エコ・サミットの環境教育ワークショップ

 エコ・サミットにはもちろん日本側の主催団体のキープ協会の方たちも参加します。今回は環境教育事業部の鳥屋尾健さんが、忙しいスケジュールの合間をぬって来比、マヤオヤオで高校生のための「環境教育ワークショップ」をファシリテイトしてくれることになりました。
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 鳥屋尾さんは2年ほど前にバギオ市で、私たちCGNのスタッフ、バギオ市内の環境関係のNGOや教育関係者などを対象に、環境ファシリテーター養成ワークショップを行なってくれました。参加者全員、充実した楽しい学びの場を共有させてもらい、鳥屋尾さんも、「すごく楽しかった」と感想を下さいました。その後も「今年のテーマは国際だ!」とおっしゃってくださっていたのですが、フィリピン再訪の機会がなかなかなく、今回のエコ・サミットでようやく来てくださることになりました!
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       ↑2年前のワークショップの様子。見よ。参加者のこの真剣な表情!

 前回は、バギオという中くらいの大きさの町の、しかも環境関係の仕事を持つ人や環境に関心の高い大人が対象でしたが、今回はものすごい山奥の辺鄙な村の高校生たちとのワークショップです。なかなか、現地の状況が想像しにくい中、鳥屋尾さんがワークショップのプログラムとして提示してくれたのは「マヤオヤオの独自の文化を見直し、それを今後残していかなくてはいけないと気づかせる」ことを目的としたとっても楽しそうなプログラムです。
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 マヤオヤオは素晴らしい棚田が世界遺産に指定されて以来、町をあげて観光客の誘致をはじめ、マニラや外国からの観光客がずいぶん増えているといいます。また、外国に出稼ぎに行く人も急速に増加したようで、先日行った時には町の真ん中の広場に、「出稼ぎ御殿」とおぼしき巨大なピンク色の建物が姿を現していて度肝を抜かれました。小さな三角屋根の高床式伝統家屋とはかけ離れた存在で、明らかに景観を損なっているのですが、それは、部外者である外国人の感想で、建物の持ち主は大きなコンクリートの家を立てて鼻高々なことでしょう。
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 そう、いま、マヤオヤオは、棚田とアグリカルチャー・サイクルを中心としてきた昔ながらの伝統の暮らしと価値観が大きく変わる過渡期にあるのだと思います。
 一度失った文化や自然を取り戻すのは並大抵なことではありません。でも、失っている最中には、そのことに気づかないものです。だから、今回の鳥屋尾さんのワークショップの内容は、まさに今のマヤオヤオにぴったりな内容だと思います。
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 ワークショップは1月23日、カソリック系のアサンプション・アカデミーという学校で行なうことになりました。何度もマヤオヤオに行っている私でも、高校生たちの反応はまったく予想がつきません。どんなワークショップになるのか、子供たちからどんな新しいアイデアが出てくるのか、こういったワークショップ百戦錬磨の鳥屋尾さんが驚くような展開が期待できそうですね。
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# by cordillera-green | 2009-01-13 13:17 | 環境イベント

エコサミットの環境演劇フェスティバル「山の子供たち」

 エコサミットのメイン・プログラムは、6つの州の6つの高校のグループによる環境をテーマとした演劇の公演です。
 日本ではだいたいどこの高校にも演劇部があって、学園祭などで公演を行ったりするのは当たり前かもれませんが、ここフィリピン、とくにコーディリエラ地方のような田舎では、演劇なんて見たことも聞いたこともないという人がほとんどです。
 ですから、高校生に演劇制作を頼む前に、基本的な演劇ワークショップを行ないます。高校には演劇を教えられる先生などいないので、バギオから数少ない演劇経験のある人たちを指導者として村の高校に送り、「演劇とは何か」から、「環境に関する演劇のテーマの探し方」「脚本の書き方」「演技の仕方」などなど、何から何まで基本から教えなくてはいけません。
 一度も演劇を見たことのない生徒がほとんどなのですが、あっという間に体を動かしてみんなで表現する演劇の魅力に取り付かれ、高校生たちは自主的に制作を始めます。
そんなふうにしてできた6つの演劇を披露しあい、他グループの演劇グループ参加者全員と開催地のコミュニティの人たちが、身近な環境問題について気づいてもらいたいというのが、エコサミットの環境演劇フェスティバルの目的です。
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 今年参加してくれる演劇グループは以下の6つの町の高校です。
・ベンゲット州サブラン町  
・マウンテン州サバガン町  
・アブラ州ボリネイ町   
・アパヤオ州コナー町   
・イフガオ州マヨヤオ町
・カリンガ州ルブアガン町
 
 すべて、今回のエコサミットではじめて演劇に触れた高校生たちです。
 ファシリテイターたちは、最後の仕上げのための指導に今週から来週にかけて忙しく現地に通っています。多くが、地元に伝わる自然や環境などに関連した伝説などを取材して、それを元に創作した作品になるようです。それぞれの民族の伝統的な唄や踊りも数多く登場することでしょう。
 どんな子供たち、どんな表現に出会えるか、今からわくわくしています!

