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ブギアスでの植林-160名のボランティアと木を植えました

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 キープ協会(山梨県)と共同で実施している緑の募金公募事業「ベンゲット州ブギアスにおける水源共有林の再生および保護事業」は、雨期に入って植林作業が急ピッチで進んでいます。

実は、フィリピンではアキノ政権が国を挙げて「国家緑化プロジェクトNational Greening Project(NGP)」を2011年に立ち上げ、2016年までの6年間で150万ヘクタールの国土(共有地)に1憶5000万本の苗木を植えようという壮大な計画があります。

ホームページにある年次計画はこんな感じです。

Year 1: 100,000 ha100 M seedlings
Year 2: 200,000 ha200 M seedlings
Year 3: 300,000 ha300 M seedlings
Year 4: 300,000 ha300 M seedlings
Year 5: 300,000 ha300 M seedlings
Year 6: 300,000 ha300 M seedlings
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 政府のありとあらゆる機関に植樹通達が出ていて、天然資源省、警察、学校関係、バランガイなどなど、だれもかれもが苗木探しに奔走し、ノルマを果たそうと必死な形相。7月28日(土)には、ブギアス町のあらゆるセクターが参加して大がかりな植林事業が行われることになり、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)も合同植林事業に参加しました。
 雨期真っ盛りとはいうものの、このところバギオはうんざりするような雨続き。植林は根が付きやすい雨期に行うのが普通なので雨の中の植林作業は当たり前なのですが、この日は幸いもに雨が降り出すのが遅かった~~。朝早くから作業を開始した住民ボランティアは約160名。久々の青空とお日様の光を楽しみながら、天然資源省CENROの職員、警察官、キリスト教関係者など総動員で国道沿いなど3カ所に植林をしました。
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 バギオ市の英語学校CNSで学ぶ日本人マネージャーと韓国人学生、8月からCGNのインターンとなるヤス君も植林初体験。バギオとは違った壮大な山の景色に感動する一方、植樹地のあまりの急斜面に唖然。植樹作業の厳しさを実感していました。
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 植樹地のブギアスはバギオから車で2時間半ほどの高原の野菜の産地。コーディリエラ地方の山岳部を水源とする13の河川のうちのひとつアグノ川の水源がブギアスにあるのでが、広大な共有林が地元住民によって野菜畑に転換されてしまっています。急峻な斜面の見事なばかりの段々畑には息をのみますが、調子に乗って山のてっぺんまで木を切りつくし畑にしてしまったため、ブギアスの人たちは今深刻な水不足に悩まされています。水源は枯れ、野菜栽培のための水は雨頼み。雨期にしか栽培できない畑が増えました。それに加えて最近の異常気象で雨期の雨量や台風の襲来が増え、災害で野菜が被害を受けることも頻繁。さらに、中国からの安価な野菜の輸入により野菜の価格は左右されるようになり、価格は不安定極まりないと言います。白菜は1キロ5ペソなんてこともあるそう。野菜農家の人の暮らしは苦しくなる一方です。
森林の行き過ぎた畑への転嫁による環境への影響は、水不足にとどまらず、地盤沈下も引き起こしているほか、化学肥料の大量使用により水質汚染も起こっています。一時「野菜王国」を高らかに誇っていたブギアスは深刻な事態に直面しているわけです。
 老人たちの中にはこういった状況に危機感を抱き、「私が子供だったときはこの辺りは森だったのです。元の森に戻さなければならない」という声も聞かれるようになりました。事業地であるレンガオアン・バランガイ(村)のバランガイ・キャプテン(村長)も本気で、広がりすぎた野菜畑をもとの森に戻すために行動を開始し、CGNにサポートを求めてきて、今回の事業がスタートしたというわけです。
 
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 共有地であるはずですが、そこをたいへんな努力をして開墾したのは農民たち。いくら「ここは共有水源地。皆の暮らしのために元の森に戻すから植林させてくれ」と言ってもすぐには「うん」とは言いません。CGNの担当スタッフとバランガイの役員たちは1軒1軒、不法に共有林を畑としている農家を回り説得し、「畑を放棄する」という契約書にサインをしてもらっています。実はこの植林事業でもっとも困難なのは、植林作業の裏にあるこういった地道な活動なのです。
 
