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アースデイ in バギオ2010 No2 一人歩きし始めた環境コミュニティ・シアター

 25日のアースデイ・イベントの会場はメリノール・エコロジカル・サンクチュアリ。CGNは、1月の「第3回コーディリエラ・ユース・エコサミット」に参加してくれた、ベンゲット州マンカヤンのレパント国立高校と、マウンテン州バウコ郡バナウ村のバナウ国立高校のシアターグループを招待し、エコサミットと同じ演目を上演してもらいました。

 「コーディリエラ・ユース・エコサミット」から早くも3ヶ月。「もしかしたらみんなもうせりふ忘れちゃったんじゃないかしら」「もう、あのときのパッションが薄れて、やる気がなくなったんじゃないかしら」、とCGN側も実は不安がいっぱいでした。
「コーディリエラ・ユース・エコサミット」で演劇制作の指導をして下さった吉田智久さんも「バギオの観客の目にかなうものが上演できるのかな」と不安いっぱい。わざわざ日本からアースデイ・イベント前にバギオ入りしてくださり、駆け足でレパントとバナウを訪れ、子供たちの練習の様子を観て来てくれました。
(レパントとバナウでの稽古の様子は、CGNスタッフブログで)

 吉田さんの感想は「いや、心配することありません。大丈夫でしたよ」。
なんと、バナウもレパントも1月の「ユース・エコサミット」が終わったあとも練習を続け、場面を削ったり、台詞を変えたり、新しい歌を加えたりと作品に改良を加えていたということです。バナウ村のシアター・グループにいたっては、村祭りでも公演し、それが好評で、村の有力者の結婚式でも上演のリクエストが来ているとのこと。
「いや、みんな自信つけちゃって、プロの劇団みたいでしたよ。先生が、もうみんな言うことを聞かなくなっちゃって。。。とぐちってました」と、吉田さん。

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      ↑ニック・アリピン氏宅を訪問したバナウ組

 バギオに到着したシアターグループは、ちょっとお疲れ気味。バナウ出身のバギオ市の市会議員・ニック・アリピンさんのお宅でピヌピカン(山岳民族伝統の鳥スープ料理)をご馳走になっても、受け答えに覇気がありませんでしたが、本番では吉田さんのレポートの通り。堂々とした演技で、観客の拍手喝さいを浴びました。

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     ↑レパント国立高校演劇グループ「The Dream」

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      ↑バナオ国立高校演劇グループ「Banaw」



 「コーディリエラ・ユース・エコサミット」は1年に1回のイベント。でも、参加した人が、エコサミットでの経験を生かし、それぞれみな、自主的に活動を継続してくれていることが何よりうれしい報告です。
 2009年1月開催の第2回エコサミットに参加したアブラ州ボリネイの環境演劇グループも、その後、アブラ州のフェスティバルで公演したそう。たまたま私が観にいったバギオ市でのフェスティバルにも参加していました。きっと、私たちの耳に入らないところでも、たくさんの参加者が環境演劇の上演を続けてくれていることと思います。枝葉がどんどん分かれて、どこまでもどこまでも広がっていってくれることを望んでいます。

 今回のアースデイ・イベントが今年度のCGNの環境教育プログラムの第一弾。
 1月のエコサミット後、オフィスには続々と、
「環境演劇のファシリテーターを私の村にも送ってくれ」
「環境演劇ワークショップを開催してくれ」
「また今年もエコサミットにはうちの村を呼んでくれ」
といった要望が届いています。
今年も、環境演劇で、山岳地方のできるだけたくさんの人に環境保全の大切さを伝えていくよう頑張ります!