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(写真は2007年12月バギオで行なった第1回目のエコサミット)
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# by cordillera-green | 2009-01-11 08:52 | 環境イベント

第2回エコ・サミット開催

 2007年12月にバギオ市のコンベンション・センターで開催した「コーディリエラ・ユース・エコ・サミット(Cordillera Youth Eco Summit)」。たいへん好評で、今年度も継続して開催できるように、私たちのパートナー団体であるキープ協会(山梨県)が、独立行政法人・地球環境保全機構の地球環境基金に助成申請して下さり、また、日本からゲストとして参加してくださる
NGO「環音(わをん)が、国際交流基金市民青少年交流助成プログラムの助成を受けられることになり、2009年1月に開催できることになりました。
(2007年度のエコサミットについては、CGNのHPを参照ください)

 バギオ市も十分田舎町ですが、それでも、電気があってテレビでニュースを見ることはできるし、町中のスタンドで新聞を買うこともできます。インターネット・カフェは町中にあふれていて、得ようと思えばほしい情報をいつでも得ることができます。

 しかし、バギオから山の中に入っていくと、まったく事情が違います。まず、電気がない村が多く、テレビやラジオによる情報が入ってきません。新聞なんてもちろんありません。人々の情報源は、口コミのみに限られます。ということは、「誰と誰が結婚する」とか「誰が病気で先が長くなさそうだ」とかそういう井戸端情報が主体なわけです。
 「スロー」で「スモール」な環境保全にはたいへん好ましい環境といえますが、世界で起こっている環境破壊や、そういった環境の変動が自分たちの生活に及ぼす影響なんて、想像もできません。どこか遠い国の政治改革は、山の村の少数民族の人たちが知らなくたって、ぜんぜん構わないニュースですが、環境問題はわけが違います。この地球は、ニューヨークのマンハッタンのペントハウスで暮らすリッチな人も、電気のないカリンガ州の山中の小さな村で自給自足で暮らす人も、みんなが共有するものであって、この地球のどこかで起こった環境問題は、地球に暮らすすべての人に影響する問題なのです。
 だから、私たちCGNは、環境に関する情報がまったく行き渡っていない山岳地方の先住民族の村にも、環境教育のために出かけていきます。

 昨年から始めた「エコ・サミット」を今年度は、山の中のイフガオ州マヨヤオとカリンガ州ルブアガンで行うことにしたのは、情報のない地域でこそ、開催の価値があるからと思ったからです。
 そんな私たちの思いに賛同して、日本からも手弁当で、とっても素敵なミュージシャン、舞踏家、、写真家、環境NGOの人、有機農場を営む人など、持続可能で平和な世界のために、それぞれのあり方で表現をしている人たちが参加してくれることになりました。

 日本からフィリピンは遠いし、マニラから会場の二つの村もものすごく遠いですが、もし、自力!で来たいという日本の方がいたら、大歓迎です。

日程と会場は以下です。

Cordillera Youth Eco Summit
2009年1月24日(土曜)&25日(日曜)イフガオ州マヨヤオ町 セントラル小学校
2009年1月27日(火曜)&28日(水曜)カリンガ州ルブアガン町立ジム

助成:独立行政法人地球環境保全機構・地球環境基金/国際交流基金市民青少年交流助成プログラム
協賛:アートスペースVOCAS/LGU Mayoyao/LGU Lubuagan/Ifugao Provincial Government
主催:キープ協会/Cordillera Green Network

すでに開催まで2週間。スタッフの準備は最終段階に入っています。
このブログでいろいろな情報を発信していきますので、よろしく。

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# by cordillera-green | 2009-01-10 14:18 | 環境イベント

山の村の火事。わかちあう心。

 我が家に居候している、日系建設会社で運転手として働くタラナイ君が、「この間、ブギアスを建築資材を運んで通ったら火事に遭遇した」と言っていました。燃えている道路脇の家の中から、いろいろなものが投げ出されてきて、あわや運転しているトラックに当たるかと思ってヒヤッとしたと言うのです。先週土曜に参加したHCRCIのクリスマス会でも、参加した地元の人たちは前日にあったその火事のことをみんな知っていました。
 
