カテゴリ:環境教育( 49 )

お帰りなさい!ヨッシー(吉田智久さん)

 ほんとうに、人と人との出会いに支えられて、日々生かされているなと感じています。

 しかし、CGNの環境プログラムの中核をなす環境演劇の指導をして下さっている吉田智久さんは(こちらでの呼び名はヨッシー)、なんと、8年も前からバギオ市の日系人協会「アボン」で夏休み(4月か5月)に日系人の子供たちのための演劇ワークショップを続けているとのこと。この小さな町・バギオで、私がそのことを知らなかったというのが不思議なくらいです。まあ、私が、かなりへそ曲がりでバギオの日本人社会と離れたところで生きているということなんですが……。
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 とにかく、昨年、ようやくヨッシーと知り合うことができて、いきなり、めちゃくちゃディープな山岳地方の村々に行っていただき、環境演劇製作の指導をしてもらうことになりました。
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      ↑山岳地方の村に向かう道はこんな道なんです

 日本で第一線で活躍していたプロの舞台演出家の方にとっては、周りは私も含めて全員素人、機材もなし、ステージもなし、時々は練習場所の屋根さえなし、ついでに、行き帰りの道路さえなし……という想像を絶する条件のなかで、たぶん最初は「なんでこんなっ!?」と怒りが頭を持ち上げたこともあったと予想していますが、本当に辛抱強く、楽しんで、そして、情熱的に高校生たちの指導に当たってくださいました。
(その様子はCGNスタッフ・ブログで書いてくれています)
「いや、分野じゃないんで」
と頭をかいていた環境問題もせっせと勉強してくださり、いまやプロの環境ファシリテーター並みの知識を身につけています。
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 この経験がはたしてヨッシーの演劇人生にとって何らかの役に立っているかしらん・・・・と、時々、巻き込んでしまった手前、不安に駆られたりしますが、
「子供たちは磨けば磨くだけ光る原石でしたよ」
なんてうれしいことを言ってくれました。
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また、エコサミット参加の高校生たちのいい兄貴分で、言葉の苦手な日本人ゲストの方たちとの間に入って、とりもち役なんかもしてくれていました。先生や、CGNスタッフには見せない(見せられない)、ちょっといたずらな砕けた顔を高校生たちはヨッシーには見せてくれていたみたい。エコサミット後もヨッシーの携帯電話には子供たちからのテックス・メッセージが山のように届いていました。
「日本人ってまじめで暗い人」っていうイメージを思いっきり覆してくれて感謝です。

エコサミット後、日本に帰国してから取材を受けたそうで、読売新聞に「国境越えて出会いを演出」というドンピシャな見出しで記事が載っていました。
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そのヨッシー、4月のCGN主催のアースデイのイベントで、エコサミットに参加した演劇グループが公演すると聞いてバギオに舞い戻ってきてくれました。現在は恒例のアボンでの日系人向けの演劇ワークショップ(様子は北ルソン日本人会のブログで)で汗をかき、今月15日からのCGN主催の山岳民族の子供向けの環境演劇創作ワークショップでもフルタイムで演技指導に当たってくれるばかりか、舞台技術の裏方までもこなしてくださることになっています。
ありがとう! ヨッシー! いい作品を創りましょうね!
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 吉田智久さんのプロフィールはこのページで。
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by cordillera-green | 2010-05-07 18:16 | 環境教育

西尾純の傾舞(kabuku-mai)と環境教育

昨年度のCGNの環境教育プログラムでは、西尾純さん(フィリピンではJUN AMANTOという名前で活動しています)が提唱する独自の身体パフォーマンス「傾舞(=kabuku-mai)」のワークショップを、ボランティアで来比してくださったJUNさん自身の指導で何度か開催しました。対象は山の村の高校生、バギオ市のアーティストたち、フィリピン大学やセント・ルイス大学のダンス・グループのメンバーなどなど。

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↑マウンテン州バナウ村でのワークショップ

「傾舞の創始者であるJUNさんの公演を観ると、素敵な着物で踊ることが多いし、能面を使うし、一見とても和風なトラディショナルなダンスを独自にアレンジしたものかのように思えます。なぜ、その「傾舞」が、CGNの環境教育プログラムなのでしょうか。

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            ↑2009年9月「The Remains」公演(VOCAS)
             Photo by Erik Liongoren
   