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    ↑エコバッグ・キャンペーンの表彰式も行ないました。
     一般投票によって選ばれた1等はこの作品でした。
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by cordillera-green | 2010-04-27 00:41 | 環境イベント

アースデイ in バギオ2010 Boyette Rimban監督のドキュメンタリー上映会


先週末、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、アースデイのためのふたつのイベントを主催しました。

まず土曜日には、Boyette Rimban(ボイェット・リンバン)監督の2本のドキュメンタリー映画の上映。(会場:VOCAS)

1本目は「Lake Bato」
 ビコール州のバト湖を撮影したリンバン監督の最新作です。
 法律では湖の面積の10%までが漁獲用のわなを仕掛ける範囲とされいるのが、いまや湖のほとんどをわなが覆う漁業の現状。減り続ける魚、苦しくなる漁民の生活。近年、頻繁に起こる洪水。そのたびに家ごとみんなで担いで移動させる様子など、環境破壊が湖とともに生活する人々の暮らしにどんな影響を与えているかを捉えています。
 そんな映像の合間のインタビューの中で、唐突に、善良そうな漁師が「兄を政治家の家族に湖の船上で殺された」というリアルな話をして観客は度肝を抜かれます。さらに驚くのは、殺した本人が堂々とインタビューで「あれは事故だった」と答え、遺された妻は「2万ペソ(4万円)で示談となったが、それじゃ足りない」と言います。日々、魚を獲って細々と暮らす漁師が有力者によっていとも簡単に殺されてしまうという事件さえ、このビコールの湖のある暮らしの中では日常なのか。。。。。あまりにフィリピン的で言葉を失ってしまいました。

 2本目は、「Moving Mountain」。2002年制作の、コーディリエラ地方の鉱山開発の様子を捉えたドキュメンタリーです。ロケ地はコーディリエラ地方の鉱山開発現場、4箇所。
 まず、バギオ近郊のベンゲット州イトゴン。ベンゲット・コーポレーションという大きな鉱山会社が撤退したあとの金鉱山で、細々と金を手で掘りわずかな収入を得ている先住民たちのコミュニティの暮らしを追っています。いわゆる「ポケット・マイナー」と呼ばれる個人で小規模に鉱山掘りをする人たちで、多くが先住民族です。
 そして次に、それとは対照的なベンゲット州マンカヤンのレパント鉱山と、イトゴンのフィレックス鉱山の大規模な鉱山開発の様子。地下の通路で大型重機によって縦横無尽に鉱物資源の採掘をする映像は、まるで映画で見た隠された地下都市のようで驚きます。
 最後に、紹介されたのが、カリンガ州バルバランの、コミュニティの人の完全にマニュアルの小規模な鉱山掘りの様子。

ボイェット監督は、環境保全に考慮しないばかりでなく、鉱物資源を持っている地元に富をもたらさない大会社による鉱山会社による採掘には懐疑的な姿勢をとり、何の機械もなく、コツコツと昔ながらのつるはしでコミュニティで富をシェアする伝統的なバルバランの鉱山開発にはシンパシーを表明しています。

 1月にレパント鉱山で「第3回コーディリエラ・ユース・エコサミット」を開催したときに、鉱山会社の人にツアーをお願いしたのですが、強力なコネをもってしても、トンネルの中までは案内してもらえませんでした。ボイェット組がカメラを持ち込むには、たぶんたいへんな手間と時間をかけ交渉を重ねてのことだったと思います。大会社による採掘が地中でいかにして行なわれているかを捉えた本当に貴重な映像で、ぜひ環境&鉱山開発に関心のある人(私たちNGOのスタッフ含む)に見てもらいたいと思っていました。

 イトゴンのベンゲット・コーポレーションの鉱山開発の跡地は、昨年10月の台風ペペンで120軒もの家が流されたところでもあります。もちろん、映像はそれ以前に撮られたものですが、不自然な鉱山開発が人々の暮らしに与える影響について記録しています。実は、知り合いのカリンが民族がたくさんこの地域のポケット・マイニングに参加していて、個人的にたいへんなじみのある場所です。より深く北ルソン、あるいはバギオに住む先住民族の暮らしの現状を知りたい日本の方を、ときたま案内する場所でもあります。

 CGNが、この「Moving Mountain」を上映するのは今回が3度目。
1回目は作品が完成したばかりの2002年に、CGNがはじめて主催したアースデイのプログラムの一環でセント・ルイス大学の視聴覚室で上映しました。当時はボイェット監督とは面識なし。
 あれから7年。昨年、CGNでコーディリエラの環境問題を扱った映像上映を企画したときに、「Moving Mountain」を思い出し、監督に連絡をとり初対面。
「バギオでMoving Mountain を上映したことがありますか」
とうかがったら
「多分6、7年前に一度だけ」
とのこと。
それってもしかしたら、CGNが企画したアースデイ・イベントのことでは!?

