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カテゴリ:環境教育( 45 )

鉱山開発をテーマとした演劇ワークショップ

 りそなアジアオセアニア財団から助成を受けた「ルソン島北部先住民族の子供たちを対象とした演劇を活用した環境教育プログラム」は、2016年度事業で最終年を迎えた。1年目、2年目の成果を踏まえ、2016年度はより内容を具体的な環境問題へのアプローチとし、北部ルソン山岳地方で環境破壊が著しい鉱山開発問題に焦点を絞った。

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  前年度のマウンテン州のワークショップで鉱山開発をテーマとしたときに、スタッフ、ファシリテイタ―の観察により、一般住民の鉱山開発に対する知識、環境への負荷などが全く欠如していることが見て取られ、今年度はワークショップ参加者が実際に鉱山開発地域を訪れ、様々な立場で鉱山開発に関わる人にインタビューをすることとした。

 鉱山開発地域での体験 関係者へのインタビュー内容は、ファシリテイタ―の指導のもとで参加者たちが意見や感想を共有しあい、最終的に演劇作品として発表した。


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 発表は小規模鉱山開発が住民たちの手で開始されているマウンテン州タジャン町のハイスクールのホールを会場とし、ハイスクール(中学校・高校約200名)の全生徒が鑑賞した。また、コミュニティ住民にも鑑賞を呼びかけた。総勢250余の地域住民が鑑賞した。

 ワークショップでは、鉱山開発地域での訪問・取材・インタビューで得た鉱山開発に関わる当事者の声をモノローグにまとめる作業を中心に行った。参加者はそれぞれ、当事者たちの立場になって書いたモノローグ原稿をファシリテイタ―の指導の下で推敲を重ねてまとめ上げた。発表でもそのモノローグ原稿を中心に演劇を構成し、ドキュメンタリー的な要素の強い作品とした。

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 取材先で当事者から聞いた内容はたいへん濃く、参加者にはショッキングな内容も多かった。フィクションとして構成し直す前に、参加者の若者たちが十分にその声の重さ、そしてそれぞれの境遇、背景、立場を自分の身に引き寄せて感じ、考えることに重点を置いた。発表された作品は、娯楽的な要素は乏しいが、インタビュー対象の人々が語ってくれた言葉の重さを参加者が精いっぱい表現し、観客にのその響きが伝わる素晴らしいものとなった。

 また、演劇作品発表のあとに観客参加型の「フォーラム・シアター」を、前年度に継続して実践し、観客に鉱山開発問題について、具体的な意見を求め、問題の解決方法を参加者や観客とシェアし意見交換する場をもった。

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<参加者について>

 ワークショップは201682日~14日まで開催し、山岳地方の先住民族の青少年14名の参加があった。参加者は違う民族からの参加者で、特に前年度の本事業によるワークショップで小規模鉱山開発とそれによる環境汚染がひそかに進行しつつあるマウンテン州からの参加者を中心とした。今までにコーディリエラ・グリーン・ネットワークが開催してきた演劇を活用した環境教育ワークショップに参加したことのある経験者と今回初めて参加するものとの混合グループとなったが、お互いに助け合いながら素晴らしいチームワークで長期のワークショップを終えた。

 フィリピンでは政府の方針で学校教育制度が改正中で、新学期の開始時期がマチマチであり、また休暇中にも就職活動やコミュニティ活動などに従事する必要のある生徒が多く、前年度のワークショップから継続して参加できた青少年がいなかったのが悔やまれる。
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<ファシリテイタ―について>

 事業1年目から継続して花崎攝氏がメイン・ファシリテイタ―を務めた。また、フィリピン在住経験があり、CGNの環境演劇ワークショップでの2年間ファシリテイタ―として活動していた吉田智久氏も花崎氏とともにファシリテイタ―を務めた。事業最終年の本年度のワークショップではコミュニティ住民を招待しての演劇発表とフォーラム・シアターを行うため、舞台美術担当として在台湾の現代美術家・花崎草氏とバギオ在住の現代美術家・ロッキー・カヒガン氏を招聘した。演劇ワークショップに、二人のファシリテイトによるビジュアル・アートを活用したワークショップも加えた。

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その他のワークショップと発表の写真




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by cordillera-green | 2016-11-17 23:13 | 環境教育

環境教育インストラクター・光橋翠さんからの活動報告

 

 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)が地球環境基金の助成を受けて実施してきた「フィリピン・ルソン島山岳地方マウンテン州縫置ける教育職員を対象とした環境教育指導者養成講座」。3年間の最後のプログラムは、日本でスウェーデンの環境教育プログラムをモデルとした幼児向けの自然教育プログラムの普及活動をしているサステナブル・アカデミー・ジャパン(SAJ)のお二人を講師にお招きました。

 SAJ2012年にJICAフィリピン事務所と協働で2回にわたり「子ども向け環境教育ワークショップ~野外環境教育の理論と実践スキル~」と題した環境教育ファシリテイタ―養成講座をマニラにて開催しました。CGNからも環境教育プログラムを担当するスタッフが参加させていただき、その後、その講座で学んだ手法をベースに山岳地方の自然環境や文化に即した内容にアレンジして、特に小さな子ども向けの環境教育ワークショップを山岳地方の村々で数多く行ってきました。

http://www.susaca.jp/wp/wp-content/uploads/2012/11/PhilippineWSReport1.pdf

http://www.susaca.jp/wp/wp-content/uploads/2012/11/PhilippineWSReport3.pdf

 今回は3年間の事業の締めくくりとして、会場のバウコ町の幼稚園、保育園、小学校低学年の教員を対象としたワークショップを実施していただき、また、継続してきたCGNの幼環境教育プログラムに対するアドバイスをいただきました。

 今回、ファシリテイタ―として参加下さった光橋翠さんが、日本野鳥の会筑豊支部の機関誌に寄稿した活動報告を転載させていただきます。

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 2016314日(月)、NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)代表の反町眞理子さんの招待を受け、フィリピン・マウンテン州バウコ町にて、小学校・幼稚園の教諭を対象とする、自然教育指導者養成講座に講師(サステナブル・アカデミー・ジャパンの下重喜代と光橋翠の二名)として派遣される運びとなり、野外教育の手法を学ぶ研修を行いました。


【研修会場までの道のりにて】

研修前日にCGNが拠点を置くフィリピン北部ルソン島のコルディリェラ地域に位置する都市であるバギオから、会場のあるマウンテン州バウコ町へと移動しました。ジプニーというフィリピン特有の乗用車に乗り込み、5時間あまりの山道をひたすら北上しました。

 同地域は世界遺産にも登録されている棚田の景色でも知られており、どんなものかと楽しみにしながら出発したものの、バウコ町へ向かう道のりで車窓から目にした景色はなんとも衝撃的なものでした。山岳地帯の山道をくねくねと上がっていくと、やがて段々畑にすっかり覆われた山々が見え始めたのです。頂上まで畑で埋め尽くされ、そこには樹木と言えるものはほとんど生えていないのです。いわゆる共有林や水源林であろうと思われる、まとまりのある森林がほとんど見当たらないのです。

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もともとこの地域には山岳民族が先祖代々から住んでおり、棚田のある里山生活が中心であり、山地にはベンゲット松という本地に特有の松が自生していたそうです。しかし、ここ20年ほどで森林は切り開かれ、自給用のコメを作っていた棚田が姿を消す代わりに、換金作物の野菜(キャベツ、ニンジン、白菜、ビーマン、トウモロコシなど)が植えられるようになったそうです。