一度、JUNさんの身体表現ワークショップに参加していただくとよくわかりますが、傾舞が提唱する基本の身体の動きは、身体の中に二つの軸があるという考えです。バレエに代表される西洋のダンスの身体の動きは、身体の真ん中に1本の軸があって、その軸をできるだけぶれないようにしっかり固定して、それを中心にくるくる回転したりするわけですね。
ところが、JUNさんのワークショップでは、おサムライさんの刀を持ったときの身体の動きに例をとり、日本人の伝統的な身体の動きは、徹底的に西洋のそれとは違うことを説明してくれます。
 日本人は伝統的身体に縦に二つの軸が通っていて、その二つの軸に交互に重心を移動させることで、身体の動きを促していると。それは、無理な力のかからないとてもスムーズで自然で、しかも合理的な動きであると教えてくれます。

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          ↑セント・ルイス大学でのワークショップ
          Photo by Erik Liongoren

 さらに、二つの軸があるという身体表現のあり方は、人の考え方にも影響を及ぼしているそうです。西洋の人々は、その身体の動かし方と同様に、人々が集ったときに必ず中心になる人を求めます。誰かが真ん中にいて仕切ってくれなければ、どうしていいかわからない混乱状態に陥るそう。しかし、身体に二つの軸をもつ日本人は、本来、「中心」というものを求めません。身体の真ん中は、空洞になっていて、そこからあらゆる情報を取り入れることができます。あらゆる情報というのは、(たぶん)他人の考えや、その場の空気や、自然の気配や、神様の意思などなど、文字通り“あらゆる”環境です。そして、他人の考えを受け入れながら、おたがいを尊重して合意を見出すことができるといいます。

 JUNさんは言います。
「西洋の国の人は、環境を語るにも額にシワを寄せ、問題を提起し、解決に取り組もうとする。でも、日本人は、環境を身体の中に受け入れ、それを理解しようとする」。
なるほど。

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     ↑photo by Ruel Bimuyag       
 
世界中を傾舞の公演やワークショップのために旅しているJUNさんは、この身体に二つの軸を持つという身体の動きは、日本のおサムライさんだけではなく、環太平洋の島国の人たちに共通した身体の動きであることを発見します。

JUNさん、もちろん、島国・フィリピンでも二つの軸を持つ伝統ダンスを探して旅してきました。西洋の影響を強く受けているフィリピン文化の中でなかなか出会えなかったそうですが、昨年、キープ協会とCGNが協力して開催した「コーディリエラ・ユース・エコサミット」(カリンガ州ルブアガン会場)でのカリンガ族高校生の伝統舞踊に、その動きを発見しました。しかし、ルブアガンといういまだ閉鎖的な伝統文化と慣習に支配されているかのような山奥深い村においてさえ、西洋の影響が見られ、伝統的な二つの軸を使った動きで伝統舞踏を踊っていたのはごく一部だそうです(素人の私には、まったく違いがわかりません! なさけない・・・)。
  (JUNさんの北ルソンの旅の体験談は彼のブログで。)

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    ↑第2回コーディリエラ・ユース・エコサミット(ルブアガン会場)での高校生の伝統ダンス
    Photo by J.P.Alipio

CGNの環境教育ワークショップでは、「気候変動とは?」とか「地球温暖化とは?」といった環境問題についての知識を教える講演も行なってきましたが、同時に自然を感じ、自然を愛しく思う気持ちを育てようというアートを取り入れたワークショップも多数行なってきました。多くが自然と共生してきたはずの山岳民族の伝統文化の再生にもつながるワークショップでした。楽しみながら学ぶ「楽習」もCGNの環境教育ワークショップの大事なコンセプトです。

まったくかけ離れているようで、JUNさんの「傾舞」身体表現ワークショップは、まさにCGNのやりたい環境教育の手法にぴったりでした。しかも、CGNは、最近、演劇を使った、つまりを身体表現を使った環境プログラムに力を入れていて、二つの軸の真ん中を空洞にして、そこに「環境」を取り入れて身体を動かそう、というのは、基本的でありながら、本質的で、感じる力をよみがえらせるすばらしい体験になります。
(実のところ、頭でっかちの私は、JUNさんのワークショップにおける劣等生の筆頭なのですが)
   
