カテゴリ:環境教育( 45 )

CGN出版物-山岳地方の民話集「The Golden Arrow of Mt. Makilikilag」

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 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)が山岳地方の山の村で行なっている環境保全をテーマとしたコミュニティシアター・ワークショップでは、題材に地元に伝わる民話を取ることがよくあります。文字を持たない山岳民族ですから、近年電気が引かれてテレビやビデオなどが村の生活に入り込んだことで、代々口承で伝えられてきたお話が急速に姿を消しつつあります。よそものであるCGNが村に入り、民話の収集をシアター・ワークショップのプログラムに加えることで、自然との共生や山に住む神さま・精霊への畏れなど、失ってしまうにはあまりに惜しい知恵に満ちた物語の価値を村の人達が再認識し、後世に伝えて行ってほしいという思いもあります。

 これらの物語はあくまでも口承で伝えられているものですから、その時々の語り部の立場や聞いてくれる人がどんな人たちかでお話の内容はその都度変化していくものです。有名なイフガオ州のお米の神様「ブルル」誕生に関する民話でも、いくつものバーションを聞きました。
 今回出版した絵本では、そんなおばあちゃんの数だけありそうなたくさんの民話の中から、CGNがカリンガ州、アパヤオ州、ベンゲット州, マウンテン州でのコミュニティシアター・ワークショップの際に収集し、演劇作品として仕上げた4つを取り上げました。挿絵は、あまりフィリピンでは知られていない版画作品をコーディリエラ地方に縁のある4人の版画アーティストにお願いしました。
(大阪コミュニティ財団助成)

含まれているのは以下の4つのお話です。
①Golden Arrow of Mt.Makilkilang(マキルキラン山の金の弓)
【カリンガ州バルバラン】
木版画:Joey Cobcobo
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②Paco Paco(パコパコ-山の神様カブニャンがくれた食べられるシダの伝説)
【ベンゲット州マンカヤン】
ゴム版画:Fara Manuel
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③The Legend of Arimoran(アリモラン王の伝説)
【アパヤオ州コナー】
ゴム版画:Leonarud Aguinaldo
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④Eaten
【マウンテン州サバンガン】
木版画:ふるさかはるか
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最初の3つのお話は2011年にCGNのコミュニティシアター・ワークショップに参加した若者グループ「Aanak di Kabiligan」が、日本を訪ねた時に公演した3つのお話です。
挿絵はバギオを代表するアーティストの一人・レオナルド・アギナルド、マウンテン州出身で日本の和紙との出会いから木版画を始めたジョイ・コブコボ、そして、CGNの心強いボランティアでフィリピン大学バギオ校芸術学部の教員だったエコロジスト、ファラ・マニュエルの3人にお願いしました。

「EATEN」は、昨年のCGNのサバンガンでのアートを活用した環境教育ワークショップ事業で採集してダータ村の高校生たちが演じたお話です。やはりサバンガンに土絵の具による木版画のエコアート・ワークショップに来てくれた日本人の木版画家ふるさかはるかさんが、挿絵を担当してくれました。


「The Golden Arrow of Mt. Makilikilag」は、山岳地方の村々で学校の教材として配布中です。ご希望の方にはCGN事務所のあるゲストハウスTALAのギフトショップ「Harvest」で販売しています。
http://www.tala-guesthouse.org/

民話は英語ですが、日本のご希望の方にもお分けしています。お問い合わせください。
cordigreen(a)gmail.com 反町まで

なお、出版記念イベントを6月30日、Mt.Cloud Book Storeで開催します。
日本に行った「Aawnak dci Kabilingan」の中でバギオの大学に通っているメンバーが再結集。ミニ・パフォーマンスとストーリーテリングを予定。詳細は後日!
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by cordillera-green | 2013-04-10 16:26 | 環境教育

子どもたちと過ごした冒険の4日間。

「Kawwanan nan Batawa」のワークショップ(WS)プログラムにおいて唯一幼児を対象にWSを行ったのは日本の「かまぼこアートセンター」より来比された深澤孝史さん。

ラガン・デイケアセンター(小学校までの幼児を預かる日本の保育所のような施設)での汗と涙?の奇跡のWSが2012年11月6,7,8,9日の4日間を通して行われました。
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日本では美術教師として教えることもある深澤さんですが、今回のように英語もまだ話さない子どもたちが対象のWSは初めてとのことで、CGN眞理子代表と打ち合わせしながらどういうWSがいいかを何度も企画書を練り直していました。そして、最終的に深澤さんが考えたテーマは「Fair Trade」。時に物々交換の習慣も残るサバンガンの村で、そこにある自然素材を使い子ども達とお店を開こうというのが今回のミッションでした。
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最初この企画を聞いた時は、現実的にはかなり厳しい企画かな?と思ったのですが、例え無理でも「とにかくやってみる」「何が何でも諦めない」という教訓は数ヶ月のフィリピンでの生活でフィリピン人たちから学んだことです。とにかくやってみます。3人のサポートスタッフ(Rey Angelo Aurelio・小池芽英子・竹本泰広)もそれぞれの特技を活かし4人総動員で一緒に子どもたちと大奮闘しながら、考えられるアイデアや偶然の出来事さえもどんどん取り入れ臨機応変に作ってゆく冒険のような日々は始まりました。

そんなエキサイティングなWSは、最終的に映像ドキュメンタリー物語にもなりました。(一番下に映像のリンク記載)今回はその物語の言葉を借りながらWSの様子を紹介したいと思います。


「The Story of Fair Trade Work Shop」


これはとある村にできたちょっと不思議な【お店】のお話。

【お金の国】に生まれた一人の男が山奥の村にやってくるところから物語は始まります。

男が生まれた【お金の国】はたくさんのものがあることが【豊かさ】だと考えている国でした。

そして、みんなが気がつく頃にはたくさんのゴミと毒がお金の国の大地を覆ってしまいました。

男は【お金の国】から逃げることにしました。

男がたどり着いたのはたくさんの島から成る国の山奥の村。

この村は豊かな自然と暖かな気候に包まれていました。
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驚くことに、この村の人たちはほとんど【お金を使わずに】生活していました。