フィリピンでは本来このような外来の野菜を食べる習慣はなかったそうですが、マニラの大都市圏で、西洋料理の情報が入り込んだことで近年、需要が急増したとのことです。一方、この山岳に住む住民たちも教育費や燃料費などの現金収入は生活向上のために欠かせないものとなっていました。つまり、グローバル化と近代化の波がフィリピンの山奥にも押し寄せていたのです。

 マニラに4年間在住していたことのある私は、生鮮市場でまさにこの地から運ばれてくる、このような野菜を買い求めていたわけですが、バギオやバギオのあるベンゲット州と言えば、標高の高い涼しい避暑地で、新鮮でおいしい高原野菜の産地などといった良いイメージしかありませんでした。特にイチゴの名産地でもあり、イチゴ好きの日本人としては憧れの地ですらあったのです。

しかし、実際にこの地を訪れ、丸裸にされた山々の頂上まで輸送トラックが入り込んで野菜を次々に運び出しては、代わりに肥料となる鶏糞を運び込んでくるトラックが行き交うという光景を見て、これが野菜の一大産地の本当の姿だったのかと驚くと同時に、不気味で不穏な印象を受けたのです。

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 案の定、山のところどころで大規模ながけ崩れが起きていることに気付きました。また残された松林も、適切な間伐などの管理が行き届いている様子はなく、地面に日光が届かないせいか、樹木の多様性は非常に乏しく、表土が露出もしくは浸食されている箇所がいくつも見られました。

フィリピンには雨季(5月〰12月)と乾季(12月〰4月)があり、四季のある日本に比べて極端な気候なのですが、それがゆえに当地では雨季には森林の保水力がないために土壌の流出が深刻化し、逆に乾季には干ばつに見舞われるのではないかと心配になりました。さらには、近年の気候変動で台風の頻度が増え、大型化していることを考えれば、この開発の方向性がいかにこの地を自然災害に対して脆弱なものにしているかを考えずにはいられませんでした。

そのような光景を2時間ほど眺めながら走っていたでしょうか。驚きと憂鬱な気持ちに浸っていると、突如として青々とした美しい棚田と里山の風景が目に飛び込んできたのです。いよいよバウコの町に入ったのです。バウコには、なみなみと水をたたえた水田、豊かで美しい自然、水の湧き出る森林が残っていました。そして、研修会場となる小学校に到着すると、現地の先生方が笑顔と温かいコーヒーで出迎えてくれました。長旅の疲れもすっかり吹き飛んだのです。

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【バウコでの研修】

 会場となる小学校には、バウコの校区から先生方が集まりました。フィリピンの国歌斉唱と校長先生の温かい出迎えの挨拶で研修がスタートしました。「バウコの自然と子どもたちは、私たちの共通の宝であること、それらを守るために、環境教育を行うことは私たちの責任であること」を確認して、いよいよ野外へ出発です。

 野外研修の会場となったのは、美しい棚田の風景が一望できる「パリワク」と呼ばれている高原でした。そこで、子どもたちに伝えるべきエコロジーの基礎をどのように教えるかのメソッドを実技によって教授しました。なかでも、この土地で特に重要であると感じた、森林の機能(保水力、土壌流出防止、生物多様性など)と水循環(特に水源林の重要性)を中心的なテーマとしました。

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 野外でのピクニック・ランチを終えた後は、野外教育の概要を説明するレクチャーに続き、「生態系ピラミッドづくり」のグループワークを行いました。この活動は、日本野鳥の会筑豊支部長の梶原剛二氏と光橋が共同で開発したもので(本誌20159号「子どもと野鳥その2」で紹介)、身近な生き物を紙に描いて切り抜き、画用紙を円錐形にしたものに、「食べる―食べられる」の関係を考えながら貼り付けていくというものです。この活動は、地域の生き物に目を向け、命のつながりの発見を促すことを目的としていますが、その一環として、日本野鳥の会が行っているシマフクロウを呼び戻すための森林復元プロジェクト「シマフクロウの森を育てよう!」のコンセプトも紹介し、森林の生物多様性の概念を説明しました。

 バウコの先生方が制作する生態系ピラミッドも、頂点から「地元のタカ→小鳥・野ネズミ・ヘビ→昆虫やカエル→ベンゲット松などの植物→ミミズなどの土壌生物」といった生き物の構成となり、基本構造は日本の生態系と類似するものの、その土地ならではのピラミッドが完成しました。

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 その後、「ミニ地球づくり」、地球の生命誌をたどる活動、「宇宙船地球号」のグループワークといった活動を行い、地球の生態系がいかに貴重かつ有限であるかを確認したうえで、持続可能な社会をつくるためにはどのような条件が必要かを話し合いました。

 受講生の先生方は、終始とてもリラックスして楽しんでいるようでした。特にルーペを使った自然観察に興味を持ち、日本から持参したルーペの入手方法についての質問を多く受けました。最後に行ったアンケートでは、今回の研修内容を各校で実施したいという回答を多くいただきました。

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【さいごに】

 バウコにもまた、農地開発の波がすぐそこまで来ており、棚田の水田のいくつかが、すでにキャベツ畑に換えられていました。バウコの村は活気があふれているものの、人々は決して経済的に豊かな生活をしている状況とは言えません。生活水は村にある水汲み場まで子どもたちがタンクをもって汲みに来ます。もちろん宿泊先のホテルにもお湯などは出ず、水道はあるもののトイレにはペーパーもなく、電気は辛うじて裸電球がぶらさがっていただけでした。自給自足には不自由がなくとも、もし子どもにしっかりとした教育を受けさせたいと思うのなら、学校に行かせるために現金収入が欲しいと思うのは当然のことでしょう。彼らが、すぐ隣の地域のような野菜の一大産になることを夢見るのも無理のないことなのです。

現に、この山岳地帯には金脈が眠っており、土地の疲弊や後継者不足から農業を捨てて、現金収入を求めて鉱山開発へと乗り換える人々も増えていることを知りました。そして、金の精製プロセスで排出される汚染物質が地域で水質や土壌の汚染を引き起こすという新たな環境問題が起きているというのです。

水田を畑に転換するのか、伝統的な農業を維持するのか、はたまた第三の道を模索するのか。地域の行く末を選択するのは、住民自身でなくてはなりません。しかし、生活の基盤であり、農業の基盤ですらある生態系を壊してしまっては、住民の生命すら危険にさらすことになるのです。彼ら自身が地域の未来を選択する際に、基本的なエコロジーの知識を十分に持ち、自然のもたらす価値を理解することができれば、より持続可能な地域発展への道を選択する可能性が開けるかもしれません。そんな希望を抱きながら、美しい棚田の広がるバウコの地を去りました。

 しかし、当地での活動は始まったばかりです。一回の研修だけでは、まだまだ不十分なことは言うまでもありません。そして、子どもたちだけに環境教育をしたのでは、開発のスピードには追いつかないというのが正直な実感でありました。さらには、東南アジアをはじめとする多くの発展途上国では同じような問題に直面している地域が少なからずあるはずです。

日本の経験の反省を踏まえ、さらにバウコのような伝統的な棚田文化を受け継いできた人々から私たち自身もまた学び合うことで、互いに刺激しあい、地球市民として共に成長してゆけたらという思いを強くしました。


