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立教大学アジア寺子屋 スタディツアー2017の感想文 ①

2017年8月、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、立教大学のフィリピン・ホームステイ・サークル「アジア寺子屋(通称”アジ寺”)」のスタディツアーのお手伝いをさせていただきました。アジ寺は毎年フィリピンでホームステイを中心としたスタディツアーを実施していて、CGNも毎年、数日のプログラムを企画させていただいていますが、今年はがっつり18日間の長期間のスタディツアーの受け入れをさせていただきました。CGN側は同じく立教大学を休学してバギオで英語留学とCGNでのインターンをしている吉村瞭が、企画とアテンドを担当しました。ツアーに参加してくれた、アジア寺子屋メンバーから力作の感想文が届きました。アジア寺子屋のご了承を得て、CGNのブログでシェアさせていただきます。アジア寺子屋の皆さま、ありがとうございました。

アジア寺子屋のスタディツアーについてはこちらに詳細があります。

アジア寺子屋スタディツアー その①
アジア寺子屋スタデイツアー その②



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「豊かさ」とは何か・カヤンでのホームステイを通して

高山由衣 (コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科3年)


 私は 2017 年度前半のスタディツアーで「豊かさ」について考えた。今回でフィリピンに来るのは 3回目となったが、毎年フィリピンの人々の暖かさや、豊かな自然に心が温まるし、羨ましなあとさえ思う。貧困の国に行ってみたいという軽い気持ちで行った 1 年目は、自分の生活との違い、日本との違いに素直に驚いた。2 年目、フィリピンの自然や暖かい人々に 2 年目ならではの愛着も湧いてきた。また会いたい、もっと知りたい。そう思えた。今回もまた、場所は違うにせよ、行った先々で出会った人たち、繊細ながらたくましく優しい人たち、豊かな自然を前にして、「あぁ、フィリピンに帰ってきたのだな」と胸がジーンとした。
 1年生の時も、2年生の時も、帰国前にはフィリピンで学んだことや、自分の中で変化した価値観の違いや考えたことを忘れないようにしようと心に決めるが、いざ日本に帰るとその気持ちを忘れてしまっていた。どんなにフィリピンでのシンプルライフが素敵だと感じ、情報に惑わされず他人と助け合って生きていきたいと感じていても、帰国後はいつも通りの日本の生活に順応していく。環境にはなかなか逆らえないものなのだ。人々との強い人間関係、雄大な自然、情報に惑わされない生活、自分の頭で考える力、自然と共に生きる力…このようなものは私たちが欲しくても決して簡単に得ることができるようなものではないと感じた。日本では新しい技術が次々に開発され、数年後にはそれらが私たちの身の周りに当たり前に存在するようになる。私たちは常に、楽に生活できるような便利さ、快適さを追求しているのだ。もちろん、高い技術力を持つことは日本の強みであり、 私はそれを誇りに思っている。しかしながら、ないものにばかり目をつけている私たちは、大切なものを失っているのではないだろうか。
 それは日常のある一場面から考えさせられた。畑を耕している時にある村人が私たちのために竹でスコップを作ってくれたのである。最初はただただ驚いたし、フィリピン人男性の人間としてのたくましさにドキッと胸が高鳴った。しかし、次第に「スコップがないなら作ればいい」という発想が自分の中にはこれっぽっちも存在しなかったことへの疑問や劣等感をも感じていった。日本にいては、「スコップがないならば買いに行こう」この一択ではないだろうか。私たち楽さや便利さを追求するあまりに、人間に本来備わっていた「生きる力」を失っているのではないだろうか。道具がなければ、モノがなければ何もできない。お金がなければ暮らしていけない。情報がなければ不安になり、電気やガスが止まればパニックの嵐である。私たちは日本の技術者や開発者など多くの人々のおかげで便利なものに頼って生きていくことができるが、自分自身がそれらに頼らず生きていく術を失っているし、それらがなくなった時の代償は大きすぎる。
 フィリピンの人たちが技術の代わりに、生きる知恵や自然など多くの資源を持ちながら自然と共存して生きていくのに対し、日本人は自然と一線を置いて生活しているように思えてきた。日本での自分の周りにも、フィリピンには劣るが自然はもちろんある。しかし、自分は自然を意識していないし、関わろうとしない。よって、より身の回りに自然が存在しないように思えているのではないだろうか。自分の生活と自然とが切り離されているのだ。
 1 年生や 2 年生の時に、「フィリピンと日本、どっちが豊かか?」と聞かれたらあまり悩むこともなく「日本」と答えていただろう。何をするにも、どこへ行くにも便利な技術があって、困ったことがあっても大抵は「モノ」や「情報」に頼れば解決するからだ。しかしそれは「経済」というフィールドで貨幣価値のもとでしか見てこなかったからである。今は、日本とフィリピンで「豊かさ」は比べることができないのだと思っている。日本には多くの技術、フィリピンには豊かな資源があり、どちらも素晴らしいものであり、それらを天秤にかけることはできないからである。
 「豊か」について考える人が 10 人いれば答えも 10 通りあるかもしれない。その人が何に重きを置くかによって変わるからである。その基準は自分で決めることができる。今回のスタディツアーで私は自分なりの「豊かさ」について考えた。「豊かさ」とは、いかにもとあるものを大事にできるかではないだろうか。近くにあるものこそ、目につかなくなってくる。自分たちの良さに気が付かないこともある。日本でもフィリピンでも、他の国でも今ある美しい自然を壊してビルを建てる、モノを作る、街を切り開いていく…このスタディツアーでも自然を切り崩し鉱山開発を進めていくのを目で見た。そんな時、一歩踏みとどまりたい。壊してしまった物を治すのは難しい。無くてもいいものを求めるばかりに、大事なものを失ってしまっては元も子もない。フィリピンでも日本でも、無い物探しをするのではなく、あるものを大事にし、それを最大限に生かしていきたい。
 また、フィリピンにありふれている、目に見えない人と人との強いつながりや深い愛情を持つ心も私にとって豊かさには不可欠な要素であると感じている。私はそのフィリピンならではの「豊かさ」を大事にしてほしいし、そのために自分ができることがあるならばやりたい。
 私たち「アジア寺子屋」のフィリピンキャンプの主な活動はホームステイである。去年までは北ルソンのキリノ州マデラにホームステイをしたが、今年はご縁がありCGNさんや多くのフィリピン人のご協力のもと、今まで行ったことがなかった多くの場所を訪れることができた。さらにカヤンではホームステイを行うことができた。フィリピンの色んな場所を知ることができて楽しかったし、訪れた場所すべてに独自の雰囲気が漂っていて驚いた。カヤンを知りマデラを知る、マデラを知りカヤンを知るというように1つの場所を知るにしても他の場所を知っておくが必要であるということを再認識した。
 
 今回は初めての村で、今までとは違うホームステイを経験してみて自分たちの活動を見直す良い機会にもなったように感じている。考えたことや感じたことを忘れないうちにここに書いていきたいと思う。最初は正直、マデラに行けないことが残念だなという気持ちが1番強く、マイナスな感情が強かった。しかし、実際にカヤンに着く楽しみの気持ちが一番強くなった。緑が多く、空も広い。歩いているとすぐにパイナップルやマンゴーの木を発見した。今までバギオにいて涼しかったが、バスから降りると日差しが強くバギオと比べると蒸し暑かった。
 どんな家にホームステイができるのだろう、どんな人々との出会いがあるのだろうなどと想像を膨らませながらホストファミリーを待った。私のホストファミリーはパパとママと兄弟3の5人。少し家族紹介をしようと思う。1番上のお兄さんは日本語もよく知っていて、フィリピンの文化や彼自身のこともよく教えてくれた。2番目のお兄さんは、ハンサムで日本についての関心が人一倍強かった。日本のアニメが好きで、日本のアニメを見て日本文化を勉強しているらしい。普段、兄2人はバギオにいて週末は帰ってきているが、ステイ期間はママと妹のクレアが面倒を見てくれて、常に私たちのそばにいてくれた。
 最初は妹のクレアもシャイなのかと思ったが、明るくて楽しい女の子だった。彼女とフィリピンのこと、カヤンのこと、日本のこと、学校の話、結婚やこれからのこと、家族のことなど他愛もない話をよくしたことは大切な思い出である。ママはお料理上手で家族思いなのがたった数日間でも伝わってきた。パパはバイクが好きで、バイクを上手に乗りこなしている。夜は近所の人とお酒を飲んでいて家にいることは多くなかったが、家にいるときはよく話しかけてくれた。カヤンでは家族の絆の深さを感じた。これは以前ホームステイをしたマデラにも共通していた。
 私は日本では、父母、そして兄の 4 人家族である。平日の夜はだいたい一人でご飯を食べ、土日も母と二人か、集まったとしても父母と自分の3人で食卓を囲む。クリスマスやお正月などのイベントも友達と過ごすことが多く、年々家族と過ごす時間が減っている。それに比べて、マデラでも、カヤンでも食卓は家族全員で囲むことが多かった。今日あったことや他愛のない話をしながら食卓を囲み、毎週日曜日は家族と一緒に礼拝に行き、クリスマスは毎年家族とお祝いすると言っていた。
 家族だけではない。たった数日間であったが、村全体でのコミュニティの強さを感じた。日本で、地域のコミュニティの強さを感じたことは今までない。自分は小学 1 年生の時から同じアパートに住んでいるが、近所の人の顔もよく知らない。時々引っ越しで人が入れ変わり、時々家を出るタイミングがあれば挨拶をする程度である。カヤンでの地域のコミュニティのつながりの強さは、日常の些細な出来事から感じることができた。
 ある日の朝、近所の家のママが慣れた様子で家の庭まで入ってきた。彼女は私の家のママに「おはよー」という感じで挨拶をした後、カラマンシーの木に登りいくつか収穫した。私がママに「うちの木だよね?」と尋ねると「そうよ」というだけで、ただ笑顔で見ていた。その後、彼女たちは楽しそうに会話をし、話し終えた後彼女は家に帰っていた。
 日本では他人の家に勝手に入って果物を収穫するなんて信じられない話であろう。そんなことをしたら泥棒だと訴えられてしまうかもしれない。家族の中と外とには大きな隔たりがある。しかし、カヤンでは家は違ったとしても、地域の人たちとの強い信頼関係が築けている。だからこそ、このような出来事が日常に起こるのだと思う。
 また、日本人メンバーと今日食べた食事についての話をしているときに、献立が1、2 品被ることがよくあった。その時はただ偶然被っていただけかもしれないと思っていたが、この村なら、近所で食材を分け合ったり、物々交換をしていたりするのではないかとも考えていた。
 後から聞いたことには、やはり収穫した農作物の交換も普通に行われているようだ。私が見た、近所の家のママがカラマンシーを収穫する様子も日常的な出来事だったのだろう。おすそ分け、物々交換の文化の暖かさに触れた気がした。しようと思っても簡単にできるものではないからだ。それには長年培った信頼関係が必要であるからである。
 さらに、村で定期的に開催されるスポーツ大会も結束力の強さに影響を与えているのだろうと思った。年齢関係なく男女も混ざってスポーツをしたり応援したりする姿を見て、この村に何があっても、皆は助け合って支え合って生きていけると確信した。私たちも少し参加して、一緒にスポーツをすることで結束力が高まるということを体感することができた。体を動かすと楽しいし、人との距離も自然に縮まるからである。
 次に考えたのは私たちとカヤンの人々との関係性についてだ。私たち「アジア寺子屋」は今までホームステイ先では無償で受け入れていただいていた。しかし、今回は一日に 500 ペソをお支払いし、受け入れていただく形となった。最初はこのこと自体に違和感を持っていた。自分はお金を払ってステイをしたことはなかったが、「お金を払わないことで相手と関係性を築けるように努力ができるのではないか」「お金を介する関係性ではなく、家族のような関係になりたい」「直接お金を払ってしまってはゲストのようになってしまいそう」などと考え、お金を直接的に渡さないことを選択してきた。しかし、実質お金はかかっているのであるから、お金を払うことは何もおかしくない。
 振り返りミーティングの時に「無償で受け入れてもらうこと」「お金をお支払いすること」について話し合うことがあった。メンバー内の意見で「実際にお金がかかっているのだから、お金を払うことはむしろ普通であり、払いたい」という意見や「払わないこそ、気を使わずにお互い必死になれる、相手もそう接してくれるのではないか」という意見やその逆の意見など、多くの意見が出た。どの意見も説得力があり、自分も感じていた感情であった。私としては、罪悪感をなくし、自分が楽になるためだけにお金を払うのはお互いにとってもよくないことであると思ったが、「お金を払わないこと」に関して私たちは考えすぎなのかもしれない、とも思うようになった。確かに、お金を払わない方が家族になろうと必死になれるかもしれないし、暖かい、強い信頼関係を築けるのかもしれない。相手を理解しようと一生懸命になれることもあるのかもしれない。
 しかし、私が 1 年生の時はお金を家族に直接払っていないが、いつまでもゲスト気分が抜けなかった。対照的に、今年はお金を払って受け入れていただいたが、後輩がたった2日間で村の人々ととても強い絆を築いていた。私は気が付いた。結局は勇気なのだということを。お金を払う払わない関係なしに、自分をさらけ出す勇気、相手に一歩近づく勇気、お互いを理解しようとする愛があれば、私たちが求めている家族のような温かい関係性を築くことができるのだなと初めて知ることができた。
 たった数日間であったが、村としての自分のホストファミリーと共に楽しい時間を過ごすことができ、急であったのに受け入れてくださったことに感謝の気持ちでいっぱいである。村の人たちと集まってゲームをしたり、歌を歌ったり、一緒にご飯を食べた日のことはこれからも忘れないだろう。いつもと場所は違ったが、いつもとは違う観点で多くのことを考えることができたし、大切な家族や仲間がカヤンにできた。この経験は、私たちのこれからの活動を考えていく上で強いヒントを与えてくれるだろうと思う。今はCGNのスタッフさん、カヤンに住んでいる人たちへ「SALAMAT PO」の気持ちでいっぱいである。これからも人々とのつながりや関係性の作り方、つなげ方、深め方、について考えることから逃げたくない。全員で向き合おう。