 今回の植林に参加していた天然資源省CENROの職員は CGNの担当スタッフを捉まえて、国家緑化プロジェクトにおける中央からの命令と山岳地域の現状のギャップについてずいぶん話をしていました。ブギアスの植樹ノルマは130ヘクタール。しかも最低3ヘクタール以上のまとまったエリアでないといけないそう。もちろん共有地に限ります。植える苗木はベンゲット松。植樹間隔は5×5か4×5フィート。コーディリエラのような山岳地方では通常2×2、あるいは2×3フィートで植えるのが普通なのですが。
 国家を挙げての植樹計画。気候変動、地球温暖化が叫ばれる中で素晴らしい計画です。どうか、植樹本数だけを国家の宣伝材料に使うのではなく、育てていくことに焦点を当てた植林活動にじっくり取り組んでもらいたいと思います。

(反町眞理子)

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↑担当スタッフ・ブルーノ、CNS英語学校のまみさん、新インターンのヤス君と

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by cordillera-green | 2012-07-31 20:48 | 植林/アグロフォレストリー

サバンガンで地方自治体向けの環境セミナー

CGNは2012年度、マウンテン州サバンガンでアートを用いた環境教育プロジェクトを行っています。(地球環境基金助成事業。正式名称:「フィリピン ルソン島北部山岳地方における子供のためのアートを活用した環境教育モデル事業」)
サバンガンには、貴重な生態系を有するカラウィタン山があります。しかし近年、焼畑農業による山火事や農地拡大のための森林伐採が原因で、その豊かな森林と動植物が失われつつあります。

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真ん中に見えるのがカラウィタン山。残念ながら山頂が雲に隠れてしまっています・・・。

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麓には大蛇のようなチコ川が流れ、とても美しい風景です。

植林やアグロフォレストリー、有機農業など環境問題へのアプローチはいくつもありますが、まずは地元の人たちの環境への意識が変わらないと、どんな取り組みも本当の意味で長続きしません。そこでCGNでは今までの経験とノウハウを活かして、地元の小学生と高校生を対象にアートを使った環境教育モデル事業を行うことになりました。

6月9日に学校関係者を対象に「環境教育」についての研修会、同月24日、25日にはサバンガン国立高校で花崎攝さんによる詩のワークショップとJun AManToさんの身体表現のワークショップを行いました。

3回目となる7月24日は、地方自治体関係者向けに、「持続可能な発展」と「環境保護」についての入門セミナーを開催。サバンガン町役場の職員や村の役員など30名以上が参加しました。

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まずは、コーディリエラ地方の環境破壊の現状、有機農業、アグロフォレストリー、バイオガスなどの基礎情報、ミミズ堆肥など持続可能な発展のキーとなるテーマについてレクチャー。
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また、ゲストスピーカーとしてベンゲット州観光局のオフィサーである、クラリタ・プルデンシオ氏をお招きして、持続可能な発展とツーリズムについて講義をしていただきました。
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参加者たちは、とくにミミズ堆肥やバイオガス(地元では豚糞の処理が問題になっているそう)に興味津々。たくさんの質問が出ました。また、サンプルとして持って行ったミミズを取り分けて、持ち帰る参加者もいました。そして、カラウィタン山を中心としたエコツーリズムへの関心もとても高いようでした。

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セミナーの最後に、自治体として今後どのような取り組みを行っていきたいか、アイデアをあげました。
今後の展開が楽しみです!

(中村朱里)
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by cordillera-green | 2012-07-25 15:08 | 環境教育

カパンガンで新しい植林事業が始まりました!

