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エコシアター・キャラバン、                カバヤンとタジャンで開催!

 前回のブログで報告した6つの州からの学生による創作環境演劇の上演をメイン・プログラムにすえた「エコ・シアター・キャラバン」を、ベンゲット州カバヤンとマウンテン州タジャンで開催しました。カバヤンとタジャンは、両方とも2007年12月のエコサミットの参加コミュニティです。2年半ぶりの環境プログラムの実施で、コミュニティにまいた環境教育の種がどう芽吹き育っているかにも関心がありました。
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   ↑カバヤンの劇団もゲストで民族ダンスを披露してくれました。

 うれしいことに、このふたつのコミュニティでは、コミュニティ・ベースの演劇グループが継続して活動を行っていました。カバヤンでは、3年前の環境演劇ワークショップ開催以来継続して「Tanghalan Niyal ni Kabayan(TNK=カバヤンの光) 」というグループが、演劇だけでなく、若者たちによるエコクラブとしてさまざまなコミュニティの環境保全活動を行っているとのことでした。カバヤンは、プラグ山国立公園を擁し、また、ミイラの伝統文化があったことでそれを紹介する小さな国立博物館もあります。また、集団埋葬のあとではないかといわれる「ブリアル・ケイブ」と呼ばれる数百の頭蓋骨が発見された洞窟も一般公開されていて、観光客も多いところです。エコ・シアター・キャラバン中も、町の子供たちによるキャンプが行われていて、村の人たちはふたつの大きなイベントに大わらわの様子でした。
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          ↑スタッフも学生たちと一緒にブリアルケイブを訪ねました。
           環境演劇ファシリテイター、ジェロと、CGNボランティア、シェイ

 カバヤン郡の各村のバランガイ・キャプテン(村長)や役場職員を対象に行った、村の資源の保全をおもなテーマとした環境教育セミナーでも、エコ・ツーリスムに関する質問がたくさん寄せられ、ここ数年で観光客の増加とともに、観光資源でのある森林や水保全に対する関心の高まりを実感しました。
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        ↑環境教育セミナー&ワークショップのファシリテイターは
         自身、エコツアーも企画する環境家、JPアリピオ
 
 演劇グループは、メンバーが変わりながらも機会のあるごとに過去の作品の上演やイバロイ族の民族舞踊の上演をコミュニティで行っているようですが、やはり指導者がいないと新しい作品の創作はむずかしいとのこと。今回のキャラバンでも、ぜひ、新しいメンバーのために環境演劇創作ワークショップをしてほしいというリクエストが寄せられ、ジェロによるワークショップを行いました。また、夏休み中の若者や子供たちには楽しいアートを使った環境教育指導をということで、エコ・バッグに絵を描く「エコバッグ・アート・ワークショップ」も同時開催しました。
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     ↑カバヤンの劇団を率いるのは役場職員のケネット
      今回のキャラバンも地元側でのコーディネイトもしてくれました。

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     ↑カバヤンからの代表で今回のプログラムに参加したナタリンの
      演技力には脱帽。見事なおばあちゃん役。これで本当に14歳!?

 マウンテン州タジャンの演劇グループは、数週間前に結成されたばかりとか。2007年のエコサミットに参加したロイが、マウンテン州の州都ボントクを拠点とするコミュニティ・シアターグループ「Obon ni Malayad」で修行を積んで、ふるさとのルボン村でコミュニティ劇団を作ることにしたそうです。
「まだまだ、人に見せられる段階では・・・・」とロイは言っていましたが、
「いい機会なので、ぜひ、舞台で」
とお願いして、上演してもらいました。練習をはじめて数週間とは思えないなかなかのショウで、地元劇団の登場にお客さんも大喜びでした。
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        ↑ルボン村の劇団もゲスト出演
  
 ルボン村でも日中、教師とバランガイの役員を対象とした環境教育セミナー、若者向けの環境創作演劇ワークショップ、子供向けエコバッグ・アート・ワークショップ、それに女性たち向けのリサイクルペーパー・ワークショップ、さらに、一般農民向けの有機農法とアグロフォレストリーのセミナーを行いました。
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         ↑ジェロの若者向け環境演劇ワークショップ

 10日間の環境演劇創作ワークショップから、移動を含めて4日間の「エコ・シアター・キャラバン」まで、2週間のプログラムを一人の脱落者もなく、無事終了しました。さすがに、全速力で突っ走ってきた参加の若者たちも、別れの朝には疲れ気味。昼夜40人のはじける若者たちに付きっ切りで指導に当たってくれた吉田氏も、気が抜けたのとほっとしたので
「修了証書を渡している最中で、さすがにめまいが襲ってきました」。
 しかし、その足でそのままマニラへ 今月末に予定されている次なる公演の準備に向かいました。いや、参加者に負けずにタフですよ!

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    ↑吉田さんも子供たちとダンス!

 40人の参加の若者たちが、この2週間で学んだことをじっくりと振り返り、どう、コミュニティに還元していけるかを考えるのはこれからの作業になるかと思います。初日には、お互い口をきくのさえためらっていた参加者たちが、最後の夜には涙を流して別れを惜しみ、しっかりと抱き合っていたのが何より印象的でした。
 外国人である私たちから見れば、コーディリエラの山岳地方の小数民族はひとくくりに思えますが、UPバギオ校の文化人類学者によれば、民族の数は21。彼ら自身の中では、もっと細かく自分の民族のアイデンティティを規定しています。そして、いまだその民族間で「トライバル・ワー」と呼ばれる紛争が起こり、殺し合いにいたることさえあります。コーディリエラ地方は、地理的な条件や開発の遅れから閉鎖的であるがゆえに、古き良き伝統や風習が残っていますが、一方で、トライバル・ワーのような風習が現代的に銃を使うなど悪い方向に形を変えて残っている面もあります。参加の若者たちが、ほかの民族の若者との間に友情や恋を芽生えさせたときに、彼らの社会も一歩ずつ協調に向けて歩み始めるのではないかと思っています。 

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      ↑修了証を全員に渡しました。ごくろうさま
       写真は、すごいタレントの持ち主マウンテン州サバガン出身のカール君。

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      ↑カール君、自分でばあさん役をやらせてくれと申し出たそうです。
       これで15歳。すえおそろしや。
       この才能を伸ばしてあげたい…… 

 コーディリエラ地方はこのエコ・シアター・キャラバンに前後して本格的な雨季に突入しました。道路事情の悪いこの地域では、雨季の移動は危険をともないます。参加の若者たちを集めての次回のキャラバンは雨期明けの10月半ば。学校の前期と後期の間の休みの期間を予定しています。参加の若者たちにどんな成長が見られるか、若者たちが再会の喜びをどう表現するか、今からとても楽しみです。

  
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       ↑突然参加して大活躍してくれた日本人ボランティア・たかしと
        手前は、今回のプログラムで最も成長著しかった
        マウンテン州バナウ村出身のヤンキー

 最後に、この2週間、豊かな知識と経験と力を、コーディリエラ地方の環境保全と若者たちの成長のために惜しみなくわかちあってくださったファシリテーターやボランティアのみなさま、どうもありがとうございました。今回のキャラバンの会場だったカバヤンやタジャンで数年前にまいた種が育っているように、皆様方の努力がきっと実を結ぶ日がくると信じています。

  
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           ↑ステージセットから、民族音楽指導、ステージ音楽担当、
           そしてステージで歌まで披露してくれた、裏方の雄・エドガー。
           ありがとう!

エコ・シアターキャラバン、カバヤンでの写真はこちらのアルバムで!
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by cordillera-green | 2010-06-09 13:11 | 環境教育