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「1回休み」を意義あるものに
金子聖奈(文学部日本文学専修 3 年 )

 マニラのニノイ・アキノ国際空港に到着したのは、例年と異なる真っ昼間。そして、いつものターミナル3と異なるターミナル1。今年は、出始めから完全にイレギュラーな隊であった。そんななかでのスタディツアー。本来ならば8月 11 日までの5日間の予定だったが、急遽お願いして 24 日まで引き延ばしていただいた。インターンの𠮷村さんには、感謝の念が尽きない。
 さて、スタディツアーのなかで印象的だったのは、初日に訪れた博物館や、植林後に訪れた Suvani’s Avon Heritage Home で、フィリピンの伝統文化に触れられたことである。フィリピンはキリスト教国家であることはもはや自明であるが、伝統的な宗教観のなかには日本と似た、アニミズム的な信仰形態があったことが印象的だった。そして、一神教であるキリスト教と、あらゆるものに神を見出す伝統的な多神教が現代は共存していることに、強い関心を抱いた。 西洋で生まれたキリスト教がフィリピンで布教され、それが一般的になっても、土壌にある信仰心に日本と共通のものがあるということに感動したし、あんなに豊かな自然に恵まれていたらあらゆるものに神を見出すのは、そりゃあ当然だよな、という気もした。
 また、サトウキビの抽出方法が、7 月に沖縄で見たそれと全く同じことに大変驚いた。フィリピンではカラバオ、沖縄では馬を用いる点だけ違うが、基本的な構造は全く同じである。いつその抽出方法が考案されたのかわからないが、同じアジア人として、生きる術の根源的な共通点を感じた(もともと沖縄は本土とは異なる国家、異なる生活形態だということは脇に置いて…)。
 そんなふうにフィリピンの伝統的な生活スタイルや、それを支える大自然への感動を思ったが、植林や鉱山開発現場の見学のときには、その大自然が失われつつあるということ、フィリピンが直面する環境破壊問題を改めて深刻な問題だと思い知った。鉱山開発現場で特に印象的だったのは、実際にそこで働いている人々と会話した内容である。2 年前のスタディツアーではそういった機会がなかったので、生々しい声が聞けたことをありがたく思う。私が話した人は 25 歳で、15 歳のときからイトゴンの鉱山で働いているという。続けるのか?と聞いたら「続ける」と。「怖くないのか?」と聞いたら「もちろん怖い。しかしリスクは承知の上だ」と言っていて、なんだかすごく悲しくなった。そんな自分を危険な状態にさらしているとわかっているのにやめられない生活を目の前にして、自分にできることは何かあるのだろうか……と無力感に苛まれた。ただ、フィリピンの鉱山開発には日本やアメリカも深く関係していたというのだから責任感さえ感じる。自分ひとりが背負ったところでどうにもならないのだが。もし自分にできるのなら、現在所属している NPO 法人ブリッジ・フォー・ピースの拡大事業として、フィリピンの山奥にあるものをアイデアを駆使して販売し、地元でその産業を回転させていくといったことができないだろうか?と考えた。資金面や人手の面でも壁は厚いが、将来的に事業を立ち上げる方向で恩返しすることも視野にいれようと思った。そのような視座を与えてくれた反町真理子さんに心から感謝している。
 スタディツアー後半には、孤児院の訪問、紙漉き体験、カヤンでのホームステイ、手織りの見学など、様々な体験をすることができた。孤児院の訪問は2回目であるが、そこで何と、2年前の訪問を覚えていてくれた子がいて、胸が熱くなった。2年前、私は孤児院で本当にたくさんのことを学ばせてもらった。当時1年生だった私は、直接エリーさんにお話を伺って、どのようにして孤児院の子供たちの心の傷を癒すのか、とか、不躾な質問を遠慮なくしてしまったが、たくさんの時間を割いて答えてくれた。そして、エリーさんは彼女の大切な「娘」であるエリザベスと私をバディにした。エリザベスは当時 11 歳でまだ幼さがあり、爪をよく噛んでいたし、初めて会ったとき、私に向ける鋭い視線はとても懐疑的だった。しかし、交流を続けていたら、書道教室のプログラムで「ありがとう」と日本語で一生懸命書いたものをプレゼントしてくれた。心の傷、キリスト教の愛、フィリピンの社会問題など、さまざまな問題が混沌としているのを感じて、とても印象深い出来事だったのである。
 2 年経ってエリザベスは、誇張でもなく私のことをすぐに分かってくれた。(私も当然エリザベスのことはすぐに分かった!)13 歳になった彼女は、ずっと孤児院の幼い子どもの面倒を見続けていた。赤ん坊を抱いて、ごはんをあげたりあやしたりしていた。とても立派なお姉さんになっていて、Turning Point でたくさんの愛を受けてのびのびと成長したことが感じられた。2 年前の書道作品は、階下の部屋にかざってあると言って、ジョイという同年代くらいの女の子が当時の作品をわざわざ持って来て見せてくれた。こんなに明るくて愛にあふれた空間であったが、その直後に反町さんや職員の方から聞いた子供たちの背景は、衝撃が走るほど暗く悲しいものだった。また、孤児院運営の厳しさも聞いた。私は、Turning Point という場所があの子供たちの居場所なのだから、それを守るために何かできることがあるのならやりたい、できそうだ、と思った。
アジア寺子屋は、「ボランティア団体」になることを疎んじている嫌いがあると思う。そして、「ボランティア団体ではない」ということを団体の色として掲げていることも事実である。物資やお金の支援をすることは、目に見えるかたちで軽率に物事を解決しているにすぎないというような考え方があるような気がする。たしかに「支援」というと、立場に上下ができてしまう印象も受ける。が、私の感覚でいえば「支援」などというものではなく、友人への「贈り物」または感謝のしるしなのだ。
カヤンでのホームステイもまた意義深いものだった。有償ということがアジア寺子屋メンバーにとっては大きなファクターであっただろう。印象としてはカヤンのほうがマデラよりも経済的に豊かに見えた。就寝時間もカヤンのほうが遅い。しかし、マデラに似ている箇所も多くある。たとえば村のコミュニティの結束力だ。最終日の土曜日にはバナナの葉でくるんだ「スティッキーライス」を村人総出で大量にこしらえたが、それはどうやらティクラさんと私の家の親戚が亡くなり、その葬儀に持っていくためだそうだ。亡くなった人や葬儀に参列するティクラさん、ママ・エルマとは血縁関係のない村人も当然いただろうに、そんな人でもみんなでこしらえる。無償の助け合いが当然のように行われていることを目の当たりにし、こういった結束はマデラと変わらなく、素晴らしいと改めて感じた。
ホームステイ体験ができたのは、本当に意義深いものだったと感じている。とくに一年生にとって、マデラに行けなかった悔しさはあるものの来年以降マデラでホームステイをする基盤や指標ができたのは良かったのではないかと思っている。無理なスケジュールのなか、カヤンでのホームステイを実現させてくれた吉村さん、リリーさん、シェーンさんに感謝の念が尽きない。
家族との交流については、正直最初のほうは「今年で最後だし、一週間だし、マデラのように続くわけじゃなくて、きっともう会わないし」といった邪念があり、受け入れる側もお金をもらって受け入れていることもあってか、距離感がマデラとは違って難しかった(いや、マデラではお金を払わないからこその距離感のむずかしさがもちろんあるのだが)。カヤンのホームステイを定義するなら、私の個人的な感想では「家族になる」ということではないような気がした。どちらかというと、文字通り「お金を払ってホームステイ体験をさせてもらう」というためのホームステイ。
また、小学校授業をうまくやらねば、という明確な目的意識がうまれたので、家族との関係性をあれこれ悩むよりもそちらに意識がむいてしまったきらいがある。「小学校授業のためのホームステイ」になってしまわないかと、TALAでも高山と話して全体の雰囲気に注意するようにしたし、自分でも意識はしていた。しかしやはり、マデラのように3年間、という前提がなく、相手も我々にあまり興味があるように見えない……家に帰っても人がいない……となると、最初からあきらめ気味になってしまった。
しかし、ここで後輩の工藤と一緒だったことで意識が変わったように思える。彼女にとって初めてのフィリピン、初めてのホームステイである。積極的に家族と関わるようにしていたし、自分の甘えた心に鞭打たれ、背筋が伸びる思いがした。自然と、家族との会話が増えた。ほかのメンバーのなかには、日本人同士で話してしまって反省したという箇所も見られたが、私たちの場合は2人で協力して(私が工藤に触発されて?)家族と関わることができたので、良い方向に働いたと考えている。最終日の夜には、工藤とハヤシライス風の煮込みを作った。そのときに、次はいつでも、CGN の仲介なしに来て良いということを言ってくれたのは心から嬉しかった。ビジネスの関係から始まっても、そうじゃないところで繋がりができるのは人間として繋がれたということだと思う。家族には本当に感謝している。
アジ寺の本来のキャンプ、本来のホームステイは「1回休み」になったわけだが、それによって自分たちのホームステイを対象化・相対化することができたのは今回の旅の収穫だ。相対化するというのはそのままの意味で、どちらが良いかを吟味することではない。自分たちがやってきたことを絶対化しない、ということだ。無償のメリット、デメリットを有償だった今回と重ね合わせて十分検討できる。有償/無償という切り口だけでなく、単発(1回)/長期的(3回)かという切り口でも考えられるだろう。自分たち本来の活動(マデラでのホームステイ)しかしてこないなかで、その意味を問うのはあまりにも無謀だった。答えが出ないのも当然だ。有償のホームステイを経験できたことで、自分たちのマデラでの活動を相対化して俯瞰的に見ることができたと思う。それは、フィリピンとの関係がややマンネリ化していた、行けることが当たり前で感謝の気持ちも薄れていた(と思っているのは私だけ?)アジア寺子屋の流れに、よい薬となったのではないかと思う。 今年学んだことを踏まえて、これからマデラとどう関わっていくか、どう向き合っていくかを考えるのは後輩たちが主役だが、今年の体験はよい判断材料として参照できるのではないかと思う。
さて、そういう経緯でカヤンでのホームステイを通して、私なりに 3 年間問い続けたことの答えが出た。アジ寺なら一度は悩むのではないか?「家族って何だろう、家族になるってどういうことだろう」という問いである。それは今回の有償のホームステイを経験したから分かったのかもしれない。つまり自分の答えは、フィリピンの山奥でもうひとつの家族に出会うということは、金銭のやりとりの介入なしに、村のコミュニティの、無償の助け合いの関係に組み込んでもらえるということだと思う。「家族」というと、そのホストファミリーのみとどう家族のような関係を築くかに志向が傾きがちだ。
しかし、フィリピンの村では村全体が家族のように、他人の子供でも面倒を見るし、互いに親戚関係のように信頼しあっている。「ただいま」といえるもうひとつの家族に出会う、というアジア寺子屋のキャッチフレーズは良くも悪くもメンバーを悩ませる。そして私は、「愛」とか「絆」とか、そういったフワッとした実体のない言葉で形容することに違和感を持っていた。そんな中で、批判もあるかもしれないが自分なりの一つの答えが出せたことにはひとつの3年間の完成形を感じる。
たとえばナヨンでは、私が熱を出したときに名前も知らない近所のご婦人が心配してお見舞いに来てくれた。たとえばマデラでは、私がイゴロット語で近所の家の人に「こんばんは」を言っただけで、知らない人にまで「セナが Gawis ai lavi って言ってた!」という話題が伝わっていた。無償でこの素晴らしいコミュニティのなかに入れてもらえることが、村の一員として迎えてもらっていることであり、家族になるということ、その場所に足をつけて生きていく一員になることだ、と私は3年間問い続けたことの答えとして、最後に締めくくって終わりたい。