   
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↑Photo by Erik Liongoren

ここまでの話は、傾舞ワークショップのほんのほんのカケラ。JUNさんのワークショップでは二つの軸を基本としたさまざまな身体表現の仕方を気づかせてくれます。自分が今まで何十年も付き合ってきたはずの身体のことを何も知らなかったこと、身体が本来あるべき姿、身体を使った表現の可能性などなど、新たな驚きと発見に満ちています。

私を含むすっかり自然と隔離してしまった日本人より(頭で自然や環境を理解しようとする力が働いてしまうということね)、コーディリエラ地方の山岳民族の高校生たちのほうが、身体でJUNさんの傾舞の理論を受け入れているのを感じます。うらやましい。

4月を迎え、CGNの環境教育プログラムも新しい年度の活動を開始します。JUNさんの傾舞が山岳民族の若者による演劇表現にどんな影響を与えてくれるか、楽しみです。

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       ↑Photo by Erik Liongoren

JUNさんの、傾舞公演のスケジュールはこちらのブログにあります。
ぜひ、一度、体験してみてください。
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by cordillera-green | 2010-04-04 01:03 | 環境教育

環境エネルギー館Wonder Ship

マニラのSinag Arts Foundationの舞台照明家・松本Shoko直みさんが、「手作り感いっぱいで楽しかったわよ」というので、横浜市鶴見区にある環境エネルギー館「Wonder Ship」に行ってきました。

さすが舞台照明家のShokoさんのおめがねにかなただけあって、地球のさまざまな循環についての展示(「水の循環」「都市生活の光と影」「排泄物の循環」)は、映像を含んだビジュアル演出で、すっきりと洗練された内容。言葉や文字による解説が少ないだけに、ちゃんとじっくり見て感じて学ぶ内容でした。
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「地球を考えるファミリーレストラン」「ゴミって何?ジャイアント・ゴミ箱」「買い物達人コンビニエンス・ストア」など、都会生活者ならではの環境問題へのアプローチも、ゲームやクイズをたくさん取り入れていて、参考になりました。バギオ市での環境教育プログラムでも、応用できる内容があるかも。
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さすが、東京ガスがやっているだけあって、エネルギー関係はすごく充実。こちらは、ゲームセンター要素を取り入れて、新世代の車の紹介のための「エコドライブ」やら、足漕ぎで空を飛んでの「持続可能なエネルギー源探し」など。「スイッチだらけの家」では、巨大な電卓で、消費電力と節電できる電力を計算…子供たちは大喜びです。
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「つなげっとアース」は、コンピュータ・ゲームで、食べ物を中心に生活の中にあるもののつながりを考えさせるもの。一緒に来てくれたCGNボランティアの岡部玲さんも「めっちゃ考えさせられます。マジでやってますが、むずかしいです」と真剣。
「でも、こういう当たり前に身の回りにあるもののつながりを考えるのって大事ですよねえ」
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「発見の川 私たちの暮らしと川」は、都市生活者がなかなか知る機会のない、自分たちが毎日使っている水がどこからやってくるか、どのように使われているかという情報を、おもちゃんみたいな仕掛けで、楽しく明るく見せてくれます。
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「地球大好き放送局」というスタジオもあって、子供たちの大好きなテレビ番組のスタイルで、その季節にあった環境についてクイズ形式で学べる趣向。
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手作りのテーマ別のゲームがたくさんある「ふしぎ発見、ワンダーBOX」は、すごく楽しそうでしたが、時間切れで、あまり見られませんでした。
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同じく環境教育ビデオを上映する「ワンダーシアター」、屋上のビオトープも見逃してしまいました。じっくり楽しむと、半日では足りないもりだくさんな内容です。お弁当を持って(レストラン等はありません!)、1日の予定でぜひ。入場は無料!

Shokoさんも言っていました。
「いや、何をいまさらって感じなんだけど、なるほどおおって思うことがたくさんあったのよ。初めてよ。ひとつのミュージアムに6時間もいたなんて」

いつか、バギオに、山岳地方の自然の紹介や、森の大切さ、山岳民族の自然と共生する知恵、町の暮らしと山の暮らしの関係などをテーマとしたエコミュージアムを作りたいという希望をCGNは持っています。バギオの子供たちや観光客が必ず立ち寄ってくれるような。環境教育では先を行く日本の専門家や、抜群にアイデアもあってセンスもいい日本のアーティストとの方たちと一緒にね。未来は子供たちの手の中ですから。
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by cordillera-green | 2009-12-30 11:41 | 環境教育

