10日間環境演劇創作ワークショップ

 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、キープ協会の環境教育事業「フィリピン北部山岳地方のおける青少年育成のための環境教育推進事業」(地球環境基金助成)の現地カウンターパートとして本年度の活動を開始しています。
 この事業は本年度が三年目の最終年。今まで、積み上げてきた山岳地方6州での創作演劇をツールとした環境教育プログラムの集大成として、よりインパクトの強い教育プログラムを、森林や水など山岳地方の資源保全の鍵を握っている山岳地方の村に届けたいというのが本年度の目標です。今年の事業対象地域は、国立公園がある村や、豊かな自然と環境保全の風習をなんとかいままで保持してきている地域を考えています。
 また、これまで青少年向けの環境教育の種を蒔いてきたコミュニティで、それぞれ自主的に演劇を使った環境教育活動を継続していけるような基盤を確認していきたいとも思っています。さらに、いまだ、民族間で壁のある6州の人々が、同じ環境保全という目標に向かって、事業終了後も協力し合って行けるようなネットワーク作りを目指しています。

 大騒ぎのフィリピンの総選挙が終了した直後の5月半ば、長期のフィリピンの夏休みを利用して、10日間の環境演劇創作ワークショップを行いました。参加者は2007年12月、2009年1月、そして2010年1月の今まで3回開催された「Cordillera Youth Eco Summit」に環境演劇の発表で参加したコーディリエラ6州の若者たち。今まで環境演劇の創作に遠い村まで足を伸ばし環境と演劇分野の指導を担当してくれたファシリテイターたちから、積極的だった学生、表現力が豊かな学生、新しいことを吸収する可能性のある学生、学んだことを人に伝える能力をもった学生などを推薦してもらい、40名が参加してくれました。2007年時の高校生は今は大学で学んでいる学生もいて、19歳を最年長に、下はまるで子供のような12歳までの、6州の14のコミュニティ(郡)からの参加になりました。

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   ↑参加者とスタッフ。タジャンの公演を終えて。

 指導者陣は、現地カウンターパートとして今のCGNがコーディネイトできる日比のベストのファシリテイターたちが、スケジュールを調整して指導にあたってくれました。

・環境教育-Marjie Amistoro(デ・ラ・サール大学)/Mabel Batong/JP Alipio
・環境創作演劇―吉田智久/Gelo Aurelio
・ダンス・ワークショップー西尾純(Jun Amanto)
・アース・ミュージックーArvin Villalon(UPバギオ)
・山岳地方民族音楽―Edgar Banasan

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    ↑環境演劇担当・ジェロ

ワークショップの10日間は、合宿制で行われ、午前中と午後早い時間までは、ぎっちりワークショップ。午後の遅い時間から夕食後の時間は、今回のワークショップの成果として発表する環境演劇の創作と練習の時間に当てられました。
 とてもとてもここでは書ききれない充実した盛りだくさんのワークショップの内容。環境に関する基礎的な知識を学ぶものから、山岳民族が伝統的に伝えてきた環境と深く結びついた発声法や身体表現のあり方の見直し、そして、それら学んだことをどう演劇の中に表現していくかなどなど・・・・若い参加者たちは、実に柔軟にファシリテイターたちの意図を解し、スポンジのようにそれを身体の中に取り入れ、そして10日間という限られた日数の中で自分のものとして表現に結びつけて行ったかは目を見張るものがありました。ずいぶん前に成長のすっかり止まっているこちらコーディネイト側の大人がついていくのがたいへんなぐらいでした。
 10日間全てのワークショップにオブサーバーとして参加し、もちろん自身も10日間みっちり創作環境演劇の指導に当たってくれた吉田智久氏いわく。
「この40人のうちの10人から12人くらいは、まるで別人のようにこの10日間で変わったと思います。驚きです」
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    ↑日本代表の環境演劇創作フェシリテーター・吉田智久(後姿ですいません)

 ワークショップの成果としては2つの環境演劇作品が創作されました。
一つ目は吉田智久氏が指導した「Enemy of the People(民衆の敵)」。イプセン作の脚本をベースに、コーディリエラ地方の環境問題や社会状況に適したように、参加者たちが内容を練って作り上げた作品です。水質汚染をテーマとし、それをめぐるコミュニティの人々の「環境かお金か」という確執を扱った社会派ドラマ~~~と思いきや、舞台では参加者の3枚目的なキャラクターが前面に出て、観衆の笑いを誘うコメディタッチの場面も多い楽しい作品になりました。(吉田さんの悪戦苦闘の様子はCGNスタッフ・ブログで毎日報告してくださっています)。
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二つ目はもう一人の在バギオの創作演劇ファシリテイター、Gelo Aurelioが担当した「Folktale(民俗説話)」。参加者の学生たちには、宿題としてそれぞれのコミュニティに伝わる環境保全や環境破壊に関係した民話を、老人たちに話を聞いてもってくるようにと指導していましたが、それらの説話の中から、3つの選び、オムニバス式でひとつの作品としました。

1.The Golden Arrow(金の矢)
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2.The Legend of Arimuran Fruit(アリムランの伝説)
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3.The Legend of Barangay Paco(パコ村の伝説)
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 私は10日間の全てのプログラムに参加はできず、ワークショップ会場のレパントとバギオを片道3時間かけて往復していたのですが、7日目くらいに稽古を見たときには、正直、「この調子で間に合うのかしら・・・」と不安に駆られました。
 が、9日目に会場を提供してくれたレパント鉱山の住人たちを観客として招いて行った発表会では見事に作品として仕上がっていて、ファシリテイターの方たちの指導力と参加の若者たちの集中力に舌を巻きました。
 今年の環境教育事業では「エコ・シアター・キャラバン」と題して、この2つの作品の上演を中心に、6つの州の6つの村を回る予定でいます。同時に会場となるコミュニティの住人向けの環境教育セミナーなども実施していきます。すでに、このワークショップのあとに、ベンゲット州カバヤン・ポブラシオン村、マウンテン州タジャン・ルボン村で、キャラバンを実施しました。その報告は次回のブログで。

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  ↑今回のワークショップの立役者・ジェリー。
   明るくてユーモラスで、みんなを打ち解けさせるのに大活躍。
   吉田氏いわく。
   「彼がいなかったこのワークショップはぜんぜん違うものになっていたかもしれない」

レパントでのワークショップの様子は、こちらのアルバムで!
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by cordillera-green | 2010-06-04 10:32 | 環境教育

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