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# by cordillera-green | 2017-09-11 22:26 | スタディツアー

【団体紹介】BALITOK-VOICES FROM THE MINES


国際交流基金アジアセンター「アジア・文化創造協働助成」を受けた「フィリピン、インドネシアの先住民族青少年を対象とした環境問題をテーマとした演劇ワークショップによる交流事業」の主催・協力団体です。当事業は、演劇ワークショップを通して、日本とフィリピン、インドネシアの青少年が相互理解を深め、共に手を取り合って環境問題解決に取り組むことを目的にしています。
フィリピン・バギオ市(2017年7月26日)、マニラ・マカティ市(2017年7月29日)、インドネシア・アチェ(2017年8月2日)でワークショップの成果を発表する公演「BALITOK-VOICES FROM THE MINES」を行います。

●公演の詳細はこちら。

●ワークショップ・ファシリテイタ―の紹介はこちら

【取材団体】

コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(フィリピン・バギオ市)

Cordillera Green Network Inc.


2001年設立のルソン島北部バギオ市に拠点を置く環境NGO。コーディリエラ山岳地方(ベンゲット州、マウンテン州、イフガオ州、カリンガ州、アブラ州、アパヤオ州)の環境保全と、そこに暮らす先住民の環境負荷の少ない形での暮らしの向上を目的として活動している。水源涵養を目的とした植林、アラビカ・コーヒー栽培を中心とした先住民の生計向上につながるアグロフォレストリー栽培指導、適正技術による再生可能なエネルギー技術指導、持続可能な農業技術指導などを、山岳地方の遠隔コミュニティで住民たちとともに実施している。

また、森林、水、鉱物など豊かな資源を擁する山岳地方の先住民に、環境保全の大切さと保全に必要な知識​と技術​を伝えるための環境教育プログラムを、幼稚園から大学まで山岳地方の教育機関で多数開催している。とくに、日本やフィリピン国内のアーティストたちの協力を得て、演劇やビジュアル・アートを手法に取り入れた環境教育ワークショップに力を入れている。

スタッフは、先住民族出身者が中心。

https://cordigreen.jimdo.com/


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【協力団体】

コミュニタス・ティカール・パンダン(インドネシア・アチェ)

Komunitas Tikar Pandan(KTP)


コミュニタス・ティカール・パンダン(KTP) は、2002年にアチェの大学に在学中の活動家や芸術家によって立ち上げられた、政治問題が原因で生じるアチェの文化問題を学習する組織だ。この組織は、アチェの国家政策に少しでも役立ちたいという彼らのイニシアチブから始まったものである。KTPは、学生によって立ち上げられた歴史の浅い組織ではあるが、文化問題に配慮を持つ様々な組織との交流を持っている。これまでに交流してきた組織は、Sekolah Menulis DokarimToko Buku DokarimMetamorfosa InstituteJurnal Kebudayaan Gelombang BaruTV Eng OngEpisentrum Ulee KarengPenerbitan Aneuk Mulieng Publishingなどを含む。

2007年より開始した5年に渡る戦略計画を通し、KTPは組織としての方向性を、文化の解放から社会の団結力を高めるというものに定義付けた。2011年には、人権問題の活動家とのタイアップにより、アチェ人権博物館を設立することに成功した。これだけに留まらず、アチェ、インドネシア、そして国外に渡る数々の協会と良好な関係を築くことにも成功している。今現在KTPが支援を受けている協会には、欧州連合、HIVOSICCOSecours Populaire FrançaisTifa FoundationThe Asia FoundationGoethe InstituteJapan FoundationRotary Japan Club FoundationRotterdam-Arab Film Festival、インドネシアイラン大使館、In-docsRuangrupaKampungHalamanINSISTなどがある。

「これからの時代はヘゲモニーではなく、解放だ」というモットーに沿り、KTPはこれまでにアチェ市内で放送されTVエング・オングの協力の下、平和キャンペーンや問題解決などを行った。この他に学校の開校、本や専門誌の出版、図書館の設立、演劇ワークショップを通してのアチェの歴史教育、アチェ、イラン、ヨーロッパの社会問題を取り扱った映画の定期的な放映、文化学系の出版に向けての研究、ゼミ、ディスカッション、公共講義、ライターフェスティバルや展覧会なども手掛けてきた。


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クリエイティブ・イメージ・ファンデーション & TIUシアター[瓜生劇場](フィリピン・マニラ・マカティ市)

Creative Image Foundation &TIU Theater


フィリピンの首都・マニラには、最貧困層の人々が住むパヤタスとスモーキーマウンテンという二つのゴミ集積地域がある。NPO法人Creative Image Foundation(以下CIF) はそこでゴミを拾って生きる子供たちに教育を与え、才能を開花させる機会を提供することを最初の目的に2000年に設立された。両エリアに無料で通える学校を作り、現在まで述べ卒業生徒数は約5000人にのぼる。通常の教育だけではなく、歌やダンスなどのワークショップを行い、子供たちが自分自身の才能に気付き、それを伸ばすことができる環境を積極的に作り出してきた。2014年マカティ市にCIFの姉妹施設、TIU Theater瓜生劇場を設立。それによりCIFのミッションをより詳細化・集中すると同時に、より広範囲な社会への働きかけを目指す。それが、TIU Theater 瓜生劇場で主に行う東南アジアの共同体-少数民族の子供たちによる異文化交流と、元々のCIFのミッションをさらに発展させた芸術表現を通じた貧困層の子供たちへの教育という構想である。

http://www.tiu.makati.jp

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【公演グループ】

アナク・ディ・カビリガン

Aanak di Kabiigan

Children of the Mountains(山の子供たち)」の意味。2007年から現在まで、バギオ市の環境NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワーク:Cordillera Green NetworkCGN)」が行ってきた、コミュニティの環境問題をテーマとした演劇ワークショップに参加した若者たちのグループのこと。2008年にCGN主催でバギオ市で開催した第1回「コーディリエラ・ユース・エコサミット」のテーマが「Aanak di Kabiligan」だったことから、その後のCGN主催の演劇ワークショップ参加者をそう呼ぶようになった。2011年にはアナク・ディ・カビリガンの代表メンバーで、環境問題を学ぶワークショップ参加を目的として渡日。民話をベースとした4つの物語を、山梨県北杜市、愛知県名古屋市で公演した。メンバーはプロジェクトごとに変わり、今回の事業に参加する若者たちは、マウンテン州出身を中心に選考されている。

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【助成団体】
国際交流基金アジアセンター
Japan Foundation Asia Center

独立行政法人国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は、全世界を対象に総合的に 国際文化交流事業を実施する日本で唯一の専門機関です。アジアセンターは2014年4月に 設立され、ASEAN諸国を中心としたアジアの人々との双方向の交流事業を実施・支援しています。 日本語教育、芸術・文化、スポーツ、市民交流、知的交流等さまざまな分野での交流や 協働を通して、アジアにともに生きる隣人としての共感や共生の意識を育むことを目指しています。
当事業は、国際交流基金アジアセンターの「アジア・文化創造協働助成」を受けて実施しています。
http://grant-fellowship-db.jfac.jp/grant/cc1705/



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# by cordillera-green | 2017-07-22 12:28 | 環境教育

Balitok: Voices from the Mines【English】

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Cordillera Youth to Stage Mining Play in Philippines and Indonesia


Dealing with the state of mining in the Cordilleras, youth from various Cordillera communities will stage “Balitok: Voices from the Mines” in Baguio City on July 26 and in Makati City on July 29,2017.


“Balitok: Voices from the Mines” will be staged following a series of theater workshops in Tadian, Mt. Province and Baguio City. A post-production theater workshop will also be held in Banda Aceh, Indonesia. The play is organized through the Cordillera Green Network’s (CGN) Environmental Education Program – Theater Project on Environmental Issues for Indigenous Youth in the Philippines and Indonesia. It continues “Mining Stories,” last year’s theater project wherein young actors researched in mining areas in Benguet and Mt. Province. Miners, community elders, and other researchers were interviewed and mining sites were visited before a workshop series was conducted resulting in the performance of monologues and Forum Theater at the Holy Rosary High School in Kayan, Tadian. Members of Aanak di Kabiligan, CGN’s brainchild theater group, will compose most of this year’s acting participants. This year’s project, larger in scale and production, will pick up elements from last year’s process-based documentary theater including Forum Theater – an interactive theater developed by the late Brazilian director Augusto Boal. Forum Theater allows a mediating actor to guide the audience on stage and improvise on the script for them to understand the situation presented in the play.


Seasoned stage directors Toshihisa Yoshida and Setsu Hanasaki are back on the helm for this year’s production. Both specialize in experimental and process-based theater production and have previously worked with Baguio-based CGN in facilitating theater projects in the Cordillera Region. Rocky Cajigan will work on set design while Katsu Mizumachi and Adela II Bantasan will collaborate for music.