田んぼ国際環境教育会議2009

 CGNのコーディリエラ地方のおける環境教育&環境保全活動の力強いパートナー、山梨県清里のキープ協会で、田んぼ国際環境教育会議が開かれます。
 日本を含むモンスーンアジアでは「米」は命の糧。米なしには人々の暮らしはありえません。
その田んぼを環境教育の場としてどう生かしてしているか。どう生かしていくべきかを、6つの国からの専門家を招待して意見交換するというのがこの「田んぼ国際環境教育会議」です。
 韓国、中国雲南省、タイ、インドネシア、ラオスと多彩なアジアの国々からの代表者に加えて、コーディリエラ地方からもCGNの推薦で、世界遺産の棚田を擁するイフガオ州から州議会議員のアルドリン・ギンガーエンがポスター・セッションで参加し、イフガオ州の棚田の伝統文化、その危機的状況、保全のための活動などを発表します。

 また、CGNボランティアの写真家・ルエル・ビムヤッグの棚田写真展も同時開催予定です。

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 会場は今年4月にオープンしたばかりの清泉寮の新館。私もまだ帰国していないのでお邪魔していませんが、「人と自然の調和」をテーマに作られた素敵な建物。今後、キープ協会が国際協力にさらに力を入れ、教育と研究の意見交換の場として作られた国際研修センターです。

会期が迫っていますが、「田んぼ」と「環境教育」に興味のある方、ぜひぜひ、足をお運びください!


・日時 2009年10月31日(土)13:00~11月1日(日)16:30 
  
・会場 山梨県清里高原 清泉寮 新館
    〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545
    ※東京・名古屋から電車・車で3時間 最寄駅 
     最寄り駅 JR中央線 小淵沢駅経由小海線清里駅

・主催 日本環境教育学会
・共催 (社)農村環境整備センター、(財)キープ協会、NPO法人田んぼ
・後援 (申請中) 環境省、農林水産省、(社)日本経済団体連合会自然保護協議会、
     世界銀行(財)世界自然保護基金ジャパン、(社)日本環境教育フォーラム、
    (財)日本自然保護協会、(社)農山漁村文化協会、北杜市
   生物多様性農業支援センター
・実行委員長 湊 秋作(財団法人キープ協会 キープやまねミュージアム)

・参加費 1泊3食・保険等込
    スタンダード相部屋     25,000円(清泉寮 新館での宿泊)
    エコノミーシングル     23,500円(清泉寮 本館での宿泊)
    エコノミー相部屋      22,000円(清泉寮 本館での宿泊)

・定員 150名

◆お問い合わせ

財団法人キープ協会 キープやまねミュージアム
〒407-0311 山梨県北杜市高根町清里3545
TEL/FAX  0551-48-3577
事務局 鳥屋尾(とやお)、饗場(あいば)


詳細のわかる ちらしはこちら です。

会場で海外初めてのアルドリンにあったら声をかけてくださいね。
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by cordillera-green | 2009-10-29 09:03 | 環境教育

バギオ・ミッドランド新聞 11月23日号

 「ミッドランド」は、毎週日曜日発刊の圧倒的人気を誇るバギオの地方新聞です。この間の日曜発行の号に、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)関係の二つの記事が掲載されていました。
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 一つ目は、CGNがラ・トリニダードのLittle Flower Childeren’s Home という小学校でWWF-Philippines(世界自然保護基金フィリピン支部)の環境教育セミナーをコーディネイトして、環境保全の大切さを子供たちに伝えました!という記事です。

b0128901_1371896.jpg 私は、他の用事が入っていてほんとうに残念ながら今回は参加できませんでしたが、スタッフの話では、さすが経験、人材、資金力とも十分な団体だけあって、環境教育マテリアル満載のプロジェクト専用カーで登場し、さまざまなよく練られたアトラクションで、子供たちをあっと言う間に引き込んで、手際よく1時間半あまりのプログラムを終えていったということです。

