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イフガオ州フンドアンでの環境教育プログラム--    まずは環境アートワークショップのご報告!

遅ればせながら、あけましておめでとうございます!
年末年始を日本で過ごし、フィリピンに戻りました。
昨年の出来事は昨年のうちに! と思っておりましたが、予想通りあわただしい日々で、年が明けてからの報告になりました。

2010年12月、キープ協会の「フィリピン北部山岳地域における青少年育成のための環境教育推進事業」(独立行政法人 環境保全機構 地球環境基金助成)の一環として、環境演劇公演と環境教育アートワークショップを、イフガオ州の世界遺産の棚田の村、ハパオ村とバアン村で行いました(協力:スンダランド・アートネット/AmanTO天然芸術研究所)。
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    ↑Photo by Yasuhiko Naoi(直井保彦)

イフガオ州のバナウエ、キアガン、マヨヤオ、フンドアンの4つの郡は、ユネスコにより世界文化遺産に指定されています。しかし、森林破壊や棚田での働き手の不足から、耕作を放棄された棚田が増え、2001年には世界危機遺産に指定されてしまいました。イフガオ州の棚田の保全には、過去、日本からは、ユネスコが棚田と伝統文化保全のための活動をサポートしてきたほか、JICA-NGOの技術協力プロジェクトで森林保全やライブリフッド事業などが行われてきました。コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)も、「東芝150万本の森作り」のサポートを受け、2007-2009年にマヨヤオ郡バランバン村とフンドアン郡ハパオ村で、アグロフォレストリーと植林事業を行いました。

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         ↑Photo by Yasuhiko Naoi(直井保彦)

 さて、世界遺産の貴重な棚田の崩壊の原因のひとつが森林破壊です。イフガオ民族は生まれながら芸術センスを持ち合わせているといわれ、その木彫りの伝統の技は類を見ません。それゆえ、海外からの大型の木彫り像の注文などなどがあとを絶たず、古来の暮らしでは生活用品にのみ使っていた木彫りが、輸出用の置物や家具、棚田観光のお土産品などとして大量に作られることになりました。それに伴って、材料の木材が、イフガオ州の森林から次々と切り出され、森林は見るも無残な状況となっています。
 もともと、イフガオ族は世界8不思議の一つに数えられる、急峻な山肌に作られた膨大な数の棚田に水をいきわたらせるために、棚田の上のほうにある森林には手を入れず、水源地として先祖代々たいせつに守ってきました(そういった森林保全の伝統の方法は「ムヨン」とか「ピヌグ」と呼ばれています)。近年ではその風習さえも失われつつあり、昨年のエル・ニーニョによる水不足では、たくさんの棚田の水が枯れ、稲が育たないというかつてない事態まで発生しました。

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 そういった背景を踏まえ、今回のフンドアン郡ハパオ村での環境教育ワークショップのテーマは「稲わら」としました。世界遺産の棚田で収穫されている米の稲わらを使って紙を漉き、それを使ってランタンやカードなど作る指導をしようというものです。チープなお土産品を作るために何百年もかけて育ってきた木を切るかわりに、今まで不要とされていた自然素材を使っての新しい工芸品作りの可能性を紹介しようというもの。今回のワークショップの参加者は、ハパオ村とお隣のバアン村の小学生たちです。手漉き紙作りの講師は、ベンゲット州のカパンガン郡ポキン村に暮らす日本人の紙漉き職人・志村朝夫氏。「ウドン」と呼ばれる、稲わらの穂に近い部分が手漉き紙の材料としてたいへん優秀とのことで、志村氏は以前から試作を続け、ホワとよばれる潅木の樹皮との混合や、コンニャクによる加工で強度や防水性を増す方法を実験してきています。

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     ↑子供たちに楽しそうに紙漉き指導をしてくださった志村氏。
      こだわりの紙漉きのプロです。

 手漉き紙ワークショップに参加した子供たちは、暮らしの中で見慣れた「ウドン」が、黄色がかった素朴な紙に姿を変えていくのが面白くて仕方がなく、競い合って紙漉きを行いました。
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  ↑子供たちが漉いた紙はこんな風に乾燥させました。

子供たちが漉いた紙は、乾燥し、田んぼに浮かべるランタンとクリスマス・カードの素材に使われました。ランタン作りの指導は、大阪のAmanTo 天然芸術研究所からきてくださった純さん、育ちゃんのお二人。稲わら紙より少し丈夫なパイナップルを素材とした手漉き紙での凧作りの指導もしてくださいました。
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    ↑ワークショップは小学校の校舎で行いました。
     最初は教室の中でまじめにやっているんですが、そのうち先生も生徒もみんな外に。
     棚田の景色が目の前に広がる素晴らしい環境の学校です。
     生徒たちものびのび育っています。

木版画によるクリスマス・カード作りのほうは、フィリピン大学(UP)バギオ校のファラ教授と生徒の皆さんが指導してくれました。
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     ↑指導に来てくれたフィリピン大学バギオ校のみなさん。ありがとうございました!
      Photo by Fara Manuel

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      ↑凧には、棚田の村に森がよみがえり、鳥やワシが戻ってくる日を願って
      UPバギオの先生と生徒の指導でこんなカラフルな鳥の絵が描かれました。

最後には参加の子供たちみんなで、いつか村と森に鳥やワシが戻ってくる日を夢見て凧揚げ。元気に凧を上げて飛び回る子供たちの明るい声が、棚田に響き渡る素晴らしい時間でした。

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     ↑Photo by Yasuhiko Naoi(直井保彦)

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     ↑Photo by Yasuhiko Naoi(直井保彦)
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by cordillera-green | 2011-01-09 20:56 | 環境教育