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BALITOK – VOICES FROM THE MINES


<Baguio>

6 PM, July 26,2017 (Wed)

at CAP DevelopmentCenter Auditorium,

4th Floor CAP Building, Baguio City, Philippines

Admission Free

Facebook Event Page:

https://www.facebook.com/events/1466881653334532


<Manila>

7PM July 29, 2017(Sat)

at TIU Theater

Amorsolo St., cor dela Rosa St., Makati City, Philippines

Admission Free

Facebook Event Page:

https://www.facebook.com/events/1701525313476663/


< Aceh, Indonesia>

Aug 2, 2017

at Sultan Selim II

Jl. Sultan Alaiddin Mahmudsyah, Kp. Baru, Baiturrahman, Kota Banda Aceh, Aceh 23116, Indonesia

Phone: +62 823-6626-0999


Aug 3-7, 2017

Theater Workshops

at Green Paradise

Jeumpet Ajun, Darul Imarah, Aceh Besar Regency, Aceh 23232, Indonesia

Phone: +62 811-681-554


[Inquires]

Cordillera Green Network Inc.

+63-744230839 / +63-9052297972(Hector) / +63-9283420719(Lily)

cordigreen@gmail.com



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Organizer:

Cordillera Green Network Inc.

# 25 J. Felipe Street, Gibraltar,Baguio City, 2600, Philippines

+63-744230839

cordigreen@gmail.com

https://cordigreen.jimdo.com


with corporation with:

Communitas Tikar Pandan (Aceh, Indonesia)

Jl.Tgk. Geuceu Menara, Kampung Garot. Banda Aceh. Aceh. Indonesia. 23237


Creative Image Foundation & TIU Theater

Amorsolo st. cor. Dela Rosa st. Makati City
(02) 845-0804 or (02)478-9410

tiutheater@gmail.com



Grant:

The Japan Foundation Asia Center

Grant Program for Promotion of Cultural Collaboration







Sponsors:

Kiyosato Experiment Educational Project, Japan

SDS Multimedia Services

Urasenke Tankokai Manila Association

Share and Guesthouse TALA

Café Yagam



<About the Project>

Theater Project on Environmental Issues for Youth

in the Cordillera,Philippines and Aceh, Indonesia


The Cordillera Administrative Region (CAR), Philippines is not only rich in cultural heritage but also in natural resources. However, deforestation and mining activities continue to adversely impact the quality of life in some indigenous communities where, in effect, water has become polluted and scarce. The Cordillera Green Network (CGN), an environmental NGO in the Philippines has been organizing projects and activities addressing these environmental issues. A theatre project under CGN’s Environmental Education Program is among these activities where theater workshops are held for the local youth. The program has been utilizing theater as a medium of change since CGN’s establishment in 2001.

In 2016, CGN’s theater project focused on small-scale mining issues in the Cordillera particularly on the health problems faced by miners and their family members and environmental damage to soil and water bodies caused by chemicals used in refining ore. Young participants from the six Cordillera provinces together with facilitators visited mining areas and researched on the life of miners and other people involved in the mining industry. The result is a documentary play composed of a set of monologue performances based on interviews made during the research period.

The performance was held twice at the Holy Rosary High School in Kayan East, Tadian, Mt. Province. The first show had an audience of the school’s students and faculty while the encore performance was seen by other community members. The play included Forum Theatre, an interactive theater developed by the late Brazilian director Augusto Boal where a mediating actor (the Joker) guides audience members on stage to improvise on the play and present their views on the issues presented in the play. It was actively participated in by both audiences and resulted in an examination of the positive and negative effects of mining.

For this year’s continuation of the theater project, the Japan Foundation Asia Center under the Grant for Cultural Collaboration funded an expanded version of last year’s project, now involving youth from the Philippines and Indonesia. The same participants from last year will be gathered for another series of workshops and performances in Baguio City and Makati City, Philippines. They will then be collaborating with Indonesian youth participants in workshops to be held in Aceh, Indonesia. Both groups will share experiences regarding the environmental issues that their communities face.

(Mariko Sorimachi, Project Director, CGN)



<FACILITATORS PROFILES>


Setsu Hanasaki (Director/Facilitator)

Setsu Hanasaki is executive director of the Engeki Design Guild, a group that leads and delivers applied theater projects. She isa theater practitioner, working as a facilitator, actress, director and teacher. She has worked on various theater and performance projects in manyAsian countries and beyond. Her works including Youth Drama Workshops in Aceh,Indonesia (2006-09), and Educational Theater Project for Environment in Cordillera, Philippines (2014-16), and so on. She is also a part-time lecturer in the Department of Theatre at Nihon University and Musashino Art University.


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ToshihisaYoshida (Director/Facilitator)

Toshihisa Yoshida is a theater director and facilitator and a Filipino-Japanese translator and interpreter. He joined Ten-I-21 Theater Company as an actor in 1993 and Rinkogun Theater Company in 1995. He joined a theatre workshop by the Philippine Educational Theater Association(PETA) in 1999 and started an annual theater workshop for students of Japanese descent at ABONG in Baguio City from 2003 to 2010. He also facilitated several theatre workshops organized by Cordillera Green Network (CGN). Among his works and project involvements are Philippine Bed Time Stories (Omnibus), Walang Iwanan, 1000ng Tula para sa Dibdib ni Dulce and S. B. F. (2004); Taong Grasaand Usapang Babae (2005); Philippine Bed Time Stories 2, Unang Aswang, Hubad,and Ligaya sa Isang Pinoy Bar (2006); Terroristang Labandera by Debbie Ann Tanat Virgin Labfest 3 (2007); Amoy ng Langit by Hiroichi Hase at Virgin Labfest4(2008); and Kitchen Media by Gen Yamamoto at Virgin Labfest 5 (2009).


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Rocky Cajigan (Set design)

Rocky Cajigan is an indigenous Bontok artist currently based in Baguio City, Philippines. His visual work, mostly in assemblage, painting and installation, are largely focused on identity issues and the transitioning of and decolonization in indigenous cultures. His work includes community organizing, art projects management in the Cordillera in Luzon, and theater set design. He is a recipient of the Ateneo Art Awards 2016 – Fernando Zobel Prizes for Visual Art.



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Katsu Mizumachi (Music)

Music scope: Greek Bouzouki, Irish Bouzouki Guitar, Bodhran, Jew's Harp,EthnicInstrument, Vocals

Katsu's sound journey started with an exploration into folk, rock and experimental noise music. In the early 1990's, he started to become more interested in the resonance of ethnic instruments, and his travels around Europe and Asia taught him many things about music and sound. He found that despite the diverse differences in style between genres and music of the East and West, this music can cross borders and speak to our feelings. He came to the understanding that making music and exploring musical instruments are universal among people all ages and cultures, and he leads workshops teaching people how to make simple instruments out of bamboo and play them. Recently he has been incorporating poetry and storytelling with music and is exploring further possibilities with sound.

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Adela II A. Bantasan (Music)

Adela II A. Bantasan is the present director of the Socio-cultural Affairs Office of the Mountain Province State Polytechnic College where she teaches Humanities and Mathematics in the Teacher Education Department. Her involvement in theatre began with the Dap-ayan ti Kultura itiKordilyera, a cultural group that uses music, theater and visual arts in its Information Education Campaign to address socio-cultural issues confronting the Cordillera Administrative Region in the Philippines. The cultural group brought to the Cultural Center of the Philippines its first musical play as part of the 1stNational Theater Festival in 1991. She sings, plays indigenous instruments and writes plays including the "Life and Works of Fr. Leon Dapiaoen"(2008). She is also a member of the Bringing out the Indigenous Knowledge Nurtured by the Ancestors to the Next Generations, Inc. (BINANGI) that produced a music album titled "Day-eng di Ina" (2010). She believes that the theater arts play a great role in the cultural vitality of the community.

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<ORGANIZATIONAL PROFILES>


Cordillera Green Network Inc.

Cordillera Green Network Inc. (CGN) is anenvironmental NGO established in 2001 at Baguio City, Northern Luzon of thePhilippines. CGN’s main purpose is to preserve and protect the naturalresources and to support income generating livelihood for the indigenous peoplein the Cordillera Administrative Region (CAR) in an eco-friendly andsustainable way. CAR comprises six provinces namely Benguet, Mountain Province,Ifugao, Kalinga, Abra, and Apayao.

Part of CGNs projects is Agro-forestry thataims to improve farmers’ livelihood through seedlings distribution,reforestation in watershed areas, and technical assistance. CGN has beenintroducing appropriate technologies such as biogas, organic compost productionand many more.

CGN advocates environmental conservationthrough the use of various environmental education programs to educationalinstitutions from Kindergarten to the University. One of their environmentaleducation programs is the use of theater and visual arts to encourage thecommunity to protect and preserve their environment. Filipino and Japaneseartists do collaboration works to introduce theater and visual arts to thecommunity. Most of the CGN working staffs are members of indigenous people inthe Cordilleras.



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Komunitas Tikar Pandan (Aceh, Indonesia)

Komunitas Tikar Pandan (KTP)was established in 2002 by young activists and artists from various universities in Aceh to learn about the cultural issues that happen during political conflicts in Aceh. The group progressed in its initiatives as acultural-movement to influence state policies in defining the culture of politics in Aceh. KTP’s community grew as an organization in the cultural-league form: associating with organizations concerned with cultural issues in Aceh. KTP acts as a coordinator. Its partner organizations consist of Sekolah Menulis Dokarim, Toko Buku Dokarim, Metamorfosa Institute, JurnalKebudayaan Gelombang Baru, TV Eng Ong, Episentrum Ulee Kareng, and PenerbitanAneuk Mulieng Publishing.

Through a five-year strategic planning began in 2007, KTP sharpened its organization orientation by acting as a civil society organization that is a center of learning and strengthening society by emancipation – where culture influences and achieves a just and orderly society. KTP, in 2011, cooperated with human rights activists and established the Museum HAM Aceh (Aceh Human Rights Museum). KTP actively makes good relationships with support institutions in Aceh, Indonesia, and overseas:European Union, HIVOS, ICCO, Secours Populaire Français, Tifa Foundation, The Asia Foundation, Goethe Institute, Japan Foundation, Rotary Japan ClubFoundation, Rotterdam-Arab Film Festival, Iran Embassy in Indonesia, In-docs, Ruangrupa,KampungHalaman, INSIST.

Guided by the motto “It’senough of hegemony, it’s time for emancipation”, KTP has implemented andcontinues to implement programs including peace campaigns, conflict resolutions,and others through TV Eng Ong that reaches almost all regencies/cities in Aceh;established writing schools and published books and cultural journals; provided libraries both permanent and mobile in some regencies/cities in Aceh; teaches teenagers from regencies/cities in Aceh about conflict resolution and peace through participative theater workshops; regular screenings of films from Aceh,Iran, Europe, and others concerned with social issues; conducts researches and cultural studies for publishing; runs seminars, discussions, public lectures, book launches, and writers festivals either local or international; visual art exhibitions, and others related activities.



Creative Image Foundation & TIU Theater

TIU theater aims to be a society of the following two can berealized .

To know each other , minority children of Southeast Asiais beyond the border , race , it is possible to mutually recognize thedifference

The children of the Philippines poor can be realized adream in their own force.

TIU Theater , Based on the above vision , two of thefollowing is a mission , we are the business .

Southeast Asia of the community - ethnic minorities andcultural exchange by children

Education of children in the Philippines poor throughartistic expression.

The capital of Manila in the Philippines , there are twogarbage collection area of Payatas and Smokey Mountain people of the poorest ofthe poor live . NPO corporation Creative Image Foundation ( below CIF) is togive education to the children who live there in picking up trash , wasestablished in 2000 to the first object of the present invention is to providean opportunity to flowering talent . Make a school attend free of charge toboth areas , the number of graduate students said up to now amounts to about5,000 . Not only normal education , a workshop , such as singing and dancing ,children notice their own talent , and has been actively creating anenvironment that can extend it .