 今回のWWFの環境教育ツアーのテーマはおもに海洋関係で、ウミガメ、イルカ、ジュゴンなどなど貴重な海洋生物の保護を教える内容が中心。フィリピン全土の、おもに海岸近くのさまざまな学校をこの専用カーで回っています。海のないバギオや山岳地方は、今回のプロジェクトの訪問予定には入っていませんでしたが、一度どうしても、WWFの環境教育キャラバンを目にして学ばせていただきたい!というCGNの以前からのリクエストに応じてくださり、海沿いのラ・ウニオン州に来たついでに足を伸ばしてくれたというわけです。
 WWFさん。次回は、ぜひ、山の動物たちの保護でお願いします! 生態系関係や生物の調査や教育マテリアル開発は、私たちCGNには専門家がおらず弱いところなのです。今後も協力しながら、楽しい環境教育プログラムを展開していきたいと思っています。

 さて、ミッドランド紙のもうひとつの記事は、私たちの環境教育ファシリテーター、JPアリピオ君の写真記事です。環境ファシリテーターのほかに、写真家、登山家、そしてマウンテン・バイカーという多彩な顔を持つJP。ベンゲット州山中を24時間ぶっ通しでマウンテンバイクで走破するエコ・プロジェクト「コーディリエラ地方の苗木のためのマウンテンバイク・ツーリング(Padyak Para sa Binhi ng Kordi)」を行なったというものです。
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 左の写真の3人のバイカーのいちばん右がJP君(右の写真のムキムキマンは関係ありません!)。
 トリニダードを出発し、アンブクラオ→ボコッド→カバヤン→ブギアス→シニプシップ→アンシップシップ→パリナ→キブガン→カパンガンのタバアオまでの206キロを24時間で走り抜きました。途中止まったのは、トイレとバナナ&クッキーの補給のみ(水は背中に背負って走っています!)。プロジェクトのために集めたお金で苗木を買って、山岳地方の植林を行うというのが、この24時間ツーリングの目的です。

 で、CGNは、万が一の時のための予備の自転車や、水・食糧を運ぶためのおんぼろピックアップ・トラックのサポートカーとしての無料提供と、24時間寝ずにドライブできる若者ドライバー・ジョナルド君(アーネルの甥です)のボランティア参加で全面支援しました。
「おんぼろピックアップが、黒いスモークなど撒き散らしてはがんばるJP君に顔が立たない」
と、ずいぶん念入りに整備したつもりだったのに、どうも、ジョナルド君がバッテリーのチェックを怠っていたようで……。

「出発して早くも30分で、後方からピックアップの気配がなくなって……」とJP。

「ええええ?ほんと?ごめん?もしかして、ただの足手まといになってしまいました?」と私。

「いや、ちゃんとあとで追いついてきたから大丈夫。いずれにしろベンゲット州政府が前面サポートで、終始ポリスの車が警備してくれたから。荷物はあとからでも問題ないからね。感謝しています」
さすが、JP。優しいお言葉ありがとう。

こちらのサイトにこのプロジェクトの写真がばっちり掲載されていますので、ぜひ覗いてみてください。CGNおんぼろピックアップとジョナルド君も登場してます。
padyak parasa binhi オフィシャルサイト

「Our Support Car needed support(私たちのサポートカーもサポートが必要でした!」
なんてキャプションのついた、みんなで車を押している写真までありました。
ほんとすいません!

いろいろなアイデアとやり方で、いろいろな人たちが、それぞれが暮らしている環境のためにできることをやること。これが、地球のためになるのです。CGNはこれからも、思いを同じくするさまざまな人とのネットワークを広げながら活動していきます!

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        ↑JPたちのプロジェクトのポスターです
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by cordillera-green | 2008-11-27 13:10 | 環境教育

キープ協会の吉田さんが事業視察にいらっしゃいました

 コーディリエラ山岳地方におけるCGNの環境教育プログラムのほとんどは、山梨県清里のキープ協会と共同で行っています。キープ協会は、歴史ある「清泉寮」、日本のアメリカンフットボール発祥の地、ヤマネの生息地とその保護活動、そしてとろけるようなおいしいソフトクリームなどで知られていますが(http://www.keep.or.jp/)、知る人ぞ知る日本の「環境教育」の啓発・普及の拠点でもあります。
 そのキープ協会が、環境教育分野における経験と知識をフィリピンで地でも生かそうということで、CGNを現地カウンターパートとして2001年に始めたのが、現在まで続く私たちの環境教育プログラムです。
 今も継続中の環境教育セミナーシリーズ「エコ・キャラバン」をはじめ、「エコロジカル・ペインティング・コンペティション」「環境ストーリー・コンテスト」「ユース・エコ・サミット」などのイベントや、環境問題啓発ポスターの制作、山岳部の森林破壊の現状を追ったドキュメンタリービデオ制作、小学生のための環境絵本、高校生のための環境Q&A本出版などなど、さまざまな環境教育活動を5年以上にわたって共同で続けてきました。

