スタッフの交通事故

 先週土曜日に、カリンガ・アパヤオ州立大学(KASC)の奨学生たちとのミーティングにカリンガ州タブックに行っていたスタッフのローデスが、奨学生の一人とトライシクル(三輪タクシー)に乗っていてトラックに衝突。二人とも重症で、奨学生のほうは、意識が戻らないまま、おととい手術をして経過を見守っている最中です。ローデスのほうは、左足を骨折。全身を強く打っているようで、顔も大きく腫れ上がっているとのこと。高熱があり、ショック状態で事故の記憶が飛んでしまっているようですが、意識ははっきりしているそうです。

 事故のことを知らせてきたのは、ローデス本人でした。夜の7時くらいに珍しく携帯が鳴り(フィリピンでは、携帯電話はもっぱらテックスと呼ばれるSMS専門に使っている人が多い。通話は一般のフィリピン人には高すぎます)、ローデスから。

「今、病院。いったい何が起こったかわからないが、左足を骨折しているみたい。眞理子さん、わたしをここに送りました?」とわけのわからない電話。
「あなた、奨学生とのミーティングのためにカルラと昨夜バスでタブックに向かったのよ。ミーティングはやったの? カルラはどこなの?」
「カルラが一緒だったの? わからない。本当に何も覚えていない。何が起こったのか」

 ローデスの口調はしっかりと落ち着いた様子でしたが、何かが起こったことは確か。一瞬、頭の中が真っ白になりました。とにかく、誰かを病院に送らなければと思い、奨学生の一人で、タブック在のCGNのボランティア・スタッフでもあるルーディに電話して病院に行ってもらい、交通事故にあったことが判明。病院にはカルラの姿がないということで、その晩、カルラとローデスが泊まることになっていた農業組合のロッジにルーディが行ったら、何も知らないカルラがローデスの帰りを待っていたとのこと。カルラはインターネット・ショップにメールをチェックするために寄り、ローデスたちとは行動を共にしなかったとのことです。ひとまずカルラが無事ということがわかって安堵。

 マイクロ水力発電事業のコーディネイトでパシル(タブックから山に1時間半くらい入ったところ)に行っていたアーネルに病院に駆けつけてもらうため連絡しましたが、携帯の電波が届かないところにいて連絡がつかず。電波が届くところにいた親戚に、アーネルとインターンの松野下さんがいるらしき集落まで伝令を走らせてもらいましたが、いるはずの知り合いの家にはおらず、結局、アーネルと松野下さんが電波のあるところまで戻ってから連絡がつき、闇の中、タブックの病院まで車を走らせてもらいました。

 翌日、警察に行ったアーネルが聞いた話では、「トライシクルの運転手がかなり酔っ払っていて、スピードを上げて2台のトライシクルを追い越した後に、トラックにぶつかったとのこと。トラックのほうはトライシクルの異常な運転に気づいて、ブレーキを踏み、かなりスピードを落とした状態だった」そう。一方的なトライシクル側の過失だそうです。

 タブックの病院は衛生状態もよくないし、設備も整っておらず、CTスキャンさえありません。医者の技術もどの程度のものか疑わしく、できるなら、バギオの病院に移したいのですが、何しろ最低でも8時間はかかります。まだ、動かせる状態ではないので、しばらく様子をみてバギオの病院への輸送を試みる予定です。

 しかし、家から離れた旅先で事故が起こると、この国ではたいへんです。学生で学生証をもちあわせていなければ、身元がわかる証明書などもほとんどの人が持っていないし、携帯電話もプリペイドカード式なので身元がわからない。山の人の場合は、家族に連絡しようにも住所や電話もなく、また、電話があっても電話の通じるエリアが限られているため、伝令が走るしかありません。
 また、病院に運び込まれても、保険制度が行き渡っていないので、お金がなくて治療が受けられないケースも往々にしてあります(事故にあった奨学生の家庭もまったくお金がないので、当座、奨学金ファンドの中から治療費を負担する予定で、できるだけの治療をしてもらっています)。

 万が一何かが起こったことの事を考えると、こういう国ではどうなるかと思うと、背筋が寒い思いをします。ローデスから電話があったときにたまたま一緒にいた日本人ボランティアのJさんも、「日本に帰ろうかな」とちょっと弱気な発言をしていました。

 ローデスは、現在のCGNスタッフの中では、いちばんの古株。2006年に栃木のアジア学院に留学していたほか、CGNのスタッフやゲストのお世話係で、このブログを読んでいる方にも知っている方もいるかと思います。
 病院には、カルラとローデスの大学生のお嬢さんが付き添っているほか、パシルの事業に従事中のアーネル、ルーディ、松野下さんが随時訪問しています。
 皆様もいっしょにローデスと奨学生の1日も早い回復をお祈りいただけるようお願いいたします。
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by cordillera-green | 2008-10-07 11:24 | CGNスタッフ&オフィス

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