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ダンサーJUN(西尾純)さんのアートで町おこし    大阪中崎町

 コーディリエラ・グリーン・ネットワークとキープ協会主催の「コーディリエラ・ユース・エコサミット」に2度もゲストとしてきてくださり、パフォーマンスとワークショップを行なってくれたJUN(西尾純)さん。今週末から行う、山岳地方6州の高校生たちを対象とした環境演劇ワークショップのために再来比中です。
実はダンサーJUNさんの、もうひとつの顔は、大阪・中崎町のアートを使った町おこしの仕掛け人です。
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   ↑2009年1月の第2回コーディリエラ・ユース・エコ・サミットでのパフォーマンス
    (Photo by J.P Alipio)

  
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     ↑2009年セント・ルイス大学CCA(文化芸術センター)でのワークショップ
      (Photo by Erik C Liongoren)
      

 仕掛け人なんていうと、用意周到、コンセプトを練って、有名建築家やらデザイナーを雇い、空間を演出……なんて思いますが、もともとは、ダンサーとして自分が好きに自由に踊れる場所がほしかったのだそう。大道芸人としてもいろいろな土地を旅してきたJUNさんですが、大阪・梅田から歩いていける距離にありながら、震災で400メートル四方が焼け残り、高層ビルの合間に取り残されているような中崎町に運命の出会いを感じ、この地に拠点を持とうと決意しました。お地蔵さんに囲われた一角だけが爆弾が落ちなかったという伝説もJUNさんを強く惹きつけたといいます。

 中崎町の連なるなる長屋の持ち主を尋ね歩き、ようやく長い間使われていなかった一区画を貸してくれる人と出会い、お金がなかったのですべて廃材を使い、大工さんも雇わず、見よう見まねで一人で作り始めたのが、中崎町の第一号カフェ「サロン・ド・アマント」だそうです。ところが、作り始めは一人だったのが
「何やってんだーーーい?」
「そこはそうじゃないよおお」
「もっとこうしたらどうだい?」
なんていう人が次々手を貸してくれて、最終的には2ヶ月半の手作り改装中に1127人がもの人が関わってくれたのだそう。地域のゴミと、近しい人も赤の他人も含めみんなのいろいろな思いを吸い取って誕生したのが、「サロン・ド・アマント」だったというわけです。
だからJUNさんがこのカフェの空間に期待したのは「公園」。老若男女、誰も訪れ、会話を交わし、子供たちの笑い声が響くような、開かれたパブリック・スペースです。

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       ↑サロン・ド・アマント

お金がなかったから廃材使ったはずだったのに、世の中って不思議なもので、うわさを聞いた建築家の先生が見に来て「持続可能なリサイクル建築」なんて銘打ってみたりで、いつの間にやら中崎町以外からも人が集まってくるようになりました。
 もちろん、JUNさん、自分に居所を提供してくれた中崎町への貢献も怠っていません。たった1本残っていたカセットテープをもとに、中崎町ではすでに廃れていた盆踊りと夏祭りを復興させたりもして、少しずつ、誠実に、中崎の町の住人の人たちの信頼を得てきました。

 そのうち「うちの長屋も空きがあるんだけど」なんて、探さなくても町の住人からお声がかかるようになったそう。ついに、40年も使われていなかったという、元メリヤス工場とめぐり合い、またまた廃材ともらい物で待望の劇場「天然芸術研究所」を創り上げました。さらに、メリヤス工場のおとなりの元印刷工場を自主映画専門上映館「天劇キネマトロン」と、映画やダンスや芝居を見た後に語り合えるバー「朱夏」もオープン。アーティストたちの発表の場と集いの場として、中崎町は新しい顔を持ち始めます。
(JUNさんプロデュースのスペースについては、この間、一緒に中崎町に遊び行った現代美術家・廣田緑さんが詳しくレポートしてくれているので、彼女のブログ「ジョグジョカルタ・タイムス」で。

いまでは、カフェや雑貨やさんをはじめたい人、自主映画を作っているけれども発表の場のない人、アート作品の発表の場を探している人などなど、夢を持っているけれどもお金がなくて居場所を探す人たちがJUNさんを訪ねてきます。中崎の町とアーティズトたちの橋渡し役としてJUNさん担っている役割はますます大きくなっているように見受けられます。