 何人来るかがはっきり分からないクリスマス会、参加者のみなさんに配るクリスマス・ギフトとしての古着は、行きわたらない人がないように、少し多めに用意されていました。ですから、みんなに均等に一袋ずつ行き渡ったあと、ダンボール二箱分くらいが残っていました。
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     ↑古着は公平に分けられるように、一人分ずつ袋に入れて分けられました。

 HCRCI代表のアイリーンは、「この残りの古着を、昨日火事で焼きだされたタバガワン・スール村の人たちにさしあげたらどうでしょう?」と提案しました。参加者のみんなも、それに賛成。みんなの同意を得て、車で行っていた私たちが、火事のあった村のバランガイ・ホールに届けに行くことになりました。

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 これがその火事の跡です。 
 焼けた家は全焼が11軒、部分的に焼けたのが2軒、計13軒だそうです。火元の家は、大人はみんな出かけていて4歳の子供しかいなかったそうで、火事の原因は不明とのこと。
 焼け跡の向かいにあるバランガイ・ホールでは、役員の人たちが寄付の受付をしていました。私たちがもっていった古着だけでなく、すでに他からの寄付の古着もありました。
 
 山の村には日本のように火災保険に入っている家なんてありません。また、山の村には銀行もなくて、わずかでも銀行に貯蓄をしている人もたぶんほとんどいません。もちろん、勤めがあって定期収入がある人など、役場の職員と学校の先生くらいで、ローンが組めるわけもなく、家は少し余裕があったときにブロックをすこしずつ買い足し、何十年もかけて作り上げてきたものです。火事で家を失うということは、いままで生きてきて、なんとか形にしてきたものすべてを失ってしまうことに他なりません。焼け出された人々のショックはどんなにか大きなものでしょう。
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  幸いにもこの火事では、ケガをした人も、亡くなった人もいなかったそう。日中の火事で、大人はみな畑仕事に、小学生や高校生の子供が学校に行っていた間に起こった出来事だったということです。それだけに、消火にも時間がかかり、家にあったほとんどのものが燃え尽きてしまったのだそうです。

 わずかに残っていた大人が、とにかく持ち出せるものは何で持ち出そうと、燃え盛る火の粉のなか、放り投げていたものが、タラナイ君運転のトラックをかすめたというわけです。
 誰もが楽しみにしているクリスマス前のこの火事。焼け出された人々の頼みの綱は、村の住人や、親戚の方たちからの寄付しかありません。障害のあるお子さんをもつHCRCIのメンバーたちでさえ、自分たちよりももっと苦しい立場にあるに人と分かち合おうとする心。それが、山岳民族の村で昔から伝えられてきた伝統なのだろうと思いました。
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        ↑古着をもらって感激する火事にあった人たち
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# by cordillera-green | 2008-12-17 15:11 | 山岳民族の暮らし

HCRCIのボランティア・ラケルさんと助け合い精神

 昨日ブログで紹介したHCRCIのクリスマス会にはボランティア・スタッフの女性たちが何名かお手伝いで来ていました。会が終わったあと、そのうちの一人、ラケルさんの案内で、以前はブギアスの中心だったというポブラシオン村に連れて行ってもらいました。アバタンからでこぼこ道を車でイフガオ州方面に1時間くらいに位置します。

 ラケルさんはこの村の小学校で1年生を教える先生です。ポブラシオン村は、幹線道路沿いで高原野菜の栽培が拡張するとともに、その集積地をして栄えてきたアバタン村よりずっと歴史の古い村。小学校の校舎も木造で趣を感じさせます。元町役場の建物のこじんまりしていて、今は森がみんな野菜畑に変わってしまっているブギアスが、以前は山間の小さな小さな緑豊かな村だったことが想像できました。
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 実はこの村を訪ねた理由は、温泉があると聞いていたから。お風呂好きの日本人には、温泉と聞いたら一度は調査に行ってみずにいられません。
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 昔はきっと森の中にこんこんと湧いていたであろう温泉ですが、いまはキャベツやニンジンやセロリやラデッシュやブロッコリーの畑の中に突如として姿を現す温泉プールに姿を代えていました。ラケルさんの話では、二つある温泉プールのうち、ひとつはあるファミリーがカナダに移民した親戚からの送金で作ったもの。もうひとつは、別のファミリーが日本にお嫁に行った家族からの送金で作ったものだそうです。
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    ↑源泉は向こう側の山の中腹。ホースで引いています。