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 これら環境教育事業を担当するわれらが親分・キープ協会国際部の吉田さんが、事業の視察と打ち合わせにバギオを訪問されました。吉田さんは、バギオ訪問のたびに、現場で働くスタッフたちの労をねぎらって、CGNスタッフ全員にゴハンをご馳走してくださるのが、いつの間にか恒例に………(すいません、吉田さん)。貧乏NGOゆえ、みなでレストランでご飯を食べることなどほとんどない私たちスタッフには、盆と正月が一度に来たような豪華な夜です!
「いや、食事代は自腹なんだよネエ」といいながら、「でも、フィリピンでみんなが集ってくれて、本当においしそうにご飯を食べてくれるのが楽しみで、働いているようなもんだから」と言ってくださる吉田さん。いつも本当にごちそうさまです! スタッフ一同感謝しております!

 翌日は、今回の「エコ・キャラバン」の開催地、ベンゲット州のサブランへ。サブランは、7月に地域住民の手によって閉鎖されたゴミの集積場があるバギオ市・イリサンのお隣に位置します。バギオ市の中心部から車でわずか30分。バギオ市との往来も頻繁で、もちろんその分ゴミの量も多く、バギオの抱えるゴミ問題が波及するのも時間の問題ということで、今回はマニラから専門のファシリテーターを招待し、ゴミ問題もセミナーのテーマに加えました。

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住民によって閉鎖された
イリサンのゴミ捨て場















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 インターンの松野下さんも、小学6年生を対象に、ゴミ分別ゲームのためのカードなどを手作りし、新たな境地にチャレンジです。さすが、町から近いだけあって、子供たちもすごく活発。手をあげてどんどん発表する子供たちの勢いに、松野下さんのほうのテンションも上がり気味。朝9時から12時過ぎまでぶっ続けの環境クラスなのに、誰一人、集中力を切らすことなくついてきていました。やったね、松野下!


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 先生向けには、授業での環境問題を取り入れたモジュール作りを最終テーマに、マージーさんがいつものように、きめの細かい、そして情熱にあふれたワークショップを展開。コーディリエラ山岳地方の森林の危機的状況をおもなテーマとするJP君は、今回はバギオ市から自転車で現地入り。言動一致で素晴らしい!(私たちももっと身体を動かさねばああ。しかし、坂の多いバギオで、自転車はつらいなあ。)

 ワークショップやセミナーで何時間もしゃべり続けたあとも、「まだ話したりない」とばかりに、車中やレストランで話し続ける、講師陣とCGN環境教育チームのエネルギーと明るさに少々あきれながらも、吉田さんはあたたかいまなざしで私たちの活動を見守って、かつ、数々の貴重なアドバイスを残して、マニラへと向かわれました。申請書の制作をはじめ、大変な助成金の会計報告や、こまごました助成団体との打ち合わせなど、まさに縁の下で私たちの活動を支えてくれているのが吉田さんです。これからも、どうぞよろしくお願いいたします!



 
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by cordillera-green | 2008-09-30 11:23 | 環境教育

