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夏休み、環境演劇ワークショップ3連発!

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 ただいま、フィリピンは夏真っ盛り。

 ただでさえ3ヵ月とめちゃ長い夏休みが、今年は政府の方針で学校の年度の開始を世界基準(?)に合わせて8月にしたいということで、なんと例年より2ヵ月長い5カ月の夏休み。おいおい、1年の半分が休みですよ。大学生の長男は夏期講習と日本語家庭教師で寝不足気味、長女は5月末のバレエ・リサイタルために毎日レッスンに加え、夏休みの特別バレエ教室の初心者教室のアシスタントでバイトで超多忙。。ハイスクール出たばかりの次男は、ヒマを持て余しております。。。 やれやれまだ3ヵ月ある夏休み。。どうしましょうか。


 さて、家庭ではもてあましているこの5カ月のながああああい休暇ですが、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)としては

「じっくりと環境教育に使わない手はない!」

と、、3つのコミュニティで、子供たちとユースを対象とした「演劇を活用した環境教育プログラム」(りそなアジア・オセアニア財団助成)を開催しました。


 まずは、カリンガ州ティガラヤン町での環境教育ワークショップ。

町内にある15のバランガイ(村)の7つのトライブ(部族)のハイスクールの学生の参加者を募り、地域の民話と環境問題をテーマとした演劇とボディワークのワークショップを行いました。講師はCGNおなじみのアンジェロ・アウレリオに加え、大阪からダンサーのJUN AMONTO氏が忙しい時間を割いて参加してくださいました。さまざまな民族の参加者が持ち寄った民話は奇想天外、興味津々。アンジェロ氏によるワークショップではそれらの民話をベースにした演劇作品作りに加え、身近な環境問題をテーマとした即興会話劇を制作しました。

 

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 また、ティガラヤンではバギオとマニラのアーティストたちがファシリテイターとをして、ルプルパ小学校とバンガッド小学校という二つのコミュニティの小学校で生徒を対象に3つのビジュアル・アートを活用した環境ワークショップを各校3日ずつ開催しました。

 

ソイル・ペインティング 

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ゴッズ・アイ

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マスク・メイキング

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 ワークショップで制作した演劇作品と、アート作品は、ティガラヤン町のお祭り「UNOY Festival」と、同時開催されたアースデイ会場で発表しました。

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 ワークショップ第二弾は、マウンテン州サバンガン町での、山岳地方のさまざまな民族のユースを対象とした環境演劇ワークショップ。日本から演劇ファシリテイターで舞台演出家、舞台女優としても活躍する花崎攝氏が来比してくださり、アンジェロ・アウレリオ氏とともに、参加者の地域のユースが抱える社会問題をテーマとしたフォーラム・シアター、日本の水俣病のドキュメンタリー・ビデオをみてのその感想を詩作と寸劇、先住民が伝えてきた森や森に宿る精霊、野菜動物などを扱った民話をベースとした演劇制作など、手法を使った環境をテーマとした演劇ワークショップを行いました。ユースたちがそれぞれの故郷であるコミュニティで、環境・社会問題解決のために演劇を活用してくれることを目的としたプログラムです。

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ユースたちが二組に分かれて制作した民話をベースとした作品は、最終日の夜にコミュニティ住民たちを招待して発表しました。

https://www.youtube.com/watch?v=pi1TI4pUkEM

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普段は会う機会もほとんどない、さまざまな民族が情報を交換し、ふれあい、共同し、演劇を通して友情をはぐくみ、民族間のわだたまりを取り除き、連帯を強める大変いい機会となりました。

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 夏休み環境演劇ワークショップの第三弾は、世界遺産の棚田のあるイフガオ州キアガン町で、NCCA(国家文化芸術協議会)がサポートしている「スクール・オブ・リビング・トラディション」(SLT)の子供たちを対象としました。サバンガンでのワークショップに参加したユースのうち5名を選抜し、ユース・ファシリテイターとしてワークショップの指導を担当してもらい、花崎氏、アンジェロ氏とともに指導を担当してもらいました。ユースリーダーたちは実に堂々としたファシリテイトぶりで、将来、コーディリエラ山岳地方で彼らが子供たちを引っ張っていくエコリーダーとして活躍する姿が鮮明にイメージできました。