お金でなんでも【交換】して暮らしてきた男はとても困りました。

男はその島国で【仲間】と出会いました。

一人はギターが得意な「ミュージシャン」
いつでも楽しい歌を歌ってくれます。

もう一人はかわいい猫の「ダンサー」
踊ったりお話をしてみんなを楽しませるのがとても得意です。

最後の一人は鳥を探し続けている「バードウォッチャー」
バードウォッチャーは色々なことがとても詳しかったり、鳥を探すついでにみんなを見守ったりしてくれます。

男はお金の国で美術の教師をしていたので「センセイ」と呼ばれるようになりました。
それぞれ、一癖あるけどとても面白い【仲間たち】です。
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センセイもミュージシャンも猫もバードウオッチャーもお金を使えませんでしたが【作品】を作ることだけはできました。

そこで4人は相談して村の子どもたちと一緒に【作品】を作って食べ物と【交換】しようと考えました。

子どもたちも色々できないことはたくさんあるけれど【作品】だけは作れるところが自分たちと同じだと思ったからです。
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彼らは、ほとんど何も持っていなかったので材料は村に落ちているものや【自然のもの】、【お金の国】から持ってきた少しの素材を使いました。

村を覆うほどの色々な木々や草花、きれいな石や土、そしてたくさんのゴミを見つけました。
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4人はそれらの素材を使っていろいろな【作品】を沢山作り始めました。

石に色々な色を塗ってできたのは…そうペンダント。
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他にも落ちているものを貼り付けたり、土を絵の具にして描いた絵…。
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次に、彼らは子どもたちと一緒に【お店】を開く準備にとりかかりました。

看板を作ったり、陳列のための棚や飾りを作ったりします。
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猫のダンサーとミュージシャンはお客さんを呼び込むためにお店の【テーマソング】を作りました。

そして、とうとうお店を開くことになりました。

「ラッコラッコ~」

「ラッコラッコ」はこの村の言葉で「買って買って」とという意味です。
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お店は大賑わい。
作った作品は次々に色んな【作品】と【交換】されました。
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お米、キャベツ、チンゲンサイ、ナッパ、初めて見るツルの野菜、トマト、
じゃがいも、白菜、インゲン、豆、そして丸鶏。
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彼らは野菜だけでなく歌や踊りとも【作品】を【交換】しました。
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歌や踊りを披露してくれた人たちはお気に入りの【作品】を持って帰っていきました。
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次の日は【交換】した食材を使ってパーティです。

夜が明けてパーティーの日になりました。

とってもおいしくて楽しいパーティの始まりです。
猫のダンサーはなんと料理も上手。
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彼女のとても豪華な料理が出来上がっていきます。
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みんなで一斉に「いただきます!」。

パーティでは歌や踊りも披露して大盛り上がり。
楽しい時間はどんどん過ぎていきました。
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最後にセンセイたちは【お金の国】のお伽話「わらしべ長者」の紙芝居を
子どもたちに見せました。
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「わらしべ長者」は初め、両親からワラを一本だけ持たされただけでした。
どんどん交換することで最後には家を手に入れました。
彼は元々、家が欲しかったのではなく彼の【優しさ】がその結果をもたらしました。
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【物の価値】は誰かに決められるのではなく自分で決めなければいけません。
センセイは【お金の国】に帰ることにしました。

なぜならこれからも【自分で決めて】自分の世界を良くしていかなければならないと思ったからです。

この先どうなるかわからないけれど、楽しいことをどんどん作っていこうとみんなで誓い、ちょっと不思議な【お店】の思い出を胸に、しばしのお別れをしました。

おしまい


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この物語は実際のWSを通して深澤さんが作ったシナリオによるものです。

もちろんシナリオにはない水面下のストーリーもたくさんあり、瞬間瞬間を全力で自由に生きている彼らのペースと共にワークを行う大変さあり、子どもたちの素直な優しさや思いやりに触れる感動ありとなんだか大忙しでした。

そして最終日。最後は号泣で感動のお別れ…と思いきや、
みんな元気いっぱいにそれぞれのおうちに帰って行きました(笑)。
しかし、後日デイケアセンターの先生は4人がいなくなってから毎日みんな「どこに行ったの?」と寂しがっていたと教えてくれました。

子ども達がどれだけワークの中から何を理解したのか?何が伝わったのか?
実際ワーク中は、身の周りの自然素材がアート技法を通して作品となり、お話やダンス・音楽などを感覚として捕らえながら理解しているような瞬間はたくさん生まれていたと思います。
しかし、幼い彼らにとってはこのワークショップも毎日起こる不思議な体験のひとつなのかもしれませんし、それは今すぐに決められるようなものでもなく蒔いた種のように時と共に育ってゆくようなものでもあると思います。

また、この4日間の生活はWSに関わった4人のメンバーにとっても新鮮で貴重な時間でした。

午前中は子どもたちとのワーク、午後は素材集めや準備、毎日仲間同士で交互にごはんやメリエンダ(おやつ)を作り、飲んだり歌ったり踊ったり、真剣にお互いのことを語りながら次の日のWSのアイデアが生まれてゆく…都会のような便利さはないけれど、とても充実した生活の中で人間と自然の輝きを肌で感じながら過ごしていました。過程自体が創造であり、何気ないことが発見の日々でもありました。

他のWSを通してもそう思うのですが、自然の中で現地の人々と触れ合っているサバンガンでの時間は、ファシリテーターやスタッフにとっても教えるだけでなく学びとなる瞬間が多々あるという声を聞くことがしばしばあります。自然の中でのワークは、お互いに学び合える調和のとれた瞬間が生まれやすくなるのかもしれません。私たちスタッフにとってもそういう瞬間に出会えることが何にも代え難い一番の醍醐味でもあります。

この4日間で出会った、たくさんの自然と笑顔に囲まれた冒険のことは、私たち4人のメンバーもそれぞれの生活の中で自分たちの学びとして時々思い出すことになると思います。
彼らがもう少し大きくなり、同じようにいつかこのワークショップのことを思い出した時、みんなで集めた自然素材で作った作品、それをもって開いたお店、作品と交換した野菜から作った料理でパーティーをしたこと、歌ったり踊ったりいっぱい笑って楽しかったこと、そしてそういった瞬間の中にお金で買えない大切な学びがいっぱい詰まっていたことを理解する要素のひとつになることを密かに期待しています。願わくば、大きくなった彼らが自分たちの暮らしに誇りを持ちながら生活するサバンガンの村で再び再会することを夢見ながら。

このWSのドキュメンタリー物語
「The Story of Fair Trade Work Shop」の映像はこちら
http://www.youtube.com/watch?v=4_lTDuObL0M


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(竹本泰広)
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by cordillera-green | 2013-01-11 15:44 | 環境教育

サバンガンでの環境教育ワークショップ。エコアート・フェスのポスターも貼られ、盛り上がってきています!