 一緒に行ったCGNボランティアのエドガーは、ちょっとぬるめのお湯につかりながら、「こちらはカナダ・マネー、あちらはジャパン・マネーのお風呂ねえ」とため息をついていました。
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          ↑温泉プールのオーナー。入場料30ペソですが、持ちきれないくらいの収穫 したばかりのブロッコリーをお土産にもらってしまいました。

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 ラケルさんの家の近くでも小川の中から温泉が湧き出ていました。
「こちらのお湯はしょっぱいのよ」とラケルさん。
子供たちが、川の水と混じってちょうどいい湯加減になっている小川に足を浸して、話に興じています。

 ラケルさんのお宅は、その小川の脇にあります。地元の松の木材で内装されていて、清潔でこじんまりしていてきちんとしたおうち。ラケルさんは4人のうちの一番下のお嬢さんと二人で住んでいるそうです。ご主人は、ラ・トリニダードの卸売市場で働き、あとの3人のお子さんもバギオとラ・トリニダードで大学に通っているとのこと。2人目のお子さんが口が利けないという障害を持っていて、「障害を持つ子供さんを持つ親たちの気持ちがわかるので力になりたくて」HCRCIの活動にボランティアとして参加しているとのことです。
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 実はラケルさん。今は15歳の一番下のお嬢さんがまだ8ケ月の赤ちゃんだった時に肝臓病をわずらい、トリニダードの病院で「余命1-2ヶ月」と言われたそう。「どうせ生きていられないなら家に帰ろう」とブギアスのこの自宅に戻り、毎日神様に祈ったそう。「そうしたら祈りが通じて、神様が左の肝臓をくれたのです」とラケルさん。
「私も神様へのお返しに皆さんに奉仕しようと思ったんです」。
自分の子供も障害を持っていて、経済的にも社会的も苦労しているのに、それでも他人のために働きたというラケルさんに頭が下がる思いでした。

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        ↑キャベツ畑に農薬をまいていました。

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        ↑ニンジン畑を耕します

 昔ながらのゆっくり(スロー)で、スモールで、でもハッピーな暮らしが、森を犠牲にして野菜畑にして得られるようになった現金収入や、海外に行った人から送金されるお金によって変わりつつあるのを、実感するブギアス・セントラル村でした。

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# by cordillera-green | 2008-12-15 14:50 | みんなの未来予想図

HCRCI4周年とクリスマスを祝う会

 「未来予想図プロジェクト」(新潟県柏崎市)からご寄付をいただいている、山岳民族の障害のある子供たちの地域におけるリハビリテーションを目的とするNGO「Heaven of Care Resource Center Inc.(HCRCI)」の設立4周年と、12月3日の国際障害者デー、そしてフィリピン人がなによりも楽しみにしているクリスマスを祝う会に、CGNもゲストとして参加してきました。(「未来予想図プロジェクト」とHCRCI、CGNの「せかい未来図プロジェクト」の経緯についてはこちらのブログの記事をごらんください。
 会場は、バギオのお隣りラ・トリニダードから、山岳部に入っていく幹線道ハルセマ・ロードを3時間半ほど車で走ったベンゲット州ブギアス町アバタン村です。村といっても、アバタンは、金鉱山の町・マンカヤン、イフガオのティノックに続く道との交差地点。高原野菜栽培の中心地でもあり、近年は、トラックが頻繁に行きかい、小さな商店が並ぶにぎやかな町です。HCRCIはお隣のマンカヤン町役場の出張オフィスの2階を会場として提供してもらい、会が行われました。参加者は障害のある子供たちとその親80人ほどです。
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 楽しい楽しいクリスマス・パーティに突入する前には、まず障害者の両親たちと障害を持つ若者による、今後1年間の計画作りのワークショップです。
 「新しいメンバーがどんどん増えるから、毎年同じプランニングを繰り返しているみたいだけど、なかなか実現はむずかしいのよね。同じ計画だな、と思うけど、毎年繰り返し、少しでも前進していくことが大事なのよ」HCRCI代表のアイリーン。
 「人権」「医療」「教育」「社会参加」などのテーマ別に障害者とのその家族が抱えている問題を発表してもらい、その解決方法について、真剣な面持ちで話し合いが行われていました。今年は環境NGOである私たちCGNがゲストとして参加したのを意識してか、話しあう項目に「環境」という項目も加わっていましたが、まだまだこういった山の村での環境に対する関心、知識は低いようでした。
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 大人や若者たちが来年の計画作りをしている間、子供たちには「未来予想図」を描いてもらいました。前回、HCRCIを訪ねて描いてもらったときは、下描き用のエンピツをもっていったら、誰一人48色もあるきれいな色のクレヨンに手を伸ばそうとしてくれませんでした。それはそれでいいのですが、今回は、エンピツは持参せずクレヨンのみで挑戦。中学生くらいの年齢の子供たちはなかなか恥ずかしくて苦戦していましたが、小学校低学年くらいの年の子供たちは、素敵な色使いで、集中して、想像力にあふれる絵を描いてくれました。どうもありがとう!私たちには、この絵がなによりのクリスマス・ギフトです!
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 その後、私たちCGNも時間をもらって、山岳地方で実施している活動内容の紹介、アジアの村でのゴミ問題をわかりやすく扱ったユネスコ・アジア太平洋文化センター制作のアニメーション「Mina’s Village-says YES! To Waste Management」の上映。それに、CGNボランティアのミュージシャン・エドガーさんのギターとイロカノ語の歌、さらに、CGN日本人インターン松野下さんの日本舞踊の披露までやってしまいました。例年とちょっと趣向の違うクリスマス・プログラムに、参加者の皆さんはちょっとびっくりした風でもありました。
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 この会に、わざわざ山間部の村から出てきて参加できたHCRCIのメンバーの人たちは、軽度の障害を持つ人がほとんどです。内半足や、知的発達の多少遅れている人たちが多かったようですが、一緒に来た障害のない兄弟たちもまざってゲームやお絵描きに興じていて、もう誰が障害児で誰がそうでないのかさっぱりわからない状態。でも、それが、フィリピンのいいところですね。
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 大盛りのお昼ごはんを食べ、食べきれない分は来られなかった家族のお土産にみんなビニール袋に入れて持ち帰ります。加えてHCRCIとCGNからの心ばかりのクリスマス・ギフトとCGNからの古着の配布を受けて(古着の配布についてはCGNスタッフ・ブログの松野下さんのリポートをお楽しみに!)、子供たちは満面の笑顔で帰路につきました。
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 CGNから参加した私たち3人も、心のこもった手作りのクリスマスギフトをいただきました。期待していなかっただけにとてもうれしかったです!
 メリー・クリスマス!!!
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    ↑CGNからのみなさんへのギフトはエコ・ポストカードです。
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    ↑思わぬクリスマスギフトにうれしそうなエドガーさん
 
