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カテゴリ:環境教育( 57 )

マララオ村小学校で環境教育プログラム

 前回のブログで上半期を終えたとお知らせしたカリンガ州マララオ村での植林事業。3年目を迎えて、事業は直接受益者の住民の方だけでなく、村に住んでいるみんなに知れ渡っています。一つずつある高校も小学校も、事業への参加へとっても熱心。
 今回はアートを使った環境教育プログラムをマララオ小学校で実施。なんで、お父さんやお母さんが一生懸命木を植えているのか、やっぱり子供たちにも伝えなくっちゃ。
 それにしても子供たちの表情は豊かです。

まずは環境教育アニメを上映。ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)制作のMina`s Villageシリーズです。
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見てください。この真剣な子供たちの表情!
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苗木作りもフォレスターが指導します。
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土にかえるゴミ。リサイクルできるゴミ。なかなか土に還らないプラスチック製のゴミなどの仕分け方法を教えながら、ゴミアートを、フィリピン大学バギオ校芸術学部のヴィンス君が指導
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ジェロも演劇を使った環境教育。小学生対象はあまり経験がなかったみたいですが、すごく楽しかったみたい。Anak di Kabiligan シアターグループのロジャーも前期と後期の間の休暇を利用してアシスタントで参加してくれました。
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ジェロには、改めて環境演劇に焦点を絞ったワークショップのリクエストが。 
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今回のセミナーの講師陣です。ジェロ、リリー、ヴィンス、ロジャー。
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休暇中でフィリピン大学バギオ校芸術学部のキセルも記録係とアシストで同行してくれました。
さすが芸術学部、素敵な写真をたくさん撮ってくれました。
いつもこのくらいの人数のスタッフを連れていけると、みな余裕があっていいなあ。
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キセルの子供たちの写真を何枚かご紹介。
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キセルの取ってくれた写真はfacebookの彼女のアルバム「Tabuk, Kalinga: Tale of the Binunger」にもアップされています。
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by cordillera-green | 2011-10-25 17:00 | 環境教育

台風被害のイフガオで、今こそ環境教育

 フィリピンを1週間で二つの大きな台風が襲い、マニラ北部のブラカンなどでは大洪水で、大きな被害が出ました。知り合いの事務所のブラカンに住むスタッフは3日間を屋根の上で過ごしたとか。
 ニュースはもっぱらマニラとブラカン周辺の被害を伝えていますが、北ルソンの被害も甚大。特にイフガオ州では、世界遺産の棚田に向かう国道の橋が落ちて、渡し船と竹橋で急をしのいでいるとのことです。
 昨日のInquireにも写真入りで記事が掲載されていました。まだ、いたるところで道路の閉鎖はまだ続いており、陸の孤島と化している村がたくさんあるそう。なにしろ、電気も携帯電波もなくなってしまったので、「一体どこで何が起こっているのかが把握できないのが問題」というのが政府関係者のコメントです。
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 そのイフガオでCGNは久々の環境教育プログラムをイフガオ州国立大学で企画しています。10月14日の大学の創立記念日の関連事業として大学に海外青年協力隊員として駐在している木村暁代さんのコーディネイトによるものです。日程は来週に迫っているのですが、インターネットはほとんど通じなくなり、携帯電話でもテキストメッセージも届いたり届かなかったりという状態で、プログラムを実施できるのか心配していましたが、今日ようやく木村さんからGOサイン! CGNスタッフはスパートをかけて準備を開始しました。

 おもなプログラムは以下の通りです。
‐環境演劇ワークショップ11-14日
‐環境演劇公演 14日(大学のLamutキャンパス) 15日 キアガン
・環境映画上映会 12日&13日 ※13日はアボンの今泉光司監督のトークも
・日比友好写真展 12日~
・稲わら手漉き紙ワークショップ 12日
・竹楽器作りワークショップ 13日

 ううむ盛りだくさん。環境演劇ワークショップには、5月に日本に行った環境演劇グループ「アナク・デ・カビリガンAanak di Kabiligan」のメンバー4人がサポートで参加。また、稲わら紙漉きワークショップの現地コーディネイターも「アナク~」のメンバーです。撒いた種がコーディリエラのあちこちで芽吹いているようでうれしいですね。
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by cordillera-green | 2011-10-05 18:20 | 環境教育

青年海外協力隊・木村さんからのうれしい報告です

フィリピンで活動している青年海外協力隊(JOCV)はたくさんいるようですが、コーディリエラ地方で活動しているのは、現在、イフガオ州のイフガオ国立大学(IFSU)に配属されている木村暁代さん一人とのこと。日本語の事業や日本文化紹介などとともに、環境問題にも関心の高い木村さんのコーディネイトで、IFSUでエコシアターキャラバンを実施した時のことを、木村さんがJOCVフィリピンの機関誌「TARABAHO」に寄稿してくれました。エコシアターキャラバンが地方でどんなふうに受け入れられているかとてもよくわかるので、木村さんの許可をいただいて、転載させていただきます。
ちなみに、この企画がとても評判がよかったので、来月のイフガオ州国立大学の設立記念日でふたたび環境シアター・ワークショップが実現しそう。楽しみです!

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イフガオの「こころ」を教えてくれたのは、
学生たちでした


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    ↑イフガオの伝承より。わが子の誕生の喜び!