イフガオ州マヨヤオでの環境教育セミナー

 9月12日&13日、イフガオ州のマヨヤオ郡のバランバンという村で環境教育セミナーを開催してきました。セミナーは学校の先生を対象としたものと、小学校5年、6年の子供たち向けの日本人ボランティアの松野下さんが担当するワークショップの2本立て。
 松野下さんは、カリンガ州パシル郡の2村、先週のマウンテン州サバンガン郡ポブラシオン村についで、4回目の子供たちに対するファシリテイトでした。同じコーディリエラ山岳地方の村といっても、それぞれの村で、言葉はもちろん、外部からの情報の入り方、教育レベル、子供たちのキャラクターなど大きく違い、思ったように子供たちが反応してくれなかったり、理解してもらえなかったりで苦労しているようです。
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 ファシリテイトで必要なのは、そのときどきの参加者の関心、状況やレベルなどに合わせて臨機応変に対応していくこと。初めていく場所に関しては、到着後、なるべく多くの現地の情報を得て、基本のプログラムを調整していくこと。あとは、現場での参加者とのコミュニケーション能力が大きく問われます。
 現地の民族の言葉や現地語の次に使われているイロカノ語が理解できないわたしたち日本人は、コミュニケーションの面でスタートラインからハンディがあります。一方、外国人というだけで、コーディリエラの人たちが持っている外の人を温かく迎えるホスピタリティ精神がフツフツと湧き出し、ちょっとした不手際も大目に見てもらえるメリットもあります。いずれにしろ、何度もファシリテイトの現場を重ねていくことで、いろいろな引き出しができて、どんな不意な出来事にも対応できるようになるでしょう。
 まだあまり経験のないファシリテイターに大切なのは「耳をすませる」ことだと思います。参加者の方たちの声にならない声や表情からできるだけ多くの情報を得ることが、ファシリテイト成功の鍵だと思いました。そういえば、先生向けのセミナーのファシリテイターのマージーさんも、自然のささやきに耳をすませるアクティビティをよくプログラムに加えていました。
 松野下さん、もう子供たちにはどこに行っても大人気。彼女のおおらかさが子供たちにはちゃんと伝わっています。これからもがんばろう!

 今回のセミナー、金曜日なのに村の小学校と高校の授業をわざわざ休校にして行われました。参加の先生たちも張り切っています。できるだけたくさんのことを学んでもらってそれを子供たちにしっかり伝えてもらうよう願っています。

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by cordillera-green | 2008-09-13 10:00 | 環境教育

サバガンでの環境教育セミナー

 b0128901_1537856.jpgおとといと昨日、2日間にかけて、マウンテン州のサバガンというこじんまりしたコミュニティで、環境教育セミナーをやってきました。対象は、おもに地元の高校の先生と、高校生たち。いろいろな科目でどうやって環境保全の大切さや、環境問題の深刻さを教えるかが、おもなテーマでしたが、思ったより高校生の参加者が多くて、少しプログラムを修正しながら進行しました。講師は、マニラのミリアム・カレッジで環境教育を学び、その後フリーランスで数々の環境教育プロジェクトとに参加してきたマージーさんと、今回初めてCGNの環境教育セミナーで講師としてお願いしたJPアリピオ君。
 JP君は、ラ・トリニダード出身で、フィリピン大学バギオ校を卒業したあと、アテネオ・デ・マニラで環境マネージメントの修士を収めた秀才ハンサム君。環境教育分野では圧倒的に女性陣が幅を利かすCGNのスタッフの新たな戦力になってくれると期待しています。
 JP君は、環境ファシリテーターのほかにも、あの「ナショナル・ジオグラフィック」マガジンのアーカイブのために写真を撮っているカメラマンでもあり、マウンテンバイクのグループのリーダーとして、環境保全&植林キャンペーンを行うアクティビストでもあります。
(JPの写真はhttp://jpalipio.multiply.com/で見られます。)

 b0128901_15413619.jpgお隣の教室では、小学校6年生を対象にした日本文化紹介&環境セミナー。こちらの講師は、CGNにインターンとして参加している松野下琴美さん。こちらも環境教育ファシリテーターの卵以外にも、柔道選手、日本舞踊の踊り手、大学内ではアジア関係のクラブの代表、静岡の若者たち向けのイベントの仕掛けやさん、、、と多彩な顔の持ち主です。子供たちに大人気で、「今度いつ来るのおおおお?」とみんなに聞かれまくっていました。
手作り教材がみんなに好評でよかったね。時間や思いをかければかけるほど、それが目に見えなくても子供たちはしっかりそれを感じて受けてとめてくれるものですよね。

 
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サバガンは、ベンゲット州からハルセマ道路を北上して、マウンテン州に入りボントクの手前の郡になります。途中通るベンゲット州の村々は山のてっぺんまで畑に変わっているところが多いのですが、サバガンまで来ればまだ、川の水は澄んでいて、ほとりには田んぼ、山には松林があり、村の中にもゴミを見ることがありません。どこの家でも、あたたかく客人をもてなす昔ながらの山岳民族の風習もきちんと残っています。
 ベンゲット型の野菜栽培を中心とした開発の波はハルセマ道路沿いにすぐそこまで迫ってきていて、なんとか、この自然と暮らしと人々の心の美しさを後生に残していかねばならないなあと、底抜けに明るく、活発で、なんだか美人ぞろいの子供たちの顔を見ながら思いました。
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by cordillera-green | 2008-09-08 15:54 | 環境教育