 
 
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# by cordillera-green | 2008-12-14 14:36 | みんなの未来予想図

サンタ・フェでひろしまの森作りをするグリナーズ

 先日、「急に思い出して私の名前で検索していてメルアドがわかった」という知り合いから約20年ぶりにメールで連絡が来ました。私の名前でインターネットで検索すると、どんな結果になるのかなあと思って検索してみたら、だいたい予想がつくような知り合いのブログや、参加したイベントや、以前書いた雑誌の記事や、自分のところが発信した情報だったのですが、ひとつ知らない人の書いたらしい思いあたらないブログがありました。
 「HIROSHIMAの蝶々、LUZONに舞う!~ひろしまルソン友好協会」のこのページ
ずいぶんほめてくれていてむずがゆいのですが、書いて下さったのはお会いしたことのない小西さんという方。ブログを読んでみると、このひろしまルソン友好協会が植林などの支援しているのが、知り合いの大場さんがやっているNGOだということが判明しました。
 大場さんは広島で先生をなさっていたのを早期退職して、奥様の故郷・ルソン島中部のヌエバ・ビスカヤ州のサンタ・フェに居を移されました。サンタ・フェ周辺は、本当にハゲ山が連なる地域で、大場さんは地元の人たちと、「サンタ・フェ・グリナーズ」というNGOを作り、自分のお金を使って植林などを始めたそうです。しかし、自己資金には限りがあります。しかも、サンタ・フェ周辺のハゲ山は限りなく広範囲に広がっています。そこで、大場さんのふるさとの広島の方たちが支援を始めたというわけです。

 知り合いを通じてその話を聞き、数年前にフォレスターを連れて大場さんたちの苗木場と植林地を見に行ったことがあります。苗木たちはよく手入れされており、人工的に育てるのが難しいといわれている在来種の樹の苗木を実験的に育てていたりして、フォレスターたちも感心していました。また、カラングーヤ民族の大場さんのかわいい奥様の苗木に対する知識と熱心さには感動しました。彼女の力があってこそ、サンタフェ・グリナーズは、しっかり地元の人に根付く活動ができているのだと思います。

 ブログを見たところ、北ルソンという同じフィールドでの植林、子供たちへの教育支援(グリナーズは保育園をやっています)、戦争の傷跡の記憶と若者たちへの伝達と(サンタ・フェ周辺は激戦地でした)、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)と活動の内容が似ていますし、共通の知り合いもたくさんいるようです。
 これを期に、協力し合えることは協力して、活動の環をいっそう広げて行きたいと思います。こういう出会いがあるのが、ネット時代のいいところですね!