★ECO THEATER CARAVAN@IFSU!
環境NGOコーディリエラ・ネットワーク(以下CGN)の代表、反町眞理子さんに初めてお会いしたのは2010年9月の終わりのことでした。CGNはコーディリエラ山岳地方で2001年から活動している環境NGO。以前からCGNの演劇を通した環境教育プログラムに興味があった私は、「イフガオ州立大学に是非来て頂けませんか?」とお願いしたのです。
大学とJICAにも経費の支援を頂き、そして迎えた1月27日。大学の会議室にファシリテーターのAngelo・Aurelio(以下ジェロ)さんのもとに緊張した面持ちの学生たち(年齢は16歳から30歳!) が集まり、いよいよ4日間の演劇ワークショップが始まりました。
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    ↑オープニング。イフガオの魂を聴け!

大半が演技の経験は全くない学生たち。ジェロさんは発声、体の使い方など基本的な演劇のメソッドを教えながら、一人ひとりとコミュニケーションを取ることでそれぞれの個性を見極め、才能を引き出しています。自分をさらけ出さなければならない演技のトレーニングは体力以上に精神的にも大きな負担。たくさんのジョークや笑いと共に時には激しく叱り飛ばすジェロさんに必死でついていこうとする学生たちにも疲労の色が見えだします。2日目終了時点で「自信がない」「出来ない」という声がちらほら。実際脱落者も出てきました。一体、最終日の夜に本当に上演が出来るのだろうか…そんな不安がよぎります。もっとも彼らの名誉のために言えば、その中には週末にかけてのワークショップだったために下宿生活費がなくなり、不本意ながらも実家に帰らざるを得なかった子たちも少なくなかったようで、これは完全に日時をコーディネートした私の責任。現状認識が甘かったのです。もう一つの心配は観客数。こんなに頑張っている学生たち。もし観客が全く入らなかったら、どんなに傷つくだろう…心が休まらず、準備の合間を縫って開演1時間前まで大学周辺でひとりビラを配り続けました。
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     ↑劇中では伝統的な暮らしを再現 
1月30日夜7時。上演時刻。嬉しい誤算、400人は入る会場は学生や近隣住民で満席。座りきれない人が出るほどです。ジェロさんとCGNテクニカルチームの演出に観客も沸き、日本語クラスの学生たちも「今日の日はさようなら」「ビューティフル・サンデー」の歌とダンスを披露。そして37人の学生たちの演劇は私の予想をはるかに超えた力強く素晴らしいものでした。
その日上演された3つの演劇はイフガオの伝承、もう一つは現代劇にイフガオの伝承を絡ませ自然保護とコミュニティへの想いを訴えたもの。民族衣装に身を包み、イフガオの言葉トゥワリ語で演じ、踊り、歌う学生たちの何と凛々しいことか。表現することの喜び、自らのアイデンティティへの誇り。誰もが自分の力を精いっぱいに出しきった、忘れられない一夜となりました。

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    ↑生まれて初めて民族衣装を着たという学生も少なくなかった 
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    ↑故郷への想いを歌う

終了後の学生たちのワークショップについての感想文から一部を紹介します。
[It more more to love my identity and understand the Environment.]
[I came to realize how rich our culture is and was able to appreciate its inner eauty.]
[I love Ifugao very much because this is my hometown. I would gladly do all my best to protect this place.]
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     ↑力強い歌声の中、堂々たるフィナーレ!

環境問題について、単純に「人間VS自然」「文明VS自然」「人間が滅びるか、地球が滅びるか」などと言うことは出来ない、と思うのです。環境破壊が行われるとき、自然災害が起きるとき、犠牲になるのは木々だけではなく動物たちだけではなく、抑圧された立場の人々です。先進国や都会の人々が豊かに暮らすための開発に伴う自然破壊は、自然と共に生きる人々の暮らしや伝統文化を破壊することでもあります。
厳しい自然の中、精霊を敬い、誇り高く生きるイフガオの知恵を、忘れられつつあったメッセージを、あの夜すべての出演者と観客が感じたと思います。たとえ、まだ言葉にならないものだとしても。
そして、人間が生きていく上で、「表現すること」がどれほど大切なことかを、ときに感動が知識や思考以上に強く人を動かす力を持つことを、私は学生に教えられました。その夜中、興奮で眠れなくなった私は、一度は勉強したのに、ほとんど通じないからと投げ出してしまっていたトゥワリ語のノートを久しぶりに引っ張りだしました。イフガオの文化を、ここに暮らす人々のことをもっと理解したくなったのです。

もう一つ嬉しかったこと。一緒に夜遅くまで働いてくれたカウンター・パートからの思いがけない一言。
「これで終わりにしちゃいけない。もう一度やろう。続ける努力を、資金を作る方法を探そう。イフガオの各地でこのシアターを上演しよう。」
イフガオの熱い誇りを胸に、フィリピン、そしてこの地球のために行動する人々がこの大学、この山の中の小さな町で育つことを私は願っています。そしてその中の1人に私もなりたい。これは播かれたばかりの小さな種にすぎないかもしれないけど、でもきっと大丈夫。だってイフガオの人々ほど「打てば響く」人々を私は知りませんから。

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by cordillera-green | 2011-09-12 20:51 | 環境教育

まにら新聞にCGNの環境教育事業が紹介されました!