 いくら繊細なる鉱山問題を含む映画であるとはいえ、政治的にそれほど偏った視点もなく、大変な労力とお金を費やしてコーディリエラ地方を舞台につくられたドキュメンタリーが、この7年間、バギオ市の人々の目に触れる機会がなかったなんて、なんともったいないことかと思い、私が観たかったそのほかのボイェット監督の作品とともに上映会と監督によるFORUMをフィリピン大学バギオ校にて開催しました。それが2回目です。

 そして、今回が3回目。今回もボイェット監督自らDVDを携えてバギオ入り。映画を見てくれた人たちの質問に応えてくれました。

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   ↑左の立って質問に応えているのがボイェット監督。キドラット・タヒミックも鑑賞。


 ボイェット監督は今はマニラのケソン市をベースとしていますが、出身はバギオ。キリスト教のコンベントで育ち、山岳地方各地を家族とともに宣教した経験を持ち、イロカノ語はもちろん、イスネグ語まで解します。  CGNは、この「Moving Mountain」を含むボイェット監督が情熱を傾けて撮りつづけている環境映像のバギオでの上映に協力していこうと思っています。環境問題に関する情報は、いろいろ多様であれば多様であるほどいいと思っています。それぞれの立場で、向き合っている環境の捉えかたはいろいろですから。グローバルな視点で地球温暖化を語るのだけが正しい環境活動家とは言えないかもしれません。

 ボイェット監督の作品上映に興味のある方。ぜひ、CGNまでご連絡ください!
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by cordillera-green | 2010-04-26 23:56 | 環境イベント

今日はアースデイ

本日、4月22日はアースデイ。
バギオ市の中心のセッション・ロードは歩行者天国で、誰でもみんなチョークで好きな絵を描けるように。
キカと私もチョークを買って参加。
最近は選挙のキャンペーンで騒々しいばかりのセッション・ロード。今日の昼下がりは、カラフルでのほほんと平和なセッション・ロードでした。
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知り合いのCentoro ng Tanghalang Pilipinoのジェロが、セッション・ロードで、ストリートパフォーマンスを企画。
たくさんの人が足を止めていました。
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その後、パフォーマンス・グループはセッション・ロードをパレードして、マーケットの近くのイゴロット・パークで、式典。
CGNも、環境ビデオの上映で協力しました。
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エコバッグ・キャンペーンで大活躍してくれたリサイクル・マテリアル・アーティストのロメル君の作品も展示されていました。
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CGN主催のアースデイ・イベントは今週末が本番です。
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4月24日(土)6pm
at VOCAS(5th floor, La Azotea building, Session rd.)
環境ドキュメンタリー映画上映会
「Moving Mountain」
「Lake Bato」
監督のBoyette Rimbanも来バギオ。
作品上映後、FORUMを行ないます。

4月25日(日)6pm
at Maryknoll Sanctuary(Camp Sioco)

環境演劇上演
・Gambang Theater Guild(レパント国立高校)
・Ayyoweng di Ebokalan Theater Group(バナウ国立高校)
※1月のCordillera Youth Eco Summitのために制作した2作品を上演。

エコバッグ・キャンペーン授賞式

エコ・コンサート(VOCAS主催)

環境フォーラム(Halhalin Mountainneering Group, Manila)

入場無料 FREE ADMISSION
問い合わせ: 0919-842-6486 Carla

アースデイを最初にバギオに紹介したのは、何を隠そうCGN。2002年のことです。
知り合いから、環境関係の映像を借りて、セント・ルイス大学で、環境映像祭をやりました。
セッションロードの一番下にあるPeoples Parkという広場で、
「Colour your Earth」というイベントをやって、大きな紙に地球の丸を描いて
行きかう人に、手形でその地球を色づけてもらいました。
キドラット・タヒミックの長男・カワヤンが、すごく素敵なアート・インスタレーションでボランティア参加してくれました。
友人たちを募って「Earth Beat」という即席音楽グループを結成して、ライブもやったなあ。
彗星のように現れたミュージシャンが中心になってひっぱってくれて、パーカッション中心のなかなかいいステージだったと思う。

当時はバギオではだれも「アースデイ」を知らず、
「アースデイって何?」って言う説明とプログラムを一緒にチラシに刷って、
自らセッション・ロードでチラシを配りました。
それでも、セント・ルイス大学の環境映像祭はガラガラ。
イベントってむずかしいなと思いました。
思えば、あれがCGNが企画したはじめての環境イベントかも。

今では、バギオ市政府が全面協力でセッション・ロードが丸1日、歩行者天国です。
「環境についえ考えねば!」
という考えは、ここバギオには確実に浸透してきています。
うれしいね!