 ぜひ、「HIROSHIMAの蝶々、LUZONに舞う!~ひろしまルソン友好協会」のブログも覗いてみてくださいね。
 http://park.geocities.yahoo.co.jp/gl/hiroshima_luzon5849/view/200812
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# by cordillera-green | 2008-12-06 13:54 | 植林/アグロフォレストリー

山岳民族とクツ

 バギオ市内にあるアートスペースVOCASで「SAKA SAKA」と題した現代美術の展覧会を開催中です(12月20日まで)。ドイツ人の作家がイフガオ民族の木彫り職人とのコラボレーションした展覧会で、たくさんの木彫りのクツを展示しています。イフガオ民族の素晴らしい伝統の技にはため息が出ます。
 なぜ木彫りのクツの展覧会かというと、ドイツで最も知られているフィリピンは「イメルダ夫人の大量のクツのコレクション」だからだということ。また同時に、イフガオ民族を含む山岳少数民族とってはクツがとても特別な存在だからだそうです。
 展覧会のオープニングで上映されていた自主制作ビデオは、バタバタしていてしっかり見られませんでしたが、バタッドというイフガオ族の棚田の村の若者がせっかく手に入れたクツを落としてしまう話だそうです。
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 そう、山岳民族にとって「クツ」は憧れの対象です。カリンガ族の山の村の小学校を訪問すると、クツを履いている子供は一人もいません。「スリッパ」と呼んでいるいわゆるゴムぞうりを履いている子がほとんど。残りは裸足です。履いているゴムぞうりも、すり減ってすり減ってそこに穴が開いているようなの、鼻緒の部分がなくてビニールの梱包用のビニールのひもなどで修理してあるもの、右と左と違うサイズ、違うデザインなど、まちまちです。中には、ゴムぞうりだけでなく、Tシャツさえ着ていない子もいますから、ぞうりが不ぞろいなんて何でもありません。
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    ↑カリンガ州の小学校。

 山の村で育った夫のアーネルにとっても「クツ」は子供のころから「どうしても履いてみたい」憧れのものでした。山の村の小学校を卒業したアーネルは、なにがなんでも高校(フィリピンでは中学と高校が分かれておらず、小学校を出ると4年制の高校となります)に行きたかったのですが、山の村には高校がありません。親戚に頼み込んだら「家事や畑仕事の手伝いをすれば行かせてやる」と言われ、ジプニーで2時間ほどの田舎町・タブックの高校に働きながら通うことになりました(アーネルは当時まだ12歳です)。
 しかし、さすがに田舎といえども、車やトライシクル(三輪タクシー)の通る町では、クツがないと恥ずかしい。そこで、父親がなけなしのお金をはたいて高校に行くことになった息子のためにはじめてクツを買ってくれたそうです。ところが、クツなんて買ったことのない父親が、買って来てくれたクツは、両方とも「右側」。家族みんなでお笑いしたそう。
 値切りに値切って買った市場のクツ屋でようやく交換してもらって、右と左にそろったクツ。アーネルは、はじめて履いてうれしくてウキウキと学校に行ったそうですが、履いたことがないものだから足の痛いこと、痛いこと。帰りは校門を出たとたんに脱いで裸足で帰ってきたそう。
「タブックは日差しが強くて、午後、学校が終わる時間の、コンクリートで固めた道路はカンカンに熱かったけれど、なんでもなかったんだよね」
 裸足で育った少年の足の裏はクツ底のように頑丈で、多少の熱さやデコボコにはびくともしないのでした。
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 初めてアーネルが日本に来た時、「家族や親戚におみやげを買わなきゃ」と言って向かったのはクツの安売り店でした。クツを履いたことのない家族や親戚一人ひとりの裸足の足を思い浮かべながら、「こんな大きさだよなあ」と持っている限りのお金を使って、たくさんの安売りのクツをおみやげに買っていました。
 
 一度もクツを履いたことのないような山岳民族の人たちの裸足の足は、その顔と同じくらいにさまざまな表情を持っています。生まれてからずっと大地を踏みしめ続けてきた足。雨の冷たさも、日差しの熱さも、じかに感じてきた足。それは、「SAKA SAKA」展に並んでいた木彫りのいろいろなデザインのクツに匹敵するなあと思いました。
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  ↑ 山の村の子供たちの放課後の遊びはもちろん裸足で木登りです!

