カリンガ州の民話絵本「ルプルパ村の村人と川の生き物たち」 子供たちの泥絵の挿絵で出版

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りそなアジア・オセアニア財団の環境助成を受けて実施した山岳地方の子供たちを対象とした演劇を活用した環境教育ワークショップ事業。演劇ワークショップの過程で収集した民話を環境教育の教材として出版し村の子供たちに配布するという活動も事業に含まれていました。

演劇ワークショップは昨年、カリンガ州ティグラヤン、イフガオ州キアンガン、マウンテン州サバンガンの3カ所で実施し、それぞれの場所でとても興味深い民話に出会い、ワークショップで環境保全を伝える作品を作り、それぞれ発表会をしました。
(ワークショップの様子はこちら
環境教育教材の民話絵本のほうは、いろいろと考えた末、ティグラヤン町で収集した民話の中から「The Lupulupa Villageand River Creatures(ルプルパ村の村人と川の生き物たち)」を選ぶことにしました。ティグラヤン町に暮らす先住民族の民話は一般にはほとんど知られておらず、山奥深い村であるだけに、精霊や自然に生きる生物についての興味深い物語がたくさん残っていました。
 「ルプルパ村の村人と川の生き物たち」には、川に住むウナギとカニのほか、川の生き物たちを痛めつけたことが原因で起こった災害で行方不明になった子供たちを救うために鳥たちも活躍します。川や森に住まう野生動物たちが人間に対して災害という形で復讐し、また、助けにもなるのです。人と自然が近い典型的な先住民族の集落の暮らしをよく表していて、また、命の宿った意思のある野生動物も描かれ、子どもたちの創造力をかき立てるのにぴったりの素材だと思いました。また、この民話には人間でも動物でもない「アングタン」という怪物が登場するのですが、災いを起こす精霊としてティグラヤンの先住民族の間では人々が今も恐れる精霊であり、人の力でコントロールできない超自然的なものとともに暮らす先住民族の村を描いて大変興味深いものでした。
 当初、絵本の挿絵はプロのアーティストに依頼する予定でしたが、描くのが難しい想像上の怪物なども登場することから、民話の生まれた村の子供たちの想像力に任せて描いてもらい、それを挿絵とすることにしました。
 民話のふるさとであるルプルパ村の子供たちに挿絵をお願いすることにし、土を絵の具として描く「ソイル・ペインティング」の手法を使うことにしました。挿絵を制作する手法自体も環境教育の一部ということにしたわけです。2015年1月に再びティグラヤンを訪れ、子供たちに絵本の挿絵をソイル・ペインティングで描いてもらうのためのワークショップを行いました。
完成した絵本は、バギオ市内に住む環境活動家の作家による監修を受け、また、フィリピン大学芸術学部講師の手によってレイアウトされ、コンパクトで美しい絵本となりました。新学期、ティグラヤンのルプルパ村の子供たちにこの本を届けます。子供たちの反応がとても楽しみです。
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by cordillera-green | 2015-05-21 11:30 | 環境教育

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