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by cordillera-green | 2016-04-14 16:58 | 環境教育

アルマ・キントのワークショップに登場した3つの民話

アルマ・キントの布を使った環境教育アートワークショップでは、題材として参加した先生たちに地域に伝わる民話を教えてもらいました。それをベースに布絵本を作り、ぬいぐるみを使ったジオラマづくりをしました。

ワークショップの詳細はこちら


民話がとても面白かったのでここにそのうちの3つのストーリーを紹介します。


Han Hin-agi ay Ulila(孤児の兄弟 ヒナギとウリラ)

 どうやって生きて行っていいか途方に暮れている孤児の兄弟がいた。二人は、食料のために山で動物を狩り、木を切って暮らしていた。

ある日、山に行った二人は野生動物を見つけられなかった。空腹のあまり、二人は大きな木の下で休んだ。しばらくして、ヒキウル(Hikwil)鳥を見かけ、のどが渇いていた二人は、その鳥の後を追ってみることにした。おどろいたことに、山の中腹に泉を見つけ、その水でのどを潤すことができた。鳥は飛びあがって、稲穂をついばんだ。そこにルマウイン(Lumawig=山の神様)が突然現れ、おなかをすかせた兄弟を憐れんだ。そして二人に土を耕し、稲を植えれば、食べるものができると教えた。そうすれば、森の動物を狩りつくし、森の中に生える植物をとり尽くすことがないと伝えたのだ。「山と森を守りなさい」と言い残してルマウィンは姿を消した。

二人はとても喜んで村に帰り家を作った。土地を耕し米の種もみを植えた。数日後、稲は育ち穂が実った。二人はとても喜んで、村人たちと米を分かち合った。


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Palpal-ama ya Palpal-iking(親指とちぢれ髪)

昔々ニネティングレ(Ninetingle)山の村にパルパルーアマ(Palpal-ama)と弟のパルパルーイキン(Palpal-Iking)の兄弟が住んでいた。両親は亡くなり、二人は両親が残した1枚の焼き畑だけを頼りに暮らしていた。

あるとき、不思議なことが起こった。二人は畑仕事に疲れて家に帰った。あくる日、畑に戻ったふたりは、刈ったばかりのはずなのに背の高い雑草がぼうぼうと畑の中に生い茂っていて驚いた。それでも二人はもう一度草刈りをした。しかし、同じことが来る日も来る日も起こった。二人は、悪霊(アニート)の仕業かもしれないと思った。二人は畑を見張るために畑に泊まることにし、いたずらな何かを捕まえようとした。パルパルーアマが最初の夜に泊まったが寝込んでしまって犯人を捕まえられなかった。

二日目の夜は弟のパルパルーイキンも兄と一緒に泊まることにした。犯人を捕まえようと猟犬も連れて行った。

二人が畑を見張っていると、小さな歌声が聞こえてきた。

Kipkip-paas tumubo ka ay aas

Kipkip-pao pao tumubo ka ay pao

Kipkip-piit tumbo ka ay sibit

二人が声のする方にそっと近づくとネズミがいた。二人はすぐさまその小さなネズミを捕まえた。

ネズミは命乞いをした。

「どうか助けておくれ。必ず恩返しをするから」

兄弟は聞き入れて、ネズミのあとを犬と一緒について行った。

ネズミの家に着いた。家の柱は蛇、梯子はムカデ、ドアは蜘蛛の巣でできていて、二人はおびえた。

ネズミは「怖がらないで」と言い、二人に食事の用意をした。

パルパル―イキンはネズミが魔法のひしゃくを使って食べ物を用意するのを盗み見した。

食事のあと、ネズミは二人に「この家の中にあるものでほしいものをもっていっていいよ」と言った。

パルパルーアマは家の中を見回し、一角にあった銅鑼(祭りごとに使う楽器)をつかみ帰路に就いた。パルパルーイキンは食べ物を生むひしゃくを持ち帰った。


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Din Nam-ay ay Nanbalin si Ligat (安楽な暮らしが厳しいものに変わったわけ)

パナンの涼しい丘にブクカン(Bukukan)が娘のジンジンダロック(Gingindalok)と一緒に幸せに平和に暮らしていた。家の近くには泉があって二人はその泉の水を飲み水にし、少し離れたところには川があって、水浴びや洗濯に使っていた。

母親はいつもジンジンダロックに泉の近くで洗濯や水浴びをすると悪いことが起こるから決してしないようにと言っていた。

ある日、ジンジンダロックは川まで行くのが面倒で泉で洗濯をした。数日後、母親がジンジンダロックに水を汲んでくるように言った。泉に行ったジンジンダロックは泉が枯れているのを目にした。ジンジンダロックは「ああ、なんてこと。私が洗濯したからだわ」と叫んで家に帰った。ジンジンダロックは畏れ、母親のいうことを守らねばと心に決めた。それ以降、二人は川を渡り、山の近くの泉にまで水を汲みにいかなくてはならなくなったとさ。

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以下はそのほかの民話のタペストリーです。

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by cordillera-green | 2015-12-08 18:19 | 環境教育

アルマ・キントの布を使った環境教育アート・ワークショップ

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 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の「教育職員を対象とした環境教育指導者養成講座」(地球環境基金助成)は、今年度(2015年度)最終年を迎えます。保育園から高校までの子供・生徒たちが、楽しみながら身近な自然の豊かさを再発見し、伝統文化の中に先祖伝来の自然と共生する叡智を見出し、経済優先でおざなりにされつつある環境破壊が日常生活に及ぼす恐ろしい影響を学べる手法を先生たちに伝えようというプログラムです。マウンテン州というバギオ市のあるベンゲット州の隣のマウンテン州を対象地域としています。年間を通して、美術、音楽、演劇、ダンス、ゲーム、紙芝居、ストーリーテリングなど、アートを用いる体験型の環境教育ワークシップを日比の専門家の指導で行っています。

 1年目はサバンガン町、2年目はバーリグ町、そして最終年の今年はバウコ町を中心にマウンテン州の他の地域も活動地域に加えています。

 マウンテン州は山の中にあり、雨期(5-10月)には大雨や台風で土砂崩れが起き、陸の孤島と化すこともしばしば。今年のプログラムも9月に入り、雨が少なくなってから本格的に開始されました。


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 9月にはアルマ・キントさんを講師にお呼びし小学校教員を対象としたワークショップを開催しました。アルマさんは、災害の被災者、ミンダナオ島の内戦の被害を受けた子供たち、性犯罪の被害者の女性たち、貧困地帯にすむ女性たちなどを対象に数多くの心のケアのためのアートワークショップを行ってきたフィリピンを代表する女性のアーティストです。最近では東日本大震災後に立ち上げられた防災をテーマとしたアートプロジェクト「Earth Manual Project」でも、ファシリテイタ―として活躍しています。

kiito.jp/member/2013/09/02/1097/

 アルマさんは心に傷を負った人たちのケアを目的としたワークショップでは、柔らかい布をカラフルな糸でチクチクと集中して縫い合わせる手法を使っています。社会で傷ついた立場にある女性たちを対象にすることが多いのも、彼女が布を使った作品作りのワークショップを行う理由でしょう。

http://www.artmovement.jp/%E5%B1%95%E8%A6%A7%E4%BC%9A%E8%A9%95/%E5%B8%83%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A7%E5%BF%83%E3%82%92%E3%82%80%E3%81%99%E3%81%B6/


