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2017年 09月 11日

立教大学アジア寺子屋 スタディツアー2017の感想文 ②

嶋野美帆(観光学部交流文化学科2年)

 スタディツアーの前半は特に1日1日の内容が非常に濃く、本当に多くのことを学び、たくさんの経験が出来た。まず、植林は思った以上に規模が大きく、実際に管理も簡単ではないとのことだった。松の木が育つまでのスパンも長い。しかし、育つまでの手間は非常に多くかかる分、携わる方の思いが強いと感じた。また、植林に参加したことで、その大変さが身に染みてわかったし、植林を行う背景や理由を知ることが出来たのは、意味のあることだったと思う。
 3日目はアボン・ヘリテージホームを訪れた。コーディリエラ地域では、自民族のアイデンティティは強く持ちながら互いに他民族を認め合っているというのが印象的だった。アイデンディディがしっかりと形成されていればいるほど、違う価値観の他者と摩擦が生じやすいとは思うが、それを受容できる社会こそが本来あるべきもののように思えた。一方で、先住民族の暮らしや伝統が消えてきてしまっているのも事実である。このような状況で文化を継承するには、直接的な継承だけでなく、アボンのような施設やボントック博物館などの博物館資料などを介してより多くの人に知ってもらうのが大切だと感じた。伝統的な文化の価値を見直しながら新たな文化の中に取り入れるなどして、暮らしの中に生かしてゆくことも必要だと思う。
 一方で、アボンでイバロイ族についての話を聞いていているなかで、当然興味を持ったり、知りたいと思うけれど、逆に自分たちが日本のことを質問されたときにきちんと答えることが出来なかった。去年感じた反省を今年も同じく感じてしまったのは情けないが、もっと自文化についての知識をつけなければならないと感じた。
 夜はスタッフの方がピニピカンを作ってくれた。そこではブッチャーを初めてみた。少し前まで目の前を歩いていた鶏が丸焼きにされているところは正直衝撃が大きかった。けれどその衝撃の大きさは、自分が普段いかに出来たものに頼って生きているかを感じさせられた。 4日目は田植えとカモーテを植えた。カモーテを植えているとき、スコップがなかった。自分の発想であれば、スコップなどの足りないものがあればすぐ買って解決しようとする。でも村の人達は、近くの竹の木を切って即席でスコップを作ってくれた。手作りのシャベルは使い勝手も良く、なにより村の人が当たり前のように自分の手で作ってくれたことに感動した。
 私たちは何かするとき、より便利なものに頼ろうとする。本当は1つのことをするにも色々な方法があるかもしれないのに少しでも手間を省こうとしてしまう。でも、方法や手段の可能性を考えながら自分の手で作ったほうが絶対に楽しいし、ものに対する気持ちも変わると彼らの姿を見て思った。そして、豊かな自然から生まれたものに結びついて、試行錯誤しながら行われるその過程自体が素敵だと思った。 鉱山に行ったときは、森林伐採によってむき出しになった土や真緑に染まった大きなため池から、社会問題が浮き彫りになっていることがよく分かった。また小規模開発は日本人が始めており、鉱山問題は決して他人事とは思えないと感じた。採掘現場は、酸素が薄くじめじめとした空気で、とても作業が出来るとは思えない環境だった。酸素が薄いため、送風機で酸素を送り込むとはいうものの、大きさが小さくあまり効果がないうえ、工夫は半袖短パンで作業を行う。鉱山採掘で生計を立てる人々の話を聞いていて、リスクが高いがゆえに収入の高い鉱山で、普通のアルバイト感覚で働く工夫たちは、その危険性を深刻にとらえていないようにも見えた。しかし、鉱山開発によって行われた自然破壊をうけて、コミュニティ全体で松の木植樹の義務化を自分たちで決めて行っていた。彼らは、環境破壊を助長していることを意識はしているけれど、生計を立てるにはそこで働くしかないと考えていることがうかがえた。
 資本主義の流れで生活形態がもの中心から現金中心へと変化しているなかで、生計を立てるためには鉱山で働くしか選択肢がないため、そこで働かざるを得ないことも理解できる。かといって、この状況が変わらず維持されてしまえば、問題は一向に解決しない。工夫の安全を確保しかつ環境保護を実現することは、今すぐは難しいと感じた。しかし、鉱山で生計を立てている人々に、そこにある資源の価値に気づいてもらえれば状況改善へ近づけることができる。
 そこで、多くの資源を保有していることを理解してもらうためにも環境教育の必要性を強く感じた。教育によって、鉱山開発による危険性や影響についての正しい理解を促し、更には資源のあるもの探しを行う。そうすることで、時間はかかるかもしれないが、工夫の安全性や一定の生活を確保し、自然の有効活用が出来ると分かった。
 今年2回目のフィリピンで、少しの知識はあると思っていたが、実際には全然知らないことだらけだった。スタディツアーで、まだまだ知らないことが自分にはたくさんあるのだと分かったし、もっと知りたいと思った。
 