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    ↑「木を植えよう!」と日本語で書いたら、キカが
     「これじゃみんなわからないよおお」
     と、翻訳を書いてくれました。しっかりものだあ。。。。
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by cordillera-green | 2010-04-22 22:07 | 環境イベント

世界未来予想図委員会の本拠地・柏崎を訪問

 9日間の日本滞在中に柏崎市のナチュラル・メディカルの下條茂先生を訪ねました。下條先生は、2007年7月16日に起きた中越沖地震被災者の心のケアのために行なった「未来予想図プロジェクト」を世界の子供たちに広げようと、昨年「世界未来予想図」プロジェクト」を発進させました(詳細は世界未来予想図実行委員会のサイトhttp://plaza.rakuten.co.jp/braveboy/で)。コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、世界未来予想図委員会の海外パートナー団体第一弾として昨年1年間のサポートを受けてきました。
CGNは「コーディリエラ地方でもっとも支援を必要としている子供たちに世界未来予想図実行委員会の気持ちを届けたい」と、バギオ市と北ルソンで障害児のためのリハビリテーションプログラムを行なう(Heaven of Care Reherbilitation Center(HCRCI)に、サポートを届けてきました。(今までの活動の内容はこちらをご覧ください)。
未来予想図実行委員会には、お約束の1年間のサポートが終わったいまも、HCRCIの障害児のお母さんたちが作ったクッキーの販売などで、引き続き援助を継続していただいています。

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        ↑未来予想図・野菜クッキーです


柏崎の下條先生を訪ねるのは、サポートをいただき始めてからの念願でした。

先生のメディカル・クリニックの建物は小さなおもちゃのような白くてなかわいい木造ハウス。それもそのはず、このクリニックはトレーラー・ハウスで、いざ災害があった場合は、診療所ごと移動してすぐに救援活動に当たれるようになっているそうです(宮崎駿監督の「ハウルの動く城」のモデルなのだそうです)。

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廊下には、今年の世界未来予想図のパートナー、タイの「バーン・ロムサイ」の子供たちの描いた素敵な絵が飾られていました。
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診療所の待合室の片隅には「ナチュラル・トラスト」「盲導犬育成」「未来予想図」など、たくさんの貯金箱が並んでいて、毎日、その人たちのために働いたらコインを入れていくのだそうです。ホリスティック医療の先生としてだけでなく、セラピーなどのカレッジの運営、「町おこし」から「健康法」までさまざまなテーマでの講演(いまは減らしたそうですが、それでも年間70本だそうです!)など、超多忙な方なのに、つながりがあった人たちに対するサポートに、少しずつでも毎日心を配りたいという決意だそうで、「見習わねば」と思いました。
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       ↑下條先生と反町

ご挨拶に伺った「柏崎日報」のオフィスまでのそんなに長くない道中では、中越沖地震の被害がそのままの建物、その後更地にされた空地、アスベストが使ってあるため取り壊しさえできないままのビル、復興事業で生まれ変わった地域と復興から取り残されている地域などを案内していただきました。ほんの短い間でしたが、地震が柏崎に残した爪あとがいかに深いものなのかを想像することができました。

とっていただいた出前のカツ丼を、「なんと、3日続けてランチを座って食べた!」と感動する下條先生とともにみんなでいただき、「少しでもあなたの身体を診てあげたい」と、ゴキゴキと背骨の曲がりを修正していただき(一瞬のうちに! 魔法の手です!)、貴重な貴重な2時間を過ごさせていただきました。

(時間がとてももったいなくてゆっくり写真を撮る間もなかったです。だから、建物の写真はナチュラル・メディカルのHPからの転載です)

