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2015年 03月 31日

虹のかかる村・アンボンドランでの植林プロジェクト1年目を終了しました。

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イオン環境財団から助成をいただいたCGNの植林プロジェクト。2014年度はバギオから車で約2時間のベンゲット州トゥブライ町アンボンドラン村で実施しました。アンボンドランはイバロイ族の言葉で「虹のかかるところ」という意味だそう。カパンガン町との境に近い小さな村で、まだ森や美しい渓谷の残るところですが、森林破壊が進行していて乾季には水不足になることもあるそう。ほとんどが野菜畑に転換してしまっているもののまだわずかに残っている田んぼに水を供給するためにも水源林の保全と回復が大事と、村人と町役場が一つになって共有林とそれぞれの私有地に植林を行いました。
村人たちが自らの意思で育てる森とするため、アグロフォレストリー(森林農法)によるアラビカ・コーヒー栽培を指導し、緑化とともに森から収入が得られ、村人たちの暮らしの助けになる森づくりプロジェクトとしました。
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○アグロフォレストリー(森林農法)による水源林の再生と保全
29633本の苗木を購入し、事業の受益者である住民団体「Citizen for Ambongdolan for the revitalization of the Environment(CARE)」メンバーとメンバー以外の住民を指導して植樹を終えた。内訳はナラ8,973本、ベンゲット松7,986本、アルノス3,541本、コーヒー9,163本。毎月最終金曜日を「植樹の日」と定め、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)のスタッフやボランティアも参加して、6 ヘクタールの共有水源地への植樹を完了した。共有水源地に植樹したのは、3,500本のコーヒーと2500本のベンゲット松の苗木である。残りの苗木はCAREの26名の受益者とアンボンドラン小学校に配布し、合計約10ヘクタールに植樹に適した雨季(6-9月)に植樹を完了した。2015年3月現在の植樹地のモニタリングでの調査によると、コーヒーの苗木はほぼ全部が順調に生育中、ベンゲット松は例年に比べ乾季の到来が早かった影響で30%ほどが枯死。ナラは約15%が枯死した。乾季中にナラの葉はほどんどが落葉した。

○苗木場の設置
トゥブライ町自治体環境課、アンボンドラン村、受益者団体「CARE」と協議の上、既存の苗木場を拡張し有効利用することとした。資材の提供と苗木作りの指導をCGNの担当スタッフの森林専門官が行い、4500本の苗木の生育を開始した。生育後、枯死した苗木の植え替え、自主的な植樹地の拡張などに使用される予定である。
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○研修旅行と講習会の開催(2回)
以下の内容で実施した。
① 2014年6月13日 ベンゲット州コロス集落26名のCAREのメンバーとトゥブライ町自治体職員3名が参加し、コロス集落のアグロフォレストリーによるコーヒー栽培のモデル農場を訪問し、2グループに分かれ、コロス集落の農民リーダーであるダミーロ夫妻による研修を受けた。苗木作りと育成に役立つミミズ堆肥の作り方、苗木育成・管理に有効な簡易な木酢液採取施設の作り方などを実践を交えて指導した。また、コーヒーとアルノスなどの木に加え、そのほかの果樹などの樹種やサトイモ、サツマイモなどの換金作物を混栽したアグロフォレストリー(森林農法)のモデル農場を実際に見学し、事業地のそれぞれの植樹地における栽培計画を立てた。また、インドネシアにおけるコーヒー栽培のメンテナンス方法のビデオを鑑賞し、移植後の植樹地におけるメンテナンスの実際を指導した。    
②2015年1月30日&31日 ベンゲット州ラ・トリニダード町ベンゲット州国立大学(BSU)アグロフォレストリー・モデル農場ベンゲット州国立大学(BSU)教授のバレンティン・マカネス教授を講師に迎え、植樹したコーヒーの苗木の病気・害虫対策、生育後の木の若返り、剪定などのメンテナンス方法を指導した。受益者団体「CARE」とアンボンドラン村の住民リーダーの計12名が参加した。

○小学生対象の環境教育(2回)
環境保全の重要性を伝え、水源林保護の意味を学んでもらい、植林に対する意識と意欲の向上を目的としてアンボンドラン内の二つの小学校で環境教育ワークショップを開催した。
① 2014年7月25日 アンボンドラン小学校森林の役割、植樹した森の生育のプロセスなどを学ぶ体験型ワークショップを開催。地球の危機的環境状況をわかりやすくアニメで表現したビデオ「タートル・ワールド」も上映。3-6年生の19人と教員が参加した。
② 2015年3月21日 ランビス・プライマリー・スクールアンボンドラン小学校の分校で山中にあるあるランビス・プライマリー・スクール(幼稚園と小学校1-3生のみの学校)で野外自然教室を開催した。13人の児童、9人の父兄、1名の教員が参加し、森の中を歩きながらアクティビティを行った。2回のワークショップとも、サステナブル・アカデミー・ジャパンの野外教室指導者養成講座を修了したフィリピン人ファシリテイターが指導に当たった。 

○環境メッセージ入りの看板の制作と設置受益者である「CARE」メンバー全員(26名)から環境保全を伝えるスローガンを募集し、その中から3つを選考し、事業紹介(事業名、事業地域、助成団体と実施団体の名前を記載)の看板に加えた。事業終了後も住民たちが環境保全の意識を持ち続け、自主的に植樹地の管理、メンテナンスを継続することを期待して村内4か所に設置した。
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by cordillera-green | 2015-03-31 18:42 | 植林/アグロフォレストリー


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