CIF sister facility in 2014 Makati City , founded the TIUTheater . At the same time by when the mission of the CIF more refinement andconcentration , aim to approach to the broader society . It is Southeast Asiancommunity mainly carried out in the TIU Theater minority by children andcross-cultural exchange , the original concept of education to the children ofthe poor through the artistic expression that further developed the mission ofCIF It is.

IU since its opening in 2014 in the Theater, the Philippineshas conducted performances of theater and traditional arts by ethnic minorityyoung people of Luzon island north . Philippines is an archipelago consistingof large and small islands 7107 , population in excess of one hundred millionpeople is a multi- ethnic nation consisting of various ethnic minorities . Inour theater , as minority children throughout the Philippines is proud of theirculture and tradition , have never lose at it the wrong values ​​, wewill continue to promote cross-cultural exchange of minorities between I aims .Philippines across ethnic exchanges , thus expanding the area in Southeast Asia, ethnic minority children in Asia it will work for the purpose of which isincreasing the community awareness through interaction

Is including the Philippines , are still in the SoutheastAsian countries that are considered to be " developing countries " israre that a minority culture and culture Discover , said that the Internet hasspread , actively micro- culture is the horizontal connections It never has .Future some children , to know each other's differences beyond borders and race, mutual respect . CIF and TIU Theater is , as the center of the connectionbetween the ethnic groups , aims to be a help to cultivate the spirit ofmulticultural children's parties as well as to introduce a variety of ethnicminority culture.

Specifically , first it is possible to continue thetraditional arts performances of young people of Luzon island north that arecarried out by currently ongoing , south and invite ethnic Mindanao , manyMuslim culture in Mindanao also Christianity is more than 90% it is thoughtthat it will introduce in this capital city Manila occupy . Further expand the scopeto Southeast Asia throughout , then , simultaneous performances , etc. , wewill actively create a place of exchange.

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Aanak di Kabiligan

Aanak di Kabiligan, is a term in one of themany languages in the Cordilleras meaning Childrenof the Mountains. Since 2007, the Cordillera Green Network (CGN) hasbeen conducting theater workshops concerning culture and environment for theyouth in various communities in the Cordilleras. Aanak di Kabiligan wasestablished when chosen youths from the past workshops were called to perform onCGNs first Cordillera Eco Summit that happened in BaguioCity in 2008. In 2011, some of its members visited Japan to take part in aworkshopthat dealt with environmental issues through sharing of ideas andperformances.They performed four different folk stories that originated fromtheir own respective communities at Hokuto City, Yamanashi and Nagoya City,Aichi. Mostof the members of Aanak di Kabiligan fromMountain Province were chosen to perform for this yearstheater project.

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Garden Theater, Baguio City

On one of the street corners surrounding Center MallcalledDagohoy Street, sits a somewhat derelict building called the GardenTheater.While its ground floor is inhabited by small eateries and karaoke bars,theupper levels are a whole different story (no pun intended).

With cracked staircases, scattered cement rubble, andexposedsteel frames, many might call the Garden Theater a sketchy place. Butwe call itan indie movie-like experience, and we love every inch of the place.Previouslyabandoned, the Garden Theater is being given new life with differentBaguioartists, writers, and musicians organizing special events.

(Where to Baguio http://www.wheretobaguio.com/algoritmo-spoken-word-garden-theater/)



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# by cordillera-green | 2017-07-16 21:36 | 環境教育

【ファシリテーター紹介】Balitok-Voices from the Mines

いよいよ7月15日から「先住民族青少年を対象とした環境問題をテーマとした演劇ワークショップ事業」(国際交流基金アジアセンター助成)が始まりました。

この事業は、昨年8月に行った鉱山開発をテーマとした演劇を活用した環境教育ワークショップを継続し、今年は一つの作品として仕上げ、バギオ市とマニラで公演しようという事業です。その後、インドネシア・アチェに全員で行き、アチェの環境問題をテーマとしたワークショップをアチェとフィリピンの若者を集めて行います。


まず、7月15日から、マウンテン州のカヤン村で、作品の中で歌や踊りで表現したいシーンの練習が、村の伝統文化継承者などを講師に始まりました。20日からは、会場をバギオに移し、日本人ファシリテイタ―も加わって、本格的に演劇制作に取り組みます。

参加者は「アナク・ディ・カビリガン(山の子供たち)」と名付けられた、過去のコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)のワークショップ参加者の中からの希望してくれた16-23歳の若者たち。もちろんプロの役者さんではありませんが、CGNのワークショップで、演ずること、表現すること、ステージでスポットライトを浴びることの魅力に取りつかれてしまった、元気いっぱいの若者たちです。


今回の事業でファシリテイタ―を務め、参加者の若者たちの個性と、コーディリエラ地方独自の文化の魅力を最大限生かした指導をしてくれるのは以下の方々です。


【演劇】

花崎

SetsuHanasaki

シアタープラクティショナーとして演出、俳優、ワークショップ企画進行など、幅広く活動。国内をはじめ海外でも継続的にプロジェクトを実施している。主な活動に「アチェの子どもたちと創る演劇ワークショップ」(20072010).「ルソン島北部先住民族の子供たちを対象とした演劇を活用した環境教育プログラム」(20142016)など。日本大学芸術学部、武蔵野美術大学、青山学院大学で非常勤講師。演劇デザインギルド専務理事。

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吉田智久

Toshihisa Yoshida

舞台演出家 タガログ語通訳・翻訳家

劇団「転位・21」から「燐光群」を経て2007年よりフリーランス。

燐光群時代の2002年に文化庁在外研修員として、フィリピン教育演劇協会(PETA)1年間在籍。

演出作品は全てフィリピン劇作家の作品もしくは日本の作品のフィリピノ語翻訳劇というフィリピン演劇に特化した演出家。

代表作は、Philippine Bedtime Stories(2004, 2006 & 2007)TerroristangLabandela(2007)、エバーさんに続け(2010)、など。

コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGNの活動には、第3回、第4回コーディリエラ・ユース・エコ・サミット(2010、アナク・ディ・カビリガン日本ツアー(2011)、環境教育演劇ワークショップ(2015)などに演出や舞台監督として参加多数。今回の「鉱山開発をテーマとした演劇ワークショップ」にも昨年(2016)からファシリテイターとして参加している。

現在、日本で母語支援員と言われる「日本の学校へ通うフィリピン人子女への通訳翻訳活動」を行っている。


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【音楽】

Katsu

ブズーキ(ギリシャ・アイルランドの弦楽器)、ギター、バウロン(アイルランドの片面太鼓)、その他世界の民族楽器

ギリシャの弦楽器ブズーキなど様々な民族楽器の音色や響きを取り入れた独自の“音”の世界を創り出す音の旅人。フォーク、ロック、ノイズミュージックなど様々な音楽活動を経験した後、90年代初めから民族楽器を取り入れた音楽活動を始める。97年以降KURIを中心に、全国各地での演奏やCDの制作を行っている。ヨーロッパやアジアでの演奏の経験から、音楽を通じ、人はそれぞれの違いを超えて心を通い合わせることが出来ると確信する。里山の森にある手作りの家での日本の四季を感じる生活や、旅から生まれるインスピレーションを大切にしている。“音”を楽しむ竹の楽器作りのワークショップや“音”と共に語る詩の朗読や、”人と大地のつながり”をテーマにしたライブ・ぺインティングなどアーティストとのコラボレーションも行っている。

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アデラ・バンタサン

AdelaII A. Bantasan

 マウンテン州国立ポリテクニカル・カレッジ(MPSPC)の社会芸術ディレクター。同大学の教育学部において、人文学と数学の教鞭も取っている。音楽、演劇、美術を活用してコーディリエラ地域が直面している社会問題の情報提供と教育活動を行っていたNGO(伝統芸能グループ)「Dap-ayan ti Kultura iti Kordilyera」への参加が演劇との出会いであった。当団体は1991年、CCP(フィリピン文化センター)において開催された第1回全国演劇祭で初めてミュージカル公演を行った。

 劇作家、シンガー、民族楽器の演奏家として活動。代表作Life and Works of Fr. Leon Dapiaoen」の脚本(2008年)。

また、音楽グループBINANGIBringing out the Indigenous Knowledge Nurtured by the Ancestors to the Next Generations, Inc.)のメンバーとして、アルバム「Day-eng di Ina(母なる音楽)」(2010年)に参加。演劇がコミュニティの文化を活性化するのに大きな役割を果たすだろうと考えている。


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【美術】

ロッキー・カヒガン

Rocky Cajigan

フィリピン・バギオ市を拠点として活動するマウンテン州ボントク出身の先住民族アーティスト。アッサンブラージュ*による絵画やインスタレーションを中心とした作品は、先住民族としてのアイデンティティー、先住民族文化の変遷と独立をテーマにすることが多い。

ルソン島コーディリエラ地方におけるコミュニティの組織化やアート・プロジェクトの運営、舞台セットのデザインナーとしても活動。2016年には、アテネオ・アート・アワードの美術部門でFernando Zobel賞を受賞。


(注:アッサンブラージュ(アセンブリッジ、英語:Assemblage)とは、コラージュやパピエ・コレの立体版、すなわち、「立体的なもの」を寄せ集め、積み上げる、貼り付ける、結び付けるなどの方法により制作された美術作品(立体作品)およびその技法。


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マウンテン州とバギオでの10日間ワークショップのあと、バギオ市とマニラで発表公演を行います。


BALITOK – VOICES FROM THE MINES


<バギオ公演>

2017726日(水) 6PM

会場:CAP Development Center

詳細はこちら


<マニラ公演>

2017729日(土) 7PM

会場:TIUシアター

詳細はこちら


[プロジェクトについての問い合わせ]

Cordillera Green Network Inc.

+63-744230839 / +63-9285218124(Mariko) / +63-9052297972(Hector)