その後、ナチュラル・メディカルで週1回お手伝いをしていて、未来予想図プロジェクト実行委員会事務局長のせいちゃんに柏崎の海岸に案内してもらいました。中越沖地震で全面操業を停止し、その安全性が取りざたされた刈羽の原子力発電所を遠くに見ました。恥ずかしながらまったく知らなかったのですが、刈羽の原子力発電所の出力(1-7号まで全部稼動した場合)は世界一なのだそうです。
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    ↑後方に見えるのが刈羽原子力発電所です。

柏崎の学校には、「いざ」に備えて甲状腺障害を抑えるためのよう素の錠剤が常備されていること、もちろん、下條先生のトレーラー診療所にも備えてあることなどなど、地元ならではのお話も伺いました。
また、「柏崎を含む日本海沿岸は拉致被害者の多いところでもあるんですよ」と。

一見平和な何の変哲もないこの田舎町がひそかに抱える闇に、ちょっと背筋が寒くなりました。

そんな背景をまったく知らぬ我が家のキッズたちは、今回の旅で初めて見た海に無邪気に喜び、ボーイズは雪解け水で凍るように冷たい海水に足を浸し我慢大会。キカは「ハングル語が表記されているものも多いんですよね」という漂着物で海辺のフレンチ・カフェを開店です。

ボーイズが浜に打ち上げられたサックと怪しい鉄棒で作ったリサイクル・フラッグ・アートは、よく見れば砂で作った海亀が背負っていて、その亀にはダンサーJUN(西尾純)が拾った貝殻で縁取りされておりました。
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平和への想いの旗揚げでありますように……。

柏崎がもついろいろな側面を伺い、下條先生が、この町で世界の子供たちのために「未来予想図プロジェクト」をはじようと思った理由がわかったような気がしました。

下條先生の提案で、この柏崎の浜にある「夕日のドーム」で、来年7月16日の中越沖地震の起こった日に、JUNさんが踊ることになりました。平和のために世界各地で舞い続けてきたJUNさん、この柏崎という地で、地震で亡くなった人々、拉致によって姿を消した人々、刈羽原発に複雑な思いを抱きながら生きる人々の想いをどう表現してくれるのでしょうか……

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   ↑これが夕日のドームです。
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by cordillera-green | 2010-04-19 21:32 | みんなの未来予想図

中越地震の震央・長岡市川口町木沢集落を訪問

 アースデイやら2010年度の環境教育事業の準備で忙しい中、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の今後の長期的な事業展開に向けての地盤固めのために、9日間という短い期間、日本に一時帰国してきました。マニラからの往復便の格安航空会社セブパシフィックの発着地・大阪をはじめ、横浜、実家のある静岡、新潟・長岡市&柏崎市、さいたま、東京と駆け足でめぐりました。

本当に素敵な方たちとの出会いと再会に恵まれた9日間でしたが、中でも、昨年10月の台風17号(ペペン)の被害の際に、迅速に寄付活動に動いてくださり、さらに1月には現地視察のために北ルソンを訪れてくださった長岡市の子育てサポートNPO「になニーナ」の佐竹直子さん、中越防災安全推進機構の河内毅さんの活動の場を訪れることができたのが大きな収穫でした。

 佐竹さんと河内さんが案内してくださったのは、中越地震の震央(震源地のこと)だった長岡市川口町の木沢(きざわ)という集落です。65歳以上が人口比率の50%を超え、共同体の機能維持が限界に達している状態の集落のことを「限界集落」と呼ぶのだそうですが、木沢集落はまさにその典型。「最後に子供が生まれたのいつかなあ。7年位前かなあ。これからこの村で赤ん坊が生まれる可能性は99.9%ないわ」と集落の人。
中越地震後、集落の戸数が55戸から37戸に減って過疎化はさらに進み、現在の人口は95人ということです。