1月31日付けのまにら新聞に、コーディリエラ・グリーン・ネットワークが設立以来10年間続けてきた先住民族の若者を対象とした環境教育プログラムについての記事が載りました。環境演劇グループ「ANK DI KABILINGAN」グループの先住民族の子供たちへのインタヴューも交えてくれて、とても素敵に紹介してくれました。わざわざ、イフガオまで取材にくて下さった記者の大矢さん、丁寧なご取材どうもありがとうございました。

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しかし、あまりに新聞的な見出しですねええ。
これを新聞語って言うんでしょうか?
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by cordillera-green | 2011-02-08 11:33 | 環境教育

Anak di Kabilingan(山の子供たち)の再会と環境演劇上演

 2010年5月にベンゲット州レパントで行った環境教育ワークショップのアウトプットとして制作された環境演劇の上演(キープ協会主催/地球環境基金助成)を、イフガオ州フンドアンでの「環境と平和のためのコミュニティ・アート・プロジェクト」のトリとして行いました。
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5月のワークショップに参加した6州からの若者たち40人のうち35名が参加(参加者グループは、いつも間にやら、過去3回行ったコーディリエラ・ユース・エコサミットのテーマだった「Anak di Kabilingan-山の子供たち」劇団とよばれるようになっています)。半年振りの再会を喜び、忘れかけていたお芝居の練習を急ピッチで行い、会場となるハパオ小学校校庭のくさーーーいステージを徹底的にお掃除し、手漉きの紙や現地調達の枝やら葉っぱやらで飾りつけ、とても久しぶりの公演とは思えない堂々としたステージを見せてくれました。(たった3泊4日のうちにです!)
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5月のワークショップでファシリテイター務めてくれた吉田智久さんが参加できなかった分、もう一人の演劇ファシリテイター・ジェロ君が大活躍。5月に制作した「Golden Arrow」の主役の二人が参加できなかったために、急遽、新しい作品を作って上演してくれました。

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それにしてもさすがに若い! 参加した子供たちの集中力は素晴らしいものがありました。
半年振りに再会し、
「この時間が今しかない」「限られた機会だ!」
ということを、前回以上に実感しているのだと思います。一瞬一瞬を大切にしたいという、まっすぐなまなざしにこちらも心がピンとしました。
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 ゲストとしてパフォーマンスを披露してくれた日本のアーティストの方たちからも、言葉はわからなかったが素晴らしいステージだったとお褒めの言葉をいただきました。
ハパオ小学校に集ってくれたコミュニティの方たちにも、「コーディリエラ先住民族の伝統を見直し、環境保全につとめていこう!」という、出演者からのメッセージが届いてくれたものと確信しています。
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     ↑KURIはコーディリエラ山岳民族のミュージシャン・エドガーとケントと共演しました。

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      ↑Kabuku Mai ダンサーのJUNさんは、シタールの南澤さん、
       サックスと笛の山本公成さん、KURIの即興演奏とともに、
       素晴らしいゲストパフォーマンスを披露してくれました。

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       ↑今回もステージセットアップから演奏までまで大活躍のエドガーさん。
        ありがとう!

Anak di Kabilingan Thetar Group「山の子供たち劇団」、今年4月に国際交流プログラム参加のため、15人が日本を訪問することが決まりました。
彼らの目に日本はどんな風に映るでしょうか??
日本ではどんな笑顔を見せてくれるでしょうか?
何でも吸収できる若さいっぱいで、野性味十分、感じる力も全開の若者たちの、ジャパン・ツアーとっても楽しみです!
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        ↑4月!日本で会いましょう!!

※写真は日本から参加してくれた写真家・直井保彦さんの撮影です。
 素敵な写真をどうもありがとう!
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by cordillera-green | 2011-01-10 17:39 | 環境教育

イフガオ州フンドアンでの環境教育プログラム--    まずは環境アートワークショップのご報告!

遅ればせながら、あけましておめでとうございます!
年末年始を日本で過ごし、フィリピンに戻りました。
昨年の出来事は昨年のうちに! と思っておりましたが、予想通りあわただしい日々で、年が明けてからの報告になりました。

2010年12月、キープ協会の「フィリピン北部山岳地域における青少年育成のための環境教育推進事業」(独立行政法人 環境保全機構 地球環境基金助成)の一環として、環境演劇公演と環境教育アートワークショップを、イフガオ州の世界遺産の棚田の村、ハパオ村とバアン村で行いました(協力:スンダランド・アートネット/AmanTO天然芸術研究所)。
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    ↑Photo by Yasuhiko Naoi(直井保彦)

イフガオ州のバナウエ、キアガン、マヨヤオ、フンドアンの4つの郡は、ユネスコにより世界文化遺産に指定されています。しかし、森林破壊や棚田での働き手の不足から、耕作を放棄された棚田が増え、2001年には世界危機遺産に指定されてしまいました。イフガオ州の棚田の保全には、過去、日本からは、ユネスコが棚田と伝統文化保全のための活動をサポートしてきたほか、JICA-NGOの技術協力プロジェクトで森林保全やライブリフッド事業などが行われてきました。コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)も、「東芝150万本の森作り」のサポートを受け、2007-2009年にマヨヤオ郡バランバン村とフンドアン郡ハパオ村で、アグロフォレストリーと植林事業を行いました。

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         ↑Photo by Yasuhiko Naoi(直井保彦)