 CGNの環境教育ワークショップでも今や欠かせない存在のアルマ。小さい体に似合わない大きな口でおおらかに笑いながらポンポンとテンポよく進行するワークショップに、参加者はあっというまに引き込まれていきます。いろいろな社会問題の現場で、傷ついてきた人と同じ目線でアートを通じて心を通わせ、少しでもやすらかな気持ちになるようにと心を砕きながらワークショップを行ってきたアルマだから、コミュニティとの対し方も一流です。決して押し付けず、コミュニティの人や文化を理解しようとし、尊敬の念をもってワークショップを進行します。二度と同じものがない11回のワークショップでの参加者との出会いを心から楽しみ、参加者が自由な気持ちで作り出すカラフルな作品たちを心から喜んで見つめています。そんなアルマの魔法にかかって、参加者は皆、知らず知らずにアートの世界に没頭し始めます。自由な創造力が頭の中を駆け巡っているのがはたで見ていても感じられます。

 今回は社会福祉省でインターンをしながら、アルマと同じく布を使ったアート作品を作っているバギオ・べースの若手女性アーティスト、ロシェル・アパリンにもファシリテイタ―として参加しもらい、3日間のワークショップを開催しました。


「環境」をテーマとした今回のワークショップ開催に際して、ファシリテイタ―の二人には以下のような3つのお願いをしました。


1.貧しいコミュニティの学校で先生が実施できるように、いらなくなったもの、安価なものを素材としてください。

2.環境問題解決や環境保全に関して、話し合い、記録をとり、評価し、調査し、そしてアートを用いて表現する方法を伝えてください。

3.人と環境とのかかわりを考えるうえで、先住民族の知恵と文化を深め、その伝統に対する尊重とアートのコラボレーションを工夫して下さい。


ワークショップ開催に当たり、参加の19の学校の61名の先生たちに「このワークショップに期待すること」を聞きました。

・環境保護のために子供たちに教えるための教材を作りたい

・リサイクルのための技術や方法を学びたい

・環境教育の手法を学びたい

・環境教育のためのビジュアル教材の作り方を学びたい。

・自然への愛情を子供たちに育む方法を知りたい。

・ゴミを利用して環境保全の意識を高める方法を知りたい。


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 3日のワークショップで行われた主なアクティビティは以下です。

1. 名札づくり

自分の好きな花、蝶、鳥、木、魚、葉っぱなど自然の中の生き物を選んで名札にする。


2. 自分を自然にたとえると…

参加それぞれリサイクル・ペーパー(裏紙)に、自分自身を表す自然の中にあるオブジェを描き、その機能と環境の中での役割を書く。グループに分かれてシェアリングののち、黒板にその絵を張り付けて代表が発表する。なぜ、そのオブジェを選んだか、それは教師としての自分の仕事とどのように関係しているかを説明した。また、グループ内のそれぞれの絵に描かれたオブジェの関係を考え、ストーリーを作った。

「先生は川のようなものです。私たちは知識を子供たちに水を流すように伝えます。そしてそれは終わりのないものです」

「先生は太陽のようなものです。生徒たちを照らし明るい未来に導きます」

など。

発表を終えてのアルマさんのコメントは

「私たちはこの宇宙においてはただ点であるだけではなく、お互い結びつき影響を及ぼしあう存在なのです」



3.私の村の今と昔

参加者の教員は村ごとにグループを作り、厚紙でできているホルダーの半分に「過去の村」、残りの半分に「今の村」を、古雑誌を切り抜いて描く。グループ内から二人の代表を選び発表した。


《ギンサダン村》

昔:

・トイレがなかった。ティッシュペーパーもなかった。

・道路はぬかるんでいて、岩がむき出しだった

1本しかバスがなかった

・山は木でいっぱいだった。

・川はとてもきれいで、魚がたくさんいた。

・子供たちは歩いて学校に通っていた。

・学校には建物はひとつしかなかった。

・村には教会は二つしかなかった。

今:

・道路沿いにはたくさん花が植えられている。

・道路は舗装された。

・川は投げ捨てられたゴミで汚れてしまった。

・様々な乗り物が走るようになり、人々はそんなに長い距離を歩く必要がなくなった。

・ハイスクールの校庭にはたった1本しか木がなくなってしまった。

・電気が来た。


《バグネン村》

昔:

・家はコゴンの草ぶき屋根で木で作られていた。

・川の水はきれいだった。

・道路は舗装されていなかった。

・田んぼがたくさんあった。

・野菜作りは家族に必要な分だけしかやっていなかった。

・学校は小さかった。

今:

・道路は舗装された。

・川の水は今でもきれい。

・田んぼもまだたくさんある。

・まだビルは少なくインフラはあまり整備されていない。

・学校と教会はたくさんできた。

・石造りの古い教会もまだ残っていて観光スポットになっている。

・電気が来た。

・コンクリート造りの家ができた。


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《ラガワ村》

昔:

・野菜作りが収入源だった。

・家は木で作られ、屋根はコゴン草で葺かれていた。

・稲穂は杵臼で脱穀した。

・豚は放し飼いで子供たちの遊び友達だった。

今:

・野菜畑を拡張して発展した。

・電気が来た。

・豚は豚小屋で飼われるようになった。


《バウコ・セントラル村》

昔:

・山は木と草で覆われていた。

・村の環境はきれいだった。

・道路はぬかるんでいた。

今:

・大きな家を建てるためにたくさんの木が切られた。

・道路は舗装され、街灯もついた。


《オトカン・ノルテ村》

昔:

・松林の中の山の斜面に位置していた。

今:

・山火事が頻繁に起き、森林伐採も進んだ。

・水不足となった。


《オトカン・スール村》

昔:

・バウコ町の商業の中心だった。

・野菜と果物がふんだんにあった。

今:

・商業の中心はアバタン町に移った。

・地盤沈下が起こり、住人はカラフルに塗られた再定住地の家に引っ越した。広い敷地はなくなった。


《ビラ村》

昔:

・素焼きの鍋作りが行われていて、コメと物々交換していた。

今:

・陶器づくりの技術も進歩した。

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4.ストーリーテリング(読み聞かせ)

CGNが出版したカリンガ州の民話本「Lupulupa Villagers and the River Creatures」(ルプルパ村人と川の生き物たち)を使って、子供たちへの読み聞かせのサンプルを見せた。この本の挿絵は子供たちが描いた泥絵の具の絵である。

また、参加者の教員の一人が小学2年生が作った「Si-Gay」というお話の本をサンプルとして発表した。イラストはサツマイモの葉っぱで描いたもの。授業で生徒たちと物語りを作り、本を作ることを先生たちに推奨した。


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5.布の絵本作り

参加者の村で伝承されている民話のうち、環境保全の知恵、自然と共生の方法などがテーマに含まれているものを選び、タペストリーによる本づくりをした。まず、グループでお話を書き出し、タペストリーづくりに必要な端切れや糸を選んで制作を始めた。一つの場面は8インチ四方とした。

出来上がったタペストリーを参加者に見せて発表した。2グループは絵本スタイルのタペストリーを作り、1グループはタペストリーでドレスと祭りの時に使う旗として仕上げた。

アルマさんは、すべてのグループの発表はとてもクリエイティブでユニークだったと感想を述べた。あえて、タペストリーのサンプルを見せなかったのは、そうすることで想像力をより使わねばならず、創造的な作品作りにつながるということ。

