Cordillera Green Network ブログ

cordillera.exblog.jp
ブログトップ

<   2011年 09月 ( 13 )   > この月の画像一覧

カダクランでの1年間の植林&アグロフォレストリー事業のまとめ

 国土緑化推進機構・緑のの募金公募事業の助成を受けて、山梨県のキープ協会のカウンターパートとして行ってきた、「フィリピン・マウンテン州バーリグ郡カダクラン地区における森林再生、水源涵養のためのアグロフォレストリー・システムを導入した森林再生事業」が、8月いっぱいで終了しました。
 最近何回かのブログ記事でカダクランのことを紹介しましたが、村の方たちがたいへん協力的で、地区を挙げてのコミュニティ植林事業として、たいへんうまくいった事業でした。
 植樹本数は32,666本。内訳はアルヌス5000本、カリエンドラ5000本、アラビカ・コーヒー22666本。カダクラン地区のOgo-og,Kaleo,Chupac,Lunasの4つのバランガイ(村)に、それぞれ苗木場を建設し、自主的な植林の継続のために44000本の苗木の育成を開始しています。苗木場の管理はそれぞれ村によってグループを作って行っています。植樹に参加した家族は4つの村を合わせて104家族となりました。年間に、化学肥料や農薬を使わない苗木育成の方法、アグロフォレストリー栽培のコンセプトや方法について、3回の講習会を開催しました。
 また、昨年12月には、日本からゲストの方々を招き、小学校、高校での環境教育ワークショップを行ったほか、植林に参加した住民の方々とクリスマスパーティを開催しました。ゲストの方々は住民の方々と植樹作業にも参加しました。


 この1年間の活動を写真で紹介します。

b0128901_9491113.jpg

↑Kaleo村に苗木を運ぶ。棚田の畦道と山道を徒歩30分です。

b0128901_9551353.jpg

   ↑ギマタと呼ばれる天秤棒で苗木を植樹地に運ぶ。

b0128901_9571458.jpg

   ↑草を刈ってから植樹。

b0128901_1031357.jpg

↑植樹のための穴掘り

b0128901_1075346.jpg

   ↑キープ協会ののボランティアと一緒に植樹

b0128901_1010069.jpg

   ↑カダクランの住民によるNGO「Mt.Amuyao Agroforestry Development and Water
    System Inc.」代表のアシュレイさん。住民側で事業を引っ張ってっくれました。

b0128901_10135271.jpg

  ↑子供たちも苗木の運搬に協力。

b0128901_1024364.jpg

  ↑ 支給された苗木場資材を運ぶ

b0128901_10275293.jpg

  ↑苗木場作りも住民ボランティアが多数参加。

b0128901_1030502.jpg

  ↑カダクランの女性たちは本当に働き者。ボランティアは多くが女性たちです。

b0128901_10325660.jpg

↑講習会の参加者もたいへん熱心。毎回たくさんの質問が飛び交いました。

b0128901_10365071.jpg

  ↑2010年12月には日本からのボランティアの方も植林に参加しました。

b0128901_10385833.jpg

   ↑キープ協会&CGNボランティアの松野下琴美さんは小学校で環境教育ワークショップ

b0128901_10414338.jpg

   ↑住民ボランティアの方とのクリスマス会では、日本からのボランティアのアーティストたちが
    素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。

b0128901_10571289.jpg

 ↑1年間かけて植えた苗木のモニタリングを8月に実施。生育は順調です。

b0128901_10461921.jpg

 ↑植樹した苗木を説明する植樹参加者。 

 
b0128901_110471.jpg

    ↑モニタリングでは、苗木と苗木の間の間隔がきちんと指導通りに植えられているかなども、
     森林官がチェック。

b0128901_1135022.jpg

  ↑今後の苗木の育成に役立てるための木酢講習会も開催。

b0128901_1182321.jpg

  ↑Ogo-ogの苗木場のモニタリング。さび病が出ていて心配。

b0128901_11105245.jpg

  ↑Ogo-oguの苗木場はタガポンさん(左から二人目)が責任者となって管理しています。

b0128901_1112552.jpg

  ↑引き渡し式では、国土緑化推進機構、キープ協会、CGNに住民の方々から感謝状をいただきました。

事業の写真はCGNのWEBアルバムにもアップしています。

https://picasaweb.google.com/101439197484450138832/AgroforestryProjectInKadaklanSep2010Sep2011
[PR]
by cordillera-green | 2011-09-29 09:22 | 植林/アグロフォレストリー

カダクランの暮らし

 まだまだ深い森の残るマウンテン州バーリグ町のカダクラン。携帯電話の電波も届きにくく、まだゆったりとした昔の暮らしが残っています。今回の旅でも、まだまだ不思議がいっぱい残っていて、あたたかなカダクランの暮らしに触れる機会がありました。インターンの亀井遥海君の写真をお借りして、その一部を紹介。

b0128901_1695632.jpg

↑棚田の中の急な畦道

b0128901_16181393.jpg

   ↑Lunas 村の人が埋葬される洞窟のお墓。

b0128901_16215165.jpg

   ↑お棺が朽ちて白骨が見えているものもあります

b0128901_16253848.jpg

   ↑遺体と一緒に埋葬するものはあるのですか?と聞いたら、開けてみたら?
    とお棺の一つをにっこり笑ってあけてくれました。唖然。。。
    毛布を巻いて埋葬するそうです。

b0128901_20554147.jpg

   ↑最近、亡くなった方の棺はコンクリート作りで格子戸のある建物に入れられています。
    盗掘を避けるためとのこと。ガイドしてくれたアシュレイさんは、満面の笑みですが、
    お墓であまりにうれしそうな顔したら不謹慎な気がするのは日本人的感覚?
    彼らの死生観はたぶん私たちとは違うのでしょう。