JUNさん関わった店やスペース(今では13にもなるそうです)をはじめ、若い人が集まるエリアだから事業展開しようという企業まで、中崎町には100軒前後のさまざまな小さな店が軒を並べるようになっているそうです。あの「情報誌ぴあ」にも「中崎町」というカテゴリーができ、JUNさんがたった一人で始めた中崎町カフェ計画は、なんだか独り歩きし始めたようにも感じられます。

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                ↑廣田緑さんと。アマントの前で

4月頭からの短い日本滞在でいろいろなところを訪ねましたが、不景気で元気のない地方都市での、前向きな市民たちのトピックスは、どこもかしこも、「町おこし」「村おこし」でした。みなさん、自分の暮らす地域に活気を取り戻そうと、あの手この手の作戦を練っていました。
柏崎のホリステッィク医療の下條先生に
「最近、講演のテーマとして多いのは何ですかあ?」
と伺ったら
「町おこし。ワークショップでその町のいいところとや病んでいるところを気づかせて、あらゆる治療の方法を提案してもらう」とおっしゃっていました。町のホリステッィク治療ですねえ。
「先生よ。あなたまでも」と苦笑してしまいました。

いまや町おこしの先達であるJUNさん、5月のBe Good Café主催の「国際エコビレッジ国際会議TOKYO」の講師としても招待されているそうです。
主催者いわく
「山の中には、フルーツや木の枝が落ちていますが、町にはゴミが落ちているんですねえ。新しい発見です」と感動され、都市におけるエコ・ビレッジ作りをテーマに話してくださいと頼まれたそうです。
というわけで、エコビレッジ国際会議TOKYO参加のほとんどのスピーカーが、自然の中でのオーガニックなエコビレッジ・ライフのプレゼンテーションをすると思われる中で、大阪の下町での拾ったエコ素材(ゴミね)によるエコ・ビレッジ(正確にはエコ・タウン)作りのお話をするそうです。
東京方面でJUNさんのお話を聞ける貴重な機会。ぜひ、足をお運びください
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エコビレッジ国際会議TOKYO
「大阪中崎町 カフェから始まるコミュニティ・アート=天然芸術」
日時:5月29日(土)13:00~13:45
会場:城西国際大学・東京紀尾井町キャンバス302教室

他にもこのイベントには30人以上の国内外のエコビレッジに関わるゲストの方のお話が企画されています。
詳細はWEBサイトにて。

JUNさんのことをもっと知りたい方は、以下のHPで。
http://junjugem.jugem.jp/
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                ↑Photo by Erik C Liongoren
      
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by cordillera-green | 2010-05-13 12:52 | アート

お帰りなさい!ヨッシー(吉田智久さん)

 ほんとうに、人と人との出会いに支えられて、日々生かされているなと感じています。

 しかし、CGNの環境プログラムの中核をなす環境演劇の指導をして下さっている吉田智久さんは(こちらでの呼び名はヨッシー)、なんと、8年も前からバギオ市の日系人協会「アボン」で夏休み(4月か5月)に日系人の子供たちのための演劇ワークショップを続けているとのこと。この小さな町・バギオで、私がそのことを知らなかったというのが不思議なくらいです。まあ、私が、かなりへそ曲がりでバギオの日本人社会と離れたところで生きているということなんですが……。
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 とにかく、昨年、ようやくヨッシーと知り合うことができて、いきなり、めちゃくちゃディープな山岳地方の村々に行っていただき、環境演劇製作の指導をしてもらうことになりました。
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      ↑山岳地方の村に向かう道はこんな道なんです