 さて、世界遺産の貴重な棚田の崩壊の原因のひとつが森林破壊です。イフガオ民族は生まれながら芸術センスを持ち合わせているといわれ、その木彫りの伝統の技は類を見ません。それゆえ、海外からの大型の木彫り像の注文などなどがあとを絶たず、古来の暮らしでは生活用品にのみ使っていた木彫りが、輸出用の置物や家具、棚田観光のお土産品などとして大量に作られることになりました。それに伴って、材料の木材が、イフガオ州の森林から次々と切り出され、森林は見るも無残な状況となっています。
 もともと、イフガオ族は世界8不思議の一つに数えられる、急峻な山肌に作られた膨大な数の棚田に水をいきわたらせるために、棚田の上のほうにある森林には手を入れず、水源地として先祖代々たいせつに守ってきました(そういった森林保全の伝統の方法は「ムヨン」とか「ピヌグ」と呼ばれています)。近年ではその風習さえも失われつつあり、昨年のエル・ニーニョによる水不足では、たくさんの棚田の水が枯れ、稲が育たないというかつてない事態まで発生しました。

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 そういった背景を踏まえ、今回のフンドアン郡ハパオ村での環境教育ワークショップのテーマは「稲わら」としました。世界遺産の棚田で収穫されている米の稲わらを使って紙を漉き、それを使ってランタンやカードなど作る指導をしようというものです。チープなお土産品を作るために何百年もかけて育ってきた木を切るかわりに、今まで不要とされていた自然素材を使っての新しい工芸品作りの可能性を紹介しようというもの。今回のワークショップの参加者は、ハパオ村とお隣のバアン村の小学生たちです。手漉き紙作りの講師は、ベンゲット州のカパンガン郡ポキン村に暮らす日本人の紙漉き職人・志村朝夫氏。「ウドン」と呼ばれる、稲わらの穂に近い部分が手漉き紙の材料としてたいへん優秀とのことで、志村氏は以前から試作を続け、ホワとよばれる潅木の樹皮との混合や、コンニャクによる加工で強度や防水性を増す方法を実験してきています。

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     ↑子供たちに楽しそうに紙漉き指導をしてくださった志村氏。
      こだわりの紙漉きのプロです。

 手漉き紙ワークショップに参加した子供たちは、暮らしの中で見慣れた「ウドン」が、黄色がかった素朴な紙に姿を変えていくのが面白くて仕方がなく、競い合って紙漉きを行いました。
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  ↑子供たちが漉いた紙はこんな風に乾燥させました。

子供たちが漉いた紙は、乾燥し、田んぼに浮かべるランタンとクリスマス・カードの素材に使われました。ランタン作りの指導は、大阪のAmanTo 天然芸術研究所からきてくださった純さん、育ちゃんのお二人。稲わら紙より少し丈夫なパイナップルを素材とした手漉き紙での凧作りの指導もしてくださいました。
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    ↑ワークショップは小学校の校舎で行いました。
     最初は教室の中でまじめにやっているんですが、そのうち先生も生徒もみんな外に。
     棚田の景色が目の前に広がる素晴らしい環境の学校です。
     生徒たちものびのび育っています。

木版画によるクリスマス・カード作りのほうは、フィリピン大学(UP)バギオ校のファラ教授と生徒の皆さんが指導してくれました。
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     ↑指導に来てくれたフィリピン大学バギオ校のみなさん。ありがとうございました!
      Photo by Fara Manuel

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      ↑凧には、棚田の村に森がよみがえり、鳥やワシが戻ってくる日を願って
      UPバギオの先生と生徒の指導でこんなカラフルな鳥の絵が描かれました。

最後には参加の子供たちみんなで、いつか村と森に鳥やワシが戻ってくる日を夢見て凧揚げ。元気に凧を上げて飛び回る子供たちの明るい声が、棚田に響き渡る素晴らしい時間でした。

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     ↑Photo by Yasuhiko Naoi(直井保彦)

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     ↑Photo by Yasuhiko Naoi(直井保彦)
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by cordillera-green | 2011-01-09 20:56 | 環境教育

エコシアター・キャラバン、                カバヤンとタジャンで開催!

 前回のブログで報告した6つの州からの学生による創作環境演劇の上演をメイン・プログラムにすえた「エコ・シアター・キャラバン」を、ベンゲット州カバヤンとマウンテン州タジャンで開催しました。カバヤンとタジャンは、両方とも2007年12月のエコサミットの参加コミュニティです。2年半ぶりの環境プログラムの実施で、コミュニティにまいた環境教育の種がどう芽吹き育っているかにも関心がありました。
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   ↑カバヤンの劇団もゲストで民族ダンスを披露してくれました。

 うれしいことに、このふたつのコミュニティでは、コミュニティ・ベースの演劇グループが継続して活動を行っていました。カバヤンでは、3年前の環境演劇ワークショップ開催以来継続して「Tanghalan Niyal ni Kabayan(TNK=カバヤンの光) 」というグループが、演劇だけでなく、若者たちによるエコクラブとしてさまざまなコミュニティの環境保全活動を行っているとのことでした。カバヤンは、プラグ山国立公園を擁し、また、ミイラの伝統文化があったことでそれを紹介する小さな国立博物館もあります。また、集団埋葬のあとではないかといわれる「ブリアル・ケイブ」と呼ばれる数百の頭蓋骨が発見された洞窟も一般公開されていて、観光客も多いところです。エコ・シアター・キャラバン中も、町の子供たちによるキャンプが行われていて、村の人たちはふたつの大きなイベントに大わらわの様子でした。
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          ↑スタッフも学生たちと一緒にブリアルケイブを訪ねました。
           環境演劇ファシリテイター、ジェロと、CGNボランティア、シェイ