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6. ぬいぐるみのジオラマ

タペストリーづくりに使った民話の登場人物のキャラクターについて話し合い、それをぬいぐるみで作り、民話の一場面をジオラマで表現した。段ボールの箱を利用し、小さな劇場の中に、民話の一シーンを表現した。


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ワークショップのその他の写真は以下のWEBアルバムにあります。

https://goo.gl/photos/uv3sTwX9EmCRb9Rw7

https://goo.gl/photos/iN9GgJnfwDJMLkCr7


タピストリーやジオラマのテーマに使った民話についてはこちら。

アルマ・キントのワークショップに登場した3つの民話



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by cordillera-green | 2015-12-08 17:07 | 環境教育

吉田智久さんの演劇を活用した環境教育ワークショップ

 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、本年度、「マウンテン州における教育職員を対象とした環境指導者養成講座」プロジェクトの3年目を迎えています(地球環境基金助成)。さまざまなアートを活用して、保育園からハイスクールの先生までの幅広い教育関係者に対して、それぞれの教育現場で実践できるような体験型の環境教育ワークショップの手法を指導しています。ファシリテイタ―にはフィリピンのこの分野では第一人者のアーティストをはじめ、日本からもたくさんのアーティストの方にご協力いただいています。

 10月に実施した、演劇を使った環境教育ワークショップのファシリテイタ―として、日本から来てくれた吉田智久さんにワークショップ経験について寄稿いただきました。吉田さん、ほぼ5年ぶりの、コーディリエラ山岳地方での演劇ワークショップでした。

~~~~~~~~~~~~~~~

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10月中旬、フィリピンへの出発を控え、5年振りのCGN環境演劇ワークショップをどのように進めるか、私の頭の中ではシュミレーションが大忙しだった……

……まずこのプログラムのラスト、そしてその成功場面を想像し、そこから逆算をしてみよう。

来年3月に行われるマウンテンプロビンス州バウコ町のお祭りで、各村のハイスクールがその村の環境を題材にした演劇を披露しあう……

というのが、今回のプログラムのラスト。

各村の特色が現れていて、見る人々に興味深い演劇が上演され、作り手にとっても思い出深いものができる……
(すなわちバウコ町の人々が立場はそれぞれも自分たちの環境についてなんだかの思いを巡らせる)

というのが、その成功場面。
とイメージする。

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ちなみに、各ハイスクールの先生(生徒と演劇を製作する予定の先生)が、今回のワークショップ参加者(受講者)。

「各村の特色が……」という部分、題材やストーリーに関しては日本にいる私が教えられるようなことはないが、演劇的に題材やストーリーにアプローチしていく手法を体験してもらうことはできる。

「見る人々に興味深い……」という部分、舞台と客席という劇場構図になれていない(むしろ概念が無い)人が多いというのは5年前の仕事で分かっていたので、そこは諸々仕掛けを用意しておく。

「作り手にとっても思い出深い……」という部分、これの作り方を教えるというのは少し難しい。参加者が各村のハイスクールに帰って私の知らない人たちと作業をするのだから、そこで起こることは想定できない。ただ今回、このワークショップに参加したことが「思い出深い」となれば、その経験こそが思い出深い演劇を作る手法となりうる。
だからこそ、私が一番注意を払うのは、ワークショップの意味や技術や内容の前に、このワークショップの時間内すべてが、なるべく多くの参加者(できれば全員)にとって、退屈でなく、楽しい、興味深いものになっているか……「常に」そうなっているかだ……。

大阪・関空から飛行機で4時間、マニラからバスで5時間、バギオからジープで6時間かけてマウンテンプロビンス州バウコ町へ

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さて、ワークショップが始まった。
参加者が少ないというか、揃ってない。でもそれは想定内。「だるまさんがころんだ」で遊びながら遅刻者を待ちます。
ある程度揃ったところで、まずはお互いを知りあうことからと自己紹介メニュー。「他己紹介」に「尻字」もしました。
午後にはチーム分けして、バウコ町の自然を切り取ったタブローを発表してもらう。これも参加者を知るためのお試しワーク。
「表現の要素」なんて講義もしつつ、初日終了。
皆さま、大人であり先生であられるので、大変お行儀よくワークに参加してくださる。
しかし弾けないのも事実。
初日を終えてのコメントも、皆「楽しかった」「勉強になる」といったありきたりコメント。

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二日目はフィリピン側のファシリテーター、リネットさん&ケネットさんコンビが主導してくれる。
環境についての講義と、学んだことを短い劇にして発表。
三日目は、記憶にアプローチするワークや、仮面をつけての表現トレーニングの体験など。
どのワークも無難にこなしていきます。
しかしながら、3日間のワークで「超」盛り上がるという場面もないのが事実。
盛り上がるのは、何らかの発表をやるとき。

それならばと残り二日は方向転換。
二日間で15分から20分の劇を作っちゃおう。
本番と同じくらいの長さの作品を作ってみちゃおうってしました。
全体を2つのグループに分け作品を製作します。
基本的には、参加者の自作ながら、ファシリテーター陣もグループの中に入り積極的にアドバイス。
私も輪に入り、皆を質問攻めにします。
ストーリー作りで、皆々好き勝手やりたいこと言うのでまとまらないって?
「どんな意見が出てる?」「あなたの意見は?」「具体的に言うと?」
私の質問に答えているうちに、あれれ? 勝手に話がまとまっていきました。
そうなんです。
「それじゃなくてー」なんて人の意見を批評していたら話は進まない。
でも「こうしたい」ということを明確化していくと意外とまとまるものなんです。
稽古は盛り上がり、最終的には両グループ30分近い大作?を発表してくれました。

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即興劇のトレーニングなどにも時間を割き、一応演劇へのアプローチや、表現の基礎知識など予定していたワークはこなしました。
どのワークにも先生方積極的に参加してくださり、優等生なワークショプができました。
あとは演劇の本質に迫れたかどうか?
環境を題材にした演劇が教育となり得るよう、心に響くワークができていたか? 伝わっていたか? 持ち帰ってもらえるか?

最終日の最後のワーク、「全体を振り返っての評価・共有」は、私にその答えをくれました。
その日の先生方のコメントは、ありきたりではなく個性にあふれたものでした。

「体はヘトヘトです。でもなんだか気持ちいい。」ジョエイ先生
「今まで演劇なるものの機会は避けて生きてきたが、今は私たちの町についての作品を早く作ってみたいと思っている。」リザ先生
「今までセミナーというのはウトウトしにいくものだったけど、今回は違って楽しい時間だった。一度も眠くなることはなかった。」ジュディー先生
「私の生徒たちにも、ダルマサンガやカッコーをやらせるのが楽しみです。」エイシー先生
「カンキョー・ホゼン・カツドー」ローデス先生
「私に環境演劇が作れるのか? イエス! 演劇にはNo は無い。」エリザベス先生

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ワークショップのその他の写真はこのWEBアルバムにあります。


●5年前の吉田さんのCGNの活動についての記事。

●吉田智久さんのプロフィール(5年前のデータです)




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by cordillera-green | 2015-11-09 11:14 | 環境教育

カリンガ州の民話絵本「ルプルパ村の村人と川の生き物たち」 子供たちの泥絵の挿絵で出版