cordigreen@gmail.com


~~~~~~~~~~~~

主催:

Cordillera Green Network Inc.

# 25 J. Felipe Street, Gibraltar,Baguio City, 2600, Philippines

+63-744230839

cordigreen@gmail.com

https://cordigreen.jimdo.com


共催(インドネシア・アチェ):

Communitas Tikar Pandan 

Jl.Tgk. Geuceu Menara, Kampung Garot. Banda Aceh. Aceh. Indonesia. 23237

tikar_pandan@hotmail.com

www.tikarpandan.org



助成 Grant:

国際交流基金文化創造協働助成

The Japan Foundation Asia Center

Grant Program for Promotion of Cultural Collaboration

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協賛Sponsors:

Kiyosato Experiment EducationalProject, Japan

SDS Multimedia Services

裏千家淡交会マニラ協会 Urasenke Tankokai Manila Association

Share and Guesthouse TALA

Café Yagam


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# by cordillera-green | 2017-07-15 16:04 | 環境教育

フィリピン、インドネシアの青少年を対象とした環境問題をテーマとした演劇ワークショップによる交流事業

バギオ市の環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク」(CGN)は、
国際交流基金アジアセンター「アジア・文化創造協働助成」を受け、
201778月に日本の演劇ファシリテイタ―による環境問題をテーマとしたワークショップを、
フィリピン(マウンテン州、バギオ市)で開催します。
また、日本とフィリピン、インドネシアの青少年が相互理解を深め、
共に手を取り合って環境問題解決に取り組むための演劇ワークショップによる交流プロジェクトを、
インドネシア・アチェでも行うことになりました。


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フィリピン・ルソン島北部にあるバギオ市はアメリカ植民地化で保養地としてイバロイ族の小さな集落に人工的に作られた町だが、同時に豊かな鉱物資源のある山岳地域(コルディレラ地方)へのゲートウェイとして、スペイン時代から為政者たちの関心を集めてきた。バギオ市のあるベンゲット州では、今現在も二つの大鉱山会社がフル稼働中で、貧しい先住民族に雇用を生んできた一方で、大規模採掘は土壌崩落や土壌浸食を引き起こし、また精錬に使う薬品が土壌や水質汚染の原因となってきた。

 バギオの一大観光地・マインズ・ビュー(マインズ=鉱山)から眺められるのは、1903年創業のベンゲット鉱山会社が金の露天掘りを行ったベンゲット州イトゴン町の鉱山開発地域。そのうちのひとつアンタモック鉱山地域はフィリピン最古の大規模鉱山採掘地域として知られる。1980年代に経営が悪化し精錬所が閉鎖された後も、元抗夫たちが個人で採掘を継続し、坑夫とその家族たちが暮らすコミュニティも存在している。遠くコルディレラ山岳地方の村々から、金を求めてアンタモック鉱山跡地に移住してくる先住民族はいまも後を絶たない。

 金の採掘が進んでいるのはベンゲット州の大鉱山地域だけではない。棚田での稲作を中心とした自給自足に近い暮らしを続けてきたコルディレラ山岳地方の先住民だが、貨幣経済がかなりの山奥にまで浸透していく中で、先住民居住の村々でも、今まで手を付けずにきた鉱物資源の採掘を、個人やコミュニティで行うものも出てきた。政府の管理が行き届かない違法なダイナマイトを使った採掘や危険な薬品(水銀や青化ソーダ)を使った精錬も秘かに行われ始めている。

 バギオを拠点とする環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」は、2001年の設立以来、先住民族を対象とした環境教育を様々な手法で行ってきた。当初は森林伐採とそれに伴う水源枯渇などをテーマとすることが多かったが、数年前から山奥にまで進行しつつある鉱山開発の現状をテーマとした環境教育を開始した。昨年は、日本から花崎攝氏、吉田智久氏という二人の演劇教育専門家を招聘し、先住民の青少年たちが山岳地方で鉱山開発に関わる様々な立場の人にインタビューし、モノローグ・テキストをベースとした演劇制作を行い、鉱山開発が始まりつつあるマウンテン州の高校で生徒たちを対象に発表公演を行った。

 CGNでは、今年もこの夏休み(フィリピンの夏休み68月)を使って、先住民の若者たちを対象とした演劇ワークショップを継続し、ほとんど知られていないコルディリエラ山岳地方の鉱山開発の現状と、そこに暮らす先住民族の生き方をテーマとした演劇作品を制作する。公演はバギオ市、マニラ・マカティ市の他、インドネシア・アチェ市でも公演と現地の鉱山開発問題をテーマとしたワークショップを開催する。


~~~~~~~

○フィリピンでの演劇ワークショップの成果として以下の2ヵ所で発表公演を行う。


BALITOK – VOICES FROM THE MINES


<バギオ公演>

2017726日(水) 6PM

会場:CAP Development Center

詳細はこちら

※入場無料


<マニラ公演>

2017729日(土) 7PM

会場:TIUシアター(マカティ市)

詳細はこちら

※入場無料


<インドネシア・アチェ公演>

2017年8月2日

会場:Sultan Selim II

Jl. Sultan Alaiddin Mahmudsyah, Kp. Baru, Baiturrahman, Kota Banda Aceh, Aceh 23116, Indonesia

Phone: +62 823-6626-0999



<インドネシア・アチェ ー ワークショップ>

20178月2日~7

会場:Green Paradise

Jeumpet Ajun, Darul Imarah, Aceh Besar Regency, Aceh 23232, Indonesia

Phone: +62 811-681-554


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[プロジェクトについての問い合わせ]

Cordillera Green Network Inc.

+63-744230839 / +63-9285218124(Mariko) / +63-9052297972(Hector)