 カバヤン郡の各村のバランガイ・キャプテン(村長)や役場職員を対象に行った、村の資源の保全をおもなテーマとした環境教育セミナーでも、エコ・ツーリスムに関する質問がたくさん寄せられ、ここ数年で観光客の増加とともに、観光資源でのある森林や水保全に対する関心の高まりを実感しました。
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        ↑環境教育セミナー&ワークショップのファシリテイターは
         自身、エコツアーも企画する環境家、JPアリピオ
 
 演劇グループは、メンバーが変わりながらも機会のあるごとに過去の作品の上演やイバロイ族の民族舞踊の上演をコミュニティで行っているようですが、やはり指導者がいないと新しい作品の創作はむずかしいとのこと。今回のキャラバンでも、ぜひ、新しいメンバーのために環境演劇創作ワークショップをしてほしいというリクエストが寄せられ、ジェロによるワークショップを行いました。また、夏休み中の若者や子供たちには楽しいアートを使った環境教育指導をということで、エコ・バッグに絵を描く「エコバッグ・アート・ワークショップ」も同時開催しました。
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     ↑カバヤンの劇団を率いるのは役場職員のケネット
      今回のキャラバンも地元側でのコーディネイトもしてくれました。

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     ↑カバヤンからの代表で今回のプログラムに参加したナタリンの
      演技力には脱帽。見事なおばあちゃん役。これで本当に14歳!?

 マウンテン州タジャンの演劇グループは、数週間前に結成されたばかりとか。2007年のエコサミットに参加したロイが、マウンテン州の州都ボントクを拠点とするコミュニティ・シアターグループ「Obon ni Malayad」で修行を積んで、ふるさとのルボン村でコミュニティ劇団を作ることにしたそうです。
「まだまだ、人に見せられる段階では・・・・」とロイは言っていましたが、
「いい機会なので、ぜひ、舞台で」
とお願いして、上演してもらいました。練習をはじめて数週間とは思えないなかなかのショウで、地元劇団の登場にお客さんも大喜びでした。
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        ↑ルボン村の劇団もゲスト出演
  
 ルボン村でも日中、教師とバランガイの役員を対象とした環境教育セミナー、若者向けの環境創作演劇ワークショップ、子供向けエコバッグ・アート・ワークショップ、それに女性たち向けのリサイクルペーパー・ワークショップ、さらに、一般農民向けの有機農法とアグロフォレストリーのセミナーを行いました。
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         ↑ジェロの若者向け環境演劇ワークショップ

 10日間の環境演劇創作ワークショップから、移動を含めて4日間の「エコ・シアター・キャラバン」まで、2週間のプログラムを一人の脱落者もなく、無事終了しました。さすがに、全速力で突っ走ってきた参加の若者たちも、別れの朝には疲れ気味。昼夜40人のはじける若者たちに付きっ切りで指導に当たってくれた吉田氏も、気が抜けたのとほっとしたので
「修了証書を渡している最中で、さすがにめまいが襲ってきました」。
 しかし、その足でそのままマニラへ 今月末に予定されている次なる公演の準備に向かいました。いや、参加者に負けずにタフですよ!

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    ↑吉田さんも子供たちとダンス!

 40人の参加の若者たちが、この2週間で学んだことをじっくりと振り返り、どう、コミュニティに還元していけるかを考えるのはこれからの作業になるかと思います。初日には、お互い口をきくのさえためらっていた参加者たちが、最後の夜には涙を流して別れを惜しみ、しっかりと抱き合っていたのが何より印象的でした。
 外国人である私たちから見れば、コーディリエラの山岳地方の小数民族はひとくくりに思えますが、UPバギオ校の文化人類学者によれば、民族の数は21。彼ら自身の中では、もっと細かく自分の民族のアイデンティティを規定しています。そして、いまだその民族間で「トライバル・ワー」と呼ばれる紛争が起こり、殺し合いにいたることさえあります。コーディリエラ地方は、地理的な条件や開発の遅れから閉鎖的であるがゆえに、古き良き伝統や風習が残っていますが、一方で、トライバル・ワーのような風習が現代的に銃を使うなど悪い方向に形を変えて残っている面もあります。参加の若者たちが、ほかの民族の若者との間に友情や恋を芽生えさせたときに、彼らの社会も一歩ずつ協調に向けて歩み始めるのではないかと思っています。 

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      ↑修了証を全員に渡しました。ごくろうさま
       写真は、すごいタレントの持ち主マウンテン州サバガン出身のカール君。

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      ↑カール君、自分でばあさん役をやらせてくれと申し出たそうです。
       これで15歳。すえおそろしや。
       この才能を伸ばしてあげたい…… 

 コーディリエラ地方はこのエコ・シアター・キャラバンに前後して本格的な雨季に突入しました。道路事情の悪いこの地域では、雨季の移動は危険をともないます。参加の若者たちを集めての次回のキャラバンは雨期明けの10月半ば。学校の前期と後期の間の休みの期間を予定しています。参加の若者たちにどんな成長が見られるか、若者たちが再会の喜びをどう表現するか、今からとても楽しみです。

  
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       ↑突然参加して大活躍してくれた日本人ボランティア・たかしと
        手前は、今回のプログラムで最も成長著しかった
        マウンテン州バナウ村出身のヤンキー

 最後に、この2週間、豊かな知識と経験と力を、コーディリエラ地方の環境保全と若者たちの成長のために惜しみなくわかちあってくださったファシリテーターやボランティアのみなさま、どうもありがとうございました。今回のキャラバンの会場だったカバヤンやタジャンで数年前にまいた種が育っているように、皆様方の努力がきっと実を結ぶ日がくると信じています。

  
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           ↑ステージセットから、民族音楽指導、ステージ音楽担当、
           そしてステージで歌まで披露してくれた、裏方の雄・エドガー。
           ありがとう!

