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子どもたちと過ごした冒険の4日間。

「Kawwanan nan Batawa」のワークショップ(WS)プログラムにおいて唯一幼児を対象にWSを行ったのは日本の「かまぼこアートセンター」より来比された深澤孝史さん。

ラガン・デイケアセンター(小学校までの幼児を預かる日本の保育所のような施設)での汗と涙?の奇跡のWSが2012年11月6,7,8,9日の4日間を通して行われました。
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日本では美術教師として教えることもある深澤さんですが、今回のように英語もまだ話さない子どもたちが対象のWSは初めてとのことで、CGN眞理子代表と打ち合わせしながらどういうWSがいいかを何度も企画書を練り直していました。そして、最終的に深澤さんが考えたテーマは「Fair Trade」。時に物々交換の習慣も残るサバンガンの村で、そこにある自然素材を使い子ども達とお店を開こうというのが今回のミッションでした。
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最初この企画を聞いた時は、現実的にはかなり厳しい企画かな?と思ったのですが、例え無理でも「とにかくやってみる」「何が何でも諦めない」という教訓は数ヶ月のフィリピンでの生活でフィリピン人たちから学んだことです。とにかくやってみます。3人のサポートスタッフ(Rey Angelo Aurelio・小池芽英子・竹本泰広)もそれぞれの特技を活かし4人総動員で一緒に子どもたちと大奮闘しながら、考えられるアイデアや偶然の出来事さえもどんどん取り入れ臨機応変に作ってゆく冒険のような日々は始まりました。

そんなエキサイティングなWSは、最終的に映像ドキュメンタリー物語にもなりました。(一番下に映像のリンク記載)今回はその物語の言葉を借りながらWSの様子を紹介したいと思います。


「The Story of Fair Trade Work Shop」


これはとある村にできたちょっと不思議な【お店】のお話。

【お金の国】に生まれた一人の男が山奥の村にやってくるところから物語は始まります。

男が生まれた【お金の国】はたくさんのものがあることが【豊かさ】だと考えている国でした。

そして、みんなが気がつく頃にはたくさんのゴミと毒がお金の国の大地を覆ってしまいました。

男は【お金の国】から逃げることにしました。

男がたどり着いたのはたくさんの島から成る国の山奥の村。

この村は豊かな自然と暖かな気候に包まれていました。
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驚くことに、この村の人たちはほとんど【お金を使わずに】生活していました。

お金でなんでも【交換】して暮らしてきた男はとても困りました。

男はその島国で【仲間】と出会いました。

一人はギターが得意な「ミュージシャン」
いつでも楽しい歌を歌ってくれます。

もう一人はかわいい猫の「ダンサー」
踊ったりお話をしてみんなを楽しませるのがとても得意です。

最後の一人は鳥を探し続けている「バードウォッチャー」
バードウォッチャーは色々なことがとても詳しかったり、鳥を探すついでにみんなを見守ったりしてくれます。

男はお金の国で美術の教師をしていたので「センセイ」と呼ばれるようになりました。
それぞれ、一癖あるけどとても面白い【仲間たち】です。
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センセイもミュージシャンも猫もバードウオッチャーもお金を使えませんでしたが【作品】を作ることだけはできました。

そこで4人は相談して村の子どもたちと一緒に【作品】を作って食べ物と【交換】しようと考えました。

子どもたちも色々できないことはたくさんあるけれど【作品】だけは作れるところが自分たちと同じだと思ったからです。
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彼らは、ほとんど何も持っていなかったので材料は村に落ちているものや【自然のもの】、【お金の国】から持ってきた少しの素材を使いました。

村を覆うほどの色々な木々や草花、きれいな石や土、そしてたくさんのゴミを見つけました。
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4人はそれらの素材を使っていろいろな【作品】を沢山作り始めました。

石に色々な色を塗ってできたのは…そうペンダント。
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他にも落ちているものを貼り付けたり、土を絵の具にして描いた絵…。
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次に、彼らは子どもたちと一緒に【お店】を開く準備にとりかかりました。

看板を作ったり、陳列のための棚や飾りを作ったりします。
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猫のダンサーとミュージシャンはお客さんを呼び込むためにお店の【テーマソング】を作りました。

そして、とうとうお店を開くことになりました。

「ラッコラッコ~」

「ラッコラッコ」はこの村の言葉で「買って買って」とという意味です。
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お店は大賑わい。
作った作品は次々に色んな【作品】と【交換】されました。
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お米、キャベツ、チンゲンサイ、ナッパ、初めて見るツルの野菜、トマト、
じゃがいも、白菜、インゲン、豆、そして丸鶏。
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彼らは野菜だけでなく歌や踊りとも【作品】を【交換】しました。
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歌や踊りを披露してくれた人たちはお気に入りの【作品】を持って帰っていきました。
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次の日は【交換】した食材を使ってパーティです。