先週は大阪の版画家ふるさかはるかさんによる土絵具を使った版画教室。小学校で2日間は自分で漉いた手漉き紙にイモ版、ハイスクールでは木版画の本作り、丁寧に丁寧にプロセスを踏んで、世界に一つの抱きしめたくなるような作品が出来上がりました。
同時進行は、小学校でのバギオのジャンクアーティストRomel Pidazoのゴミで作るリサイクルアート。そして、かまぼこアートセンターからの3人目の来訪者・深澤孝史さんの保育園での物々交換アート。
いやはや多彩なプログラム。様々な切り口で、アーティストの方々が知恵を絞った手法により、「環境」をキーワードとしたサバンガンの子どもの元気がいっぱい詰まったアート作品が続々生み出されています。
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そのアート作品を展示・発表する「エコ・アートフェスティバル」。
ここにきて地元の人のアドバイスで「Kawwanan nan Batawa」というタイトルに変更。意味は同じで「環境への思いやり」ですが、言い回しがこちらの方がふさわしいそうな。カンカナイ語なのでさっぱりわからず、言われるままです。。
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完成したポスターは早くも、サバンガンのすべての学校に掲示されました。
サバンガンの学校でもこのイベントに対する期待は徐々に盛り上がりつつあります。

今週からは、パフォーミングアーツのワークショップが目白押し。あさってには大阪から笛のミュージシャン・山本公成さん、京都からコンテンポラリー・ダンサーの荻野ちよさんがファシリテイターでやってきます。

参加のファシリテイターの方々は以下。
山本公成&星子 Kosei & Hoshiko Yamamoto(Japan)
花崎攝 Setsu Hanasaki(Japan)
志村朝夫 Asao Shimura(Japan)
Jun Amanto(Japan)
ふるさかはるか Haruka Furusaka(Japan)
山本麻世 Asayo Yamamoto(Japan)
荻野ちよ Chiyo Ogino(Japan)
深澤孝史 Takafuki Fukasawa(Japan)
寺澤伸彦 Nobuhiko Terasawa(Japan)
小池芽英子 Meeko Koike(Japan)
Alma Quinto(Manila)
Waway Saway & Talaandig Indigenous artists (Bukidnon)
Romel Pidazo(Baguio)
Rey Angelo Aurelio(Baguio)
Jason Domling(Baguio)
Rocky Cajigan(Baguio)
Vince Navarro(Baguio)
Carlo Villafuerta(Baguio)
Alex Tumapang(Baguio)
Dom-an Macagne(Sagada)
Gawani Domogo(Sagada)
Bong Sanchez(Sagada)
Dan de los Reyes(Baguio)
Tara Natividad(Baguio)

エコアートフェスに参加のボランティア・アーティストの方たちもいます。
Binangi(Tadian)
Yasu(Japan) & Gelo(Baguio)
JP Alipio(La Trinidad)
福本真由子Mayuko Fukumoto(Japan)
山形敦子Atsuko Yamagata

加えて、バギオからボントクに向かうハルセマ道を北上しながらアートするという「AX(iS) Art Project」がどうやら24日にサバンガンに奇襲をかけそうな気配。。何が起こるか楽しみです。


(反町眞理子)
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by cordillera-green | 2012-11-12 00:41 | 環境教育

ワワイ・サワイ再び

 前回のブログで紹介したワワイ・サワイとタアラアンディッグ・アーティスト・グループは、ソイル・ペインティングだけでなく、音楽でも知られています。
「音楽のワークショップもよくやっているよ。2行作曲ワークショップ(Two Line Composition)」って言うんだ。「僕のワークショップでだれでもみんな作曲家さ!」
 
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   ↑ナマテック小学校でのソイル・ペインティング・ワークショップでのワワイ

 またまた、スタッフの強烈なリクエストにお応えして、11月24日、25日の「カワン・ディ・バタワ エコアート・フェスティバル」で、ソイル・ペインティングワークショップに加え、「エコ歌2行作曲ワークショップ」のファシリテイターとしてワワイとグループに再び来てもらうことになりました。
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  ↑6枚もアルバムを出しているそうです。

 そういえば6月のKapwa先住民族会議のときにワワイ達が持ってきていた民族楽器は実に見事なものでした。コーディリエラ同様に竹製の楽器ですが、やはり民族が違えば楽器も違うというわけで、種類も音も微妙に違いました。それらの楽器に丁寧にほどこされた模様の細工の細かさは嘆息ものです。
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    ↑タラアンディッグ族の民族楽器を使った音楽活動も各地で行っています。

 6年ほど前、ワワイはバイクに乗っていて交通事故に合い、もうすぐ両足切断という状態だったとか。肺がつぶれ瀕死の状態の中で、「足は切っていいけど、骨は捨てないで。笛を作るから」と医者にお願いしたのだそうです。ソイル・ペインティングのワークショップの時も手作りの竹の横笛を持参。子供たちに癒しの音色を聞かせてくれて、ワークショップをやっていない時もワワイの周りは子供たちがいっぱいでした。
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    ↑いつも子供たちに囲まれているワワイ

「招待してくれてありがとう。でも、もう一番下の子が恋しいよ」
 6人の子どものお父さんであるワワイ。奥さんはシンガポールにメイドさんとして出稼ぎ中で、母親と父親両方の役を担っているとか。DATUの称号をいただいているコミュニティ・リーダーで、フィリピンの先住民族文化に詳しい人ならだれでも知っているワワイの家でさえ出稼ぎに出なくては6人の子どもを育てられない。。。。コーディリエラ地方同様のミンダナオの先住民族の暮らしの厳しさを聞きました。