b0128901_2103853.jpg

    ↑洞窟にはこの滝を渡っていきます。

b0128901_2115517.jpg

    ↑ものすごく急なこの階段の一番下に川戸多紀があり、その向こうにお墓の洞窟があるのです。
     この階段の両側は事業の植樹地。サトウキビも生えていました。アシュレイさん
     「サトウキビとってあげたいけど、おまじないがかかっていおるかもしれないからやめておこう」
     土地の主が、植えた作物を盗まれないようにおまじないをしていることがよくあって、
     そういう場所で勝手に作物を採ると、たたりがあっていろいろなところが腫れたりするのだそうです。

b0128901_21215178.jpg

    ↑田んぼの中に材木が浮かんでいて「なんでこんなところに?」
     アシュレイさんいわく
     「これは底がない田んぼのしるし」
     つまり、底なし田んぼ。いったん足を踏み入れると、絶対に抜けずに、沈んでいくしかないのだそうです。おそろしや。。

b0128901_21323488.jpg

     ↑グアバの実を獲る子供たち

b0128901_21355357.jpg

     ↑今回の旅でずっとガイドを務めてくれた、元バランガイ・キャプテンのシンプルおじさん(あだ名)。
      喜怒哀楽がいっぺんに顔に現れる素晴らしいキャラクターの持ち主です。

b0128901_21412547.jpg

     ↑ジープの特待席はなんといってもここです

b0128901_21462154.jpg

     ↑子供たちをまねて、インターンの亀井君も自分の名前を
      張り付く草の実でTシャツにつけてみました。
      おもちゃなんてなくても、子供たちは自然の中から遊び道具を見事に探し当てます。

b0128901_21522274.jpg

      ↑イフガオ族の嗜好品として知られるビンロウの実ですが、
       カダクランのおじさんたちの好きみたいでした。

b0128901_21583962.jpg

      ↑朝焼け

b0128901_223133.jpg

      ↑OGO-OG村の家

b0128901_2275625.jpg

      ↑山の村の必携生活用具。ボロ(山刀)、鳥打ち銃、ほうき。

b0128901_22114413.jpg

      ↑棚田。この田んぼで収穫される紫米は、アメリカにも輸出されるようになり
       村人の貴重な収入源になっています。
       放棄されていた棚田を再び耕し始める人も出てきたとのことです。

b0128901_2215347.jpg

      ↑ひ弱な日本人と本物のイゴロット・カダクラン人

b0128901_22274465.jpg

      ↑同行の中島君の誕生日で、タポイと山のおいしいご飯をごちそうになりました

b0128901_22305264.jpg



木酢セミナーに講師として来てくれた中島くんはかなりの写真好き。
素敵カダクランのな山と村の写真がfacebookにアップされています。
http://www.facebook.com/media/set/?set=a.2396751998832.2140267.1251948417
[PR]
by cordillera-green | 2011-09-27 16:04 | 山岳民族の暮らし

CGNインターンのための三種の神器

 今年の夏にインターンとして活動に参加した亀井遥海君に、バギオ到着後、まず、これだけは揃えてくださいとお願いしたCGNインターンに絶対必要な三種の神器を紹介します。

①懐中電灯
活動地はは険しい山奥のことが多く、電気がない村も多い。また、電気がかろうじてひかれていても、植林地の視察などで山に入っているうちに日が暮れてしまうこともあり、懐中電灯は欠かせません。バギオ市でも台風などで停電はしょっちゅうで、町でも役に立ちます。できたら電池のいらないダイナモタイプがいいですね。先日お客さんからお土産でいただいたハンドル充電式の懐中電灯。素晴らしい!

②携帯電話
バギオやコーディリエラに限らず、フィリピンでの滞在には欠かせません。山岳地方に行く場合の携帯電話の選びのポイントは、a.電気がなくて充電ができなくても3日間は電池が持つように、画面が小さく消費電力が少ないこと。b.懐中電灯を持たずに出かけてしまった時のために懐中電灯機能がついていること。c.山によって、Globeの電波しか届かないところ、Smartの電波しか届かないところがあるので、できたらダブル・シム(二つの電話会社のシムカードが入る)機能のある機種。
もっとも安い、1500ペソ(3000円)くらいで買える機種でも、これらの機能を備えた携帯電話はあります。あと、防水機能も安い携帯電話の標準装備になったら完璧ですね。

③折りたたみ傘
雨期の山岳地方は、とにかく突然天候が変わって大雨が降ります。また、晴れているときは紫外線も強いので、日傘としても役に立ちます。台風もしょっちゅう来て想像を絶する風が吹くので、骨のがっしりした丈夫なものを選びましょう。先日来た在台湾の友人は、UBカットの押しボタン式ジャンプ型折りたたみ傘を持っていましたが、日本ではこういうのはなかなか見つからないそうです。フィリピンでは押しボタン式ジャンプ折り畳み傘は一般的だから、お土産にもいいかもですね。
ちなみに強風で傘の骨が折れるなどしても、バギオの目抜き通り・セッション通りにはたくさんの傘修理屋がしゃがんで客待ちしているので直してもらいましょう。どこから集めてきたのかあらゆる種類の傘の骨をそろえていて、小さなフライヤー一つで見事な手さばきであっという間に修理してくれます。20-50ペソくらい。江戸時代文化に詳しい日本の友人もこの傘修理屋には感動。ものを最後まで使い尽くすために様々な工夫がされていたという江戸時代にも傘の骨のリサイクルがされていたそうな。
また、植林の事業地に行く場合は、レインジャケットも必携です。また、滑りにくく、雨が入りにくい靴(長靴がベスト!)も忘れずに。

b0128901_13333597.jpg

↑雨期の植林には長靴は欠かせません!