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 このプログラムは、当初は開催地は1ヵ所で、各民族の若者を集めたワークショップと開催地の地域の若者を対象としたワークショップを同時開催する予定ででしたが、複数のファシリテイターが共同して一つのグループを指導することにより内容の充実を図ることができるということ、そして、多くのコミュニティから夏休み中に子どもたちを対象としたワークショップを開催してほしいという依頼を受け、かなり欲張って3ヵ所での開催としました。

 3カ所それぞれで、民族、自然、文化、風習が違うながらも、ファシリテイターの導きで参加者の子供やユースがその地域の自然や伝統を自ら再発見し、考え、その問題の本質を見極め、話し合い、解決に向けて前向きに取り組む、いいワークョップとなりました。次代を担う新しいファシリテイターの育成にも焦点を当てたとことで、1回限りの環境教育プログラムでなく、地域に広がっていくプログラムとなったと思います。

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 それにしても、驚き、感動したのは、それぞれのワークショップに参加した子供たち&ユースたちのすばらしいエネルギーです。それぞれ最低3日間という長いワークショップでしたが、子供たちは実にすばらしい集中力で参加してくれました。二つとないオリジナルのアイデアが次々と生み出され、学んだばかりの手法で形となって表現されていくことに、圧倒されました。

 

 それぞれのワークショップで制作した作品は、ワークショップの最後に地域の人などを対象に発表を行いましたが、その集大成として、サバンガンで各民族のユースがワークショップで制作した「FUGTONG」を、5月31日(土)にマニラで行われる「アジアの西遊記」公演の一部として発表できることになりました。

 

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「アジアの西遊記」はフィリピンと演劇を通した交流を長年続けている黒テントと、ケイタケイ・ムービング・アースの方たちによるダンス・シアター公演です。マニラにも行ったことのほとんどない先住民のユースたちが、いきなりプロの方たちと同じステージに立たせていただくという光栄です。

 

 


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by cordillera-green | 2014-05-14 01:01 | 環境教育

サグボ村での2年間のアグロフォレストリー植林プロジェクト終了しました

 イオン環境財団の助成をいただいたベンゲット州カパンガン町サグボ村での水源保全と再生事業は2014年3月末に終了しました。サグボ村のパートナー団体の「Dayukong Association(DAI)」は、在バギオの老舗NGO「ショントク財団」を通して、神奈川県ののNPO「WE21ジャパン」と事業を行ったことがあり、組織運営がきちんとされていて、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)がかつて実施してきた事業の中でも、もっともスムーズに進行した事業といえると思います。
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 また、サグボ村がバギオから2時間強と比較的近いこともあって、バギオの英語学校で学ぶ日本人生徒さんたち、フィリピン大学バギオ校のエコクラブの生徒さん、また、日本からのスタディツアーのみなさんなど、外部の多くのボランティアの方たちが参加し、支えてくれた事業でもありました。
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サグボ村の植林事業では、1年目の2012年度にDAIメンバーの28名(家族)によって、28,000本ガ植えられ、2013年度には、ベンゲット松5,200本、アルノス12,480本、カリエンドラ6,290本、竹500本、アラビカ・コーヒー18,970本の計43,440本を追加しました。たいへんな数ですが、サグボ村の住民はカンカナイ族という北ルソンの先住民のひとつで、伝統の互助システム「アルヨン」の習慣を今も実践していて、手の足りない植樹地は協力し合って植樹作業を終えました。
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 サグボ村は北ルソンの主要河川のひとつ・アンブラヤン川の水源でつい最近まで深い原生林に覆われていたのですが、市場経済が急激に入り込み、人々は現金収入を求めて森を切り開き、焼き払い、サヨテ(はやとうり)の棚にかえてきました。
 サヨテは地元の人には「グリーン・ゴールド」と呼ばれる人気の換金作物です。どんな急峻な斜面でも針金と竹で簡易な棚の骨組みを作れば栽培でき、あまり手をかけなくてもどんどん成長します。年間を通して収穫でき、農家の人にとっては年間を通して収入を得られるというメリットがあります。一方で、1キロあたりの価格は他の野菜に比べると安く、急な斜面を運ぶ作業はたいへんな重労働になります。棚を必要とするサヨテ栽培は、森をきれいに焼き払ったあとにしか作れません。しかし、「背に腹は変えられない」と、山岳地方では、貴重な森が住民たちの手ですごい勢いでサヨテ畑に代わりつつあるのです。
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 住民たちの生計向上にも配慮しながら、貴重な森林破壊を食い止め、サヨテに代わる現金収入源を紹介して、水源を守ろうというのがこの事業の目的です。サヨテの棚の下に、土を肥やすカリエンドラというマメ科の木、生長のはやいアルヌスというハンノキ科の樹木とともに、アラビカ・コーヒーの苗木を植え、サヨテで収入を得ながらコーヒーを育て、将来、コーヒーから十分な収入が得られるようになったら、サヨテ畑をコーヒーのアグロフォレストリー農場に全面的に転換しようという計画です。
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 2014年3月、事業最後のプログラムとなる講習会と事業引渡しのプログラムを行いました。たまたま、石川県のコミュニティ・トレードショップ「アル」のオーナー・小浦むつみさんがフィリピン訪問中で、お店で扱っているフェアトレードコーヒー”シサム・コーヒー”のふるさとを見たい」とはるばるサグボ村まで足を伸ばしてくれました。ショップで熱意を持って販売してくださっている方との栽培地のモニタリングは「想いにはコーヒーの味や品質の形でお返しするしかない」と、身の引き締まる気持ちでした。
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(小浦さんのブログ「コミュニティトレードショップ・アルのフェアトレード日記」でもサグボ村訪問のレポートをしてくれています)

