが始まっています。ハルセマ道路が閉鎖のため、マーケットには野菜が入荷せず、野菜の値段はあっという間に高騰しています。 野菜栽培を生業にする人、ほとんどが日銭暮らしの小さな商売を営む人々にとっては、これからが苦難のときだと思います。
by cordillera-green
| 2009-10-11 21:23
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