今後、ボランティアやインターンでCGN事業地を訪れたいという人は、この3種の神器を揃えてくださいね(来てからでOK)。

ちなみに、この夏のインターン、亀井君は初日にこの3つをバギオ市内で調達しましたが、肝心のときに持ってこなかったりで、使いこなすにはもう少し経験が必要みたいでした~~。
b0128901_13291145.jpg

[PR]
by cordillera-green | 2011-09-27 13:23 | CGNスタッフ&オフィス

今年の夏のインターン・亀井遥海くん

 ご報告が遅れましたが、今年の夏(日本の)もコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)にはインターン・ボランティアの若者がやってきました。珍しく工学部(山梨大学)で化学を専攻するという亀井遥海君。CGNのパートナー、キープ協会(山梨県)でボランティア活動をしたことからCGNの活動を知り、普段の大学ライフでは経験できない体験をし、今後の人生に生かしたいと4年生の夏休みを利用してインターンを決意。8月末からの3週間、CGNの様々な活動に参加してもらいました。
b0128901_1354328.jpg

 おもに、WE21ジャパン(神奈川県)と勧めているベンゲット州トゥブライ町コロス集落での「コーヒーの森事業」の植林、日本のパートナー団体のモニタリング同行、子供たち環境セミナーを担当してもらったほか、緑の募金公募事業でキープ協会と行っている植林事業の講習会、苗木場視察にも参加してもらいました。
 おりしも台風シーズンまっただ中で、道路が土砂崩れで遮断され、事業地に行けなくなるなどのアクシデントもあり、自然の驚異と向き合いながら生きていくしかない山岳地方の先住民の暮らしの厳しさ、そしてそんな中で暮らしていく人々のたくましさを体感してもらったと思います。
b0128901_139166.jpg

↑コロス集落の小学校での環境教育ワークショップ

 また、活動の写真撮影や、奨学金プログラムの翻訳でも大活躍してくれました。
 ほとんど初体験の海外生活ながら、前向きな姿勢でチャレンジを試みるUMI君(亀井君のニックネーム)は、「コーヒーの森事業」担当スタッフのリリー・ハミアス、3週間アパートを借してくれたCGNボランティアのブライヤン・アリピン氏などなど、出会った人みんなに愛され、楽しい時間を共有していきました。
 また、遊びに来てくださいね。みんな待っているよ~~。

b0128901_13112476.jpg

↑コロス集落の事業パートナー、フェリーさんはフィリピンのUMI君のお母さん?

b0128901_13143833.jpg

↑22歳の誕生日をこちらで迎えたUMI君。みんなでお祝いしました。

b0128901_1317163.jpg

↑音楽好きのUMI君、ギターの腕前はなかなか。フィリピンで知り合ったクレイジーな仲間たちと!

子供好きのUMI君がとったフィリピンの子供たちの写真がFACEBOOKのUMI君のアルバムににアップされていますよ~~。
http://www.facebook.com/media/set/?set=a.2291464499191.119276.1626368137
[PR]
by cordillera-green | 2011-09-26 13:17 | CGNスタッフ&オフィス

コーディリエラ・グリーン奨学金プログラム2011 活動報告②

 2011年の新しい奨学生の選考が行われ、17人の新しい奨学生が選ばれました。
CGNの奨学生は、CGNが行ってきた事業のカウンターパートナー団体メンバーの子供であることが基本条件となっています。持続可能なエネルギー事業を行ってきたカリンガ州パシル、森林再生事業を行ってきたベンゲット州キブガン、アグロフォレストリー事業や持続可能な農業指導を行ってきたカリンガ州タブック町マララオ村、ベンゲット州カバヤン、アパヤオ州コナー、イフガオ州マヤオヤオ出身の公立大学での学費をサポートしてきました。今年は、5月に日本で行った環境教育プログラムに参加した「AANAK DI KABILIGAN」のメンバーから、ベンゲット州マンカヤン、アブラ州ツボ出身者も加わり、奨学生の出身地はさらに広い範囲からとなりました。
昨年からの奨学生を合わせて、2011年度コーディリエラグリーン奨学金プログラムで学ぶ学生は53名です。また、カリンガ州タブックの障害児施設LIN-AWA Centerにも奨学金プログラムでサポートを行っています。

新しく奨学生に選ばれたのは以下の若者たちです。奨学生選考の面接にあたった担当スタッフ、ローデス・シーソンによる選考理由も紹介します(翻訳:亀井遥海)。
なお、フィリピンでは小学校卒業後に進学するハイスクールは4年制で、日本の中学校と高校が一緒になったものです。ハイスクール卒業後の大学進学年齢は、16歳以上ということになります。

エテル・サンシャイン・アギャオ
Ethel Sunshine Agyao

(Balatoc, Pasil, Kalinga)
カリンガ・アパヤオ国立大学KASC
助産婦学科1年
b0128901_1194936.jpg

サンシャインは17歳で、2年前にハイスクールを卒業しました。進学しなかったのは経済的困難からでした。彼女は7人兄弟の2番目で、下の4人の兄弟達はいずれも学校に通っています。父親は農業を営んでおり、母親は仕事を持っていません。父親の収入は家族の生活費で精一杯で、子ども達の教育費には十分ではありません。そのためパートタイムで大工等の仕事をしていますが、不定期のものです。サンシャインは家族を助けるただ一つの道だと信じて、大学過程を修了すること決意しました。彼女はハイスクールで平均的な学業成績を修めています。

アルマ・ダイソ
Alma Dayso

(Bacbacan, Polis, Kibungan)
ベンゲット州国立大学BSU
教育学部1年
b0128901_1201478.jpg

 アルマは16歳で、現在2年生を修了したところです。彼女の出身は、地域の自治体の中でも最も人里離れた村のひとつです。8人兄弟の長女であり、今後兄弟たちを養うという責任感から、専攻課程の修了に最善を尽くしています。彼女は教師になることが家族の貧困を軽減する唯一の道だと信じています。家族の中では父親だけが家計を支えており、母親は家事をしています。ただ母親の精神状態は安定しておらず、ときに精神の病が再発し、8人の子どもの母親としての役割をまっとうできなくなります。したがって母親の問題が、家族の直面する最も切迫した問題だといえるでしょう。しかし母親の問題は、アルマの人生の目標の妨害とはなりません。彼女はよりいっそう卒業に向けて努力しています。
 アルマの二年生における学業成績を見る限り、家庭の状況は彼女の目標を妨げるものではないでしょう。学業成績は十分満足できるものです。彼女は教育学士の課程に進むことを決意しました。