エコ・シアターキャラバン、カバヤンでの写真はこちらのアルバムで!
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by cordillera-green | 2010-06-09 13:11 | 環境教育

10日間環境演劇創作ワークショップ

 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、キープ協会の環境教育事業「フィリピン北部山岳地方のおける青少年育成のための環境教育推進事業」(地球環境基金助成)の現地カウンターパートとして本年度の活動を開始しています。
 この事業は本年度が三年目の最終年。今まで、積み上げてきた山岳地方6州での創作演劇をツールとした環境教育プログラムの集大成として、よりインパクトの強い教育プログラムを、森林や水など山岳地方の資源保全の鍵を握っている山岳地方の村に届けたいというのが本年度の目標です。今年の事業対象地域は、国立公園がある村や、豊かな自然と環境保全の風習をなんとかいままで保持してきている地域を考えています。
 また、これまで青少年向けの環境教育の種を蒔いてきたコミュニティで、それぞれ自主的に演劇を使った環境教育活動を継続していけるような基盤を確認していきたいとも思っています。さらに、いまだ、民族間で壁のある6州の人々が、同じ環境保全という目標に向かって、事業終了後も協力し合って行けるようなネットワーク作りを目指しています。

 大騒ぎのフィリピンの総選挙が終了した直後の5月半ば、長期のフィリピンの夏休みを利用して、10日間の環境演劇創作ワークショップを行いました。参加者は2007年12月、2009年1月、そして2010年1月の今まで3回開催された「Cordillera Youth Eco Summit」に環境演劇の発表で参加したコーディリエラ6州の若者たち。今まで環境演劇の創作に遠い村まで足を伸ばし環境と演劇分野の指導を担当してくれたファシリテイターたちから、積極的だった学生、表現力が豊かな学生、新しいことを吸収する可能性のある学生、学んだことを人に伝える能力をもった学生などを推薦してもらい、40名が参加してくれました。2007年時の高校生は今は大学で学んでいる学生もいて、19歳を最年長に、下はまるで子供のような12歳までの、6州の14のコミュニティ(郡)からの参加になりました。

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   ↑参加者とスタッフ。タジャンの公演を終えて。

 指導者陣は、現地カウンターパートとして今のCGNがコーディネイトできる日比のベストのファシリテイターたちが、スケジュールを調整して指導にあたってくれました。

・環境教育-Marjie Amistoro(デ・ラ・サール大学)/Mabel Batong/JP Alipio
・環境創作演劇―吉田智久/Gelo Aurelio
・ダンス・ワークショップー西尾純(Jun Amanto)
・アース・ミュージックーArvin Villalon(UPバギオ)
・山岳地方民族音楽―Edgar Banasan

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    ↑環境演劇担当・ジェロ

ワークショップの10日間は、合宿制で行われ、午前中と午後早い時間までは、ぎっちりワークショップ。午後の遅い時間から夕食後の時間は、今回のワークショップの成果として発表する環境演劇の創作と練習の時間に当てられました。
 とてもとてもここでは書ききれない充実した盛りだくさんのワークショップの内容。環境に関する基礎的な知識を学ぶものから、山岳民族が伝統的に伝えてきた環境と深く結びついた発声法や身体表現のあり方の見直し、そして、それら学んだことをどう演劇の中に表現していくかなどなど・・・・若い参加者たちは、実に柔軟にファシリテイターたちの意図を解し、スポンジのようにそれを身体の中に取り入れ、そして10日間という限られた日数の中で自分のものとして表現に結びつけて行ったかは目を見張るものがありました。ずいぶん前に成長のすっかり止まっているこちらコーディネイト側の大人がついていくのがたいへんなぐらいでした。
 10日間全てのワークショップにオブサーバーとして参加し、もちろん自身も10日間みっちり創作環境演劇の指導に当たってくれた吉田智久氏いわく。
「この40人のうちの10人から12人くらいは、まるで別人のようにこの10日間で変わったと思います。驚きです」
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    ↑日本代表の環境演劇創作フェシリテーター・吉田智久(後姿ですいません)

 ワークショップの成果としては2つの環境演劇作品が創作されました。
一つ目は吉田智久氏が指導した「Enemy of the People(民衆の敵)」。イプセン作の脚本をベースに、コーディリエラ地方の環境問題や社会状況に適したように、参加者たちが内容を練って作り上げた作品です。水質汚染をテーマとし、それをめぐるコミュニティの人々の「環境かお金か」という確執を扱った社会派ドラマ~~~と思いきや、舞台では参加者の3枚目的なキャラクターが前面に出て、観衆の笑いを誘うコメディタッチの場面も多い楽しい作品になりました。(吉田さんの悪戦苦闘の様子はCGNスタッフ・ブログで毎日報告してくださっています)。
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二つ目はもう一人の在バギオの創作演劇ファシリテイター、Gelo Aurelioが担当した「Folktale(民俗説話)」。参加者の学生たちには、宿題としてそれぞれのコミュニティに伝わる環境保全や環境破壊に関係した民話を、老人たちに話を聞いてもってくるようにと指導していましたが、それらの説話の中から、3つの選び、オムニバス式でひとつの作品としました。