cordigreen@gmail.com


~~~~~~~~~~~~

主催:

Cordillera Green Network Inc.

# 25 J. Felipe Street, Gibraltar,Baguio City, 2600, Philippines

+63-744230839

cordigreen@gmail.com

https://cordigreen.jimdo.com


共催

<インドネシア・アチェ>

Communitas Tikar Pandan 

Jl.Tgk. Geuceu Menara, Kampung Garot. Banda Aceh. Aceh. Indonesia. 23237

tikar_pandan@hotmail.com

<マニラ・マカティ市>
Creative Image Foundation & TIU Theater

Amorsolo st. cor. Dela Rosa st. Makati City
(02) 845-0804 or (02)478-9410

tiutheater@gmail.com


助成 Grant:

国際交流基金文化創造協働助成

The Japan Foundation Asia Center

Grant Program for Promotion of Cultural Collaboration

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協賛Sponsors:

Kiyosato Experiment EducationalProject, Japan

SDS Multimedia Services

裏千家淡交会マニラ協会Urasenke Tankokai Manila Association)

Share and Guesthouse TALA

Café Yagam





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# by cordillera-green | 2017-07-15 15:59 | 環境教育

鉱山開発をテーマとした演劇ワークショップ

 りそなアジアオセアニア財団から助成を受けた「ルソン島北部先住民族の子供たちを対象とした演劇を活用した環境教育プログラム」は、2016年度事業で最終年を迎えた。1年目、2年目の成果を踏まえ、2016年度はより内容を具体的な環境問題へのアプローチとし、北部ルソン山岳地方で環境破壊が著しい鉱山開発問題に焦点を絞った。

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  前年度のマウンテン州のワークショップで鉱山開発をテーマとしたときに、スタッフ、ファシリテイタ―の観察により、一般住民の鉱山開発に対する知識、環境への負荷などが全く欠如していることが見て取られ、今年度はワークショップ参加者が実際に鉱山開発地域を訪れ、様々な立場で鉱山開発に関わる人にインタビューをすることとした。

 鉱山開発地域での体験 関係者へのインタビュー内容は、ファシリテイタ―の指導のもとで参加者たちが意見や感想を共有しあい、最終的に演劇作品として発表した。


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 発表は小規模鉱山開発が住民たちの手で開始されているマウンテン州タジャン町のハイスクールのホールを会場とし、ハイスクール(中学校・高校約200名)の全生徒が鑑賞した。また、コミュニティ住民にも鑑賞を呼びかけた。総勢250余の地域住民が鑑賞した。

 ワークショップでは、鉱山開発地域での訪問・取材・インタビューで得た鉱山開発に関わる当事者の声をモノローグにまとめる作業を中心に行った。参加者はそれぞれ、当事者たちの立場になって書いたモノローグ原稿をファシリテイタ―の指導の下で推敲を重ねてまとめ上げた。発表でもそのモノローグ原稿を中心に演劇を構成し、ドキュメンタリー的な要素の強い作品とした。

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 取材先で当事者から聞いた内容はたいへん濃く、参加者にはショッキングな内容も多かった。フィクションとして構成し直す前に、参加者の若者たちが十分にその声の重さ、そしてそれぞれの境遇、背景、立場を自分の身に引き寄せて感じ、考えることに重点を置いた。発表された作品は、娯楽的な要素は乏しいが、インタビュー対象の人々が語ってくれた言葉の重さを参加者が精いっぱい表現し、観客にのその響きが伝わる素晴らしいものとなった。

 また、演劇作品発表のあとに観客参加型の「フォーラム・シアター」を、前年度に継続して実践し、観客に鉱山開発問題について、具体的な意見を求め、問題の解決方法を参加者や観客とシェアし意見交換する場をもった。

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<参加者について>

 ワークショップは201682日~14日まで開催し、山岳地方の先住民族の青少年14名の参加があった。参加者は違う民族からの参加者で、特に前年度の本事業によるワークショップで小規模鉱山開発とそれによる環境汚染がひそかに進行しつつあるマウンテン州からの参加者を中心とした。今までにコーディリエラ・グリーン・ネットワークが開催してきた演劇を活用した環境教育ワークショップに参加したことのある経験者と今回初めて参加するものとの混合グループとなったが、お互いに助け合いながら素晴らしいチームワークで長期のワークショップを終えた。

 フィリピンでは政府の方針で学校教育制度が改正中で、新学期の開始時期がマチマチであり、また休暇中にも就職活動やコミュニティ活動などに従事する必要のある生徒が多く、前年度のワークショップから継続して参加できた青少年がいなかったのが悔やまれる。
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<ファシリテイタ―について>

 事業1年目から継続して花崎攝氏がメイン・ファシリテイタ―を務めた。また、フィリピン在住経験があり、CGNの環境演劇ワークショップでの2年間ファシリテイタ―として活動していた吉田智久氏も花崎氏とともにファシリテイタ―を務めた。事業最終年の本年度のワークショップではコミュニティ住民を招待しての演劇発表とフォーラム・シアターを行うため、舞台美術担当として在台湾の現代美術家・花崎草氏とバギオ在住の現代美術家・ロッキー・カヒガン氏を招聘した。演劇ワークショップに、二人のファシリテイトによるビジュアル・アートを活用したワークショップも加えた。

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その他のワークショップと発表の写真




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# by cordillera-green | 2016-11-17 23:13 | 環境教育

東ティモールでのコーヒー農家さんとの研修

 

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 2016年8月24~29日、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)がNPO法人「平和環境もやいネット」のパートナーとして実施している「フィリピン北部山岳地方におけるアラビカ・コーヒーの品質向上のための基準作りと普及事業」(公益財団法人・日本国際協力財団助成)の一環として、3人のコーヒー農家とCGNスタッフとともに、東ティモールに研修に行く機会を得た。


 東ティモール研修の目的は以下。

 フィリピンのコーヒー農家とNGOスタッフが、日本のNGO団体などのサポートにより品質の高いコーヒーを生産し、輸出を拡大している東ティモールのコーヒー栽培地、加工、乾燥、集荷の現場を訪問し、品質向上のための適正技術を学び、東ティモールのコーヒー農家との意見交換を行う。フィリピンからの参加者は、その経験を帰比後、それぞれのコミュニティや活動の場で共有し、実践し、生産するコーヒー豆の品質向上に役立てていく。

*


 一般的にフィリピンのようなアジアの新興国の人々が研修に行くときの行き先は、先進国となる。今回は、アジアで最も新しい国であり、最貧国のひとつである東ティモールが訪問先だった。2016年市場でも街中の商店でも、商品の数は少なく、人々の暮らしが北ルソンの農家以上にシンプルで貧しいものであることは参加者みな感じたと思う。 

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 長いインドネシアとの戦火を経て2002年の独立後に経済の復興・再生を目指したときに、唯一の経済再生のホープとみなされたのが、山岳地域を中心とした広大なエリアにポルトガルの植民地時代から植えられていたコーヒーだったそうだ。独立当初は品質も悪く、信じられないような低価格で取引されており、とても輸出産物として扱われる代物でなかったという。それを、今回お世話になったピース・ウィンズ・ジャパン(PWJ)をはじめとする海外のNGOや政府系機関によって、品質向上の指導が行われ、また流通・輸出ルートの確立に資金投入が行われ、わずか15年の間に目覚ましい品質の向上が行われた。そして、今ではPWJだけでも日本にパーチメントで250トンを輸出しているという、東ティモールを代表する輸出産物に成長した。


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 今回、同行したルソン島北部コーディリエラ地方のコーヒーの農家と比較すると、もっとも違うのは、東ティモールの農家がコーヒーの単一栽培であるのに対し、コーディリエラ地方のコーヒー農家は野菜や米の栽培と兼業している点である。参加者はコーヒー農園の広さに驚き、収獲期の重労働を想像したが、コーヒーしか生計手段がないだけに選択伎はない。コーヒーの品質と収穫量が、そのまま農家の年収に響くわけだから、農家のコーヒー栽培にかける意気込みは中途半端なものではない。地域に生えてる木を切った木材とドラム缶の廃材を使った手作りの果肉除去機(パルパー)の処理能力の高さに一同感心したが、外部からの支援がとどかない小さなコミュニティで、なんとかコーヒー加工の労働を効率的にしようと、身近に手に入るもので工夫して長い年月を改良を重ねて作り上げてきたものなのだろう。

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 このパルパーはコーディリエラ地方の貧しい農家でも、多少複雑ではあるが、資本なしでも自ら作ることができるものだった。問題はメンタリティ。野菜や米の栽培で多少の収入が得られ、またそのための農作業でかなりの時間を割かれるコーディリエラの農家には、農閑期はないと言ってよく、時間と手間をかけて副産物であるパルパーを手作りするより、野菜をもっとたくさん栽培してその収益で買ったほうがラクと思う向きもあるだろう。

 台風被害に常に悩まされているコーディリエラ地方の農家にとっては、東ティモールには台風が来ないという話は羨望のまなざしで受け止められていた。また、訪問したコーヒー農園にまったく病害虫の被害が出ていないことも驚きとともに受け止められた。ある意味、気象条件、そして地理的条件も、訪問した東ティモールの山岳地より厳しいコーディリエラの農家は、無意識のうちに自然災害による打撃を避けるために、複合的な農業を選択していると言えるだろう。コーヒー農園のみが果てしなく続くエリアを移動しながら、

「もっと野菜栽培をしたらいいのに」

と参加者同士は会話を重ねていた。

「病害虫でコーヒーが被害を受けたり、今まで来なかった台風が異常気象でやってきたらどうするのだろう?」

「主食の米さえだれも作っていないのだから、飢えるではないか」


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↑小さな野菜農園を始めた人もいる

 海外からの援助によって輸出産物として成長したコーヒー豆の品質は、コーディリエラ地方の豆とは比較にならないくらい均一で素晴らしいものだった。生産量もケタが違う。今回訪れた地域で目にしたコーヒーの生産過程から学ぶことは実に多かった。

 一方で、あまりに大きな海外中心の資本がまとめて集荷し、どこかわからないところで取引されている状況に、農民があまり関心がないことも気にはなった。コーヒーが食卓に上がるまでの「種」から「カップ」までの、ごく一部のみを担っているコーヒー農家。言われた通りの品質の豆を生産するために精魂込めてつらい作業もこなしているのだろうが、その先の販売は、海外NGOだのみだったり、大資本により大量買い付けだったり。山の中のコミュニティからはまったく目が届かない。

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 コーディリエラの農家はある意味、もっとどん欲だ。隣の農園よりいい豆を生産で来たら、隣よりいい値で売りたい。野菜栽培と販売で身につけてきた競争心がある。できるなら販売ルートを自分や自分たちの農民グループで確立して、ほかとは違うコーヒーとして小売りまで手掛けたいという思いがある。ここでも、他人頼みの大規模な集荷・販売システムに「何かあったらどうする?」とコーディリエラの農家は一抹の不安を感じたようだ。

 国としてはまだまだ若い東ティモール。今の時点では海外からの支援なしでのコーヒー産業の確立は難しいかもしれないが、インドネシア占領時代の苦い経験からアレルギーがあるという農民組合の組織運営を自らの力で行い、農家が誇り高く仕事ができ、国の経済が自立する日がそう遠くない未来に実現することを願ってやまない。


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****************



研修概要:

東ティモールの独立(2002年)前から交流し、独立後もコーヒー栽培による経済の再生をサポートしている平和環境もやいネットが、東ティモールでコーヒー栽培・加工指導と販売サポートを展開する日本のNGO「ピース・ウィンズ・ジャパン(PWJ)」の協力を得て、フィリピンからの5人の参加者(コーヒー栽培農家代表とNGOスタッフ)を対象とした6日間の研修を行った。

研修では、PWJの事業地であるエルメラ県レテフォホの4つのコーヒー栽培コミュニティを訪問し、栽培、収獲、加工、加工機器づくり、乾燥、集荷、販売の現場を見学し、フィリピンのコーヒー栽培地で実践できる技術と知識を学んだ。

また、やはりコーヒー事業を行っている日本のNGO「パルシック」のドライミルの見学も行なった。さらに日本のNGOAPLA」などと協力して有機野菜ガーデンの学校への普及や水保全システム事業を行っている東ティモールのNGOPermatil」代表とも意見交換を行った。

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↑パルシックのコーヒー豆選別工場



旅程:

活動

宿泊地

8/22

PM

<フィリピンからの参加者> 

バギオに集合

バギオ~マニラ 夜行バス移動

バス中泊

8/23

フィリピンから参加者 マニラ4am~インドネシア・バリ8:35(Cebu Pacific 5J279 )

もやいネット・阿部健一、フィリピン参加者と合流

バリ島

エアポートホテル

8/24

AM

PM

バリBali9:30am~東ティモール・ディリDili12:20

(Air Timor QG 7300)

もやいネット・山本博文、フィリピン参加者と合流

ピース・ウィンズ・ジャパン(PWJ)ディリ事務所訪問

PWJスタッフと打ち合わせ

・地域住民によるコーヒー生豆選別場の見学

ディリ~エルメラErmera県レテフォホLetefoho

(レンタカー)

PWJレテフォホ事務所のスタッフと顔合わせ

PWJレテフォホ・ゲストハウス

8/25

AM

PM

レテフォホ~レヌマタRenumata(レンタカー)

・果肉除去機の(デパルパー)の作り方の実習

  講師:Pedrp Soares(レヌマタのコーヒー農家)

・コーヒー農園と水源地見学

・有機野菜畑見学

・レヌマタのコーヒー農家との交流

レヌマタ~レテフォホ

PWJ事務所のサンプル焙煎見学

PWJレテフォホ・ゲストハウス

8/26

AM

PM

レテフォホ~ラカウLacau(レンタカー)

PWJのコーヒー買い付けの様子を見学

・ラカウのコーヒー農家と交流

ラカウ~レテフォホ

レテフォホ~レヌマタ

・果肉除去機作りの実習(前日の続き)

レヌマタ~レテフォホ

PWJコーヒー倉庫見学

PWJレテフォホ・ゲストハウス

8/27

AM

PM

・レテフォホの市場見学

レテフォホ~エラトイEratoi(レンタカー)

・エラトイのコーヒー農家とともに収穫作業体験

・コーヒー農家の栽培地メンテナンス方法を見学

・収獲したコーヒーの実の加工・乾燥現場を見学

・エラトイのコーヒー農家と交流

エラトイ~レテフォホ(レンタカー)

レテフォホ~フンダHunda(レンタカー)

・乾燥台の見学

フンダ~レテフォホ

PWJレテフォホ・ゲストハウス

8/28

AM

PM

レテフォホのカトリック教会のミサ参列

参加者の振り返りミーティング

レテフォホ~ディリ(レンタカー)

・環境NGOPermatil」代表エゴ・レモス氏Ego Lemos氏と会合

ディリ・ビーチ・ホテル

8/29

AM

ディリ

・日本NGO「パルシック」のドライミル工場見学

<フィリピン参加者>

ディリ1:20pm~バリ2:10pm (Air Timor QG 7310)

バリ Ayu Lili Garden Cottages

8/30

AM

PM

バリ8:35am~マニラ12:35pm

Cebu Pacific 5J280

マニラ~バギオ


研修内容詳細:

<果肉除去機作り>

レヌマタ・コミュニティにおいて、約2日間コーヒーの果肉除去機 の作成方法の講習をおこなった。講師は同コミュニティのペドロ氏。果肉除去 において、重要なディスク部分の作成を学び、機械の構造を一つ一つ丁寧にレクチャーしてもらった。部品器具等は、すべてフィリピンにおいても手に入る もので、フィリピンでの製造は可能である