マリルー・ジャシント
Marilou Jacinto

(Balbalan, Kalinga)
KASC
助産婦学科1年
b0128901_1203920.jpg

マリルーは16歳で、ハイスクールを卒業したばかりです。彼女は7人兄弟の末っ子で、父親は農業をしており、母親は仕事を持っていません。彼女の2人の兄弟は結婚していますが大学に行くことができず、また3人は安定した職を持っておらず、やはり経済的理由から大学進学をあきらめました。一人の姉は現在大学に通っています。マリルーは2年制の助産士過程に入学することを決意しました。彼女の成績は優秀で、ハイスクーを優等生として卒業しています。

マーロン・カシル
Marloun Casil

(Poblacion, Kibungan, Benguet)
ベンゲット州国立大学BSU
農業工学部2年
b0128901_1205519.jpg

 マーロンは、現在20歳で、農業工学部課程の2年生です。彼は2人兄弟の長男で、ハイスクール卒業後、一度は進学をあきらめていました。経済的理由だけでなく、両親が離婚したためです。母親はふるさとのキブガンに残り、父親は別の家族とイロコス州で暮らしています。そんな中、母親は安定した職がなく、自身と下の妹のためだけに農業を行っていて、マーロンは一人経済的支援を受けることができずにいました。たった一人、彼の叔父が彼を援助し支えてくれたことで、彼は大学1年を修了することができたのです。
 現在、彼は叔父とともに生活し、家の雑務をおこなうことで生活費に充てています。彼の家庭環境は、決して彼の大学卒業への志を妨げるものではありません。

ブリジット・サノアン
Brigete Sano-an

(Palina, Kibungan)
BSU
教育学部2年
b0128901_1211575.jpg

 ブリジットは16歳で、教育課程の2年生です。彼女は5人兄弟の次女で、両親はともに農業を営んでおり、それが唯一の収入となっています。彼女の姉は経済的な制限から高等教育のとき学校をやめざるをえなくなり、現在は働いています。しかしブリジットは、彼女の課程を完了することを決意しました。彼女は授業がない日には、日当を稼ぐためのアルバイトを探しており、お姉さんが下宿の家賃と生活を助けてくれています。
 ブリジットの夢は、教師になることであり、彼女は地域の若い世代に教え、地域に貢献できることを切に願っています。彼女の学業成績は素晴らしく満足できるものです。


ネリッサ・アマンガン
Nerrisa Amangan

(Guina-ang, Pasil, Kalinga)
カリンガ・アパヤオ国立大学KASC
初等教育学部1年
b0128901_1212973.jpg

 ネリッサは16歳で、2011年4月にハイスクールを修了したところです。彼女の出身は、地域の自治体の中  でも最も人里離れた村のひとつです。両親はともに農業を営んでおり、その収穫は8人家族が食べていくだけの分としては満足しています。彼女は6人兄弟の3番目で、二人の年上の兄弟は叔父に支援してもらいながら大学に通っていて、下の子はハイスクール、小学校に通っています。ネリッサの教育学士過程への入学は、彼女の独自の選択です。彼女は地域の小さい子どもたちに教育をすることで地域に貢献したいと望んでいます。彼女の2年生時の成績は大変満足できるもので、優等生として修了しています。


タニア・ダワトン
Thania Dawaton

(Dangtalan, Pasil., Kalinga)
カリンガ・アパヤオ国立大学KASC
土木工学部1年
b0128901_122653.jpg

 タニアは16歳で、ハイスクールを卒業したばかりです。彼女は3人兄弟の次女で、家族の人数は少ないですが、生活は困難です。父親は農業を営んでおり、母親は仕事を持っていません。その収入は高地農業の限りのある収穫によるもので、一般的な生活を送るために十分ではなく、父親はほうき作りや大工などの副業もしていますがいずれも不定期のものです。彼女の姉は大学生で、妹は小学生です。タニアの学業成績は大変優れたもので、ハイスクールを優等生として卒業しました。

バレリー・ラタオアン
Valerie Lataoan

(Tubo, Abra)
北フィリピン大学UNP
b0128901_1222139.jpg

バレリーは16歳で、ハイスクールを卒業して今年進学しました。彼女は三人兄弟の長女です。彼女の父親は2年前病気により亡くなっており、母親は安定した職がなく、再婚しています。2人の幼い兄弟たちは小学校に通っていて、現在は祖父母の家で預かられています。母親が再婚したとき、彼女は祖父母の協力を借りながらたったひとりで兄弟たちの世話をしてきました。そのような家庭環境にもかかわらず、彼女は大学の勉強に意欲的で、教育課程を修了し教師になることを夢見ています。彼女はまたCGNによって発足した演劇グループの活動に積極的に参加してきました。彼女は平均的な学業成績を取れています。

フランクリン・ゴロスぺ
Frankllin Gorospe

(Malalao, Tabuk, Kalinga)
カリンガア・パヤオ国立大学林学部1年
b0128901_1225355.jpg

フランクリンは15歳で、4人兄弟の3番目です。父親は農業を営んでおり、母親は仕事をしていません。その収穫は家族が食べていくだけの分としては満足しています。彼の兄は働いていますが、学校を卒業することができませんでした。また姉はフランクリンと同じ大学の林学学士過程を卒業しています。彼の家族は、CGNが実施した森林再生プロジェクトに熱心に参加しました。彼のハイスクールの時の成績は満足できるもので、優等生として卒業しています。