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バギオからサバンガンまでの道すがら、ミンダナオの僕らのところにはないという花を見つけてはその種や球根集めに一生懸命のワワイ。「僕らのアートセンターをいろいろな花でいっぱいにするのだ」
と、ピースパワーを撒き散らかし、出会った人すべてをすごく幸せにしてくれました。
「友達になってあげるよ」
とワワイに言われ、不覚にも泣きそうになった反町です。

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ますます楽しみな「カワン・ディ・バタワ エコアート・フェスティバル」です。
詳細はこちら。
http://cordillera.exblog.jp/19357180/






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by cordillera-green | 2012-11-10 12:54 | 環境教育

幻の壺を求めて-アートを活用した環境教育ワークショップ

実施中の「アートを活用した環境教育ワークショップ」(地球環境基金助成)では、日本のアーティストの方々もたくさんファシリテイターとして参加してくださっています。
コーディリエラ地方の文化に深い尊敬の念を抱き、何度もこの地を訪れ、先住民族の伝統文化を学ぶ一方で、若者たちのためのワークショップを継続して下さっている日本のベテラン・アーティストの方々(山本公成さん、JUN AMNTOさん、花崎攝さん)に加え、今回は「新たなる世界にチャレンジしたい」と、私の学生時代からの友人の美術家・小沢剛君の紹介でかまぼこアートセンター(なんのこっちゃという方はこちらをご覧ください)の若いアーティスト5名も参加してくれることになっています。
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その第一弾として来てくれたのが山本麻世さん。
http://www.asayo-yamamoto.com/
ロープなどを素材としたインスタレーションアートで世界各地で活躍中の造形作家の麻世さんですが、今回は「環境」がテーマということで、粘土アートのワークショップをやってくれることになりました。会場のダータ小学校のあるダータ村が昔、素焼きのポット(壺や鍋、水瓶などに使われていたそう)づくりをしていたということから、子供たちが村の自然と同時に歴史を知ることにもなるというワークショップです。
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まずは今はすっかり失われてしまった粘土探しから始まります。
小学校の先生たちが口々に
「私たちが小さいときはまだ素焼きポットづくりをしていて、私たち子どもが粘土も取りに行かされていたのよ。重くてつらい仕事だったわ」
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   ↑昔の思い出を話す先生たち

「なぜ、村ではポットづくりがなくなったの?」
「安いアルミの鍋が入ってくるようになって、煮炊きにはそれを使うようになったの。粘土を探してからそれを1日かけて杵と臼でこねる作業がまた大変。それで徐々に誰もやらなくなってね。私も子供のころ手伝わされたけど、二度とごめんだわ。村に何人かポットづくりをしていたおばあさんたちがまだ生きているから、行程など話してくれるはずよ」

なるほど。
で、まずは子供のころの記憶を手繰り寄せてくれた先生たちの先導で粘土探しに野原へ向かいました。
「この辺りだったと思うのだけど。。」
見当をつけて、シャベルで掘り続けること1時間余り。ようやく粘土らしい土発見。米を入れるサックに詰めて学校に持って帰ります。
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石や砂利を除いて水を足してみんなでコネコネ。
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会場の図書館の中では収まらず、廊下へ、そして校庭へと拡張。。
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ここでも子供たちの創作パワーはとどまらず、壁にも進出。
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思い思いの作品が出来上がりました。
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翌日、麻世先生のところには
「うちの近くにもあったよ、粘土~~!」
とたくさんの子どもたちが粘土を持ってきてくれました。
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ところで、この村で創っていたという壺はどこかに残っていないのかしら?
と、聞きまくりましたが、
「みんなアンティーク商に売ってしまった」
「割れちゃった」
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とななかな現物にお目にかかれず。

最終日の出発間際、子供たちのおやつを作ってくれていたおばさんが
「壺ならうちに一つあるわよ。水瓶で使っているの」

さっそく、おばさんのうちに案内してもらいました。
あったあった歴史ものの壺。
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「アメリカに移住した親戚がこの村に帰ってきてね、まず、この瓶の水が飲みたいっていうのよ。やっぱりこの瓶の水が世界で一番おいしいって。」
いただいたコップ一杯の水はとてもやわらかい味がしました。
ダータ村の失われてしまった文化を惜しみながらの一杯でした。

(反町眞理子)
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by cordillera-green | 2012-11-03 14:11 | 環境教育

ワワイ・サワイのソイルアートはキャンバスには収まらないのでした……

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 マウンテン州サバンガン町での「アートを活用した環境教育ワークショップ」(地球環境基金助成)の一連のプログラムのファシリテイターは、フィリピン国内からと日本から。フィリピン人ファシリテイターは、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の拠点のあるバギオ、そしてサバンガンからわずか1時間の独特の伝統を保持するサガダを拠点とするアーティストが中心です。コーディリエラ独特の伝統文化に造詣が深く、先住民族の言葉を解する人が、やはりベストということと、やはり、このプログラムが終わった後にも地元に根差してワークショップを継続していけることが何より重要とということから地元のアーティストといろいろ手法を話し合いながらワークショップを作り上げるという作業を行っています。また、時に閉鎖的なコミュニティにお邪魔する私たちは、コミュニティの中にある風習や文化やバランスに常に配慮しながら、滞在させていただかなくてはならないということもあり、地元のアーティストとの作業の方がスムーズに行くという面もあります。
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そんな中、スタッフ一同に
「これ以上、この企画に合った人はいない。ぜひファシリテイターとして呼んでください」
と頼まれたのが、ミンダナオ島のブキドノン州タラアンディッグTalaandig族のワワイ・サワイ氏。タラアンディッグ族はまさに北ルソンにおけるイゴロット族。標高2938メートルのキタングラッド山Mt. Kitanglad周辺に住む山の民です。NCCA(国家文化芸術委員会)が推進する先住民族の伝統文化継承のためのSLT(School of Livinf Tradition)プログラムでで、フィリピン国内で一番ノリにSLTを作って見事に成功しているのがタラアンディッグ族だそう。部族のリーダーにはDatuという称号が与えられるそうですがワワイのお兄さんのDatu VIc Sawayが政治のリーダー、そしてDatuワワイが民族のカルチャー部門のリーダーのようです。
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  ↑KAPWA先住民族会議。後方でドラムをたたいているのが
   タラアンディッグ族ミュージシャンのラウル君