<集荷>

コーヒーの買い付け場面での、集荷方法を学びに ラカウ・コミュニティを訪問した。PWJ においては、パーチメントの段階で買い付けが行われる。収穫から精 選を経て、パーチメントまで仕上げる方法をあらかじめ農家に講習会を行い、品質の均一化を図っている。フィリピンにおいては、生豆の状態まで仕上げる。 集荷は各コミュニティをトラックで訪問し、その場で計量を行う。計量した数 値を記した紙を農家に手渡し、後日事務所にて支払う方法をとっている。フィリピン農家も集荷方法を考え出すとのこと。

<収穫>

エラトイ・コミュニティにて収穫を体験した。一面のコーヒーの木に一同目を奪われて、コーヒー栽培が主に行われている地域の環境を肌で感じることができた。 同地域では、コミュニティ一丸となって、協力し合いながら収穫と精選を行う。

<乾燥>

レテフォホ地域においては、コーヒーの乾燥は、ブルーシートもしくは、アフリカンベットと呼ばれる高床式の乾燥台を使用する。フィリピンにおける乾燥 問題に、直接的に解決できる方法であるとみな感じた。

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<ドライミル工場見学 >

パーチメントを脱觳し、生豆の状態にまで仕上げる工場(ドライミル)を見学した。1 日に約5トンのパーチメントを加工できる施設で、すべて全自動でおこ なえるもの。フィリピン農家が暮らす地域にはまだ存在せず、今後生産量が拡 大してきたときに重要となる施設である。


<まとめ>

それぞれのコミュニティにおいて、各農家と交流した中で、共通していたことは、高く販売するには品質の高いコーヒーを産出しなければならないというこ と。そして、その品質を作り出すための方法を農家は知っているということで ある。このマーケットの求める品質に、農家たちが正確に理解し、生産していくという考えかたにフィリピン農家一同が感心していた。また、果肉除去機等の技術の高さを目の当たりにしたことは、良い経験になったと思われる。

上記とともに、この地域のコーヒーの単一栽培における欠点・問題点がフィリピン農家の間で議論された。もっと土地を有効に使う方法がある。野菜をも っと植えた方が良い。堆肥をもっと使用した方が良い等々。フィリピン農家の 過去の経験から、アグロフォレストリーによる、主作物・副作物の栽培に行い、環境と農業ビジネスのバランスをとっていく必要があるだろうとの指摘があっ た。

東ティモール側においては、今まで供給される側だった農家たちが、フィリピンから自分たちのコーヒーを学びに来ているという事実を知り、彼ら自ら率 先して、フィリピン農家に対して、快活に指導していること自体が成果であっ たと感じる。 今後もこのような活動は続けていくと良い

(平和環境もやいネット 山本博文)

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# by cordillera-green | 2016-10-15 13:23 | コーヒー

カトリック教会グループのフィリピン・ツアー報告

 2016年2月の頭に、カトリックの伊藤幸史司祭と信徒の方々がフィリピンを訪れました。コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)では、イトゴンの鉱山開発地域、コーヒー農園などをご案内しました。参加者の方々がとても素敵な体験レポートを冊子にしてくださいました。オンラインで読めますので、ぜひ!






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# by cordillera-green | 2016-08-30 13:35 | スタディツアー

水牛と山岳民族の”循環する暮らし”ツアー旅日記

2016年2月に加藤大吾さん率いる都留環境フォーラムと協同で企画・催行した「水牛と山岳民族の”循環する暮らし”~フィリピン山岳地方でホームステイの旅~」は、思わぬハプニングが続出しましたが、タフで心優しい19歳から74歳までの素敵な参加者の方々のおかげで無事楽しい旅を終えました。

参加者の一人で、町の大学で教鞭をとりながら、都留市で農業を始めたという山田浩子さんが、旅の一部始終をご自身のブログ「農天気な暮らしはじめました!」にアップしてくださりました。すばらしい観察力と考察力で、あの小さな村での1週間を11の章に分けてまとめてくださいました。

浩子さん、ありがとうございます!


。。。。。。。。。。。



①精霊の村

http://noutenkinakurashi.blog.fc2.com/blog-entry-133.html

②伝える

http://noutenkinakurashi.blog.fc2.com/blog-entry-134.html

③田しごと

http://noutenkinakurashi.blog.fc2.com/blog-entry-135.html

④法事

http://noutenkinakurashi.blog.fc2.com/blog-entry-142.html

⑤夜の宴

http://noutenkinakurashi.blog.fc2.com/blog-entry-139.html

⑥脱穀

http://noutenkinakurashi.blog.fc2.com/blog-entry-138.html

⑦助け合い

http://noutenkinakurashi.blog.fc2.com/blog-entry-140.html

⑧Money is...

http://noutenkinakurashi.blog.fc2.com/blog-entry-141.html

⑨Home

http://noutenkinakurashi.blog.fc2.com/blog-entry-143.html

⑩旅の仲間

http://noutenkinakurashi.blog.fc2.com/blog-entry-144.html

⑪変える人

http://noutenkinakurashi.blog.fc2.com/blog-entry-145.html

番外編

http://noutenkinakurashi.blog.fc2.com/blog-entry-146.html


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# by cordillera-green | 2016-04-14 19:36 | スタディツアー

環境教育インストラクター・光橋翠さんからの活動報告

 

 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)が地球環境基金の助成を受けて実施してきた「フィリピン・ルソン島山岳地方マウンテン州縫置ける教育職員を対象とした環境教育指導者養成講座」。3年間の最後のプログラムは、日本でスウェーデンの環境教育プログラムをモデルとした幼児向けの自然教育プログラムの普及活動をしているサステナブル・アカデミー・ジャパン(SAJ)のお二人を講師にお招きました。

 SAJ2012年にJICAフィリピン事務所と協働で2回にわたり「子ども向け環境教育ワークショップ~野外環境教育の理論と実践スキル~」と題した環境教育ファシリテイタ―養成講座をマニラにて開催しました。CGNからも環境教育プログラムを担当するスタッフが参加させていただき、その後、その講座で学んだ手法をベースに山岳地方の自然環境や文化に即した内容にアレンジして、特に小さな子ども向けの環境教育ワークショップを山岳地方の村々で数多く行ってきました。

http://www.susaca.jp/wp/wp-content/uploads/2012/11/PhilippineWSReport1.pdf

http://www.susaca.jp/wp/wp-content/uploads/2012/11/PhilippineWSReport3.pdf

 今回は3年間の事業の締めくくりとして、会場のバウコ町の幼稚園、保育園、小学校低学年の教員を対象としたワークショップを実施していただき、また、継続してきたCGNの幼環境教育プログラムに対するアドバイスをいただきました。

 今回、ファシリテイタ―として参加下さった光橋翠さんが、日本野鳥の会筑豊支部の機関誌に寄稿した活動報告を転載させていただきます。

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 2016314日(月)、NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)代表の反町眞理子さんの招待を受け、フィリピン・マウンテン州バウコ町にて、小学校・幼稚園の教諭を対象とする、自然教育指導者養成講座に講師(サステナブル・アカデミー・ジャパンの下重喜代と光橋翠の二名)として派遣される運びとなり、野外教育の手法を学ぶ研修を行いました。


【研修会場までの道のりにて】

研修前日にCGNが拠点を置くフィリピン北部ルソン島のコルディリェラ地域に位置する都市であるバギオから、会場のあるマウンテン州バウコ町へと移動しました。ジプニーというフィリピン特有の乗用車に乗り込み、5時間あまりの山道をひたすら北上しました。

 同地域は世界遺産にも登録されている棚田の景色でも知られており、どんなものかと楽しみにしながら出発したものの、バウコ町へ向かう道のりで車窓から目にした景色はなんとも衝撃的なものでした。山岳地帯の山道をくねくねと上がっていくと、やがて段々畑にすっかり覆われた山々が見え始めたのです。頂上まで畑で埋め尽くされ、そこには樹木と言えるものはほとんど生えていないのです。いわゆる共有林や水源林であろうと思われる、まとまりのある森林がほとんど見当たらないのです。

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もともとこの地域には山岳民族が先祖代々から住んでおり、棚田のある里山生活が中心であり、山地にはベンゲット松という本地に特有の松が自生していたそうです。しかし、ここ20年ほどで森林は切り開かれ、自給用のコメを作っていた棚田が姿を消す代わりに、換金作物の野菜(キャベツ、ニンジン、白菜、ビーマン、トウモロコシなど)が植えられるようになったそうです。

フィリピンでは本来このような外来の野菜を食べる習慣はなかったそうですが、マニラの大都市圏で、西洋料理の情報が入り込んだことで近年、需要が急増したとのことです。一方、この山岳に住む住民たちも教育費や燃料費などの現金収入は生活向上のために欠かせないものとなっていました。つまり、グローバル化と近代化の波がフィリピンの山奥にも押し寄せていたのです。

 マニラに4年間在住していたことのある私は、生鮮市場でまさにこの地から運ばれてくる、このような野菜を買い求めていたわけですが、バギオやバギオのあるベンゲット州と言えば、標高の高い涼しい避暑地で、新鮮でおいしい高原野菜の産地などといった良いイメージしかありませんでした。特にイチゴの名産地でもあり、イチゴ好きの日本人としては憧れの地ですらあったのです。

しかし、実際にこの地を訪れ、丸裸にされた山々の頂上まで輸送トラックが入り込んで野菜を次々に運び出しては、代わりに肥料となる鶏糞を運び込んでくるトラックが行き交うという光景を見て、これが野菜の一大産地の本当の姿だったのかと驚くと同時に、不気味で不穏な印象を受けたのです。

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 案の定、山のところどころで大規模ながけ崩れが起きていることに気付きました。また残された松林も、適切な間伐などの管理が行き届いている様子はなく、地面に日光が届かないせいか、樹木の多様性は非常に乏しく、表土が露出もしくは浸食されている箇所がいくつも見られました。

フィリピンには雨季(5月〰12月)と乾季(12月〰4月)があり、四季のある日本に比べて極端な気候なのですが、それがゆえに当地では雨季には森林の保水力がないために土壌の流出が深刻化し、逆に乾季には干ばつに見舞われるのではないかと心配になりました。さらには、近年の気候変動で台風の頻度が増え、大型化していることを考えれば、この開発の方向性がいかにこの地を自然災害に対して脆弱なものにしているかを考えずにはいられませんでした。

そのような光景を2時間ほど眺めながら走っていたでしょうか。驚きと憂鬱な気持ちに浸っていると、突如として青々とした美しい棚田と里山の風景が目に飛び込んできたのです。いよいよバウコの町に入ったのです。バウコには、なみなみと水をたたえた水田、豊かで美しい自然、水の湧き出る森林が残っていました。そして、研修会場となる小学校に到着すると、現地の先生方が笑顔と温かいコーヒーで出迎えてくれました。長旅の疲れもすっかり吹き飛んだのです。

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【バウコでの研修】

 会場となる小学校には、バウコの校区から先生方が集まりました。フィリピンの国歌斉唱と校長先生の温かい出迎えの挨拶で研修がスタートしました。「バウコの自然と子どもたちは、私たちの共通の宝であること、それらを守るために、環境教育を行うことは私たちの責任であること」を確認して、いよいよ野外へ出発です。

 野外研修の会場となったのは、美しい棚田の風景が一望できる「パリワク」と呼ばれている高原でした。そこで、子どもたちに伝えるべきエコロジーの基礎をどのように教えるかのメソッドを実技によって教授しました。なかでも、この土地で特に重要であると感じた、森林の機能(保水力、土壌流出防止、生物多様性など)と水循環(特に水源林の重要性)を中心的なテーマとしました。

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 野外でのピクニック・ランチを終えた後は、野外教育の概要を説明するレクチャーに続き、「生態系ピラミッドづくり」のグループワークを行いました。この活動は、日本野鳥の会筑豊支部長の梶原剛二氏と光橋が共同で開発したもので(本誌20159号「子どもと野鳥その2」で紹介)、身近な生き物を紙に描いて切り抜き、画用紙を円錐形にしたものに、「食べる―食べられる」の関係を考えながら貼り付けていくというものです。この活動は、地域の生き物に目を向け、命のつながりの発見を促すことを目的としていますが、その一環として、日本野鳥の会が行っているシマフクロウを呼び戻すための森林復元プロジェクト「シマフクロウの森を育てよう!」のコンセプトも紹介し、森林の生物多様性の概念を説明しました。

 バウコの先生方が制作する生態系ピラミッドも、頂点から「地元のタカ→小鳥・野ネズミ・ヘビ→昆虫やカエル→ベンゲット松などの植物→ミミズなどの土壌生物」といった生き物の構成となり、基本構造は日本の生態系と類似するものの、その土地ならではのピラミッドが完成しました。

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 その後、「ミニ地球づくり」、地球の生命誌をたどる活動、「宇宙船地球号」のグループワークといった活動を行い、地球の生態系がいかに貴重かつ有限であるかを確認したうえで、持続可能な社会をつくるためにはどのような条件が必要かを話し合いました。

 受講生の先生方は、終始とてもリラックスして楽しんでいるようでした。特にルーペを使った自然観察に興味を持ち、日本から持参したルーペの入手方法についての質問を多く受けました。最後に行ったアンケートでは、今回の研修内容を各校で実施したいという回答を多くいただきました。

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【さいごに】

 バウコにもまた、農地開発の波がすぐそこまで来ており、棚田の水田のいくつかが、すでにキャベツ畑に換えられていました。バウコの村は活気があふれているものの、人々は決して経済的に豊かな生活をしている状況とは言えません。生活水は村にある水汲み場まで子どもたちがタンクをもって汲みに来ます。もちろん宿泊先のホテルにもお湯などは出ず、水道はあるもののトイレにはペーパーもなく、電気は辛うじて裸電球がぶらさがっていただけでした。自給自足には不自由がなくとも、もし子どもにしっかりとした教育を受けさせたいと思うのなら、学校に行かせるために現金収入が欲しいと思うのは当然のことでしょう。彼らが、すぐ隣の地域のような野菜の一大産になることを夢見るのも無理のないことなのです。

現に、この山岳地帯には金脈が眠っており、土地の疲弊や後継者不足から農業を捨てて、現金収入を求めて鉱山開発へと乗り換える人々も増えていることを知りました。そして、金の精製プロセスで排出される汚染物質が地域で水質や土壌の汚染を引き起こすという新たな環境問題が起きているというのです。

水田を畑に転換するのか、伝統的な農業を維持するのか、はたまた第三の道を模索するのか。地域の行く末を選択するのは、住民自身でなくてはなりません。しかし、生活の基盤であり、農業の基盤ですらある生態系を壊してしまっては、住民の生命すら危険にさらすことになるのです。彼ら自身が地域の未来を選択する際に、基本的なエコロジーの知識を十分に持ち、自然のもたらす価値を理解することができれば、より持続可能な地域発展への道を選択する可能性が開けるかもしれません。そんな希望を抱きながら、美しい棚田の広がるバウコの地を去りました。

 しかし、当地での活動は始まったばかりです。一回の研修だけでは、まだまだ不十分なことは言うまでもありません。そして、子どもたちだけに環境教育をしたのでは、開発のスピードには追いつかないというのが正直な実感でありました。さらには、東南アジアをはじめとする多くの発展途上国では同じような問題に直面している地域が少なからずあるはずです。

日本の経験の反省を踏まえ、さらにバウコのような伝統的な棚田文化を受け継いできた人々から私たち自身もまた学び合うことで、互いに刺激しあい、地球市民として共に成長してゆけたらという思いを強くしました。


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# by cordillera-green | 2016-04-14 16:58 | 環境教育