エミージョイ・ライゴ
Emy Joy Laigo

(Palina Kibungan)BSU
教育学部2年
b0128901_124222.jpg

エミーは現在、教育学士課程の2年生です。両親はともに農業を営んでいます。小さな土地を所有しており、家族の食のための収穫は満足しています。彼女は7人兄弟の末っ子で、3人の兄弟たちは同じく農業をしていて、すでに結婚しています。2人の兄弟は結婚していませんが、経済的理由から大学を卒業することができませんでした。一人の姉は技術大学に通っています。エミーは、地域の発展のために、教育課程を修了し教育者になることを決意しました。彼女の大学卒業への意気込みは、彼女の素晴らしい学業成績にはっきりと表れています。

カルラ・ジョイ・シアット
Carla Joy Siadto

(Sagpat, Kibungan, Benguet)
ベンゲット州国立大学BSU
農学部2年
b0128901_1242512.jpg

 カルラは、現在、農業ビジネス学士課程の2年生です。彼女は4人兄弟の長女で、両親はともに農業を営んでいますが、その収入は家族6人が辛うじて生活していけるだけしかありません。彼女の家族は、地域が行っている森林再生事業に積極的に参加しています。彼らは裏庭のサヨテ栽培の下にコーヒーの木を植えています。カルラはコーヒーとともに木を植えることの利点に気付いているようです。家族は彼女が選んだ専攻で成功するようにと、彼女を優先しています。また彼女は、将来自分の農業の技術、収穫を向上し、環境を破壊することなく収入を増やす技術によって地域に貢献することを夢見ています。
 カルラの、1年生在学時の学業成績は満足に足るものです。また彼女の地域はこの奨学金の活用を強く勧めています。彼女の兄弟たちは、二人は小学校に通っており、末っ子はまだ学校に通っていません。



イサベル・ダーウィン
Isabel Darwin

(Palina, Kibungan, Benguet)
ベンゲット州国立大学BSU
教育学部1年
b0128901_124391.jpg

 イサベルは2011年4月にハイスクールを卒業しました。彼女は10人兄弟の7番目で、両親はともに農業を営んでおり、小さな土地を所有し家族の食のために耕作しています。彼女の兄弟たちも農業をしていますが、小作農であり、またそれぞれ家族を持っています。彼らは家から遠い教育機関に通うことに興味がなく、ハイスクールを卒業したのみでした。しかしイサベルは、地域の仲間たちを助けるために大学を修了することを強く望んでいます。教育学士課程をとることは、地域の若い子どもたちの教育の助けになる大きな手段だと彼女は信じています。経済的困難にもかかわらず、彼女の大学卒業への意気込みは、彼女の学業成績を見ても明らかです。彼女の一人の兄弟は工業高校に通っており、あとの年下の兄弟たちも学校に通っています。

クリスチャン・エステバン
Christian Esteban

(Balbalan, Kalinga)
カリンガアパヤオ国立大学罪学部1年
b0128901_124587.jpg

 クリスチャンはハイスクールを卒業したばかりで、現在17歳です。彼は6人兄弟の末っ子で、両親はともに農業を営んでいます。その収入は、家族の最低限の支出に対しても十分ではありません。彼の二人の兄弟は高校を卒業できずに結婚していて、二人は現在大学に通っており、一人はまだ仕事をもっていません。クリスチャンは犯罪心理学過程に入学し、彼の成績は優秀で、ハイスクールを優等生として卒業しています。

ジーナ・ガヤワット
Gina Gayawat

(Galdang, Pasil, Kalinga)
カリンガ・アパヤオ国立大学KASC
コンピュータ工学部2年
b0128901_125175.jpg

ジーナは16歳で、現在コンピューター工学専攻の2年生です。彼女は8人兄弟の7番目で、父親は数年前に亡くなり、母親がただ一人農業をして家族を養っています。その収入は、彼女の村の中でも少なく、家族の最低限の生活をも満足できるものでありません。
5人の年上の兄弟はすでに家庭をもっていますが、経済的理由から大学を修了することができませんでした。一人はハイスクールを卒業することができましたが、未だに就職することができていません。末っ子は今ハイスクールです。ジーナは、就職するための唯一の道だと信じて、大学を卒業することを強く望んでいます。


ジェファーソン・ランディサン
Jefferson Landisan

(Polis, Pobracion, Kibungan)
ベンゲット州国立大学BSU
農学部1年
b0128901_1254239.jpg

 ジェファーソンは16歳で、ハイスクールを卒業して今年進学しました。彼はキブガン郡でも最も遠い集落の出身で、道路から家までは3時間歩かなければなりません。大学に通うために、近くの村の親戚のところに下宿していす。彼は7人兄弟の5番目で、両親はともに農業を営んでおり、小さい土地の一区画を耕作しています。その収穫は家族の食を支える分は満足しており、父親は大工作業などパートタイムの仕事を行い、その他の出費をまかなっています。彼の3人の兄弟たちは大学の専攻を修了することができず現在は各々家族をもっており、あとの一人の兄は現在大学生で、あとの小さい兄弟たちは小学生です。彼は、彼の専攻である農業学士課程を修了することを強く望んでいます。
 彼のハイスクールでの学業成績は素晴らしく満足できるものです。


ジュン・ウイン・インガーアン
Jun Win Inga-an

(Mankayan, Benguet)
ベンゲット州国立大学BSU
教育学部1年
b0128901_1255720.jpg

ジュン・ウインは16歳で、ハイスクールを卒業し今年進学しました。彼は4人兄弟の二男です。父親は、鉱山作業員として雇われていたときに事故にあったため、身体に障害を持ち働いていません。母親は自治体の公立学校で教師をしています。彼の長兄も大学に通っています。ジュン・ウインの将来の夢は教師になることで、また地域の演劇グループのリーダーになりたいと望んでいます。彼はCGNによって発足した演劇グループの活動に積極的に参加しました。その民族的なパフォーマンスは大変賞賛すべきもので、彼には奨学金を受け取る資格があるといえます。