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りそなアジア・オセアニア財団の環境助成を受けて実施した山岳地方の子供たちを対象とした演劇を活用した環境教育ワークショップ事業。演劇ワークショップの過程で収集した民話を環境教育の教材として出版し村の子供たちに配布するという活動も事業に含まれていました。

演劇ワークショップは昨年、カリンガ州ティグラヤン、イフガオ州キアンガン、マウンテン州サバンガンの3カ所で実施し、それぞれの場所でとても興味深い民話に出会い、ワークショップで環境保全を伝える作品を作り、それぞれ発表会をしました。
(ワークショップの様子はこちら
環境教育教材の民話絵本のほうは、いろいろと考えた末、ティグラヤン町で収集した民話の中から「The Lupulupa Villageand River Creatures(ルプルパ村の村人と川の生き物たち)」を選ぶことにしました。ティグラヤン町に暮らす先住民族の民話は一般にはほとんど知られておらず、山奥深い村であるだけに、精霊や自然に生きる生物についての興味深い物語がたくさん残っていました。
 「ルプルパ村の村人と川の生き物たち」には、川に住むウナギとカニのほか、川の生き物たちを痛めつけたことが原因で起こった災害で行方不明になった子供たちを救うために鳥たちも活躍します。川や森に住まう野生動物たちが人間に対して災害という形で復讐し、また、助けにもなるのです。人と自然が近い典型的な先住民族の集落の暮らしをよく表していて、また、命の宿った意思のある野生動物も描かれ、子どもたちの創造力をかき立てるのにぴったりの素材だと思いました。また、この民話には人間でも動物でもない「アングタン」という怪物が登場するのですが、災いを起こす精霊としてティグラヤンの先住民族の間では人々が今も恐れる精霊であり、人の力でコントロールできない超自然的なものとともに暮らす先住民族の村を描いて大変興味深いものでした。
 当初、絵本の挿絵はプロのアーティストに依頼する予定でしたが、描くのが難しい想像上の怪物なども登場することから、民話の生まれた村の子供たちの想像力に任せて描いてもらい、それを挿絵とすることにしました。
 民話のふるさとであるルプルパ村の子供たちに挿絵をお願いすることにし、土を絵の具として描く「ソイル・ペインティング」の手法を使うことにしました。挿絵を制作する手法自体も環境教育の一部ということにしたわけです。2015年1月に再びティグラヤンを訪れ、子供たちに絵本の挿絵をソイル・ペインティングで描いてもらうのためのワークショップを行いました。
完成した絵本は、バギオ市内に住む環境活動家の作家による監修を受け、また、フィリピン大学芸術学部講師の手によってレイアウトされ、コンパクトで美しい絵本となりました。新学期、ティグラヤンのルプルパ村の子供たちにこの本を届けます。子供たちの反応がとても楽しみです。
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by cordillera-green | 2015-05-21 11:30 | 環境教育

NEC世界こども自然クラブに山の村の子供たちと参加しました

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CGN設立当初からの力強いサポーターでありパートナーであるキープ協会(山梨県)の環境教育部から「NEC世界こども自然クラブ」という環境教育×国際交流×ITプログラムにフィリピン代表として参加しないかとお誘いを受けました。
アジアの5つの国がそれぞれの国で小学校高学年の子供たち約10人を対象に環境教育ワークショップを行い、その経験をSKYPEミーティングで子供たちがシェアしあうというプログラムです。
2008年に日本とマレーシアの2ケ国で始まった「世界こども自然クラブ」。2012年には台湾が加わり、昨年は中国が参加。今年はフィリピンを加えた5地域で実施されました。
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マレーシアはサバの熱帯雨林発見センター(Rainforest Discovery Center)、台湾は「観樹教育基金会」、中国は「NGO天下渓」、日本はもちろんキープ協会、そしてフィリピンはCGNと、日ごろから環境教育を行っているNGOが各国の代表となりました。
今年の各国共通のテーマは「米」。コーディリエラ山岳地方は棚田での稲作で有名で、農業カレンダーに準じた儀礼や祭り、風習も数多く残っていて、米作りはまさに山岳地方の先住民の暮らしそのものともいえます。
山岳地方では近年都市型の暮らしが浸透していき、田んぼを現金収入の得やすい野菜畑に転換する人々が後を絶ちません。また、昔ながらの棚田で稲作は続けていても赤米や紫米などの昔ながらの品種の栽培をやめ、品種改良された早く育ち効率のいい米を育てる人が多くなっています。

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しかし、米作りの伝統文化には、自然を観察し、自然に生きるあらゆる生き物のバランスを尊び、そしてその底知れぬ力に畏怖の念を抱く先住民ならでは知恵がちりばめられています。
CGNは「世界こども自然クラブ」の環境教育ワークショップに参加する子供たちを、町の文化が急速に押し寄せ伝統文化が存続の危機に瀕しているバギオから5時間くらいの小さな山の村トゥアTUEの小学生たちにしました。トゥアにはバナウェの有名な世界遺産の棚田のような勇壮な景観はありませんが、先祖代々大事に守られてきたなだらかな棚田が連なります。当たり前に稲作と米文化とともに育ってきた子供たちが自分たちの米文化の豊かさ、そしてそれを育んでいる山岳地方の自然の豊かさに気づいてもらいたいというのがこの「NEC世界こども自然クラブの環境教育ワークショップの目的です。
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本当はトゥアでワークショップをやり、村の田んぼの景色や伝統文化をリアルにインターネットの向こう側のアジアの子供たちに伝えたかったのですが、インターネットが入らないこと、セブやマニラからスポンサーである」NECの関係者の方がいらしてくれるということで、アクセスのいいバギオ市のエコ施設「メリノール・エコロジカル・サンクチュアリ」を会場としました。

環境教育プログラムはCGNが得意とするアートを活用した環境教育の手法を駆使して展開しました。泥絵具を使って田んぼのあるトゥアの風景と田んぼの生き物の絵を描いてもらったり、田んぼで鳥追いに使う笛を葦で作ったり、田んぼの害鳥を追い払うための伝統儀礼「BEWEW」を演劇で表現したり。もちろん「WEB OF LIFE」などのエコゲーム、メリノールの「COSMIC JOURNEY」という野外施設散策も、NECの関連会社からわざわざお休みを取ってボランティアでできてくれた広瀬さんが抹茶を点てて子供たちに茶菓子とともに味あわせてくれたり、伝統のもち米のお菓子作りに挑戦もしました。NECフィリピンの社長アグネスさんはインターネットの可能性についてITになじみのない山の子供たちにわかりやすく説明してくれたり、充実の3日間の泊りがけプログラムとなりました。

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さて、昼間のプログラムを終えての夕方からのSKYPEミーティング。壁に映されたビデオの中の子供たちと会話ができるという事実は山の村の子供たちを大きく驚かせました。「マレーシアが、日本がまるで壁の向こう側にあるかのようだ」と子供たちの感想です。
3日目の最終日には5つの参加国で同時にSKYPEミーティングをしました。各国言葉もバラバラ、回線も繋がったりつながらなかったり…決してスムーズにいったとはいえないかもしれませんが、そのこと自体が経験です。言葉の違い、顔の違い、文化の違い、感覚の違い。そんなことまでインターネットで経験できて、でも、やっぱり会って話せたらもっと確実で楽しいだろうなあ。そんなことを子供たちが感じてくれて、世界中の人とつながって感じあいたいという将来の夢につなげてくれたらいいと思います。
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以下、参加した10人の子供たちの感想です。

ダンダン君「「もし、山が燃えてしまったら、人もその他の生物のための食料もなくなってしまうことがわかった」

ハーマン君「フィリピンにはすっかりいなくなってしまったが、日本にはまだシカがいる!」

サロメ君「技術の進歩により、僕らは他の国のことをとても身近に目にすることができる」
「草から(楽器を作って)音を出すのは楽しかった。とくにそれを稲を守るときに使うのは楽しい」