 日本で第一線で活躍していたプロの舞台演出家の方にとっては、周りは私も含めて全員素人、機材もなし、ステージもなし、時々は練習場所の屋根さえなし、ついでに、行き帰りの道路さえなし……という想像を絶する条件のなかで、たぶん最初は「なんでこんなっ!?」と怒りが頭を持ち上げたこともあったと予想していますが、本当に辛抱強く、楽しんで、そして、情熱的に高校生たちの指導に当たってくださいました。
(その様子はCGNスタッフ・ブログで書いてくれています)
「いや、分野じゃないんで」
と頭をかいていた環境問題もせっせと勉強してくださり、いまやプロの環境ファシリテーター並みの知識を身につけています。
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 この経験がはたしてヨッシーの演劇人生にとって何らかの役に立っているかしらん・・・・と、時々、巻き込んでしまった手前、不安に駆られたりしますが、
「子供たちは磨けば磨くだけ光る原石でしたよ」
なんてうれしいことを言ってくれました。
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また、エコサミット参加の高校生たちのいい兄貴分で、言葉の苦手な日本人ゲストの方たちとの間に入って、とりもち役なんかもしてくれていました。先生や、CGNスタッフには見せない(見せられない)、ちょっといたずらな砕けた顔を高校生たちはヨッシーには見せてくれていたみたい。エコサミット後もヨッシーの携帯電話には子供たちからのテックス・メッセージが山のように届いていました。
「日本人ってまじめで暗い人」っていうイメージを思いっきり覆してくれて感謝です。

エコサミット後、日本に帰国してから取材を受けたそうで、読売新聞に「国境越えて出会いを演出」というドンピシャな見出しで記事が載っていました。
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そのヨッシー、4月のCGN主催のアースデイのイベントで、エコサミットに参加した演劇グループが公演すると聞いてバギオに舞い戻ってきてくれました。現在は恒例のアボンでの日系人向けの演劇ワークショップ(様子は北ルソン日本人会のブログで)で汗をかき、今月15日からのCGN主催の山岳民族の子供向けの環境演劇創作ワークショップでもフルタイムで演技指導に当たってくれるばかりか、舞台技術の裏方までもこなしてくださることになっています。
ありがとう! ヨッシー! いい作品を創りましょうね!
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 吉田智久さんのプロフィールはこのページで。
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by cordillera-green | 2010-05-07 18:16 | 環境教育

イオン環境基金助成のマララオ村での植林事業・継続中です!

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このブログでは、環境教育プログラムや環境イベントのことを書くことが多いですが、実はコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の活動の中心は植林です。現在も、カリンガ州、イサベラ&カガヤン州、ラ・ウニオン&イロコス・スール州などで、植林事業を展開中です。CGNには契約スタッフやパートタイムを含めて、約15人のスタッフがいるのですが、そのうち半分の7人は、フォレスターの国家資格を持つ森と植林の専門家です。また、副代表のジャン・タクロイは、ベンゲット州立大学森林学部の優秀なる教授。ジャンはカンカナイ族の貧しい家庭の出身で、努力で教授までになったという経歴をもち、先住民の経済的貧しさと文化的豊かさをよく知った上で、住民の生活向上に考慮しながら、住民主体の10年後の100年後の森を見据えた、地に足の着いた事業を提案してくれています。もともとは大学で彼の生徒だったCGNの契約フォレスターたちを厳しく指導し、着実に事業を成功に導いてくれています。

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↑キブガンでの2005年の植林事業(イオン環境財団助成)
    地元の高校生たちと木を植えました。

CGNがはじめて森林再生事業を経験したのは、2002年。山梨県のキープ協会が国土緑化推進機構の助成をいただいて計画していたベンゲット州キブガンでの植林事業のお手伝いで、現地のパートナー団体としてコミュニティ・オーガナイズや植林の技術指導を担当させていただきました。植林の経験のなかったCGNは、ジャン・タクロイ教授に教えを請い、優秀な現地に滞在して植林指導をしてくれるフォレスターを紹介してもらい、はじめての植林事業を試行錯誤しながら完了しました。
 2004年度には、イオン環境財団から助成をいただき、キブガンでの植林事業を継続しました。その後もイオン環境財団からは助成を継続していただいており、事業地をキブガンから2007年度にはアパヤオ州のコナー郡に拡張、さらに2009年度にはカリンガ州タブックのマララオ村、イサベラ州ケソンのガランギン村、レパント村にて水源涵養と住民の生活向上を目的とした植林事業を行っています。

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     ↑マララオ村での植林事業のパートナーEKOのメンバーと。
      左のほうでちょっと町の人のような服を着ているのがジャン先生です。