レマール・ダヌアセン
Leemar Dumuasen

(Tubo Abra)
アブラ州科学技術研究所ASIST
教育学部1年
b0128901_1261943.jpg

レマールは16歳で、ハイスクールを卒業して大学に進学しました。彼は7人兄弟の末っ子です。父親は数年前に亡くなり、母親は安定した職も持っていません。年上の三人の兄弟たちは結婚しており、もう一人は兄の支援を受けながら大学に通っています。母親は農業をしていますが、その限られた収穫では家族の食以外をまかなうことができず、特に教育のための収入には十分ではありません。彼は上の兄弟たちの助けによってハイスクールを卒業することができ、技術大学において教育学士を専攻することにしました。彼は課程を修了し、地域の幼い子どもたちに教育することで地域に貢献できることを願っています。
 レマールの住む村に向かうためには、三本の川をボートを使って渡らなくてはいけません。レマールは、CGNによって発足した演劇グループの活動に積極的に参加してきました。
[PR]
by cordillera-green | 2011-09-26 12:14 | 奨学金

カダクランでの植林事業と木酢セミナー

前回のブログでご紹介したブギアスでの植林活動は、実はキープ協会との共同事業の2年目の活動です。1年目の事業地はマウンテン州バーリグ町のカダクラ地区の4つの村(バランガイ)でした。カダクランはここから3時間のブギアスよりもっともっと深く山に入った美しい町です。1年目の事業のまとめとして村を訪問し、植樹した木の生育具合や作った苗木場の状態をチェックしてきました。また、今後、植樹した木のメンテナンスや苗木場での苗木の育成に役立てていこうと、木酢液づくりの講習会を行いました。JICAの草の根技術協力事業でベンゲット州で木酢液の普及に努めている中島淳太郎さんにおいでいただき、技術指導をしてもらいました。

b0128901_14313439.jpg

  ↑今回もアシュレイ・ラマトンさんのお宅にお世話になりました。
     大学の夏休みを利用してインターン中の亀井遥海君(右)も参加。
b0128901_14354083.jpg

    ↑Lunas バランガイの苗木場

b0128901_14391487.jpg

    ↑苗木の生育具合は順調です

b0128901_15192271.jpg

    ↑愛情をこめて育てているからでしょう。緑は実に生き生きしています。

b0128901_1442564.jpg

    ↑中島君の指導でドラム缶タイプの木酢液採取モデル施設をつくりました

b0128901_14525817.jpg

    ↑ドラム缶の中にぎっしりと小枝や草などを詰めます

b0128901_152398.jpg

    ↑この節を抜いた竹筒が煙突の代わりをします。

b0128901_14572370.jpg

    ↑辛抱強く、焚口から薪をくべます。煙突代わりの竹筒の先から出てくる煙の色に注目とのことですが、経験を積まないとなかなかどのくらいまで火を起こしていいのかわかりません。

b0128901_156495.jpg

    ↑竹筒から噴き出る煙が無色になったら木酢液が少しずつとれ出します。

b0128901_1510566.jpg

    ↑取れた木酢液は6か月は寝かせないといけないそう。使い方について中島君が説明。

b0128901_15283522.jpg

    ↑事業は成功裏に終了したことで、カダクランの人々から、
     国土緑化推進機構、キープ協会¥、CGN、中島君に感謝状をいただきました。

b0128901_1523410.jpg

↑受益者の方々と記念撮影
[PR]
by cordillera-green | 2011-09-25 14:23 | 植林/アグロフォレストリー

在バギオの日本の方と植林に行ってきました。

b0128901_14115521.jpg
先日、このブログで告知したベンゲット州ブギアス町レンガアン村での植林活動。バギオから4名の日本人ボランティアの方がご参加くださり、悪天候の中、村の人たち、バギオからのフィリピン人ボランティアと一緒に植林してきました。
b0128901_1331261.jpg

植林というと、「地球のためによいことしている!」ときれいなイメージですが、今回の植林場所は驚くばかりの急傾斜。また、その急傾斜にたどり着くまでの30分徒歩の道はドロドロのつるつるで、植林地にたどり着く前にすでに何度も滑って泥まみれになっていたボランティアもいました(フィリピン人ですけどね)。
b0128901_1402315.jpg

今回の事業は、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は山梨県の(財)キープ協会の水源保全のための植林事業に海外パートナーとして参加しています。国土緑化推進機構の緑の募金公募事業としての植林事業です。

b0128901_1332287.jpg

ブギアスは野菜の産地として知られていますが、長い間かけて森林を切り開き続け、現金収入を得られる野菜畑に転換してきてしまったため、現在では深刻な水不足に悩まされています。乾季には泉が枯れ、畑にまく水が不足し、野菜栽培ができない畑も数多くあります。町には水源共有地とされている森もあるのですが、そこにまで野菜畑を作る人が出てきており、
「このままでは野菜栽培だけでなく、生活用水も完全に枯渇する日も遠くない!」
と村人たちは危機感を抱き始めました。
「自らの手で、破壊が進む水源共有林を復活させたい」
と、村のリーダーたちが動き始め、キープ協会、CGNとともに植林を活動を開始したのです。
b0128901_1333068.jpg

b0128901_13593571.jpg


今回の植樹活動は、日本の森林ボランティアの日(9月の第三日曜)に乗じて、在バギオの日本人やフィリピン人も交えて、村の人と一緒に植林をしようというものでした。村の人たちは、わざわざバギオからやってきてくれたボランティアを大歓迎してくれ、参加してくれた日本の人たちも感激していました。もちろん山歩きに慣れていない日本人ボランティアは植林戦力としてはお役にたてたかどうかは怪しいですが、村の人たちにとっては、「海外の人からも注目されている。頑張らねば! 」と刺激になったことは確かです。
b0128901_13332320.jpg