1.The Golden Arrow(金の矢)
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2.The Legend of Arimuran Fruit(アリムランの伝説)
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3.The Legend of Barangay Paco(パコ村の伝説)
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 私は10日間の全てのプログラムに参加はできず、ワークショップ会場のレパントとバギオを片道3時間かけて往復していたのですが、7日目くらいに稽古を見たときには、正直、「この調子で間に合うのかしら・・・」と不安に駆られました。
 が、9日目に会場を提供してくれたレパント鉱山の住人たちを観客として招いて行った発表会では見事に作品として仕上がっていて、ファシリテイターの方たちの指導力と参加の若者たちの集中力に舌を巻きました。
 今年の環境教育事業では「エコ・シアター・キャラバン」と題して、この2つの作品の上演を中心に、6つの州の6つの村を回る予定でいます。同時に会場となるコミュニティの住人向けの環境教育セミナーなども実施していきます。すでに、このワークショップのあとに、ベンゲット州カバヤン・ポブラシオン村、マウンテン州タジャン・ルボン村で、キャラバンを実施しました。その報告は次回のブログで。

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  ↑今回のワークショップの立役者・ジェリー。
   明るくてユーモラスで、みんなを打ち解けさせるのに大活躍。
   吉田氏いわく。
   「彼がいなかったこのワークショップはぜんぜん違うものになっていたかもしれない」

レパントでのワークショップの様子は、こちらのアルバムで!
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by cordillera-green | 2010-06-04 10:32 | 環境教育

お帰りなさい!ヨッシー(吉田智久さん)

 ほんとうに、人と人との出会いに支えられて、日々生かされているなと感じています。

 しかし、CGNの環境プログラムの中核をなす環境演劇の指導をして下さっている吉田智久さんは(こちらでの呼び名はヨッシー)、なんと、8年も前からバギオ市の日系人協会「アボン」で夏休み(4月か5月)に日系人の子供たちのための演劇ワークショップを続けているとのこと。この小さな町・バギオで、私がそのことを知らなかったというのが不思議なくらいです。まあ、私が、かなりへそ曲がりでバギオの日本人社会と離れたところで生きているということなんですが……。
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 とにかく、昨年、ようやくヨッシーと知り合うことができて、いきなり、めちゃくちゃディープな山岳地方の村々に行っていただき、環境演劇製作の指導をしてもらうことになりました。
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      ↑山岳地方の村に向かう道はこんな道なんです

 日本で第一線で活躍していたプロの舞台演出家の方にとっては、周りは私も含めて全員素人、機材もなし、ステージもなし、時々は練習場所の屋根さえなし、ついでに、行き帰りの道路さえなし……という想像を絶する条件のなかで、たぶん最初は「なんでこんなっ!?」と怒りが頭を持ち上げたこともあったと予想していますが、本当に辛抱強く、楽しんで、そして、情熱的に高校生たちの指導に当たってくださいました。
(その様子はCGNスタッフ・ブログで書いてくれています)
「いや、分野じゃないんで」
と頭をかいていた環境問題もせっせと勉強してくださり、いまやプロの環境ファシリテーター並みの知識を身につけています。
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 この経験がはたしてヨッシーの演劇人生にとって何らかの役に立っているかしらん・・・・と、時々、巻き込んでしまった手前、不安に駆られたりしますが、
「子供たちは磨けば磨くだけ光る原石でしたよ」
なんてうれしいことを言ってくれました。
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また、エコサミット参加の高校生たちのいい兄貴分で、言葉の苦手な日本人ゲストの方たちとの間に入って、とりもち役なんかもしてくれていました。先生や、CGNスタッフには見せない(見せられない)、ちょっといたずらな砕けた顔を高校生たちはヨッシーには見せてくれていたみたい。エコサミット後もヨッシーの携帯電話には子供たちからのテックス・メッセージが山のように届いていました。
「日本人ってまじめで暗い人」っていうイメージを思いっきり覆してくれて感謝です。

エコサミット後、日本に帰国してから取材を受けたそうで、読売新聞に「国境越えて出会いを演出」というドンピシャな見出しで記事が載っていました。
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そのヨッシー、4月のCGN主催のアースデイのイベントで、エコサミットに参加した演劇グループが公演すると聞いてバギオに舞い戻ってきてくれました。現在は恒例のアボンでの日系人向けの演劇ワークショップ(様子は北ルソン日本人会のブログで)で汗をかき、今月15日からのCGN主催の山岳民族の子供向けの環境演劇創作ワークショップでもフルタイムで演技指導に当たってくれるばかりか、舞台技術の裏方までもこなしてくださることになっています。
ありがとう! ヨッシー! いい作品を創りましょうね!
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 吉田智久さんのプロフィールはこのページで。
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by cordillera-green | 2010-05-07 18:16 | 環境教育

西尾純の傾舞(kabuku-mai)と環境教育

昨年度のCGNの環境教育プログラムでは、西尾純さん(フィリピンではJUN AMANTOという名前で活動しています)が提唱する独自の身体パフォーマンス「傾舞(=kabuku-mai)」のワークショップを、ボランティアで来比してくださったJUNさん自身の指導で何度か開催しました。対象は山の村の高校生、バギオ市のアーティストたち、フィリピン大学やセント・ルイス大学のダンス・グループのメンバーなどなど。

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↑マウンテン州バナウ村でのワークショップ

「傾舞の創始者であるJUNさんの公演を観ると、素敵な着物で踊ることが多いし、能面を使うし、一見とても和風なトラディショナルなダンスを独自にアレンジしたものかのように思えます。なぜ、その「傾舞」が、CGNの環境教育プログラムなのでしょうか。