シェイドツリーがなく、直射日光を浴びているものの中には、葉がおちてしまったものも見られましたが、苗木たちの生育状況は概して良好。
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DAIの事務所裏に作られた苗木場はよく手入れされ、植え替え用のコーヒーの苗木がすくすく育っていました。
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 事業では、苗木の配布と植樹に加え、さまざまな講習会も開催してきました。
 2014年1月には、地域全体の関心を高めるためにハイスクールでの環境教育ワークショップを開催しました。全校生徒の250名が参加。CGNの環境教育ファシリテイターたちが勢ぞろいし4つのチームに分かれ、ゲーム、アート、ビデオ素材などなど、さまざまな手法を使ったワークショップを開催しました。
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 ハイスクールからは、校庭にあるステージの環境保全のメッセージをこめた絵を描いてほしいとリクエストを受け、CGNのボランティア・アーティストたちが卒業間近な4年生と一緒にじっくりと時間をかけて絵を描きました。
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 日本から訪問してくれた環境活動家でミュージシャンの野澤隆氏(ジイさん)、環境教育ファシリテイターのアキちゃんも飛び入りで参加。楽しみながら環境の大切さを学ぶことができました。
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 3月末の最後の講習会は、現在、ベンゲット州国立大学に留学中のコーヒー栽培研究者の山本博文氏を講師に招き、インドネシアのバリ島とスマトラ島のコーヒー栽培方法を紹介してもらいました。また、今後コーヒーの成長とともに問題になる可能性のある病害虫対策について事業担当のレナート・ギリンゲンが講習を行いました。
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 どんな植林事業でもそうですが、植えるより育てるのがたいへんです。植えるのは1回だけですが、育てるのは一生、あるいは何世代にもわたって継続していかなくてはなりません。この事業に限らず、CGNが学校などでの子どもたちに対する環境教育にこだわるのは、大人が植えた木を子どもたちが育て、またその子どもたちに伝えていくという、地域や世代をこえた大きな枠組みで環境保全を考えてもらいたいからです。
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 事業最後の炎天下での視察の最中にも、畑に代えるために燃やされたばかりの木々を目にしました。「今日・明日の暮らしのためのお金」か「次世代に残す資源」か、住民たちは毎日毎日苦渋の選択を突きつけられています。誰も喜んで森に火を入れたりはしていないのです。ここは彼らの土地、最後の判断は彼ら自身が下すしかありません。よりよきコミュニティの未来のために、私たちよそものが彼らに投げかけられることはほんの小さなことかもしれませんが、ちいさな疑問が、議論を生み、動きとなって、よりよい選択のための住民自身が歩みだしてくれることを祈っています。
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by cordillera-green | 2014-05-11 11:24 | 植林/アグロフォレストリー