 スタディツアーの後半では、Turning Point 訪問、カヤン村でのホームステイ、マリコン、マイニット、ボントックなど多くの場所に足を運び、フィリピンを色んな側面から見ることが出来たと思う。
 まず、カヤンでのホームステイは、6日間と短い期間ではあったが、家族や村の人と過ごしたり、小学校訪問、植林などを行った。家族にカリンガの言語を教わったり、おいしいフィリピン料理をふるまってもらったり、何気ない会話も今となれば懐かしく思う。振り返りのミーティングで印象に残っているのが、ホームステイでは家族のつながりに入ることに意味があるということだ。つながりが強く村全体が家族のようなコミュニティに、その村の一員として受け入れてもらえることや関係を築こうとする姿勢が大事だと思った。
 また、カヤンのホームステイでは、お金を払う形でマデラとは形式が全く違った。形式が違うことで、心持ちも多少違う部分があったと思う。いくらか支払うと、個人的な心持ちとしては家族の好意を返せていないことへの申し訳なさはある程度なくなる気がする。しかしそれによってお金の関係にもなりかねない。無償であれば、お金の関係になる心配はないけれど、どこかで申し訳なさを感じてしまう部分もある。マデラのホームステイでは、無償であることに意味があると思うし、今回カヤンで形式の違うホームステイが出来たことも貴重な経験になったと思う。
 また、去年と今年、どちらの村でも感じたのは、村全体のつながりが非常に強くお互いに助け合って生きているということだ。その空間に自分たちが入って一緒に生活できることが魅力的で温かいな、と思う。ホームステイの後は、マリコンのライステラスや、ボントック、マイニットの温泉など色々な場所を訪れた。ライステラスでのハイキングは、小学校の通学路でもあるというのには驚きだが、道なき道を歩きなが上から見下ろす棚田は壮大な景色だった。また、この他にも豊かな自然に思う存分触れられたのがとても楽しかった。
 なかでも印象に残っているのは、まずカヤンでは、夜に空一面に広がる満天の星を見たことだ。地球が丸いのが目に見えてわかるくらい見渡す限りに星が広がりとても綺麗だった。うまく写真に収められなかったのは残念だが、この景色は忘れられないくらい心に残っている。
 また、ジープニーの上に乗って風を肌に感じながら走ったのがとても気持ち良かった。たまに木の葉っぱがぶつかりそうになるのをよけていくのも楽しかった。たくさんの経験が出来たキャンプで、これからの活動で還元できることとしては、Turning Point への寄付がある。Turning Point の子供たちは想像以上に深刻なバックグラウンドを持っており、彼らの生活費は助成金のみでは賄いきれていないとのことだった。そのため、寄付を通して子供たちの助けに少しでもなれたらと思う。
 また、反町さんが仰っていた、鉱山で働く工夫をはじめとした人々が現金収入を得るためには、そこにある資源をニーズに応じて工夫しながら加工し、ビジネス化することが有効であるという話が印象に残っている。しかし、眠っている資源を、地元住人では当たり前になっているからこそその魅力に気づかず、ないものねだりをしてしまうことがあるかもしれないので、私たちも含めた第三者の視点が活用できると思った。現地の人と違った価値判断を持つ第三者からだからこそあるもの探しができるとも思うし、それによって地元の人の帰属意識も高まり好循環が生まれると思う。
 具体的に自分にできることは見つかっていいないけれど、地域活性に似ている部分があってこの取り組みは面白いと思った。スタツア後半を通して、フィリピンならではの生活や雰囲気のなかで、穏やかでのんびりとした時間を過ごすのが改めて魅力的だと感じた。また、キャンプの中で、今まで知らなかったフィリピンの新しい一面を見られただけではなく、自分では考えられなかったことに気づかされたり、自分の安直な考えから改めて考え直す機会があったことが自分にとって刺激的で本当に良い経験が出来たと感じている。


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安部暢人( 観光学部交流文化学科 2年)