植林体験については、バギオ市の英語学校IMACで学生マネージャーを務める春日ゆかりちゃんが、ブログにたくさんの写真とともに書いてくれています。ぜひ、ご覧あれ!
http://baguio-ryugaku.com/board.php?board=imec&command=body&no=276&

b0128901_13335898.jpg

自分たちもこんな植林体験してみたい!というグループがありましたら、遠慮なくCGNまでお問い合わせください!
cordigreen@gmail.com

b0128901_13344496.jpg


写真もゆかりさんからご提供いただきました。ありがとう!
[PR]
by cordillera-green | 2011-09-23 13:41 | 植林/アグロフォレストリー

リアス村に古着を届けました

b0128901_15535297.jpg
 1年間の間にマニラや日本の方から寄付いただいた古着をマウンテン州バーリグ町リアス村のバランガイ・キャプテンに届けました。バランガイ・キャプテンが村の人々に配布してくれます。
 ご寄付いただいた皆様どうもありがとうございました。

b0128901_15365625.jpg

↑古着を受け取るリアス東村のバランガイ・キャプテン(中)とCGNフォレスター、ジュニファー(左)

b0128901_15414068.jpg

↑リアス村の川

b0128901_15483717.jpg


b0128901_155629.jpg

   ↑手作りの紫米で作ったどぶろく[タポイ」をいただきました。
[PR]
by cordillera-green | 2011-09-22 15:31 | 古着

コーディリエラ・グリーン奨学金プログラム2011 活動報告①

 先住民族の大学生に対する奨学金プログラムはコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の活動の柱の一つであり、もっとも初期から継続している事業なのですが、なかなかブログでご紹介する機会がありません。里親の皆様に、もっと細目に活動を報告さえねばと思いながら、なかなかその機会が作れずに反省しております。
 まとめてで申し訳ありませんが、ここ半年ほどの奨学金プログラムの活動を紹介していきます。
+++++++++++++++++++++++++

今年も無事、10人の奨学生が卒業しました。

カリンガ・アパヤオ州立大学(KASC)からの卒業生は以下のとおり。
1.ノバ・グレイル・アガヤオNova Grail Agayao(情報技術学部2年コース)
2.クレア・アントネット・バランシClaire Antonet Balansi(商学部)
3.アベゲイル・カマロAbegeil Camalo(助産婦学部2年コース)
4.クリスティ‐ナ・ドナアルChristina Donaal(経営管理学部)
5.マイリーン・ガヤウェットMyline Gayawet(初等教育学部)
6.ラッセル・スガルRussel Sugal(電気技術学部 2年コース)
7.ライナー・サラヤRainer Sallaya(農学部)

ベンゲット州国立大学(BSU)からの卒業生は以下の通りです。
1. ラセル・ボティワイRacel Botiwey (情報技術学部)
2.デルファー・ファウスティーノDelfer Faustino(農学部)
3. ジェイソン・ティティワ(農学部)Jason Titiwa

CGNが奨学金を支給しているのは、山間部の村の学生が多く、決して教育レベルの高いといえないそれらの地域の出身者は、あこがれの大学に奨学金をもらって晴れて入学しても、授業についていくのが難しかったり、授業料以外の生活費や交通費が払えなくなったり、生活になじめず体を壊したりと、途中で脱落していく学生もいます。CGNでは、月に一度のミーティングで、学生たちとの交流を図り、抱えている問題などを知るためできるだけきめ細かい対応をしていますが、それでも、連絡もなく大学から姿を消してしまう学生もおり、担当スタッフの苦労はしれません。
今年卒業した10人も、大変な努力を積み重ねて卒業にこぎつけており、卒業式での両親ともの誇らしい姿はそれを表しています。
ほんとうに、おめでとう! 
そして、卒業まで温かいサポートを続けてくださった里親の皆様ありがとうございました。

b0128901_0424763.jpg

[PR]
by cordillera-green | 2011-09-18 00:42 | 奨学金

イフガオ族の暮らし by 海外青年協力隊の木村さん

 前回のブログで紹介した、イフガオ州国立大学で活動中の海外青年協力隊(JOCV)木村暁代さんが、イフガオ民族の暮らしについてJOCV機関誌「Tarabaho」に寄稿している文章もとても興味深かったので転載します。協力隊の人って、やはり腰を据えて滞在するだけあって、深くフィリピンを知る機会に恵まれているのだなあと実感です。青年協力隊の人だけにお知らせするにはもったいない貴重な情報&体験です!


=============

私の任地にいらっしゃ~い♪
★第16回★コーディリエラ自治区イフガオ州ラムット町


今回の案内人
青少年活動 木村暁代(144B)
配属先:イフガオ州立大学
日本語クラスのサポート、環境問題・日本文化紹介など中心に学生とアクティビティを企画・実施しています。
「いつも学校をウロウロしてるヘンなガイジン」?!
b0128901_21374418.jpg


マニラから北東に約380キロ。ルソン島北部を南北に延びる山岳地帯の東斜面とその裾野に私の任地、イフガオ州はあります。イフガオの各地にある棚田群は「天国への階段」と呼ばれ、ユネスコ世界遺産に指定されています。ここに暮らすのは約二千年前からの水田稲作の伝統を持つ山岳少数民族イフガオ族の人々。なかなか本心を表さない慎み深さと内に秘めた情熱。赴任から10カ月、ときにほろ苦くも複雑な味わいを持つイフガオ文化の魅力に、私もすっかりはまってしまったようです。