イオン環境財団助成の「マララオ・カランギン・レパント地区の水源涵養のための森林再生事業」の1年目が終了し、3月の終わりに現地に視察に行ってきました。

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      ↑EKOのメンバーと

植林地は35ヘクタールで65,299本の苗木を、住民たちがこの事業のために作った組織「Eskan Kabilingan Organization(EKO)」のメンバー30名とともに、植えました。また、メンバー30名がそれぞれ自分の家の裏庭に、翌年以降、植林を自主的に継続しくときのための苗木場を作りました。苗木場では、40,629本の苗木がすくすくと育っています。

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    ↑植林場所はこんな荒地なのです。

コーディリエラ・グリーン・ネットワークのこの事業の担当はフォレスターのレナート。苗木作りや、植樹の仕方、防火帯の必要性と作り方など植樹に直接関わる技術の実践指導から、彼がアジア学院留学中に学んできた堆肥作りや天然防虫剤の作り方、バイオガスの有効性などなど、この地域の環境保全に役に立つすべての知識を住民たちに伝えようと、熱心に活動しています。住民の方たちのレナートに対する信頼は絶大で、まるで家族のようにマララオ村に溶け込んでいました。
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実のところ、植林事業でいちばん苦労するのは、本当に積極的な心からの住民の方たちの協力を得ることなのですが、レナートの人柄と努力と誠意のおかげで、マララオ村での事業1年目の植樹作業は、かつてないほどたいへんスムースに終了しました。
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     ↑苗木の生育具合をチェックするCGN副代表・ジャン先生

ところが、残念なことに天候があと押してくれませんでした。エルニーニョ現象の影響で、昨年10月来まったく雨が降らず、住民達は飲み水にも困る状態です。日陰や小川の近くに植えた苗木は順調に元気に育っていましたが、まったくのハゲ山部分に植えた苗木は瀕死の状態のものが多くありました。水をやりたくとも水はなし。
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     ↑こんな苗木がたくさんありました。ガンバレ!苗木!

暮らしの中で、自然の猛威を痛いほど知り尽くしている住民の方たちは、それほどがっかりした風もなく
「たくさんの苗木を裏庭で育てているし、次の雨季に植え替えるよ」
と前向きです。しかし、植樹作業の大変さを知っている私には、エルニーニョ現象が恨めしく思えます。
 いまだかつて経験したことのない天候の変化を身体で感じている住民の方たちの、環境問題に対する真剣な姿勢をマララオ村ではひしひしと感じました。町に住んでいる私たちより、ダイレクトに暮らしや経済に気候変動の影響を受ける農民たちのほうが、この環境の変化に心から恐れを感じていることでしょう。
レナートも「ちょっと難しいかな」と言いながらも、持続可能な農業や植林の技術指導だけでなく、地球規模で起こっている「地球温暖化」や「気候変動」についても、噛み砕いて住民たちへの指導内容に加えはじめています。
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      ↑こちらは順調に育っております。

マララオ・カランギン・レパント地区での植林事業は、2010年度もイオン環境財団の助成をいただけることになり、継続して活動できることになりました。今年度の目標は40ヘクタールに7万本を住民の手によって植えるというもの。1年間の事業の経緯を見てきたEKOメンバー以外の住民からも、「参加したい」という声が多く届き、EKOメンバー自身が環境や植林や持続可能な農業の指導を、周りの人に広めていくことができるよう、今月に予定されている環境セミナーのテーマは「いかに近隣住民たちに環境を教えていくか」をテーマとしたファシリテーター養成講座です。
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       ↑荒地はどこまでも続く。植えなくちゃいけない場所はまだまだあります。

「それぞれができることを小さいことでもいいからとにかく始めること」
それが、世界規模での環境破壊にちっぽけの人間ができる唯一のことだと思います。
がんばろう!
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     ↑森になる日はいつ?

CGNの植林に参加したい方がいたら、ぜひ、ご連絡を。
「木を植えよう!」
というのは簡単ですが、実際の作業は厳しいもので、
「育てるのは植えるより大変」
を実感できますよ。
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     ↑ものすごくがんばって植えてくれているバランガイ・キャプテンの奥さんと
      フォレスターのレナート
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by cordillera-green | 2010-05-06 14:49 | 植林/アグロフォレストリー