 2012年度、イオン環境基金の助成によりベンゲット州のカパンガン町サグボ村で水源林保全と森林再生のための植林が始まりました。
 サグボ村はバギオから車で約2時間半のところにあるカンカナイ族の暮らす小さな貧しい村。人口は約1680名(399軒)。ついこの間まで豊かな原生林に囲まれていたのに、グローバリゼーションの波の中でどうしても現金収入が必要となり、村人たちは森を切り、焼き、急斜面でも簡単に育つサヨテ(ハヤトウリ)畑に転換し始めています。

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 ↑サヨテ畑に転換されたばかりの森

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 ↑焼畑により森が次々と畑に変わって行ってしまっています。

 この辺りの森はコーディリエラ山岳地方の主要河川の一つ・アンブラヤン川の水源でもあり、政府の天然資源省も水源林の保全に躍起ですが、政府が資金を出せるのは国有林のみ。コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、個人所有の森の保全を行おうと地元のDayukong Associationと協力し、村人たちの収入につながるアラビカ・コーヒーの植樹を含むアグロフォレストリー事業を開始することにしました。

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  ↑苗木をサグボ村に運搬しています。村人たちはボランティアで参加。森を守ろうと意欲満々です。

 計画ではすでにサヨテ畑に転換されてしまったエリアに、アルノス(ハンノキ科)、カリエンドラなどのシェイドツリーとコーヒーを混栽するほか、土砂崩れが頻繁に起こっている場所にベンゲット松、竹などを植えていきます。本年度中に植樹予定のエリアは20ヘクタール。全部で30.320本の植林を計画しています。

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  ↑遠くに見えるのが植樹する予定のサヨテ畑。
  サヨテの棚の下に植えていきます。

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  ↑老人たちもお母さんもみなで活動に参加します。事業の受益者は20名を予定しています。

 バギオや山岳地方はこのところ毎日毎日うっとおしい雨続きですが、この雨期こそが植林のベストシーズン。移植した苗木の根っこは豊かな雨に助けられて大地に根を張ることができるのです。雨期は通常なら9月まで。恵みの雨のあるうちに1本でも多くの苗木を植えようと急ピッチで植林作業は行われています。

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   ↑中間業者によるサヨテの買い取り価格は1キロ5ペソ(10円)ほど。
    大きく村人の暮らしが向上するには安すぎます。
    重たいサヨテの運搬作業は重労働でもあります。
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by cordillera-green | 2012-07-16 11:43 | 植林/アグロフォレストリー

アイヌの萱野志朗さんKapwa-3参加の記事が新聞に掲載されました

アイヌ民族の萱野志朗さんがバギオ市で行われたKAPWA-3 先住民族国際会議参加に関する記事が7月14日付けの北海道新聞の「ひだか」版に掲載されました。
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by cordillera-green | 2012-07-14 12:45 | メディア報道

WE21こうほく10周年記念フォーラムに参加しました

ご報告が遅くなりました!
6月20日に横浜・港北公会堂で開催されたWE21こうほく10周年記念フォーラムに、CGNフォレスターのレナートとトゥブライ郡コロス集落の代表フェリーさんがご招待いただき、コロス集落での「コーヒーの森づくり事業」についてプレゼンテーションをしました。フォーラムには100名以上の参加者がありました。

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まずは映像でWE21こうほくの10年を振り返った後、NPO法人日本イラク医療支援ネットワークJIM-NETの佐藤真紀さんから、イラクの白血病の子ども支援の活動について講演がありました。

続いて、レナートがコーディリエラ地方とCGNの紹介、コロス集落でのプロジェクトの概要について説明。

フェリーさんは、台風ペペンによる被害、フェリーさん自身がプロジェクトに関わることになった動機などについて話しました。また、プロジェクト開始後の村の状況の変化について、「(CGNのセミナー等を通して)村人たちが、水不足、土壌流出、気候変動など森林破壊の影響について理解するようになった」、「村人たちがコーヒーやそのほかの木を植林することに意欲をみせるようになった」、「コーヒーの正しい植え方を学んだ」、「村人同士の協力関係が強くなった」などと説明。そして、コーヒーやその他の木がコロスにたくさん植えられること、コーヒーの加工・販売を強化すること、植林により水源地が保護されることなどを将来のビジョンとしてあげました。

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今回、WE21こうほくの方々と顔の見える交流ができたことで、フェリーさんもレナートもさらにプロジェクトへの意欲と責任感を新たにしたようでした。「日本でこんなに私たちの活動を支援してくださっているのだから、私たちもがんばらないと!」とやる気満々。また、フェリーさんは「同じ女性として、WE21こうほくの女性がアクティブに活動しているのを見て、女性でもできるんだと勇気づけられた」、「日本で学んだことを、必ずコロスの人たちに伝えます」と話していました。