 なんとなく「SAKA SAKA」はイフガオ語かなんかでクツのことだろうなあと思っていて聞きそびれていたのですが、昨日、改めて聞いたみたら実はイロカノ語で「裸足」のことだそうです!
(今回の山の子供たちの写真は、CGNインターンの松野下さんの撮影です)
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# by cordillera-green | 2008-12-04 11:49 | 山岳民族の暮らし

ホワイト・リボン・キャンペーン

b0128901_1017668.jpg バギオにある「Save Our Women Inc」というNGOが、ドメステッィク・バイオレンス(domestic violence=DV 同居関係にある配偶者や内縁関係や両親・子・兄弟・親戚などの家族から受ける家庭内暴力のこと)に反対する「ホワイト・リボン・キャンペーン」をやっています。こんな一見平和なバギオでドメステッィク・バイオレンスなんてあるの?と思いますが、あまり知られていないからこそ「The Violence is Real(暴力は本当にあるのです!)」をスローガンを掲げて、「おもに男性から女性に対して頻発している暴力に反対しよう」「近親者や近隣者がその事実に気がついたら周囲から注意を促そう」「場合によっては保護を求めよう」、そして、「フィリピンの法律はDV対策に十分でないので改正を求めて行こう」とキャンペーンを行っています。
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 ご存知のようにフィリピンの大統領は女性のアロヨ大統領。上院議員にも下院議員にも女性はたくさんいますし、女性の知事や市長も珍しくありません。そういう意味では日本より女性の地位は高いかも。でも一方で、フィリピンのニュースでは、目を覆いたくなるような女性や子供に対する虐待のニュースもしょっちゅう目にします。 

 閉鎖的な山岳民族のコミュニティではそんなことありえないかと思いとそうでもなく、CGNがせかい未来予想図プロジェクトで手を組んでいるHCRCIのアイリーンによると(CGN=HCRCI=未来予想図プロジェクトについては、このページをごらんください)、心身障害者に混じって、家族から虐待を受けたという女性が駆け込んでくることも多いといいます。伝統的に部族間戦争があった山岳部では、男性の役割は「戦い」、女性の役割は「家を守る」ことでした。部族間戦争がほとんどなくなった今でも「男尊女卑」的な風習は残っていて、女性が家事から育児から畑仕事までほとんどすべての仕事をこなしているような家庭もよく見ます。男性陣は昼間からグウタラ飲んだくれているというとわけです。
 アイリーンの話では、HCRCIに逃げ込んできたある若い女性は、母親の再婚相手に性的虐待を受けたばかりでなく、近所の男性の相手をするように強要され、父親は近所の人からわずかな金さえとっていたそう。母親はもちろんやコミュニティの住人たちも気づいていながら、暴力を恐れて誰も声を上げることができなかったということです。小さいコミュニティだからこそ、声を上げることができず、外に助けを求められないこともあるのです。 
 障害のある子供たちの扱いについてもそう。アイリーンによれば、檻に入れ、ロープでつなぎ、水浴びもさせず、残飯だけを与えるような動物同然の扱いをしているような例もあったといいます。
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 女性や子供、障害者にも人間としての「権利」があるという当たり前のことが、閉鎖的な小さな村の中では通用しないこともあるのです。HCRCIが社会福祉省も手が届かない山の村々に足を延ばしているのは、なかなか表に出てこないそんな事例を知り、被害にあっている人たちを救うためです。閉鎖的な社会では、一度行っただけではなかなか本当の姿は見えてきませんから、何度も足を運びます。基本的には、HCRCIがうたっているように「Community based rehabilitation program(地域社会をベースとしたリハビリテーション・プログラム)であるべきで、辛抱強く、地域や家族への指導を続けていくのですが、どうにも手に負えない場合は、保護を行っています。といっても、HCRCIはシェルター施設を持っているわけでないので、アイリーンの実家に預かっているのだそうです(シェルターをいつの日か持つことがアイリーンの夢です)。むしろ、山岳部の閉鎖的な小さなコミュニティのほうが、外に情報が出て行く可能性がないがゆえに、ひどい状況が多いそうです。

b0128901_10253752.jpg このホワイト・リボン・キャンペーンは、ただいまセッション・ロードのベーカリー「Goldilocks」や「St.Joseph」ドラッグストアのあたりで、展示をしながら署名を集めています(12月10日まで)。署名をしてくれた方はドメステッィク・バイオレンスに反対する意思表示として小さな白いリボンを胸に最低1週間はつけることになります。