世界環境デー・環境アート企画「サルはどこに行った?」パンフレットより

 私の出身地・日本では、世界が直面している環境問題に関する情報があふれ、多くの人が環境保全のために何かしたいと考えている。「樹を植える」という行為に意義を唱える人はまずいない。しかし、私たちが2001年にバギオ市でコ-ディリエラ地方の環境保全を目的としたNGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」を設立し、コーディリエラ地方の山岳部で森林再生事業(reforestation project)をはじめたとき、まず「なぜ樹を植えなくてはいけないか」「なぜ森を破壊してはいけないか」という教育からはじめなくてはいけないと気がついた。せっかく予算と労力をつぎ込んで植えた苗木も、土地の人たちがその価値を理解していなければ、再び火を放ち、一晩のうちにハゲ山に逆戻りだ。

以来、CGNではさまざまな環境教育活動を行ってきた。公募による「Ecological Painting Competition」の開催と受賞作による環境保全啓発ポスターの制作。コーディリエラの森林破壊の現状と保全の動きをリポートしたドキュメンタリー・ビデオ「Whisper of the forest」の制作。やはり一般からストーリーを募集した子供向けの環境絵本「Moon Beams」の出版。そして、毎年、10ケ所ほどで、環境教育セミナーを行ってきた。テーマは、「Waste Management」から「Organic Farming」など、それぞれのコミュニティが抱える環境問題に即したものとしてきた。

それにしても、山の村に暮らしながら、なぜ人々はいとも簡単に山に火を放ち森林を焼き払えるだろうか? 各民族は、それぞれ伝統的に森林保全の知恵を受け継いできたはずだ。森林からの果実や山菜、そして、そこを住処とする野性の動物や昆虫を食料としてきた。森からの恵みで生きながらえてきたのだ。なのに、ここに来て森はいきなり“邪魔者”扱いだ。さっさと焼き払って広い畑に代え、できるだけ高値で売れる野菜をたくさん植えて一銭でも多くを稼ぎたい……。山岳民族の住民たちは、古来、守ってきた自然環境や、維持してきた伝統文化を今、葬り去ろうとしている。
誰もが金銭的に豊かな生活にあこがれる。しかし、次世代のために、本当の豊かさのために、環境と文化の保持していくことの大切さを、私たちは毎回の環境セミナーにおいて伝えてきた。

そして最近私が思うのは、エコシステムや生態系の危機、化学製品の人体への悪影響などの環境に関する知識・情報はもちろん必要だが、同時に自分たちを取り巻く自然環境の息吹を感じる「感覚」を取り戻さなくてはならないということだ。
森の木々に、谷を流れる川に、足元の土の中に、「生」を感じる感覚が戻ってきたら、森林破壊も河川や土壌の汚染も食い止められるのではないか思う。人類の進歩が生み出してきた環境破壊は、結局は一人ひとりの人間の自然をいとしいと思う本能的な感覚の復活によってしか、食い止められないのではないだろうか。

CGNは、2007年6月5日の「世界環境デー」イベントのために、アートを通して自然に触れ、自然と遊び、自然の豊かさに気づき、自然を愛する心を育みながら、山岳地方の森林再生のメッセージを送ろうという企画を考えた。特に今回は、もっとも身近な自然素材「土(Clay)」を素材の中心とした。幸いにも、在バギオのアーティストだけでなく、日本出身の現代美術家(在インドネシア)、同じアジアの隣国・インドネシアの陶芸家、そしてすっかり山岳地方の文化にほれ込んでいるアメリカ=フィリピン人(Phil-Am)アーティストたちが参加してくれることになった。CGNが2002年から植樹活動を行っているベンゲット州キブガン村の人たちも参加してくれる。
山の小さな村で生み出された「土」によるアート作品を通して、自然への「愛」と環境保全へのメッセージが、VOCASに足を運んでくれたすべての方々に伝わることを期待している。

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   ↑VOCASの展示

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      ↑サル面の野焼きの様子

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      ↑サル面づくりワークショップ

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      ↑在インドネシアのアーティスト・廣田緑さん

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      ↑バギオを代表する現代美術家・カワヤン・デ・ギアも参加
       モンキー・ジャングルジム
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by cordillera-green | 2007-06-05 10:26 | 環境教育