シルベスター君「こういった活動に初めて参加した。土が作物を植えるだけに役立つのではなく、絵の具にもなることを知った。また、演ずることは、まるで鳥になるかのようだった」

ハーマン君「大地の色は青かったり、茶色だったりした。木を切ると土砂崩れが起こるとことを学んだ」「地球の4つのエレメント(太陽、空気、水、土)が生き残るために必要なのだ」

ダンラルフ君「車が増えると水や空気が汚れ、公害が起こるとわかった(井戸の水が枯れると、公害が起こるということに気付いた)」
「自然のすべてはつながっている。一つが死んでしまったら、ほかのものに影響する。一つがなくなったら、自然のバランスが崩れてしまう」
「フライドチキンのような形のもの[歯科に食べられた松ぼっくり]を見せてくれた。日本の自然は面白い!」

ジェフェインちゃん「太陽が光の源であり、また人の生命の源でもあることを学んだ」

ジョアス君「“WEB OF LIFE”のアクティビティから、この世のすべてはお互いに必要としていることを学んだ」

オディー君「サガイポという楽器を作るが楽しかった」

マリアちゃん「絵を描くために土を探すのは簡単だ。そこにあるものだしお金もかからない。それに環境も壊さない」
「もし木がなくなったら、鳥もいなくなってしまうね。」

スポンサーのNEC、そして仕切り役のキープ協会のみなさま、とても素敵な機会をほんとうにありがとうございました。
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(写真*広瀬稔さん)

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by cordillera-green | 2015-04-18 11:30 | 環境教育

夏休み、環境演劇ワークショップ3連発!

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 ただいま、フィリピンは夏真っ盛り。

 ただでさえ3ヵ月とめちゃ長い夏休みが、今年は政府の方針で学校の年度の開始を世界基準(?)に合わせて8月にしたいということで、なんと例年より2ヵ月長い5カ月の夏休み。おいおい、1年の半分が休みですよ。大学生の長男は夏期講習と日本語家庭教師で寝不足気味、長女は5月末のバレエ・リサイタルために毎日レッスンに加え、夏休みの特別バレエ教室の初心者教室のアシスタントでバイトで超多忙。。ハイスクール出たばかりの次男は、ヒマを持て余しております。。。 やれやれまだ3ヵ月ある夏休み。。どうしましょうか。


 さて、家庭ではもてあましているこの5カ月のながああああい休暇ですが、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)としては

「じっくりと環境教育に使わない手はない!」

と、、3つのコミュニティで、子供たちとユースを対象とした「演劇を活用した環境教育プログラム」(りそなアジア・オセアニア財団助成)を開催しました。


 まずは、カリンガ州ティガラヤン町での環境教育ワークショップ。

町内にある15のバランガイ(村)の7つのトライブ(部族)のハイスクールの学生の参加者を募り、地域の民話と環境問題をテーマとした演劇とボディワークのワークショップを行いました。講師はCGNおなじみのアンジェロ・アウレリオに加え、大阪からダンサーのJUN AMONTO氏が忙しい時間を割いて参加してくださいました。さまざまな民族の参加者が持ち寄った民話は奇想天外、興味津々。アンジェロ氏によるワークショップではそれらの民話をベースにした演劇作品作りに加え、身近な環境問題をテーマとした即興会話劇を制作しました。

 

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 また、ティガラヤンではバギオとマニラのアーティストたちがファシリテイターとをして、ルプルパ小学校とバンガッド小学校という二つのコミュニティの小学校で生徒を対象に3つのビジュアル・アートを活用した環境ワークショップを各校3日ずつ開催しました。

 

ソイル・ペインティング 

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ゴッズ・アイ

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マスク・メイキング

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 ワークショップで制作した演劇作品と、アート作品は、ティガラヤン町のお祭り「UNOY Festival」と、同時開催されたアースデイ会場で発表しました。

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 ワークショップ第二弾は、マウンテン州サバンガン町での、山岳地方のさまざまな民族のユースを対象とした環境演劇ワークショップ。日本から演劇ファシリテイターで舞台演出家、舞台女優としても活躍する花崎攝氏が来比してくださり、アンジェロ・アウレリオ氏とともに、参加者の地域のユースが抱える社会問題をテーマとしたフォーラム・シアター、日本の水俣病のドキュメンタリー・ビデオをみてのその感想を詩作と寸劇、先住民が伝えてきた森や森に宿る精霊、野菜動物などを扱った民話をベースとした演劇制作など、手法を使った環境をテーマとした演劇ワークショップを行いました。ユースたちがそれぞれの故郷であるコミュニティで、環境・社会問題解決のために演劇を活用してくれることを目的としたプログラムです。

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ユースたちが二組に分かれて制作した民話をベースとした作品は、最終日の夜にコミュニティ住民たちを招待して発表しました。

https://www.youtube.com/watch?v=pi1TI4pUkEM

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普段は会う機会もほとんどない、さまざまな民族が情報を交換し、ふれあい、共同し、演劇を通して友情をはぐくみ、民族間のわだたまりを取り除き、連帯を強める大変いい機会となりました。

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 夏休み環境演劇ワークショップの第三弾は、世界遺産の棚田のあるイフガオ州キアガン町で、NCCA(国家文化芸術協議会)がサポートしている「スクール・オブ・リビング・トラディション」(SLT)の子供たちを対象としました。サバンガンでのワークショップに参加したユースのうち5名を選抜し、ユース・ファシリテイターとしてワークショップの指導を担当してもらい、花崎氏、アンジェロ氏とともに指導を担当してもらいました。ユースリーダーたちは実に堂々としたファシリテイトぶりで、将来、コーディリエラ山岳地方で彼らが子供たちを引っ張っていくエコリーダーとして活躍する姿が鮮明にイメージできました。


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 このプログラムは、当初は開催地は1ヵ所で、各民族の若者を集めたワークショップと開催地の地域の若者を対象としたワークショップを同時開催する予定ででしたが、複数のファシリテイターが共同して一つのグループを指導することにより内容の充実を図ることができるということ、そして、多くのコミュニティから夏休み中に子どもたちを対象としたワークショップを開催してほしいという依頼を受け、かなり欲張って3ヵ所での開催としました。

 3カ所それぞれで、民族、自然、文化、風習が違うながらも、ファシリテイターの導きで参加者の子供やユースがその地域の自然や伝統を自ら再発見し、考え、その問題の本質を見極め、話し合い、解決に向けて前向きに取り組む、いいワークョップとなりました。次代を担う新しいファシリテイターの育成にも焦点を当てたとことで、1回限りの環境教育プログラムでなく、地域に広がっていくプログラムとなったと思います。

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 それにしても、驚き、感動したのは、それぞれのワークショップに参加した子供たち&ユースたちのすばらしいエネルギーです。それぞれ最低3日間という長いワークショップでしたが、子供たちは実にすばらしい集中力で参加してくれました。二つとないオリジナルのアイデアが次々と生み出され、学んだばかりの手法で形となって表現されていくことに、圧倒されました。

 