 6月末にバギオで行われたKAPWA先住民族会議にも招待されていて、CGNスタッフも彼の癒しパワーにめろめろ。KAPWA会議の時は、あまりにたくさんの民族の人がゲストできていて、ワワイのワークショップを十分堪能できず、
「ぜひ、民族は違っても同じフィリピンの山岳部に住む先住民として、ワワイがコミュニティで実践しているアート・ワークショップを実践してもらいたい」
というスタッフの熱望で今回ワワイの招待に至ったわけ。
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   ↑ワワイのソイル・ペインティング

 ワワイ・サワイ率いるタラアンディッグ民族のアーティストグループは泥や粘土を使ったソイル・ペインティングで知られています。ワワイが90年代に実験的に初めていまやタラアンディッグのアートと言えばソイル・ペインティング。マニラはもちろん、海外にも招待されて作品の紹介がされてきました。
 ワワイ達のソイル・ペインティングは、山で集めてきた7色の土・泥・粘土で絵を描くというものです。参加者たちは、今まで気づかなかった大地の色のバリエーションと豊かさに気づき、その魅力にぐんぐん引き込まれていきます。
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 さて、サバンガン町ナマテック村の小学校で行われたワワイのソイル・ペインティング・ワークショップ。まずは子供たちと一緒に土探しの山歩き。山にはその気で見たら何とも豊かな色の土があるものだと子どもたちも驚き。
 泥や土で絵を描くなんて。。。て疑心暗鬼だった先生たちも、そこら辺の泥が見事な絵に姿を変えていくのに興奮気味。自らも絵筆をとり始めました。
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  ↑ワワイと一緒に来てくれたタラアンディック族のアーティスト・ラウルがまず壁に描き始めると。。

 そして、会場としてお借りしたおんぼろ講堂のペンキがはげかけた壁にワワイと一緒に来たアーティスト・ラウルが描き始めた素晴らしい自然の絵につられるように、生徒たちもみんな壁に絵を描き始めました。校長先生も怒るどころかニコニコ顔。これが赤や緑や黄色のペンキだったらこうはならなかったでしょう。村の風景に違和感なく溶け込むソイル・ペインティングだから、成り立ったワークショップです。


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  ↑いつの間にか柱もペインティング

学校の講堂、丸ごとソイルペインティング!


これだから子供たちとのワークショップはやめられませんね。
11月24日、25日の「カワン・ディ・バタワ エコアート・フェスティバル」では、「でっかいティピ-テントにソイルアートしよう」という計画も進行中。お楽しみに!
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以下は、友達の新聞記者・マウが「Inquire」という全国紙に以前書いたタラアンディッグ族の記事(英語ですいません)。ワワイのお兄さんヴィックのことを中心に民族の環境保全に対する活動のことが紹介されています。コーディリエラ地方の先住民族コミュニティにもにもいつかこんなリーダーが現れることを願ってやみません。

Who are the Talaandig?


Northern Luzon Bureau
First Posted 19:40:00 03/01/2008

Filed Under: indigenous people

THE TALAANDIG, a subtribe of the Banwaon tribe, are among 110 groups of indigenous peoples in the Philippines. The Talaandig (approximate population: 100,000) are mostly concentrated in the northern and western part of Bukidnon province.
The ancestral domain of the Talaandig is marked by the Mt. Kitanglad range whose highest peak of 2,938 meters above sea level is found in Dulangdulang Mountain. The Mt. Kitanglad range covers some 47,270 hectares and the Talaandig consider the area their "remaining marker" from which their history emanates.
The peak of Dulangdulang was where Apu Agbilin, the ancestor of the Talaandig people, took refuge during a great flood thousands of years ago, said Datu Victorino Migketay Saway, citing oral history.
To the Talaandig, the Mt. Kitanglad range is also an important watershed where many rivers begin.
"If there's no Mt. Kitanglad, there's no Talaandig," Saway told ECO, a newsletter of an alliance of environmental groups monitoring developments under the UN Convention on Biological Diversity.
The Talaandig used to practice a traditional rotation method of farming. But this changed after logging was introduced in the community in the 1970s. Although some still practice rotational upland farming, others have embarked on high-value crop production for the market.
Some also still hunt wild game and gather honey, which they sell to lowlanders. They also sell or barter woven handicrafts with other communities.
All resource activities before such as hunting and gathering were regulated by laws that came from religious beliefs, and extended to everything, including economic and political life, according to Saway.
These customary laws governed and regulated the cultural practices and traditions of the Talaandig community. But these customary laws weakened after foreign concepts of law and government were imposed, Saway said.
He said the "foreign" laws permitted massive logging and the collection of forest products for business.
"Under the new laws, many of our activities became illegal and destructive activities became legal," he said. "For example, the environment office legally gives licenses to cut trees and issues logging permits. It is very ironic, as the institution that is supposed to protect the environment actually destroys it. They 'legally' destroy millions of trees. But when one of our community members destroys only one tree, he is sent to court. It is 'illegal' for us to use even abandoned logs," he said.
The Talaandig are among the indigenous peoples in the Philippines who are asserting that their customary laws apply to local governance. They are also asserting the right of indigenous peoples to free and prior informed consent before any development or undertaking is done in their communities.
Maurice Malanes, Inquirer Northern Luzon


(反町眞理子)
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by cordillera-green | 2012-10-31 12:04 | 環境教育

風景が舞台-アートを活用した環境教育ワークショップ

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 サバンガン町の村々で実施中の「アートを活用した環境教育ワークショップ」(地球環境基金助成)。すでにコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の環境演劇ワークショップでおなじみの若き舞台演出家・ジェロからは、
「いちばん田舎の村でやらせてください」とのリクエスト。
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 今回の事業のパイロット地域とした5つの村(Data, Poblacion, Pingat,Lagan, Namatec)のうち、いちばん幹線道路のハルセマ・ロードから遠いダータ(Data)村でハイスクールの生徒40名を対象にワークショップを開催しています。バギオベースなのでじっくり取り組めるジェロは、村に伝わるお話の採集から、村の環境問題の洗い出し、体のベーシックな動きや声の出し方などなど、基礎から丁寧に3回に分けてワークショップの計画を立て、ハイスクールの生徒たちとじっくり4つに組んで進行しています。9月までに2回が終了。11月に3回目のワークショップを行い、11月24日、25日の「カワン・ディ・バタワKawaan di Batawaエコ・アート・フェスティバル」では、10人ずつのグループによる4つの作品を披露してくれるとのこと。
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  ↑メイン会場は神父様がいなくなって使われなくなった古い教会。
   ここだってかなりドラマチックな空間です

