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2011年 02月 01日

ベンゲット州の受益者の皆さんへの配布開始

1月26日にツブライ町で行われた「北ルソン地方における台風被災者のための農業支援実施計画」(平成22年度草の根・人間の安全保障無償資金協力)引渡し式ののち、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、一日も早く支援物資を台風被害を受けた皆さんに届けたいと配布を開始しました。

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   ↑引渡し式には、清水信介在フィリピン大使館公使がお越しくださいました。

まずは、ツブライの農家の皆さんへの、ビニールハウス用のシートと黒いネットの配布を、引渡し式の会場でバランガイごとに行いました。
ツブライの農家は菊などを育てる切り花栽培農家が多く、一番の稼ぎ時は11月3日のオール・セインツ・デイ(万聖節)。オール・セインツ・デイは、いわば日本のお盆のようなもので、亡くなった方の霊が戻ってくる日。家族を大切にするフィリピンでは多くの人が帰省し、花を供えてお墓参りをします。バギオでは町の中心のバーハム公園の周りにずらりとお墓に供える切花を売る屋台が並び、花の値段も上がって花栽培農家にとっては一番の稼ぎ時です。ところが、昨年の台風フアン、一昨年の台風ペペンとも10月半ばの襲来で、オール・セインツ・デイのために丹精込めて育ててきた花が売り物にならなくなりました。2年連続の被害で、ツブライのパオアド町長も「絶望的です」と昨年の台風直後にCGNスタッフが訪ねたときに悲痛な表情で話していました。

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    ↑台風JUAN被災直後のツブライの花栽培農家

 特に昨年10月の台風フアンは風が強く、花栽培農家の多くが借金をして投資したビニールハウスのシートや、日影を作るための黒いネットがずたずたになって飛ばされ、生活の糧である花を再び育てるための生活再建の目処が立たずに、多くの花栽培農家が途方にくれていました。今回の農業支援は、ツブライでは、花栽培農家に対するビニールシートと黒ネットの支給を行いました。農家の方たちは、たいへん喜んで下さり、重たいネットとシートのロールを意気揚々と運んでくれました。

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ツブライのパオアド町長は今回の支援を心から喜んでくださり、引渡し式のホストを引き受け、会場として町役場前の屋根付きジムを提供してくださいました。式典プログラムでは、予定されていなかったツブライの名産品詰め合わせセット(コーヒー、手編みのマフラー。木彫りの飾り物)を大使館からのゲストの方々と私にまで、感謝状と一緒にいただき、山岳民族ならではの控えめですが心のこもった歓迎ぶりに感動しました。

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  ↑式典後は、町長室で、フォグワン・ベンゲット州知事などと一緒に歓談。
   ふかし芋とツブライ町にやってきた日本人が教えたというそば粉入り蒸しパンを
   地元産コーヒーと一緒にいただきました。
   
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   ↑握手する清水行使とパオアド町長。
    町長は昨年、長野県の野菜農家に有機農法の視察に行かれたそうで
    すっかり日本びいきです。

 翌日は、大使館の草の根・人間の安全保障無償資金協力(GGP)担当の西川氏とともに、ベンゲット州ブギアス町レンガオアン(Lengaoan)・バランガイの野菜農家に方々への種の支給に同行しました。
「様子を見に行くだけですから、配布は始めていてくれていいですよ」
と伝えていたにもかかわらず、たくさんの農家の方たちが押すな押すなという状態でバランガイ・ホールで、待ち構えていてくれました。

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    ↑視察に足を伸ばしてくださったGGP担当の西川氏がご挨拶くださいました。

「私たちのバランガイは、できたばかりで力もなく、こういう支援を受けるのは初めてなんです」
と、バランガイ・キャプテンのレオナルド・マヤオ氏。どういう基準でこの事業の受益者が決定されたかなど、農家の方たちが納得のいくように丁ねいに説明がなされ、一人一人に確認しながら種が手渡されました。日本からのお客さんの前で英語で話すのなんて生まれて初めてであろうバランガイ役員のおじさんの頭をかきながらのシャイな挨拶と、種を受け取ったおばさんたちの握手を求める本当にうれしそうな笑顔が印象的でした。

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  ↑リストに従って確認しながら手渡し、受け取りのサインをもらいます

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乾季には水不足で野菜栽培ができないという畑も訪ね、ベンゲットの野菜農家が抱える悩みと、
「有機農法に自らが見本を見せながら転換して行きたい」
「バランガイの水源涵養のために植林もしたい」
というバランガイ・キャプテンの意気込みを直接伺うことができ、たいへん有意義な視察でした。

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    ↑左が村の状況を熱心に説明するバランガイ・キャプテンのマヤオ氏。
     右は当事業担当のブルーノです。     

コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、すべての受益者の農民に直接、支援物資を配布するため、支援対象の19のバランガイ(ベンゲット州、カリンガ州タブック、イサベラ州、カガヤン州)を一つずつ訪問していきます。台風被害を受けた農家の方たちに、遠い日本の人々からの支援がきちんと届けられ、一日も早く通常の生活を取り戻すことができるように、サポートしていきます。

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   ↑皆さん、がんばって野菜を育ててくださいね!

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    ↑語学音痴の私は、いつまでたっても挨拶がとても苦手です…。
     今回もしぶしぶ…

(写真は台風被災地の写真以外は、日本大使館の西川昌史氏からご提供いただきました)

by cordillera-green | 2011-02-01 12:30 | 緊急支援


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