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2008年 11月 19日

マヤオヤオでの150万本の森作り

 日本の景気はまたまた下降気味。「そんな余裕がどこにある?」という声も聞かれそうですが、いまや大企業は地球温暖化防止のために何らかの行動を起こすことが、社会的責任を果たすために不可欠な時代となっています。
 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)でも、近年CSR(=Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)事業のお手伝いをする機会が増えています。昨年からは東芝グループの社会貢献事業「150万本の森作り」から資金援助を受け、ベンゲット州カバヤン、イフガオ州マヤオヤオとフンドアンで、6万本を目標に植林を行ってきました。

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 9月と11月の頭の2回、世界遺産に指定されている素晴らしい棚田で知られるマヤオヤオでの植樹の現場を視察に行きました。マヤオヤオでは棚田に水を供給するために森林の保護が欠かせなかったはずなのですが、山火事が相次ぎ、見事な棚田の谷の向こう側の山々からはすっかり木が失われています。これ以上の森林破壊が進み、植林が行われなければ、命の糧である棚田さえ涸れてしまうのではないかという声が聞かれるようになりました。
 「そんなことあるわけない!」と、数千年といわれる棚田の歴史が終わるかもしれないことを認めない頑固者のおじいさんもいますが、世界各地の植林現場を視察しておられる東芝社会貢献室のHさんも、「中国雲南省で、茶色く枯れ果てた棚田を見たことがあります」とおっしゃっていました。今、行動を起こさなければ取り返しのつかないことになるのです。

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          ↑美しい棚田の裏はハゲ山!

 そんなマヤオヤオで、自主的に苗床を作り、自分たちの力で森林の再生を計ろうと考えていたイフガオ州政府の議員さん、サムソンさんと出会いました。CGNは東芝150万人の森作りから資金援助を受け、サムソンさん率いる地元の森林再生と棚田保全活動を行う人たちのグループと植林活動を始めたというわけです。

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          ↑苗木を運ぶサムソンさん
 
 9月の視察では、苗床で苗木が山に移植するのにちょうどいいサイズにすくすくと成長している姿を見ることができました。その後、その重たい苗木を住民のみなさんがエイヤエイヤと天秤棒に乗せて山に運び、3万本の植樹を約10ヘクタールに行いました。

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 11月の頭には、移植されたばかりの小さな苗木が、すごい勢いで伸び続ける山育ちのたくましい雑草たちと競争しながら、何とか生きのびよう生きのびようとがんばっていました。植林の成功は実はこの移植した苗木の根がつく割合にあります。植えるのは植えたけれども、根がつかずに育たなければ何の意味もありません。住民の方たち自らが、苗床で大事に大事に種から育てた苗木ですから、移植も「がんばって育てよ」と心を込めてていねいに行います。それでも、移植後に不幸にも雨が降らなかったり、山ネズミに根っこを食べられたり、病気になったりで、枯れてしまう苗木も出てきます。今は、苗木たちにとっての恵みの雨が降るのを願うばかりです。

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どのくらいの割合の苗木が生き延びることができたかは、3ヶ月後のモニタリング調査で判明します。
 
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          ↑ 山に移植されたマホガニー!がんばって育って!

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    ↑竹のステッィクに引っ掛けられた苗木用の黒いビニールポットが苗木の植えられた場所の目印です。

by cordillera-green | 2008-11-19 13:46 | 植林/アグロフォレストリー


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