 しかし、ここでお邪魔させていただいた星野さんのお宅で目にした(正確には口にした)文化は、都会じゃ決して体験できない豊かなもの。
 「よく来たのお」と星野さんの奥さん・正子(しょうこ)さんが、挨拶も自己紹介もすむかすまないかのうちに出してくれたのは、地元の山菜料理の大皿盛り。ゼンマイや蕗など、おなじみの山菜の煮付けやキンピラから、聞いたことのないいろいろなキノコの入ったキノコご飯まで、テーブルに並んだ皿は10種類以上です。どれこもこれも、豊かな自然の風味いっぱいの素朴な味。決して町のレストランでは味わえない郷土料理です。

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      ↑星野秀雄さんのお話を伺いながら、みんなで山菜を味わう。

 「おいしい、おいしい」を連発しながら、ふと気がつけば外はまだ雪景色。
えっ?もしかしたら、山菜の季節はまだなのでは? では、この山菜は?
「去年採ったのをとってあるのさ」と正子さん。
なんでも、木沢集落の各家には大きな山菜専門の倉があり、塩漬け、乾燥などさまざまな手法で備蓄し、食べるときに取り出してきて料理するそうな。
しかし、山菜採ってから多分1年近くたったいまテーブルに並ぶこの量。
「どのくらいの量の山菜を保存しているんですか? 10キロくらい?」
との佐竹さんの質問に、
「そんなもんなわけないだろうが。一度採りにいったら車いっぱい入りきらないくらいだよ」

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     ↑「になニーナ」の佐竹さんと、大阪・中崎町でアートによる町おこしをする
      ダンサー・JUN(西尾純)さん。木沢の村おこしの話は参考になったかな?

雪深いこの地域だからこその生活の知恵です。中越地震の時には、町からの道路が遮断され、物流が途絶えたそうですが、この山菜の備蓄のおかげで飢えることなく乗りきれたとのこと。自然環境が異常な変化を見せている今の時代で、生き抜く知恵と力を持っているのは、もしかしたらこんな限界集落に住んでいるお年寄りたちなのかもしれません。

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     ↑4月というのに木沢集落にはまだこんなに雪があります。

 ご主人の星野さんは言います。
「あの地震は確かにたいへんだった。でも、その後の復興活動を通していい経験もたくさんあった。誰も見向きもしなかったこの集落に外からたくさんのボランティアの若者がやってきた。この山菜料理みたいに、いままで当たり前に思っていた木沢の風習を、外からの人たちが認めてくれ、自分たちの持っている伝統を見直すきっかけになった。地震の前より元気になったよ」
 星野さんは続けます。
「ある人が来てね、じゃあその“元気”っていうのは何ですか?って聞くんだよ。俺は即座に答えたね。“孤独の解消”だって」

なるほど。人口がどんどん減っていく集落。若者たちは集落をすでにあとにし、村の活気は薄れるばかり。でも、伝統的に山奥深いこういった村ではよそ者に対しては概して閉鎖的で、新参者を積極的に受け入れるという空気はありませんでした。それが、震災後にボランティアの人たちが来て、
「人に会うのが楽しくなった」とのこと。孤独を感じなくなったのが復興事業が村にもたらしてくれた最大の恩恵だったようです。

平成15年に閉校になった村の小学校は、いまは「やまぼうし」という名の宿泊施設をもった交流センターとなり、木沢集落の伝統を伝える施設となっています。
「この間までベトナムの学生が15人も来ておった。いや、まだ雪がいっぱいで寒いはずなのに、半そでではしゃいでおったよ。何言っているかまたくわからんがな」
と星野さん。海外からのお客さんとの交流さえも十分楽しむ余裕がすばらしい。
(しかし、木沢の言葉も、私にはまったく聞き取れません!)

 こういった、外部の人と交流で住民がみな前向きになってきたそう。
「この間、長岡であった地域物産展みたいので、いつもは“米、出せばいいんでないの?”って感じだったのが、今年は“いのしし鍋”出そうってアイデアが出て、挑戦したんだよ。一番人気で、売り切れ。鍋の底まできれいにさらっとったよ」

佐竹さんも言います。
「正子さんが中心になって女性たちの会も何とかでき、奥さんに“会の名前考えください”といったのですが、最初は“会なんて大げさなのはいらないよ。いつもお茶飲んでいるのとおんなじ面子だから「オチャの会」でいいいだろが“と言っていました。それが、「山菜郷土料理がすごい!」っていわれるようになって、正子たちのほうから、”会の名前を考えた。「スミレの会」にしたい”っていうんですよ。木沢集落の女性たちは、伝統的にずっとご主人の後ろで控えめにしていたのが、積極的になってきたんです」

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    ↑木沢に向かう道から。木沢は棚田でも知られているそうです。
     ますますコーディリエラと共通項多し!

