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Cordillera Green Network ブログ

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2011年 06月 17日

コーディリエラ地方のコーヒーいよいよ日本で発売開始

 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、2004年から植林事業にアグロフォレストリー(森林農法)によるアラビカ・コーヒーの栽培を、山岳地方の山の村で行なってきました。 
アグロフォレストリーとは、アグリカルチャー(農業)とフォレストリー(林業)を合体させた造語。さまざまな樹木を混ぜて植え、その合間に作物の栽培や家畜の飼育を行なうというものです。熱帯林を切り払って、単一の商品作物を大量生産するプランテーション型の農業では、森林破壊を引き起こすばかりでなく、病虫害が起きやすく、持続可能な農業が難しいことになります。もともと熱帯雨林が持っている生物多様性にならって、なるべく多彩な生物の生育を組み合わせるという考え方がアグロフォレストリーです。

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    ↑コーヒーの発芽

 森林破壊がすさまじいスピードで進むコーディリエラ地方では、森林再生と森林破壊を食い止めるための方策として、当地に栽培条件が適しているアラビカ・コーヒーのアグロフォレストリー栽培が農業省などによって10年ほど前から紹介され始めました。アラビカ・コーヒーは直射日光では育ちにくく、適度な日陰が必要とされています。その性質が、まさにアグロフォレストリーにうってつけで、森林保全と先住民族の暮らしの向上という二つの目的を一度に達成できる画期的な事業として開始されたのです。ベンゲット州国立大学(BSU)が積極的に技術指導を行い、現在までにたくさんのアラビカ・コーヒーの木がベンゲット州を中心とするコーディリエラ地方に植えられています。

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 ↑コーヒーを飲むカリンガ族のおばあちゃん photo by Ruel Bimuyag
 
 もともと、コーディリエラ地方の人々にはコーヒーを飲む習慣があります。低地ではルブスタ種。ベンゲット州のような高地ではリベリカ種(フィリピンではバラコと呼ばれています)というコーヒーが、裏庭に数本植えられ、家族で朝の一杯、農作業の合間の一杯を楽しむために栽培されてきました。だからコーヒー栽培は、先住民族の人々にとってはもともと馴染みの深いものだったのです。
 それを、換金作物として栽培しようというのがコーディリエラ地方で勧められているコーヒー・プロジェクトです。最も香りが高く、世界の市場の75%を占めているアラビカ種が標高700m以上の高地での栽培に適しているということで、主にアラビカ種のコーヒーの栽培がすすめられています。

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  ↑キブガンの生産者団体「Sagpat young Farmers Organization」のメンバー

 CGNでは、いままでたくさんのコミュニティで、アグロフォレストリー事業を森林再生事業に加えてきました。全く森林が失われてはげ山となっている地域ではカリエンドラなどの豆科の成長の早い木をシェードツリー(日影を作る木)としてまず植え、アラビカ・コーヒーをその間に植えることを基本としています。森林が残っている地域では、森林の中にアラビカ・コーヒーの木を植えるという方法も行なってきました。
 CGNでは、今までにベンゲット州、イフガオ州、マウンテン州でアラビカ・コーヒーのアグロフォレストリー事業を行なってきました。CGNが行なったいちばん最初のコーヒー栽培事業は、2004年のキブガン町のサグパット・バランガイ(村)でのものです。日本の環境団体・キープ協会(山梨県清里)と一緒に実施した大規模な森林再生事業の一部として、試験的に6000本のコーヒーの木を植えました。

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  ↑キブガンの山

 キブガン町はたいへん急な岩質の山々に囲まれた山間部の小さな貧しい村で、その傾斜地の木を切り払ってサヨテ(はやとうり)の棚を作り、多くの人がその収穫によって収入を得ていました。しかし、サヨテの実は重く傾斜地での農作業が過酷なうえ、供給過多により価格が低く(1キロ1ペソということもありました)、さらに単一作物栽培によって病気がはやっていました。サヨテに代わる収入源の農産物を、ということで、アラビカ・コーヒーの栽培を勧めることにしたわけです。
 かといって、サヨテの棚をすべて取り払って一気にコーヒーに植え替えるのでは、コーヒーが実をつけるまでの3-5年間、住民達の収入が失われてしまいます。そこでシェードツリーの代わりにサヨテのツル棚の日陰を利用しようと、サヨテとコーヒーを同時に育てることにしました。

  
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    ↑サヨテのツル棚の下で育つコーヒー

 さて、そのサヨテのツル棚の下で育ったコーヒーがいよいよ実をつけ、市場に登場です。CGNでは、「種からカップまで」を合言葉に、コーヒーによる収入がきちんと先住民族の栽培農家の生活の助けになるように、販売のお手伝いもすることにしました。日本のフェアトレードNGO「わかちあいプロジェクト」が、私達のプロジェクトへの協力を申し出てくれ、まだフェアトレード認証も取れていない“ヒヨッコ”コーヒーを、他のさまざまな国からのフェアトレード・コーヒーと同じように日本に輸入し販売してくれることになりました。今回はキブガン町のコーヒーに加え、ベンゲット州ツブライ町、アトック町のコーヒーも一緒に輸入してくださいました。

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 ↑昨年10月に台風被災地でWE21ジャパンで開始した事業でもコーヒーを植えていきます。まずはシェードツリーのカリエンドラを植樹。

 はじめての輸出でいろいろと手続きに手間取ったものの、先日、そのコーヒーが日本に無事到着。さっそく、わかちあいプロジェクトのホームページで販売が開始されました。
 コーヒーの名前は「KAPI TAKO」(カピ・タコ)。コーディリエラ地方の山岳民族のひとつ、カンカナイ族の言葉で「コーヒーを飲みましょう!」という意味です。バギオ市やベンゲット州、マウンテン州の村を一度でも訪れたことのある方は、きっと村の気のいいおばちゃんたちに

「KAPI TAKO!」(コーヒーを飲んで行きなよ!)

と声をかけられたことがあるのではないでしょうか?

「KAPI TAKO」コーヒーぜひ一度お試しください!
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わかちあいプロジェクトでの販売方法は2種類です。
〇焙煎したコーヒー(250g入り。粉と豆をお選びいただけます)800円
セット販売となります。合計3袋、6袋、12袋、24袋のいずれかお選びください。
詳細は、わかちあいプロジェクトのHPをご覧ください。
http://www.wakachiai.com/shop/coffee/index.html

〇生豆での販売 50kg入り麻袋 42,000円(送料込み)
地域の焙煎やさんでお気に入りに焙煎してもらい、オリジナルコーヒーとしてカフェやレストラン、あるいは独自のパッケージとして販売いただくことができます。
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KAPI TAKOコーヒーについての詳しい紹介は、わかちあいプロジェクトのHPで。
http://www.wakachiai.com/information/2011/2011_6_1.html

ご注文はこのページから。
http://www.wakachiai.com/shop/coffee/index.html

どうぞよろしくお願いいたします。
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     ↑カダクラン村アシュレイさんの家のコーヒーの実

by cordillera-green | 2011-06-17 10:52 | コーヒー


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