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 なお、関連企画として「Save our Women」をテーマとしたポスター・コンテストも行われ、受賞作を含む応募作品の77点が、マインズビューの近くのGibraltar rd.にあるHotel ElizabethのBliss Caféに展示されています(12月12日まで)。ぜひ足を伸ばしてみてください。

バギオにお住まいでない方には、高校生部門の作品はここ,大学生部門の作品はここでも見られます。

SAVE OUR WOMENの連絡先は
C-101 Lopez Building, Session & Assumption rd., Baguio City
Tel.446-6617
CP 0905-2947828/0920-5767707
http://saveourwomen.multiply.com/

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 ↑チラシを分ける「SAVE OUR WOMEN」のメンバーのジム。Bliss Cafeのオーナーでもあります。アートに、人権問題に、環境問題にと幅広く活動するCGNのよき理解者&友人です!
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# by cordillera-green | 2008-12-02 10:31 | 山岳民族の暮らし

CGNの播いた種

 観光省コーディリエラ地方支部(DOT-CAR)主催の観光イベント「WOWフィリピン」が先週末に行われ、コンベンション・センターで行われていた「Cordillera Theatrical Cultural Performance」なるものを覗きにいきました。
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 なんだか昨年12月にコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)が行った「コーディリエラ・ユース・エコサミット」の環境コミュニティ・シアター・フェスティバルにそっくりな企画。
考えてみたら、昨年、「少しでも集客になるかしらん」と思って、DOT-CARに、「WOWフィリピンのプログラムに加えてくれませんか」と、企画書を持って頼みに行きました。そのときDOTのディレクターには「いい企画ネエ」とお褒めの言葉をいただき、「カラフルで素敵なポスターじゃない」と部下のスタッフをわざわざよんで見せてくれ、「私たちでさえ、アブラやアパヤオから参加者を招待するのが大変なのよ。がんばっているわねえ」と感心され、その後、すっかりWOWフィリピンのプログラムのように新聞などに掲載してくれたのです。どうやら、今年は、DOTの自主企画ということですっかりパクられてしまったようです。違うのは、テーマを環境に限定していないことと、コンテスト形式で、1位、2位と順位をつけて賞金を出していたことでしょうか。
 幸いにも、今年度の私たちのエコサミットはイフガオ州とカリンガ州での開催なので、バッティングすることがなくほっとしましたが、なんだかがっかりしてしまって、いくつかのグループのパフォーマンスだけ見て帰ってきました。その感じでは、カルチュラル・ショーが中心で、演劇的な要素がないな、ということ。演劇ってなんだか基礎さえわかってないないな、ということ。
 あとで、聞いたところ、高校部門の優勝はベンゲット州カバヤン、カレッジ部門の優勝はイフガオ州のハパオで、いずれも昨年のエコサミットに参加したグループだったそうです。
 昨年のエコサミットではCGNは山岳地方の5つのコミュニティに、演劇ファシリテーターを派遣し、高校生たちに環境をテーマとした作品を制作してもらいました。マウンテン州のタジャンやアブラ州のブクロクのように、もともと演劇グループがあったところもありましたが、カリンガ州パシルのように、エコサミットのために新たにオーディションを行なって演劇グループを作ってゼロからのスタートを切ったところもありました。
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 WOWフィリピンで受賞したベンゲット州カバヤンの演劇グループは、2年ほど前にCGNが行った環境演劇ワークショップをきっかけにできたグループ。イフガオ州ハパオの「Theatro Kabakab」は、だいぶ前にマニラのPETA(フィリピン教育演劇協会)が演劇ワークショップを一度だけ行ってそのときにグループができたものの活動が停止状態だったのを、エコサミットで活動を再開したものでした。
 私たちが主催したイベントの1回だけ公演活動ではなく、参加してくれたグループがその後も自主的に活動を続けて、環境へのメッセージをいろいろな場で発信し続けてくれているのはとてもうれしいことです。
 昨年、ハパオに指導に行った演劇ファシリテーターのフェルディはハパオグループの受賞を聞いて大変な喜びよう。自分の手を離れた子供の成長を喜ぶお父さんの顔をしていました。「今年度のエコサミットの指導もがんばるぞ」とやる気満々です。
 企画を盗まれるのは悲しいことですが(フェルディによるとこの国ではよくあることらしいです。そういえば今年のアースデイでも同じ問題が起きました。お役所は、企画ベタで、NGOの企画をパクるのが得意!)、それだけ、いい企画だったということですよね。これからも、1回限りでなく、長く長く参加者が自主的に継続してくれるようなインパクトの強い企画を立てて実現していきます!
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# by cordillera-green | 2008-11-28 21:49 | 環境イベント