フォーラム以外にも、WE21こうほくの大倉山ショップや日吉ショップ、カフェ、JA港北の見学、横浜ランドマークの観光、お別れ会など、短い横浜滞在中に盛りだくさんの内容でした。WE21こうほくのメンバーの方のお宅でホームステイをさせていただいたことも、忘れられない経験になりました。

また、WE21こうほくのメンバーの方が、「日本から一人をフィリピンに送ることもできるけれど、フィリピンから来てもらったほうが、日本のより多くの人にプロジェクトの話を聞いてもらえる。顔の見える交流の大切さを実感しました」というコメントをいただいたことが印象深かったです。


JA港北の野菜販売を見学
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フェリーさん、コーヒーにうっとり…。
カフェでコーヒー焙煎を見学した後、ドリップ式で淹れたコーヒーをいただきました。フィリピンではドリップ式ではなく、やかんにコーヒー豆を直接入れて煮出すことがほどんどなので、興味津々。
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WE21こうほくのショップから、フェリーさんに浴衣のプレゼント
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横浜での最後の夜、お別れ会
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6月22日と23日は、WE21のメンバーの方々と一緒にアジア学院に見学に行きました。
アジア学院は栃木県那須塩原市にある農村指導者養成専門学校で、2006年にCGNスタッフのローデス、2008年にレナートが卒業しました。(現在、ローデスが研修アシスタントとして、アジア学院に戻っています。)
アジア学院では有機農場を見学したり、コーヒー焙煎施設を見学したりしました。

もみ殻燻炭について説明を受ける
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WE21こうほくの皆さん、5日間本当にどうもありがとうございました。
次はぜひフィリピンにいらっしゃってください!
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by cordillera-green | 2012-07-11 18:50 | 国際交流

Kapwa-3国際会議 報告2 Aanak di Kabiligan goes to KAPWA

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フィリピン各地の先住民族が集ったKAPWA-3国際会議で、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、5月末にマウンテン州サガダで先住民族の若者を対象に行った「平和構築と環境保全のための演劇ワークショップ」(大竹財団 キープ協会助成)で創作した演劇作品「Abot」の発表を行う機会をいただきました。 
 サガダでの演劇ワークショップは、日本から参加したファシリテイター・花崎攝氏の指導により、コーディリエラ山岳地方の6つの州(アパヤオ州、アブラ州、カリンガ州、イフガオ州、ベンゲット州、マウンテン州)の山岳地方の様々な民族の若者たち(14歳―22歳)を対象として行ったもの。kapwa-3での公演は、今回の会議に参加していたほかの地方の先住民も数名加わって行いました。
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↑サガダでの花崎攝さんのファシリテイトによるワークショップ

 「Abot」は、架空の山岳民族の村の歴史がモチーフ。豊かな森に囲まれた村が環境破壊に見舞われどんな運命をたどるのか…。
 ストーリーはワークショップに参加した若者たちが自分たちで話し合いながら作り上げていきました。様々な民族に伝わる歌や踊りが随所に盛り込まれ、作品を作る過程は環境問題を知り考える場であったとともに、伝統文化を学び、その価値を再認識する機会にもなっています。また、違う民族が共同しあってひとつの作品を作り上げていくことにより、民族間の交流と協調を深める平和構築への礎づくりとすることも目的の一つでした。
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KAPWA-3国際会議の目的の一つが様々な民族のスクール・オブ・リビング・トラディション(SLD)の伝統文化の継承者とそこで学ぶ若者たちが、お互い交流し、今後の各民族における活動に活力を与えたいというものであったことから、CGNの演劇を使った環境教育活動を以前から応援してくれているキドラット・タヒミック氏から、各地の先住民族の人たちが参考にできる活動としてワークショップで創作した芝居を公演してくれと申し出を受けて、今回の公演は実現しました。

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  ↑いろいろな民族の人と親交を深めたられたのも大きな収穫です。

サガダでのワークショップから約1カ月。14人のメンバーのうち二人は参加できませんでしたが、新たにこの会議で知り合ったパラワンやカリンガ族イフガオ族の子どもを加えてたった1日のリハーサルで本番。しかし、実に堂々とたくさんのお客さんの前で演じきってくれました。最後には感極まって涙を流すメンバーも。観客の中にも言葉がわからないながらも感動して涙を流す人も数多く見られました。