 こんな復興活動を支えているのが、(財)山の暮らし再生機構の「地域復興支援員」の方々。集落に通い、お年寄りとひざを突き合わせて話を聞き、集落のいいところを発見し、それをどう復興に生かしていくかのアイデアを練り、実行に移していく人たちです。
山の暮らし再生機構・川口サテライトの星野晃男氏がおっしゃっていました。
「このあたりは田中角栄のお膝元だったところで、力の強い政治家に陳情すれば“何とかしてくれる”という他力本願的な考えが根底にあって、なんでも行政だのみでした。でも、復興は住民自らがやる気になって動かなければ意味がないのです」
その住民主体の復興をサポートするのが地域復興支援員の役割というわけです。

 台風ペペン(17号)の被災地の長期復興に、この地域復興支援員のようなシステムを導入できないだろうかというのが、中越防災安全推進機構の河内さんのアイデアです。

 コーディリエラ山岳地方も、道路や電気の普及などのインフラ整備が極端に遅れているのと、先住民ならではの閉鎖性で、独自の貴重な伝統文化を色濃く残しているにもかかわらず、近年の情報と市場経済の流入で住民自身が伝統文化の価値を見出せずにいます。失われ去ろうとしている文化や風習の保存と被災からの復興を、木沢集落の例を参考にしながら、模索していきたいと思います。

ところで、木沢の盆踊りは仮装盆踊りだそう。今度はぜひその時期にお邪魔したいです!

木沢集落を含む川口町の震災復興と地域復興支援員の方々の活動は、えちご川口交流ネットRENのHPで。
http://www.echigo-kawaguchi-ren.jp/

 
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by cordillera-green | 2010-04-17 15:28 | 被災地復興事業

西尾純の傾舞(kabuku-mai)と環境教育

昨年度のCGNの環境教育プログラムでは、西尾純さん(フィリピンではJUN AMANTOという名前で活動しています)が提唱する独自の身体パフォーマンス「傾舞(=kabuku-mai)」のワークショップを、ボランティアで来比してくださったJUNさん自身の指導で何度か開催しました。対象は山の村の高校生、バギオ市のアーティストたち、フィリピン大学やセント・ルイス大学のダンス・グループのメンバーなどなど。

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↑マウンテン州バナウ村でのワークショップ

「傾舞の創始者であるJUNさんの公演を観ると、素敵な着物で踊ることが多いし、能面を使うし、一見とても和風なトラディショナルなダンスを独自にアレンジしたものかのように思えます。なぜ、その「傾舞」が、CGNの環境教育プログラムなのでしょうか。

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            ↑2009年9月「The Remains」公演(VOCAS)
             Photo by Erik Liongoren
   

一度、JUNさんの身体表現ワークショップに参加していただくとよくわかりますが、傾舞が提唱する基本の身体の動きは、身体の中に二つの軸があるという考えです。バレエに代表される西洋のダンスの身体の動きは、身体の真ん中に1本の軸があって、その軸をできるだけぶれないようにしっかり固定して、それを中心にくるくる回転したりするわけですね。
ところが、JUNさんのワークショップでは、おサムライさんの刀を持ったときの身体の動きに例をとり、日本人の伝統的な身体の動きは、徹底的に西洋のそれとは違うことを説明してくれます。
 日本人は伝統的身体に縦に二つの軸が通っていて、その二つの軸に交互に重心を移動させることで、身体の動きを促していると。それは、無理な力のかからないとてもスムーズで自然で、しかも合理的な動きであると教えてくれます。

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          ↑セント・ルイス大学でのワークショップ
          Photo by Erik Liongoren