 9月に行われた2回目のワークショップでは、すでにグループごとに環境をテーマとしたミニ演劇作品の発表があったのですが、今回のジェロの新しい試みは、自分たちの作品テーマを上演するのにぴったりの風景や場所を村の中で探してそこで上演してみようというもの。サガダのお隣に位置するダータ村は、山の頂近くに集落があって、サガダまで見渡される素晴らしい展望のある村。松林も残り、村の中にはダップアイDay-Ayと呼ばれる村の長老たちが会議に使う石造りの集会場も残っていて今も村の重要な決まりごとはそこで決められるとか。村の中は車が通れる道路はなく、細い歩道が網の目みたいに通っていて、すれ違うのも精いっぱいなその歩道をゆっくりと村人たちが行きかいます。歩道沿いには水路があったり、小さな川が集落の中を流れていたり。。
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   →松林をステージに選んだグループ。
    おしっこが泉に姿を変えたというシーンです。

 生徒たちは、生まれ育ってすでに当たり前になっているそんな村の中を、舞台になる風景を求めて歩き回り、当たり前の通学路、当たり前の村の自然や風景や暮らしがちょっと違う風に見え、意外な発見がいろいろあったようです。
 松林の中を舞台に選んだグループは自然の起伏や木の形、草の葉影なども、ちゃんと舞台装置として生かしていて感心感心。。。。
 屋外をステージに仕立てるののいいところは、自然の風や光や空気や音などを五感で目いっぱい感じながら演技できるところ。おのず、練習とは違う風にお芝居が展開していったり、意外なアイデアが本番の最中に突如組み込まれたりと、即興色の強い面白いお芝居が出来上がりました。
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  ↑シダの葉があっという間にコスチュームの髪飾りに

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  ↑小学校の教室前をステージにしたグループも

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  ↑畑がステージのグループは、フルーツの木も立派な舞台装置

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  ↑お客さんも好きな場所でお芝居を楽しみます。
   右端はちょっと心配そうに見ているジェロ君

 もちろん、お客さんに観てもらうにはもう一工夫もふた工夫も必要ですが、五感を刺激しながらの屋外でのワークショップは、スタジオやホールなどワークショップやステージのための用意された空間でのそれとはまた違って、ジェロ自身も生徒たちも新しい体験ができたよう。「カワン・ディ・バタワ エコ・アート・フェスティバル」でも、山あり、川あり、橋あり、棚田ありの会場のポブラシオン村の風景を目いっぱい生かし、屋外上演も用意しているというジェロ。楽しみです。
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by cordillera-green | 2012-10-28 11:23 | 環境教育

アルマ・キントAlma Quintoさんのワークショップで学んだこと

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マウンテン州サバンガンで実施中の「アートを活用した環境教育ワークショップ」シリーズにマニラからファシリテイターとして来てくれたアルマ・キントさん(Alma Quinto)。布を使った「ソフト・スカルプチャー」という手法で、社会的に弱い立場にある人を対象にたくさんのワークショップをフィリピン各地や海外で行ってきています。日本にもアルマの熱烈なファンのアート関係者の友人がいて、今回は彼女の紹介でアルマのワークショップを逆輸入。

「いつもやっている紛争地域や被災地などではないけど、”環境問題”をテーマに先住民の子どもたちを対象にワークショップをやってくれないかしら?」
という私たちのリクエストに
「もちろん。環境問題も私のトピックスの一つよ」
と快く応え、遠い遠い山の村まで出向いてくれました。
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山岳地方と一言で言いますがいろいろな先住民族が暮らしていて、風習や暮らし方や人々の性格も本当に驚くほど違います。CGNがこの事業を行っているサバンガン町は、幹線道路のハルセマ・ロードからも近く、バギオやマウンテン州州都・ボントク、ベンゲット州の州都トリニダードとの交流も盛んで、住んでいるカンカナイ族もそんなに閉鎖的ではありません。山の村々の中では教育レベルも高い方だと思います。
ポブラシオン村とその近くだけでも小学校が3校もあって、一クラス20人~30人と、バギオ市の50人以上という詰めこみ公立校に比べたらぐっと恵まれた環境です。今回アルマがワークショップを開催してくれたのはその3つのうちのひとつサバンガン小学校4-6年生の約50人です。
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さすがに百戦錬磨のワークショップ・ファシリテイターのプロ、アルマ。あっという間に子供たちの心をつかみます。丸くなって床に腰かけて、子供たちと同じ視点で大口開けて笑いながら話すアルマにあっという間に子供たちは魅了されていきます。
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   ↑きれいな明るい色のアルマの洋服も子供たちの目を引くワークショップ・ツールの一つですね。
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最終的に作るものは布を使ったタピストリーと決まっていますが。それまでには、身近な自然に関するハッピーな思い出についての絵を描いたり、グループになって自分のうちから学校までの地図を書いてゴミが捨ててある場所を書き込んだり、、小さなアート教室を重ねて、村の豊かな自然やそれを壊そうとしているゴミについて考える機会を得、最後に
「じゃ、そんなゴミがたくさんのみんなの村はどうしたらきれいになるかしら?」
と、アップリケによる布でのお絵かき開始です。
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同じサイズに四角く切られたカラフルの布の中からお気に入りの色を選んで、CGNのスタッフがバギオの市場のテイラー(縫製やさん)から山のように集めてきたハギレの中から、気に入った布を選び、はさみでチョキチョキ。またまたカラフルな色の糸の中から好きな色を選んで縫い付けていきます。日本だったら「まず鉛筆で印をつけて、とか、下絵を描いてから。。とか指導されそうですが、誰一人「下絵を描いていいですか?」なんて言わず、迷わずハサミを入れ、真剣な表情でチクチク。
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アルマ曰く。
「マニラでやると、裁縫なんて女の仕事だろう? 僕はやりたくない!」
っていう子供が必ずいるとか。
「ここでは男の子もためらわずに針と糸を使ってくれてうれしいわ」
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とにかく山の子供たちは元気いっぱい。ちょっと飽きちゃうと適当に遊びに行って、でもまた戻ってきて作業を続けます。
「ほら、あの子、スペシャル・チャイルド(障害のある子)でしょう? 集中して作業はできないから、引っ掻き回したりしているけど、だれも邪魔者扱いしないし、上手に相手にして、ちゃんと仲間に入れてあげているのよ。都会の子にはなかなかできないの」
とアルマ。いつもの家庭の問題のある子や社会的に虐げられた立場の人たちとは違って、はじけんばかりに感情を外に出す子どもたちとのワークショップをとても楽しんでくれたみたいです。
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最終日の3日目にはそれぞれが作った四角い「ゴミ問題解決策」の布の絵を一つに縫い合わせてタピストリーにします。もちろんその作業をするのも子供たち。
「明日は日曜日だけど手伝ってくれる人~~?」
というアルマの呼びかけに、たくさんの子どもたちが元気よく手をあげました。アルマによって選抜チームが結成され(選ばれなかった子供たちも来ちゃいましたが)、みんなの力が合わさった大きなタピストリーが完成しました。
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アート・ワークショップでのファシリテイターの役割ってなんだろう?
ってワークショップを企画するたびに考えます。
ファシリテイターによって考え方はいろいろですが、
参加者にアイデアを生むきっかけを与え、その力を信じてゆだねて、たぶん参加者自身も驚いちゃうような何かを生み出すように導いて、作るって楽しい!ってアートマジックをかけちゃうこと。