★多言語社会
「ねえ、一体いくつの言葉を話せるの?」
友人に尋ねてみたこの質問、返事を聞いてびっくり。
「タガログ、イロカノ、英語。それにイフガオの方言を3種類トゥワリ、アヤガン、マユヤオ。他の方言は話せないけど、相手が言っていることは分かるよ。」
これが、イフガオ人のスタンダード。超マルチリンガル!イフガオは大まかに分けて3つの民族グループに分かれ、少なくとも7種類の方言があり、それぞれ文法も語彙もかなりの差異があるらしいです。
そもそも「イフガオ族」「イフガオ州」とひとくくりにされだしたのは、アメリカ支配下になってからの100年ほどのこと。私の住むラムット町など一部地域を除き、低地民(イロカノ)との交流がほとんどなかった上に、常に部族間での対立、戦いを繰り返してきた山岳民族の人々は、それぞれの共同体で独自の多様な文化を育んできたのです。ちなみにスペイン文化の影響を受けずダイレクトにアメリカの教育政策を受けたため、年配の人にはタガログ語は話せないけど英語は流暢、という人も多いようです。
b0128901_2139273.jpg

     ↑イフガオの伝統的高床式住居 

★イフガオと日本
第二次大戦末期。マッカーサーのレイテ島再上陸後、追いつめられた日本軍はバギオ市の軍司令部を撤退し北ルソン山岳地に潜伏、最後の戦いを繰り広げました。そして1945年9月2日、山下奉文大将はイフガオ州キアンガン町で降伏。この日はフィリピンの戦勝記念日として祝日になっていて、イフガオ州では学校も休みです。1974年、マルコス政権下に建てられた Kiangan War Memorial Shrineは、こんな山奥にこんな立派な建物が? と驚いてしまうほど巨大なアメリカとフィリピンの戦勝記念塔です。
余談ですが、山下大将は旧日本軍の資金を黄金に換えてイフガオのどこかに埋め隠したという「山下財宝伝説」があり、日本人だと言うと「山下の財宝を探しに来たのか?」とからかわれること多数。今だ色濃く残る戦争の記憶からの反日感情ゆえか、それともイフガオの人のちょっと皮肉屋な気質ゆえか…。
b0128901_2141913.jpg

     ↑稲の刈り取り方も独特。このまま住居の中で保存する

★MOMA
仰天! イフガオ人は血を吐くッッッ!! 
…嘘です。その辺のおじさんやお兄さんが道端に吐いている赤い液体は血ではないのでご心配なく。ヤシ科の赤い木の実を石灰と一緒に噛むMOMA(いわゆるビンロウ)と呼ばれる嗜好品で、軽い覚醒作用があるようです。イフガオの人びとの唇や歯茎が妙に鮮やかな赤い色なのはそのためです。そしてイフガオを舞台に私の恋が始まらないのもきっとそのためです…。イフガオ文化に詳しいMrs.Castroいわく、「イフガオには、こんにちは、お元気ですか、ありがとう、ごめんなさいの言葉はない。ただ一緒に座ってMOMAを噛むのだ」そう。
b0128901_21424720.jpg

    ↑脱穀は機械ではなく臼と杵で稲を搗く 

★ムンバキ
 さて、仮にイフガオ・ヒルズで私の恋が花開いたとしましょう。三十路の身としてはショートカットで進めたいところですが、ここはワンダーランド。そう簡単には行きません。婚約のことをimbangoと言いますが、結婚の許可を下すのはイフガオの階層社会において強い権力を持つ「ムンバキ」と呼ばれる呪術師です。語学教師のEsterいわく、恋人たちは一年間の婚約期間後、ムンバキの元に行き鶏を殺します。その内臓をムンバキが見て、「いい内臓」だったら結婚できますが、もし「悪い内臓」だったらもう1年待たなければなりません。3回までトライできますが、3年目も「悪い内臓」だったら残念ながらその結婚はあきらめざるをえません。もちろん、どんな内臓が「いい」のかはムンバキだけが知っています。貴方も気になるあの子と一緒にイフガオに来てみませんか。レッツ ・チェック・ザ・チキンレバー!

★洗骨
イフガオの人は遺体を焼いたり埋めたりせず、遺体を家の近くに安置して、何年もかけて腐った肉を丁寧に取り除く「洗骨」という風習を行います。洗骨のあと、死者の遺骨は伝統柄の織物にきれいに包まれ、高床式住居の軒下などに置かれます。そして庭で豚や水牛を供犠し料理し、近親者や村中に振舞います。
私はこの儀礼をバナウェ近郊のバガアアン村で2010年8月に見ることが出来たのですが、そのときに、出会った遺族のおばさんが、このように説明してくれました。
「このお祭りは、うちの亡くなった家族のためのお祭りで、ここにあるのがうちの家族の骨。この小さいのが祖父、20年前に死んだ。これはおじ、10年前に死んだ。これは私の夫。まだ3年前だからね、遺体もこんなに大きいの。外国には遺体を焼いて骨を取り出す人たちもいるらしいね。でも焼くと骨は小さく弱くなってしまう。私たちはそれが悲しいから焼かないのよ。こうやって、家族の骨を大切に保存してそばに置いていれば、いつも彼らのことを思い出せる。だから私たちは幸せなの。」
洗骨儀礼について本で読んだときは「気持ち悪い」と感じた私も、おばさんの優しい表情と語り口にすとん、と納得しました。
亡くなった後も、大切な人たちがずっとそばにいる。家族の中に、村の中にいる。いつでも会える。それは生きている側にとっても死んでいる側にとっても、自然で安心なことなのだと、素直に思えたのです
b0128901_21445618.jpg

      ↑伝統織布に包まれて軒下におかれた先祖の遺体

b0128901_21465222.jpg

      ↑水牛を屠り、大鍋で茹でて村中に振舞う

●参考文献:「イフガオ ルソン島山地民の呪詛と変容」 合田濤 弘文堂/「地球の歩き方 フィリピン ’09~’10」 ダイアモンド社
・写真は木村暁代さんからのご提供です。
[PR]
by cordillera-green | 2011-09-13 21:17 | 山岳民族の暮らし