① 前半
 昨年はマニラを訪れ、今回で二回目となるフィリピンキャンプ。昨年は個人的な用事で村へ行けなかったこともあり、スタディツアー係なのに村への関心が勝っていた。直前のマデラキャンプの中止によって、そんな思いも消え去った。今年も 5 日間で帰国かと、昨年のこともあり慣れてしまったためか、あまりショックも受けず、8 月 12 日マニラ発成田行きの航空券を全員分購入しようとした。キャンセル不可の購入ボタンも実は押していた。(生年月日の入力が遅かったためエラー。) 今思えば、あそこで買えていたらどうなっていたのかなと思う。
 フィリピン初日。初 ubertaxi, 初ジョイバス,初バギオと、浮かれながらも無事 TALA に到着することができた。翌日いよいよスタディツアーが始まった。 レナートさんの CGN の活動についての説明を聞き、早速コーディリエラの民族博物館へ向かった。多種多様な民族、かつて使われていた道具、楽器、伝統など、多くのものを展示していたが、当時の率直な感想として、あまり興味深い時間ではなかった。(この考えは後で変わってくる。)みんなが興味深そうに話を聴き、展示物を見ている姿を見て、「自分はあまりこの団体に向いていないのかな」とか、「なんで交流文化学科なんだろう」と考えたりもした。
 翌日は植林を行い、アボンでイバロイ族の伝統的な家に泊まった。その夜、イバロイ族の暮らしなどについて話を聴く機会があった。正確には話し合う機会だったのかな。会が終わった後、全く聞き取れなかった事、日本語では言えることも英語では全く発言できなかった事に対して非常に悔しく感じた。英語の能力がないからどうしようもないと思っていたが、反省会後、まずは聞き取れないなりに、頷いたりして相手に反応を見せることも大事だという事を学んだ。
 その後のスタディツアーでは、相手の発言に対して反応を示すようにみんなで頑張れたと思う。でもやっぱり、聞けない話せないで、返事だけしていることが多いのは、自分は虚しく感じられた。フィリピン人のやさしさに助けられた。西欧ならどうだろうか。日本に帰ってから IELTS の対策をする中で、まだまだ初歩段階ながらも、Listening、speaking の大切さ、難しさを強く感じる。コミュニケーションができれば、フィリピンを今の何倍も知ることができると思う。来年は自分が他のメンバーの意見を代弁できたらなと思う。
 五日目は自分が提案した鉱山を訪れた。鉱山問題のありのままを見て学んだ。今思うことは、環境ももちろん大事だが、やはり問題は労働者の安全だと思う。もし何か起こっても家族は鉱山経営者を訴えて開発をやめさせることはできない。なぜなら多くの家族の生活は鉱山が無ければ成り立たない。日本の水俣病問題をさらに複雑にした状態ともいえる。 代替となる職業を作る、村へ帰り農業をやるなど、実現すれば全てが改善する策も聞いたが、これからさらに発展していくフィリピンには難しい選択肢だと感じた。錬金術ができれば金の価値が薄れてみんなとりあえず村に帰るだろうとも考えたが、ただの妄想に過ぎない。フィリピンより遅れている国では似たような問題がこれからも増え続けてしまうのだろう。

 ② 後半後半は一転時間の流れがゆっくりになった。紙すきをし、カヤンへ行き、ボントックへ行き、他にもいろいろ行き。後半も前半同様多くの事を学んだが、一番感じたことはフィリピン人の良さだと思う。通常のメニューではなく、突然組んでもらったツアー内容だったからこそ、協力してくれるフィリピン人の行動力、器の広さをいつも以上に感じることができたのではないかと思う。見知らぬフィリピン人同士で話すときにまるで知り合いのように話すのが個人的にはお気に入り。
 そして後半になって何より勉強になったのが、多種多様な民族の存在だ。初日の博物館で見たものを違う場所、違う部族で再発見することを通じ、民族が決して過去のものではなく、今も文化を受け継ぎながら共存していることの素晴らしさを感じるようになっていった。
 今年のキャンプはアジ寺の歴史の中で本当に特別だったのだと思う。村へは結局来年の一回しか行けないので、通常のメンバーのように同じ家にまた会いに行くという体験はできない。でも自分は今回のスタディツアーで本当に良かったと思っている。人生でこんなにいろんな経験ができることはそうないと思う。
 個人的な一番の思い出は背泳ぎができるようになったことだ。全く日本では泳げなかったのに、泳げるようになってしまった。もちろん助言のおかげもあるが、何よりあのわがままに使えたプールのおかげだろう。グッドテイストも忘れることはできない。考えたらお腹が鳴った。飯テロだ。帰国して一カ月ちょっとが経過して文章を書いているが、他の国へ行ったり、学校が始まったりしたためか、フィリピンの記憶はまるで夢だったかのように薄れてしまっていた。こうやって振り返りを書くことでまた思い返すことができて良かった。綺麗なことを書くのが嫌いなので本音の振り返りになってしまった。今回のスタディツアーは本当に CGN の皆さんのおかげで体験することができた。吉村さんをはじめ、CGN の皆さん本当にありがとうございました。ラマダンもまじでありがとう。フィリピン料理大好き!(ピニピカンを除く)


by cordillera-green | 2017-09-11 23:00 | スタディツアー


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