アイヌ民族の藤戸裕子さんは
「言葉はわからなくても同じようなストーリーが私たちにもあって、心を打たれました」

自分たちの民族の音楽を公の場で演奏することを禁じられていた時代もあったというタイ北部カレン族の方は
「若い人たちがこんな風に高らか人自分たちの民族の文化を歌い上げるようなお芝居を、僕が生きているうちに自分たちの村でできたら、それこそぼくの夢です」
とまで言ってくれていたそうです。

素晴らしい賛辞だと思います。ステージのみんなのパワーは、感動とともにすごいポジティブなエネルギーをKAPWAに参加したすべての人に与えてくれました。もちろん、アナク・ディ・カビリガンのKAPWAでの晴れ舞台を応援したいと日本から再訪してくれた花崎攝さん、サガダでのワークショップから影に日向に力強くアシストしてくれたサガダ在のGawaniとCGNおなじみの演出家ジェロなどなどのバックアップのおかげでもあります。
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  ↑チームワークばっちりのアナク・ディ・カビリガン。

花崎攝さんが帰国後送って下さったメールをここに転載。
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Aanakの子たちは、ひとりひとりが大きな可能性を秘めていますね。そして、なによりもとてもいいチームになることができました。私は彼らとともにいることが、とても誇らしい気持ちでした。
CGNが2006年から重ねてきた実践が土台にあったから可能になったことです。そして、こういう活動こそが、いわゆる環境教育にとどまらず長期的にみて地域の平和構築のひとつの力になると確信します。
Junさんは、「居場」ができていたといってくださいましたが、古武道のことばだとそういう言い方があるのですね。そういってもらえて、とてもうれしかった。

私のことばで言うと、演劇は、ほんとに良い演劇は、「永遠に重なる一瞬」を生み出すことができるのです。いろいろなことが重なりあい、かみ合って、ひとりひとりの細胞が活き活きと活性化して、場が発光するようなその瞬間は、生きていく力になります。
それは、だれかにやらされていたり、ほめられるためにしていたり、自分が目立つために演じたりしていては、実現できないことです。
また、お金や権力を行使しても、それだけでは決して経験することのできない質のことです。自分自身が充実するとともに、相手や仲間がいるからそれが可能になり、自分の存在が成立するという実感が得られるような経験です。
彼らは、仲間たちと、自分たちの地域のことを、多少ステレオタイプではあっても、借りものとしてでなく、短い時間ではあっても、自分たちが議論をし主体的に作っていきました。
だから、ケヴィンたちが抜けても、また新しい子たちが加わっても、自分のパートだけでなく作品を全体として理解しており、仲間が何をしているのかもよくわかっているので、私ももちろん質問したり提案したりはしたけれども、動じることなく、適切に対応することができたのです。「ディスカッション、ディスカッション」と言って、Vocasで机を囲む彼らは、とても頼もしかったです。


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  →Tracher`s campのドミトリーでで1週間子どもたちと寝食を共にした攝さんとの
   お別れは涙涙のオンパレードとなりました。
   また絶対どこかで会いましょう!

Aanak di Kbiligan goes to KAPWA
の素敵な写真はCGNのWEBアルバムにアップされています。
https://picasaweb.google.com/101439197484450138832/AanakDiKabiliganGoesToKAPWA#
撮影:Kizel Cotiw-an
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by cordillera-green | 2012-07-06 16:11 | 環境教育

Kapwa-3国際会議 報告1 アイヌ民族の方々が参加

 2012年6月25日から7月1日の1週間、Kapwa-3という先住民族会議がバギオ市で行われました。コーディリエラ・グリーン・ネットワークは、アナク・ディ・カビリガンの環境演劇公演でご招待を受けて参加。また、ボランティアとして、日本人ゲストの方々のコーディネイトをお手伝いしました。
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  ↑vocasでのオープニング。鼻笛の名手DOM-ANとカミギンから来たロサリーが
   オープニングのパフォーマンス。