夜が明けてパーティーの日になりました。

とってもおいしくて楽しいパーティの始まりです。
猫のダンサーはなんと料理も上手。
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彼女のとても豪華な料理が出来上がっていきます。
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みんなで一斉に「いただきます!」。

パーティでは歌や踊りも披露して大盛り上がり。
楽しい時間はどんどん過ぎていきました。
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最後にセンセイたちは【お金の国】のお伽話「わらしべ長者」の紙芝居を
子どもたちに見せました。
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「わらしべ長者」は初め、両親からワラを一本だけ持たされただけでした。
どんどん交換することで最後には家を手に入れました。
彼は元々、家が欲しかったのではなく彼の【優しさ】がその結果をもたらしました。
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【物の価値】は誰かに決められるのではなく自分で決めなければいけません。
センセイは【お金の国】に帰ることにしました。

なぜならこれからも【自分で決めて】自分の世界を良くしていかなければならないと思ったからです。

この先どうなるかわからないけれど、楽しいことをどんどん作っていこうとみんなで誓い、ちょっと不思議な【お店】の思い出を胸に、しばしのお別れをしました。

おしまい


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この物語は実際のWSを通して深澤さんが作ったシナリオによるものです。

もちろんシナリオにはない水面下のストーリーもたくさんあり、瞬間瞬間を全力で自由に生きている彼らのペースと共にワークを行う大変さあり、子どもたちの素直な優しさや思いやりに触れる感動ありとなんだか大忙しでした。

そして最終日。最後は号泣で感動のお別れ…と思いきや、
みんな元気いっぱいにそれぞれのおうちに帰って行きました(笑)。
しかし、後日デイケアセンターの先生は4人がいなくなってから毎日みんな「どこに行ったの?」と寂しがっていたと教えてくれました。

子ども達がどれだけワークの中から何を理解したのか?何が伝わったのか?
実際ワーク中は、身の周りの自然素材がアート技法を通して作品となり、お話やダンス・音楽などを感覚として捕らえながら理解しているような瞬間はたくさん生まれていたと思います。
しかし、幼い彼らにとってはこのワークショップも毎日起こる不思議な体験のひとつなのかもしれませんし、それは今すぐに決められるようなものでもなく蒔いた種のように時と共に育ってゆくようなものでもあると思います。

また、この4日間の生活はWSに関わった4人のメンバーにとっても新鮮で貴重な時間でした。

午前中は子どもたちとのワーク、午後は素材集めや準備、毎日仲間同士で交互にごはんやメリエンダ(おやつ)を作り、飲んだり歌ったり踊ったり、真剣にお互いのことを語りながら次の日のWSのアイデアが生まれてゆく…都会のような便利さはないけれど、とても充実した生活の中で人間と自然の輝きを肌で感じながら過ごしていました。過程自体が創造であり、何気ないことが発見の日々でもありました。

他のWSを通してもそう思うのですが、自然の中で現地の人々と触れ合っているサバンガンでの時間は、ファシリテーターやスタッフにとっても教えるだけでなく学びとなる瞬間が多々あるという声を聞くことがしばしばあります。自然の中でのワークは、お互いに学び合える調和のとれた瞬間が生まれやすくなるのかもしれません。私たちスタッフにとってもそういう瞬間に出会えることが何にも代え難い一番の醍醐味でもあります。

この4日間で出会った、たくさんの自然と笑顔に囲まれた冒険のことは、私たち4人のメンバーもそれぞれの生活の中で自分たちの学びとして時々思い出すことになると思います。
彼らがもう少し大きくなり、同じようにいつかこのワークショップのことを思い出した時、みんなで集めた自然素材で作った作品、それをもって開いたお店、作品と交換した野菜から作った料理でパーティーをしたこと、歌ったり踊ったりいっぱい笑って楽しかったこと、そしてそういった瞬間の中にお金で買えない大切な学びがいっぱい詰まっていたことを理解する要素のひとつになることを密かに期待しています。願わくば、大きくなった彼らが自分たちの暮らしに誇りを持ちながら生活するサバンガンの村で再び再会することを夢見ながら。

このWSのドキュメンタリー物語
「The Story of Fair Trade Work Shop」の映像はこちら
http://www.youtube.com/watch?v=4_lTDuObL0M


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(竹本泰広)
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by cordillera-green | 2013-01-11 15:44 | 環境教育