「ほっ」と。キャンペーン

吉田智久さんの演劇を活用した環境教育ワークショップ

 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、本年度、「マウンテン州における教育職員を対象とした環境指導者養成講座」プロジェクトの3年目を迎えています(地球環境基金助成)。さまざまなアートを活用して、保育園からハイスクールの先生までの幅広い教育関係者に対して、それぞれの教育現場で実践できるような体験型の環境教育ワークショップの手法を指導しています。ファシリテイタ―にはフィリピンのこの分野では第一人者のアーティストをはじめ、日本からもたくさんのアーティストの方にご協力いただいています。

 10月に実施した、演劇を使った環境教育ワークショップのファシリテイタ―として、日本から来てくれた吉田智久さんにワークショップ経験について寄稿いただきました。吉田さん、ほぼ5年ぶりの、コーディリエラ山岳地方での演劇ワークショップでした。

~~~~~~~~~~~~~~~

b0128901_11021764.jpg

10月中旬、フィリピンへの出発を控え、5年振りのCGN環境演劇ワークショップをどのように進めるか、私の頭の中ではシュミレーションが大忙しだった……

……まずこのプログラムのラスト、そしてその成功場面を想像し、そこから逆算をしてみよう。

来年3月に行われるマウンテンプロビンス州バウコ町のお祭りで、各村のハイスクールがその村の環境を題材にした演劇を披露しあう……

というのが、今回のプログラムのラスト。

各村の特色が現れていて、見る人々に興味深い演劇が上演され、作り手にとっても思い出深いものができる……
(すなわちバウコ町の人々が立場はそれぞれも自分たちの環境についてなんだかの思いを巡らせる)

というのが、その成功場面。
とイメージする。

b0128901_10521109.jpg


ちなみに、各ハイスクールの先生(生徒と演劇を製作する予定の先生)が、今回のワークショップ参加者(受講者)。

「各村の特色が……」という部分、題材やストーリーに関しては日本にいる私が教えられるようなことはないが、演劇的に題材やストーリーにアプローチしていく手法を体験してもらうことはできる。

「見る人々に興味深い……」という部分、舞台と客席という劇場構図になれていない(むしろ概念が無い)人が多いというのは5年前の仕事で分かっていたので、そこは諸々仕掛けを用意しておく。

「作り手にとっても思い出深い……」という部分、これの作り方を教えるというのは少し難しい。参加者が各村のハイスクールに帰って私の知らない人たちと作業をするのだから、そこで起こることは想定できない。ただ今回、このワークショップに参加したことが「思い出深い」となれば、その経験こそが思い出深い演劇を作る手法となりうる。
だからこそ、私が一番注意を払うのは、ワークショップの意味や技術や内容の前に、このワークショップの時間内すべてが、なるべく多くの参加者(できれば全員)にとって、退屈でなく、楽しい、興味深いものになっているか……「常に」そうなっているかだ……。

大阪・関空から飛行機で4時間、マニラからバスで5時間、バギオからジープで6時間かけてマウンテンプロビンス州バウコ町へ

b0128901_10580109.jpg

さて、ワークショップが始まった。
参加者が少ないというか、揃ってない。でもそれは想定内。「だるまさんがころんだ」で遊びながら遅刻者を待ちます。
ある程度揃ったところで、まずはお互いを知りあうことからと自己紹介メニュー。「他己紹介」に「尻字」もしました。
午後にはチーム分けして、バウコ町の自然を切り取ったタブローを発表してもらう。これも参加者を知るためのお試しワーク。
「表現の要素」なんて講義もしつつ、初日終了。
皆さま、大人であり先生であられるので、大変お行儀よくワークに参加してくださる。
しかし弾けないのも事実。
初日を終えてのコメントも、皆「楽しかった」「勉強になる」といったありきたりコメント。

b0128901_10493105.jpg


二日目はフィリピン側のファシリテーター、リネットさん&ケネットさんコンビが主導してくれる。
環境についての講義と、学んだことを短い劇にして発表。
三日目は、記憶にアプローチするワークや、仮面をつけての表現トレーニングの体験など。
どのワークも無難にこなしていきます。
しかしながら、3日間のワークで「超」盛り上がるという場面もないのが事実。
盛り上がるのは、何らかの発表をやるとき。

それならばと残り二日は方向転換。
二日間で15分から20分の劇を作っちゃおう。
本番と同じくらいの長さの作品を作ってみちゃおうってしました。
全体を2つのグループに分け作品を製作します。
基本的には、参加者の自作ながら、ファシリテーター陣もグループの中に入り積極的にアドバイス。
私も輪に入り、皆を質問攻めにします。
ストーリー作りで、皆々好き勝手やりたいこと言うのでまとまらないって?
「どんな意見が出てる?」「あなたの意見は?」「具体的に言うと?」
私の質問に答えているうちに、あれれ? 勝手に話がまとまっていきました。
そうなんです。
「それじゃなくてー」なんて人の意見を批評していたら話は進まない。
でも「こうしたい」ということを明確化していくと意外とまとまるものなんです。
稽古は盛り上がり、最終的には両グループ30分近い大作?を発表してくれました。

b0128901_10590162.jpg


即興劇のトレーニングなどにも時間を割き、一応演劇へのアプローチや、表現の基礎知識など予定していたワークはこなしました。
どのワークにも先生方積極的に参加してくださり、優等生なワークショプができました。
あとは演劇の本質に迫れたかどうか?
環境を題材にした演劇が教育となり得るよう、心に響くワークができていたか? 伝わっていたか? 持ち帰ってもらえるか?

最終日の最後のワーク、「全体を振り返っての評価・共有」は、私にその答えをくれました。
その日の先生方のコメントは、ありきたりではなく個性にあふれたものでした。

「体はヘトヘトです。でもなんだか気持ちいい。」ジョエイ先生
「今まで演劇なるものの機会は避けて生きてきたが、今は私たちの町についての作品を早く作ってみたいと思っている。」リザ先生
「今までセミナーというのはウトウトしにいくものだったけど、今回は違って楽しい時間だった。一度も眠くなることはなかった。」ジュディー先生
「私の生徒たちにも、ダルマサンガやカッコーをやらせるのが楽しみです。」エイシー先生
「カンキョー・ホゼン・カツドー」ローデス先生
「私に環境演劇が作れるのか? イエス! 演劇にはNo は無い。」エリザベス先生

b0128901_11000759.jpg

ワークショップのその他の写真はこのWEBアルバムにあります。


●5年前の吉田さんのCGNの活動についての記事。

●吉田智久さんのプロフィール(5年前のデータです)




[PR]

by cordillera-green | 2015-11-09 11:14 | 環境教育

<< 映画「クロスロード」撮影コーデ... 鉱山開発からの脱却・コーヒー栽... >>