もちろん子どもたち対象のワークショップでは、思ったことを表現できるようにするための技術の指導もちょっぴり必要ですね。

今回の環境教育ワークショップ・シリーズでは、自然や環境をテーマとしているので、日常生活や自然の中にある素材探しやテーマ探しも大きな要素になっています。そのへんは、実は外から来たファシリテイターよりも参加者の子どもたちや先生や村の老人たちの方がよく知っていることなので、ファシリテイターのほうが村の人たちに教えを請わなくてはいけないところです。それもまたファシリテイターが村の人に「教える」という一方的な関係じゃなくて、ワークショップの楽しいところ。ファシリテイターのほうもいろいろ新しい発見があったリ学べちゃったりします。

今回のような学校でのワークショップでは、共同作業という側面も考えに入れなくてはなりません。参加者によって、いろいろな考え方、表現の仕方があるけど、それを一つにまとめて大きな形になってのを目にした時の喜びは大きなものがあります。そのへんはプロのアーティストであるファシリテイターの力の見せどころかな。それぞれの個性的な作品が結集した大きな見栄えのする作品になったら、作る楽しみに目覚めちゃう子供たち続出!と思います。

今年の夏(日本のね)バギオで演劇ワークショップをしてくれた劇団「黒テント」代表の宗重さんが
「旅もワークショップも、ゆだねなくてはいけませんね」
とおっしゃっていましたが、
道具や会場や下調べなど準備はばっちりして、でも方向性はゆるーーーく定めて、
あとは参加者の子どもたちにゆだね、
以外なる成果物に驚き動揺しながらも、子供たちの真剣なまなざしを思い出してプレッシャーをまじに感じながら、一人一人の思いが伝わるような作品に仕上げてあげるのが、ファシリテイターの役割かもしれないと学んだアルマのワークショップでした。

このタピストリーは11月23-25日の「コミュニティ・エコ・アートフェスティバル イン サバンガン」で、そのほかの環境教育アートワークショップで作った作品と一緒に展示します! 

また、アルマ・キントさんは10月、福岡アジア美術館のアジアの女性アーティストたちの作品展のために日本に行きます。大阪ではワークショップも企画されています。ぜひ、アルマに会いに行ってみてください。

アジアの女性アーティスト展「アジアをつなぐ-境界を生きる女たち1984-2012」
(福岡アジア美術館/2012年9月1日~10月21日)
http://faam.city.fukuoka.lg.jp/exhibition/detail/23

アジアをつなぐ わたしたちがつなぐ ワークショップとフォーラム
2012年10月18日(木)
大阪大学待兼山会館会議室
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/seminar/2012/10/5262
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by cordillera-green | 2012-09-28 10:48 | 環境教育

志村朝夫さんの手漉き紙ワークショップ。物語のある紙ができました。

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  ↑英語の雑誌「KYOTO」でアジアで活躍する工芸家として紹介されています。

志村朝夫さんはベンゲット州カパンガン在住の日本人。和紙作りの名人であり、紙布作り、豆本作りのアーティストでもあります。近年は、水に弱いという紙の短所を克服するのためにコンニャクを使った強製紙加工や、コンニャクを使った自然絵の具作りなども研究している手漉き紙のプロ。バギオではそんなにその名を知られていませんが、フィリピン各地から手漉き紙や紙布作り指導者としてたびたび招かれているほか、南アフリカ、韓国、アメリカなどからもコンニャク・アートの研究者としてお呼びがかかる在バギオ屈指の日本人アーティストです。昨年には、ベンカブ美術館でコンニャクアート展も開催。ベンカブを含むバギオの有名アーティストと世界各国の手漉き紙を使ったアート作品を発表している作家たちがコンニャクを使った作品作りに挑戦し、40点のコンニャクを使ったアート作品の小品展が開かれました。
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そんな紙づくりのプロ中のプロである志村さんがCGNが主催しているサバンガンでの「アートを活用した環境教育ワークショップ」にファイシリテイターとして参加して下さり、チコ川のほとりにあるラガン小学校の4,5,6年生を対象に村にある植物を材料にした紙づくりを指導してくれました。
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サバンガン村で紙の材料としておすすめなのは以下だそう。
―サバ(バナナの一種)
-パイナップルの葉っぱ
―フカ(イフガオ州での呼び名。楮に似た灌木で、伝統的には樹皮を布やロープにしたりして使われてきたようです。ベンゲット州ではサクスカ。サバンガンではワカとかカラサンとか呼ばれているようです)
-ウデン(稲わらの第一節から第二節の部分)
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↑フカの乾燥した樹皮です

今回はパイナップルの葉っぱから繊維を取るところからワークショップを開始。
瀬戸物のお皿を使って繊維を取ります。志村さんが見本を披露。
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灰汁や苛性ソーダで乾燥済みの繊維を煮ます(煮熟というそうです)。煮た繊維は川の水で4回すすぎます。