 さらに、二つの軸があるという身体表現のあり方は、人の考え方にも影響を及ぼしているそうです。西洋の人々は、その身体の動かし方と同様に、人々が集ったときに必ず中心になる人を求めます。誰かが真ん中にいて仕切ってくれなければ、どうしていいかわからない混乱状態に陥るそう。しかし、身体に二つの軸をもつ日本人は、本来、「中心」というものを求めません。身体の真ん中は、空洞になっていて、そこからあらゆる情報を取り入れることができます。あらゆる情報というのは、(たぶん)他人の考えや、その場の空気や、自然の気配や、神様の意思などなど、文字通り“あらゆる”環境です。そして、他人の考えを受け入れながら、おたがいを尊重して合意を見出すことができるといいます。

 JUNさんは言います。
「西洋の国の人は、環境を語るにも額にシワを寄せ、問題を提起し、解決に取り組もうとする。でも、日本人は、環境を身体の中に受け入れ、それを理解しようとする」。
なるほど。

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     ↑photo by Ruel Bimuyag       
 
世界中を傾舞の公演やワークショップのために旅しているJUNさんは、この身体に二つの軸を持つという身体の動きは、日本のおサムライさんだけではなく、環太平洋の島国の人たちに共通した身体の動きであることを発見します。

JUNさん、もちろん、島国・フィリピンでも二つの軸を持つ伝統ダンスを探して旅してきました。西洋の影響を強く受けているフィリピン文化の中でなかなか出会えなかったそうですが、昨年、キープ協会とCGNが協力して開催した「コーディリエラ・ユース・エコサミット」(カリンガ州ルブアガン会場)でのカリンガ族高校生の伝統舞踊に、その動きを発見しました。しかし、ルブアガンといういまだ閉鎖的な伝統文化と慣習に支配されているかのような山奥深い村においてさえ、西洋の影響が見られ、伝統的な二つの軸を使った動きで伝統舞踏を踊っていたのはごく一部だそうです(素人の私には、まったく違いがわかりません! なさけない・・・)。
  (JUNさんの北ルソンの旅の体験談は彼のブログで。)

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    ↑第2回コーディリエラ・ユース・エコサミット(ルブアガン会場)での高校生の伝統ダンス
    Photo by J.P.Alipio

CGNの環境教育ワークショップでは、「気候変動とは?」とか「地球温暖化とは?」といった環境問題についての知識を教える講演も行なってきましたが、同時に自然を感じ、自然を愛しく思う気持ちを育てようというアートを取り入れたワークショップも多数行なってきました。多くが自然と共生してきたはずの山岳民族の伝統文化の再生にもつながるワークショップでした。楽しみながら学ぶ「楽習」もCGNの環境教育ワークショップの大事なコンセプトです。

まったくかけ離れているようで、JUNさんの「傾舞」身体表現ワークショップは、まさにCGNのやりたい環境教育の手法にぴったりでした。しかも、CGNは、最近、演劇を使った、つまりを身体表現を使った環境プログラムに力を入れていて、二つの軸の真ん中を空洞にして、そこに「環境」を取り入れて身体を動かそう、というのは、基本的でありながら、本質的で、感じる力をよみがえらせるすばらしい体験になります。
(実のところ、頭でっかちの私は、JUNさんのワークショップにおける劣等生の筆頭なのですが)
   
   
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↑Photo by Erik Liongoren

ここまでの話は、傾舞ワークショップのほんのほんのカケラ。JUNさんのワークショップでは二つの軸を基本としたさまざまな身体表現の仕方を気づかせてくれます。自分が今まで何十年も付き合ってきたはずの身体のことを何も知らなかったこと、身体が本来あるべき姿、身体を使った表現の可能性などなど、新たな驚きと発見に満ちています。

私を含むすっかり自然と隔離してしまった日本人より(頭で自然や環境を理解しようとする力が働いてしまうということね)、コーディリエラ地方の山岳民族の高校生たちのほうが、身体でJUNさんの傾舞の理論を受け入れているのを感じます。うらやましい。

4月を迎え、CGNの環境教育プログラムも新しい年度の活動を開始します。JUNさんの傾舞が山岳民族の若者による演劇表現にどんな影響を与えてくれるか、楽しみです。

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       ↑Photo by Erik Liongoren

JUNさんの、傾舞公演のスケジュールはこちらのブログにあります。
ぜひ、一度、体験してみてください。
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by cordillera-green | 2010-04-04 01:03 | 環境教育