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            ↑2009年9月「The Remains」公演(VOCAS)
             Photo by Erik Liongoren
   

一度、JUNさんの身体表現ワークショップに参加していただくとよくわかりますが、傾舞が提唱する基本の身体の動きは、身体の中に二つの軸があるという考えです。バレエに代表される西洋のダンスの身体の動きは、身体の真ん中に1本の軸があって、その軸をできるだけぶれないようにしっかり固定して、それを中心にくるくる回転したりするわけですね。
ところが、JUNさんのワークショップでは、おサムライさんの刀を持ったときの身体の動きに例をとり、日本人の伝統的な身体の動きは、徹底的に西洋のそれとは違うことを説明してくれます。
 日本人は伝統的身体に縦に二つの軸が通っていて、その二つの軸に交互に重心を移動させることで、身体の動きを促していると。それは、無理な力のかからないとてもスムーズで自然で、しかも合理的な動きであると教えてくれます。

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          ↑セント・ルイス大学でのワークショップ
          Photo by Erik Liongoren

 さらに、二つの軸があるという身体表現のあり方は、人の考え方にも影響を及ぼしているそうです。西洋の人々は、その身体の動かし方と同様に、人々が集ったときに必ず中心になる人を求めます。誰かが真ん中にいて仕切ってくれなければ、どうしていいかわからない混乱状態に陥るそう。しかし、身体に二つの軸をもつ日本人は、本来、「中心」というものを求めません。身体の真ん中は、空洞になっていて、そこからあらゆる情報を取り入れることができます。あらゆる情報というのは、(たぶん)他人の考えや、その場の空気や、自然の気配や、神様の意思などなど、文字通り“あらゆる”環境です。そして、他人の考えを受け入れながら、おたがいを尊重して合意を見出すことができるといいます。

 JUNさんは言います。
「西洋の国の人は、環境を語るにも額にシワを寄せ、問題を提起し、解決に取り組もうとする。でも、日本人は、環境を身体の中に受け入れ、それを理解しようとする」。
なるほど。

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     ↑photo by Ruel Bimuyag       
 
世界中を傾舞の公演やワークショップのために旅しているJUNさんは、この身体に二つの軸を持つという身体の動きは、日本のおサムライさんだけではなく、環太平洋の島国の人たちに共通した身体の動きであることを発見します。

JUNさん、もちろん、島国・フィリピンでも二つの軸を持つ伝統ダンスを探して旅してきました。西洋の影響を強く受けているフィリピン文化の中でなかなか出会えなかったそうですが、昨年、キープ協会とCGNが協力して開催した「コーディリエラ・ユース・エコサミット」(カリンガ州ルブアガン会場)でのカリンガ族高校生の伝統舞踊に、その動きを発見しました。しかし、ルブアガンといういまだ閉鎖的な伝統文化と慣習に支配されているかのような山奥深い村においてさえ、西洋の影響が見られ、伝統的な二つの軸を使った動きで伝統舞踏を踊っていたのはごく一部だそうです(素人の私には、まったく違いがわかりません! なさけない・・・)。
  (JUNさんの北ルソンの旅の体験談は彼のブログで。)

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    ↑第2回コーディリエラ・ユース・エコサミット(ルブアガン会場)での高校生の伝統ダンス
    Photo by J.P.Alipio

CGNの環境教育ワークショップでは、「気候変動とは?」とか「地球温暖化とは?」といった環境問題についての知識を教える講演も行なってきましたが、同時に自然を感じ、自然を愛しく思う気持ちを育てようというアートを取り入れたワークショップも多数行なってきました。多くが自然と共生してきたはずの山岳民族の伝統文化の再生にもつながるワークショップでした。楽しみながら学ぶ「楽習」もCGNの環境教育ワークショップの大事なコンセプトです。

まったくかけ離れているようで、JUNさんの「傾舞」身体表現ワークショップは、まさにCGNのやりたい環境教育の手法にぴったりでした。しかも、CGNは、最近、演劇を使った、つまりを身体表現を使った環境プログラムに力を入れていて、二つの軸の真ん中を空洞にして、そこに「環境」を取り入れて身体を動かそう、というのは、基本的でありながら、本質的で、感じる力をよみがえらせるすばらしい体験になります。
(実のところ、頭でっかちの私は、JUNさんのワークショップにおける劣等生の筆頭なのですが)
   
   
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↑Photo by Erik Liongoren

ここまでの話は、傾舞ワークショップのほんのほんのカケラ。JUNさんのワークショップでは二つの軸を基本としたさまざまな身体表現の仕方を気づかせてくれます。自分が今まで何十年も付き合ってきたはずの身体のことを何も知らなかったこと、身体が本来あるべき姿、身体を使った表現の可能性などなど、新たな驚きと発見に満ちています。

私を含むすっかり自然と隔離してしまった日本人より(頭で自然や環境を理解しようとする力が働いてしまうということね)、コーディリエラ地方の山岳民族の高校生たちのほうが、身体でJUNさんの傾舞の理論を受け入れているのを感じます。うらやましい。

4月を迎え、CGNの環境教育プログラムも新しい年度の活動を開始します。JUNさんの傾舞が山岳民族の若者による演劇表現にどんな影響を与えてくれるか、楽しみです。

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       ↑Photo by Erik Liongoren

JUNさんの、傾舞公演のスケジュールはこちらのブログにあります。
ぜひ、一度、体験してみてください。
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by cordillera-green | 2010-04-04 01:03 | 環境教育