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それを棒や木づちで根気よく叩きます。子供たちはだれからともなく「サリドマイ」の伝統歌を歌いながら作業します。気が付いたら女の子たちは遊びに行ってしまって男の子のみが辛抱強く力仕事。
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できた紙の素(紙素(しそ)という呼ぶそうです)をタライの中で水に溶きます。そしていよいよ漉き枠に流し込みます。
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紙同士がくっつかないようにペロンと呼ばれる不織布の間に漉いた紙をはさみ、木で作った簡易プレス機に置いて上に材木を乗せ、ジプニーから借りてきたパンク修理用のジャックで圧力をかけてぺちゃんこに。
コンクリートの壁や木材の上などに広げて乾燥して出来上がり。
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子どもたちは、身近な植物がどんどん姿を変えて紙に変わって行く様に大興奮です。先を争って紙漉きに熱中していました。いつも教室で使っている真っ白なツルッとしたコピー紙とは全然違いますが、世界に二つとない自分だけの紙の完成です。
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パイナップルの紙は上品なアイボリー・カラー。
フカの紙は木の香りがしそうな薄茶。
ウデンの紙は鮮やかな稲穂の黄金色。

最後はいたずら心がむくむく芽生え、葉っぱを入れてみたりしてオリジナル紙づくりに発展。
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できた紙は厚かったり薄かったり、乾燥させた木材の木の目が写っていいたり、枠の作り方がいまいちだったのもあったようで端がぼろぼろだったり、なんだかシミがついていたり。。。。
紙漉きマスターの志村先生に怒られそうな出来栄えでしたが、後日こんなメールが届きました。

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この紙は灰汁煮熟、手打ち、一部天日乾燥など和紙にはほぼ見られない伝統技法で行なわれています。持って帰って工房で乾燥中の紙は太い繊維、砂、ゴミ、チリなどが入っていますが、生徒の顔が浮かんできます。物語の見えない紙はつまらない。一般的にはREJECT(不良品)ですが、よく鑑賞すると、物語や生徒の顔が浮かんでくるかも知れません。
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この紙を使って11月には大阪の木版画家・ふるさかはるかさんが土絵具を使った版画ワークショップをファシリテイトしてくれることになっています。とても楽しみです。

ふるさかさんのHPはこちらです。
http://www.harukafurusaka.net/



紙漉きワークショップのその他の写真はこちらのCGNのWEBアルバムで。
https://picasaweb.google.com/101439197484450138832/AsaoPaperMakingWorkshopLaganSabanganByHzk?authkey=Gv1sRgCLT1t6aHqKanowE#
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by cordillera-green | 2012-09-27 11:11 | 環境教育

アートを活用した環境教育ワークショップ。 サバンガンにて次々実施中です。

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フィリピンで一番長い川、チコ川の源流のあるカラウィタン山のあるのがマウンテン州のサバンガン町。標高2714メートルのカラウィタン山はコーディリエラ山岳地方で3番目に高い山。希少な野生動物や野鳥も生息しているとあって、生態系の保護も重要課題。一方、収入源のないサバンガン町はこの自然を観光資源として収入につなげられないかと目論んでいるようです。

観光開発は一歩間違えるととんでもない方向に行きがち。エコツーリズムという言葉もあちこちで聞くようになりましたが、どこかイメージだけが先行しているようで、具体的に何をしたら「エコ」な観光開発なのか? と試行錯誤のサバンガンの人たちのようです。
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そんなサバンガンで当たり前で身近な「自然」や「環境」をもう一度見つめ直そうというのが、CGNが実施中の「子どものためのアートを活用した環境教育モデル事業」です。自然を素材としたり、環境問題をテーマとした作品を作っている様々な分野のアーティスト達が、小学校やハイスクール(中学校)の生徒たちを対象に、練りに練ったモジュール(カリキュラム)でアートを使ったワークショップを開催してくれています。分野はダンスや演劇などのパフォーマンス・アートから、インスタレーションや版画などのヴィジュアルアートまでさまざま。できるだけ外からいろいろなものを持ち込まず、村内にあるものを使って、自然や環境ををテーマにアートし、「なーーんだ」って当たり前だったものを再発見しようという試みです。

パフォーマンス関係では、身近な自然をテーマにした詩作をして、それをパフォーマンス作品にしたり、村の老人たちから取材した民話をお芝居にして森の中や畑の中など村の中のいろいろな場所を舞台にして創作劇を発表するワークショップをすでに開催。
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ジェロとジェイソンがファシリテイトした環境演劇ワークショップの写真はこちら
https://picasaweb.google.com/101439197484450138832/ReyAngeloTheaterWS
https://picasaweb.google.com/101439197484450138832/AsayoYamamotoAngeloAurelioJasonDomlingWorkshopByHzk

はるばる日本から来てくれた山本麻世さんのワークショップでは、30年ほど前まで素焼きで水瓶などを作っていたという村で子供たちと粘土を探しに行って粘土作品を制作。
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山本さんのワークショップの様子の写真はこちら
https://picasaweb.google.com/101439197484450138832/AsayoYamamotoClayWS

在マニラの女性アーティスト・アルマ・キントさんは、端切れを使って村のゴミ問題をテーマとしてカラフルな布のタピストリー作り。先週末は、在ベンゲット州の手漉き紙と豆本作家の志村朝夫さんによる手紙漉きワークショップ。
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アルマさんのワークショップの様子の写真はこちら
https://picasaweb.google.com/101439197484450138832/AlmaOuintSWorkshopInSabanganIn
https://picasaweb.google.com/101439197484450138832/AlmaQuintoStitchingWorkshopPoblacionSabanganMtProvinceByHzk

毎週毎週、メニューと会場の学校を変えての連続ワークショップで、スタッフも目が回る忙しさですが、参加者の子どもたち同様、ワークショップを目いっぱい楽しんでいます。

先日は、10月5,6日に予定されているワークショップのファシリテイター、ガノの修復中の工房を打ち合わせのために訪問。流木や川石で作った力強い作品を見せていただきました。どんなワークショップになるかとっても楽しみです!
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  ↑昨年はスイスのアート展で受賞のガノくん。ワークショップよろしくね~。
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by cordillera-green | 2012-09-24 18:35 | 環境教育