 この会議の目的は、フィリピン各地に暮らす先住民族の知恵の価値を再認識し、学びあい、現代の教育や開発に生かしていこうというもの。フィリピン政府機関の国家文化芸術委員会(NCCA:National Commission for Culture and the Arts)の伝統文化の継承を目的としたスクール・オブ・リビング・トラディション(SLT: School of Living Tradition)という教育プログラムで指導をしている20余りの民族の伝統文化の継承者とそこで学ぶ若者たちが集い、それぞれの伝統文化のチャント(朗誦)や踊りを披露する一方で、世界各国から伝統文化の継承、先住民族の人権確立、先住民族の若者のアイデンティの回復などのために活動してきたゲストが 招かれ、それぞれの経験をシェア。また、メイン会場のフィリピン大学ではフィリピンの先住民の伝統文化について調査・研究をする学者たちの発表も数多く行われました。
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↑驚きの先住民族の芸能が次々披露されました、フィリピンは広い!
 
 会議を主催したのはNGO法人Heritage and Arts Academies of the Philippines(H.A.P.I.)。在バギオの映像作家、キドラット・タヒミックと奥さんのカトリン・デ・ギアが中心のNGO。Kapwa国際会議は、過去2回イロイロ市で開催され今回が3回目の開催でした。
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 会議には、フィリピン各地からのSLTを中心とする先住民族約20民族、計150名が参加。さらにアメリカやマニラなどから学術関係者が50名ほど参加しました。
日本からは 先住民族のアイヌを代表してアイヌ民族党代表の萱野志朗氏と事務局の島崎直美氏、アイヌの伝統芸能や木彫りを継承・紹介するグル―プ、ミナミナの会(大阪市)の4名が参加しました。また、先住民族特有の体の動きを取り入れたダンス作品を創作しているJun Amanto氏(大阪・中崎町のコンテンポラリー・ダンサー)が先住民族の若者たちを対象としたワークショップのファシリテイターとして招待されたほか、京都大学東南アジア研究所所長の清水展教授が招待参加。さらに、愛知県立大学・多文化共生研究所所長の稲村哲也教授、昨年のアナク・ディ・カビリガンの日本でのイベントのコーディネイトをしてくれた日丸美彦氏、京都産業大学のJennufer Teeter氏、山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局の濱治佳さんなども参加されました。
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 その他、海外からは、アメリカからネイティブ・アメリカン オジブエ族のリーダー、デニス・バンクス氏。モンゴルから世界的詩人DR. ゴンボジャヴ・メンドオーヨ GOMBAYAVIN MEND-OOYO、タイ・チェンマイからカレン族のコミュニティ・リーダー、 Jorni Odochao氏(タイ・カレン族のコミュニティ・リーダー)なども参加。国際色豊かな会議となりました。
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 主催のキドラット・タヒミックらしいというのか、フィリピン大学のホールで行われたアカデミックな会議以外は実にいい加減な仕切りで、いつどこでだれが何をやるのかわからないままこの大がかりなイベントはスタート。アイヌのゲストの方々も最初は不安に感じたようですが、そのうちこの流れに任せる進行にのツボにはまったようで、それぞれみな、居心地がよい場所を探して、自分が伝えたいことを耳を傾けたい人に伝えるという風になっていって、なんだか終わってみたらみなそれぞれに満足していて、在バギオのお手伝いスタッフとしては胸をなでおろしています。
 そうなんですよね。お膳立てがしっかりあって、予定通りに動くことが前提になっているから、ちょっと時間が遅れたり、参加のお客さんが少なかったったり、主催事務局のコーディネイトが至らなかったりすると不満が募るのですが、参加者がそれぞれ自分がやりたいことを見つめ直して動くと、けっこうそのほうが無駄がなくって、中身の濃いワークショップや活動内容になっちゃたりするものなのだ~~。と今回も学ばせていただきました。フィリピン風いい加減さの生むマジックです! ゲストのはずのJUNさんもアイヌの方々の伝統文化披露の際の音響などの裏方やってくれたり、演劇ファシリテイターで自費参加してくれた花崎さんもAANAK DI kABILIGANと同じドミトリーに泊まってくれてお芝居だけでなくて子どもたちの生活の面倒まで見てくれたり、、、スタッフ不足、準備不足、資金不足で穴だらけの状態だからこそ、お互い補い合っていつの間にかいいチームが出来上がるってこともあるのだと実感です。
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↑ロサリー、濱はるかさん、花崎攝さんと。みんな初対面。