 それぞれのワークショップで制作した作品は、ワークショップの最後に地域の人などを対象に発表を行いましたが、その集大成として、サバンガンで各民族のユースがワークショップで制作した「FUGTONG」を、5月31日(土)にマニラで行われる「アジアの西遊記」公演の一部として発表できることになりました。

 

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「アジアの西遊記」はフィリピンと演劇を通した交流を長年続けている黒テントと、ケイタケイ・ムービング・アースの方たちによるダンス・シアター公演です。マニラにも行ったことのほとんどない先住民のユースたちが、いきなりプロの方たちと同じステージに立たせていただくという光栄です。

 

 


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by cordillera-green | 2014-05-14 01:01 | 環境教育

先生を対象としたアートを活用した環境教育ファシリテイター養成プログラム2013年度の全9回終了です

 他にはないオリジナル・プログラムで、環境教育に関心のある学生さんやその道のプロからも多数お問い合わせをいただいているコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の環境教育プログラム。2013年度も地球環境基金の助成を受けて、CGNのスタッフ総力をあげてマウンテン州サバンガンでの環境教育プログラムに取り組んできました。

 2012年度は、たくさん日本からのアーティストの人たちが来比下さり、アートの手法を環境教育の場でどういかしていくか、パイロット・スクールにて試験的にさまざまなワークショップを行い、最後にそれらワークショップで制作した作品を持ち寄って「エコ・アートフェスティバル」を開催。1000人以上の人が訪れるコミュニティ史上かつてない「環境イベント」となりました。
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 その経験を元に2013年度の事業では、学校の先生たちがCGNや町のアーティストたちの力を借りずに、授業の中でアートを活用した体験型の環境教育ワークショップを行えるようにするのが目的。範囲をひろげて保育園からハイスクールまでの先生たちを対象に、アートを活用した環境教育指導者養成講座を開催してきました。対象地域もサバンガン町すべての16のバランガイ(村)に拡張し、より広い地域ですべての学校で環境教育が行われる下地作りとしました。

 2013年度に開催した講習会・ワークショップは以下の通り。

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 ・教員対象の環境教育トレーニング
マニラのデ・ラ・サール大学で環境教育を教えるマージーを講師に、フィリピン、そして北ルソンの生態系・自然の豊かさ、環境教育を行うことの大切さ、学校での環境教育の方法など、1年間のプログラムをはじめるに当たって、CGNが意図することを伝える内容としました。
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小学校高学年の先生対象「アートを活用した環境教育指導者養成講座」(2回)
 1回目は、カパンガン州在住の日本人紙漉きアーティスト・志村朝夫さんなどを講師に、地域の植物を素材にした手漉き紙つくりのワークショップを行いました。パイナップルの葉からの繊維のとり方、身近にある稲わら、バナナなどの繊維が強く、紙の材料に適した素材の発見など。また、木灰など、自然の中にあるものを紙作りの材料に生かす方法も学びました。
 2回目はその手漉き紙を使ったアート教室。自然のなかにある葉っぱの形や色のバリエーションに気づき、その形から連想されるものを水彩絵の具の絵もくわえて、アート作品にしてみようというもの。絵の具には、身近な土を使うことも提案しました。
 また、村で大きな問題になってきているプラスチックゴミの減量につながるエコバッグ作りも行いました。いらなくなったボロの衣料を使ってエコバッグを縫い、そこにさつま芋のイモ版で模様付けし、世界にひとつしかない自分だけのエコバッグを作ろうというワークショップです。
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ハイスクール教員対象「環境演劇指導者養成講座」(前後半 2回)
 CGNが今までの環境教育プログラムでも頻繁に取り入れてきた演劇を、さらに多様に活用して環境問題解決の糸口を探すきっかけを与えようというプログラム。在バギオの講師が、地域の民話を発掘しそこに潜んでいる自然との共生との知恵、伝統文化の価値、現代社会での応用などを加味してひとつの演劇作品を完成する「フォークロア・シアター」を指導しました。
 一方、日本からのファシリテイター花崎攝さんは、ブラジルで始まったという「フォーラム・シアター」という観客も参加してお話作りに加わることのできるという手法を紹介していただきました。
 演劇に欠かせない音楽には、失われかけている山岳地方の貴重な竹製の民族楽器作りとその暮らしや伝統儀式の中での使い方などを学びました。
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・小学校低学年と保育園・幼稚園の先生対象「野外自然教室指導者養成講座」(2回)
 幼児向けの環境教育を、環境教育先進国スウェーデンの手法などを取り入れて、日本各地で行っているサステナブル・アカデミー・ジャパンの講師を日本から招き、幼児のための野外教室のインパクト、重要性、自然を学ぶことの意味などについてのレクチャー、そして、実際に屋外でゲーム、紙芝居、唄、シアターなどを取り入れ、子どもたちに二度と忘れない体験をしてもらいながら楽しく環境教育を実施する方法を学びました。講師が日本から持参してくれた環境教育教材を、身近に感じられるローカル色の強いものにアレンジし、子どもたちが心から楽しめるプログラムを実践しました。
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・環境教育フォーラム(2回)
 年度の終わりに、養成講座で学んだワークショップの手法を各学校で実践してもらい、その成果を発表しあい、課題、問題点を話し合う「フォーラム」を開催しました。ハイスクールの先生たちのフォーラムでは、5つのハイスクールの生徒たちがワークショップで制作した演劇作品を上演し、フォーラムシアターも実践。参加型のプログラムにたいへんな盛り上がりを見せました。
 小学校と保育園の先生たちのフォーラムでは、生徒たちが作った作品のいくつずつか持ち寄ってもらい会場のホールに展示しました。コミュニティの住民が多数訪れ、子どもたちのエコな作品に関心をよせていました。
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by cordillera-green | 2014-04-17 15:19 | 環境教育

CGN新たに3冊の環境関係の本を出版!①簡単テクノロジー(適正技術)の紹介本

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「An introduction to Appropriate Technology Practice」
(A5サイズ 38ページ)

CGNが今までコミュニティで紹介してきた適正技術を紹介した小冊子です。「適正技術」って難しそうですが、ようはコミュニティあるものを生かし、貧しいコミュニティの人でも何とか自腹で低予算で、専門家を雇わなくても誰でも作れ、そしてたとえ壊れても自力で何とか修理できる「簡単テクノロジー」ということだと解釈しています。海外からのサポートで高価で高度な技術を紹介しても一時的に効果はすばらしかもしれませんが、壊れて終わり!なんて例を数限りなく見てきています。また、特別な技術は隣の人が真似できず、広がっていく可能性が薄く、「あの村はいいわよねえ」なんてねたみの対象になるだけなんてケースもあります。だれでもできるってところが大事ですね。
この本で紹介しているのは
-バイオガス・プラント
-木酢採取プラント
-ミミズ堆肥プラント
-コンポスト・トイレ
-バイオロジカル水浄化装置
-トリチャンテラ・ギガンテアの葉から飼料作り

レナート君の力作です。バギオではMount Cloud Bookshop (SMのすぐ近くのCasa Vallejoの地下、レストランHill Stationのお隣り)で販売しています。
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by cordillera-green | 2013-06-02 13:04 | 環境教育