VOCASで行われたSLTミーティングのオープニングで萱野氏がご挨拶と、アイヌ民族資料館の紹介をされました。
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ミナミナの会の藤戸裕子さんと梶原ミアさんは、VOCASでアイヌの民謡や踊りを披露したほか、SLTの若者たちにムックリの演奏やアイヌの子どもたちの遊びも含めたワークショップを開催。
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アイヌ木彫り工芸家の藤戸幸夫さんは、イフガオ族の木彫り名人とともに、二股になった木を3日間で彫り、アイヌとイフガオの友情の印としました。
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藤戸幸夫んが作ってプレゼントしてくれた髪飾りのお返しに、CGNボランティアのガワニGawani Domogoが、詩をお返しに作ってfacebookにアップしています。ここに転載。素敵な交流ですね。

I've learned from you
Beyond translated speech.
Blades give life
You've shown:
Cuts, holes and scratches
Don't harm or hurt this time.
But rather
Your knife cuts the umbilical chord
Of branch, of trunk
From earth mother
And wood breathes
Life of its own.
Your knife clears the surface
Off any obstruction
I see only the essence.

I'm only smiling
At what you've carved
A creation
Smiling back at me.

[Yukio was part of the Ainu delegation during the Kapwa 3 Conference last month in Baguio. Together with Ifugao woodcarvers, they did carving demo/workshop at Assumption.]
[***Thanks Kizel Cotiw-an for photo :)]

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KAPWA-3 International Conference

会期:2012年6月25日―7月1日
会場:フィリピン共和国バギオ市 フィリピン大学バギオ校、VOCAS
主催:NGO法人Heritage and Arts Academies of the Philippines(H.A.P.I.)

会議のプログラムと内容:
●フィリピン大学バギオ校フアン・ルナ・ホール(Juan Luna Hall)会場
おもに研究者、NCCA、メディア関係者によるプレゼンテーション 海外ゲストのスピーチ、合間に伝統文化継承者の芸能披露が行われた。
●VOCAS(キドラット・タヒミック主催のアートスペース)会場
―各地のSLTの指導者、若者たちの芸能披露と交流
―SLTの若者たちを対象としたワークショップ
―環境をテーマとした北ルソン・コーディリエラ地方の先住民族による演劇公演(在バギオの日本人・反町が代表を務める環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク」がワークショップで制作した作品)
●バギオ市内のギャラリーなどでの関連展覧会開催
詳細は以下のHP(英語)で。
http://kapwahan.wix.com/kapwahan#!page4/cfvg

主催団体H.A.P.I.を率いるキドラット・タヒミック氏の紹介:
1942年生まれ。映像作家/インスタレーション/パフォーマンス・アーティスト
 私的ドキュメンタリーの映像作家として山形国際ドキュメンタリー映画祭に開始時から招待され、日本でも名を知られるようになった。作品上映の際に自らパフォーマンスで登場するなど、映画監督という枠には収まらない多彩な表現を取り入れている。ルソン島北部コーディリエラ山岳地方の先住民の伝統文化に大きく影響を受けた作品制作を行っている。近年は今回の会議の会場になったVOCASや自宅、現在建設中のバギオ市中心部のアートスペースなど、インスタレーション・アートか建築物か判断の付きかねる創作活動も多い。2012年7月末に開始される現代美術のフェスティバル、妻有アート・トリエンナーレにも招待作家として参加。コーディリエラ山岳地方の先住民のひとつイフガオ族の木彫り職人とともに参加して作品制作を行う。最近のキドラット・タヒミック氏は映像にとどまらず、マルチメディアな現代美術家としての側面が強いと言えるかもしれない。本年度のアジア文化賞を受賞。

 キドラット・タヒミック氏は、萱野志朗氏と過去に様々な先住民族関係の催しで同席し交流を持ったことがあり、今回の会議開催に当たり、萱野氏の参加を熱望し実現した。


(反町眞理子)
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by cordillera-green | 2012-07-05 13:49 | 国際交流