春休みを利用して高校生の短期インターンAYAKAがやってきました

 春休みを利用して私の実家のある静岡から女子高生AYAKAが短期インターンとしてやってきました。孤児院ステイから山の子供たちとの環境教育ワークショップまで、目まぐるしい1週間の滞在。すべてが驚きと刺激だったみたいなAYAKAのフレッシュな感想ブログ。読んでみてください~!



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# by cordillera-green | 2015-04-20 20:17 | スタディツアー

NEC世界こども自然クラブに山の村の子供たちと参加しました

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CGN設立当初からの力強いサポーターでありパートナーであるキープ協会(山梨県)の環境教育部から「NEC世界こども自然クラブ」という環境教育×国際交流×ITプログラムにフィリピン代表として参加しないかとお誘いを受けました。
アジアの5つの国がそれぞれの国で小学校高学年の子供たち約10人を対象に環境教育ワークショップを行い、その経験をSKYPEミーティングで子供たちがシェアしあうというプログラムです。
2008年に日本とマレーシアの2ケ国で始まった「世界こども自然クラブ」。2012年には台湾が加わり、昨年は中国が参加。今年はフィリピンを加えた5地域で実施されました。
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マレーシアはサバの熱帯雨林発見センター(Rainforest Discovery Center)、台湾は「観樹教育基金会」、中国は「NGO天下渓」、日本はもちろんキープ協会、そしてフィリピンはCGNと、日ごろから環境教育を行っているNGOが各国の代表となりました。
今年の各国共通のテーマは「米」。コーディリエラ山岳地方は棚田での稲作で有名で、農業カレンダーに準じた儀礼や祭り、風習も数多く残っていて、米作りはまさに山岳地方の先住民の暮らしそのものともいえます。
山岳地方では近年都市型の暮らしが浸透していき、田んぼを現金収入の得やすい野菜畑に転換する人々が後を絶ちません。また、昔ながらの棚田で稲作は続けていても赤米や紫米などの昔ながらの品種の栽培をやめ、品種改良された早く育ち効率のいい米を育てる人が多くなっています。

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しかし、米作りの伝統文化には、自然を観察し、自然に生きるあらゆる生き物のバランスを尊び、そしてその底知れぬ力に畏怖の念を抱く先住民ならでは知恵がちりばめられています。
CGNは「世界こども自然クラブ」の環境教育ワークショップに参加する子供たちを、町の文化が急速に押し寄せ伝統文化が存続の危機に瀕しているバギオから5時間くらいの小さな山の村トゥアTUEの小学生たちにしました。トゥアにはバナウェの有名な世界遺産の棚田のような勇壮な景観はありませんが、先祖代々大事に守られてきたなだらかな棚田が連なります。当たり前に稲作と米文化とともに育ってきた子供たちが自分たちの米文化の豊かさ、そしてそれを育んでいる山岳地方の自然の豊かさに気づいてもらいたいというのがこの「NEC世界こども自然クラブの環境教育ワークショップの目的です。
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本当はトゥアでワークショップをやり、村の田んぼの景色や伝統文化をリアルにインターネットの向こう側のアジアの子供たちに伝えたかったのですが、インターネットが入らないこと、セブやマニラからスポンサーである」NECの関係者の方がいらしてくれるということで、アクセスのいいバギオ市のエコ施設「メリノール・エコロジカル・サンクチュアリ」を会場としました。

環境教育プログラムはCGNが得意とするアートを活用した環境教育の手法を駆使して展開しました。泥絵具を使って田んぼのあるトゥアの風景と田んぼの生き物の絵を描いてもらったり、田んぼで鳥追いに使う笛を葦で作ったり、田んぼの害鳥を追い払うための伝統儀礼「BEWEW」を演劇で表現したり。もちろん「WEB OF LIFE」などのエコゲーム、メリノールの「COSMIC JOURNEY」という野外施設散策も、NECの関連会社からわざわざお休みを取ってボランティアでできてくれた広瀬さんが抹茶を点てて子供たちに茶菓子とともに味あわせてくれたり、伝統のもち米のお菓子作りに挑戦もしました。NECフィリピンの社長アグネスさんはインターネットの可能性についてITになじみのない山の子供たちにわかりやすく説明してくれたり、充実の3日間の泊りがけプログラムとなりました。

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さて、昼間のプログラムを終えての夕方からのSKYPEミーティング。壁に映されたビデオの中の子供たちと会話ができるという事実は山の村の子供たちを大きく驚かせました。「マレーシアが、日本がまるで壁の向こう側にあるかのようだ」と子供たちの感想です。
3日目の最終日には5つの参加国で同時にSKYPEミーティングをしました。各国言葉もバラバラ、回線も繋がったりつながらなかったり…決してスムーズにいったとはいえないかもしれませんが、そのこと自体が経験です。言葉の違い、顔の違い、文化の違い、感覚の違い。そんなことまでインターネットで経験できて、でも、やっぱり会って話せたらもっと確実で楽しいだろうなあ。そんなことを子供たちが感じてくれて、世界中の人とつながって感じあいたいという将来の夢につなげてくれたらいいと思います。
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以下、参加した10人の子供たちの感想です。

ダンダン君「「もし、山が燃えてしまったら、人もその他の生物のための食料もなくなってしまうことがわかった」

ハーマン君「フィリピンにはすっかりいなくなってしまったが、日本にはまだシカがいる!」

サロメ君「技術の進歩により、僕らは他の国のことをとても身近に目にすることができる」
「草から(楽器を作って)音を出すのは楽しかった。とくにそれを稲を守るときに使うのは楽しい」

シルベスター君「こういった活動に初めて参加した。土が作物を植えるだけに役立つのではなく、絵の具にもなることを知った。また、演ずることは、まるで鳥になるかのようだった」

ハーマン君「大地の色は青かったり、茶色だったりした。木を切ると土砂崩れが起こるとことを学んだ」「地球の4つのエレメント(太陽、空気、水、土)が生き残るために必要なのだ」

ダンラルフ君「車が増えると水や空気が汚れ、公害が起こるとわかった(井戸の水が枯れると、公害が起こるということに気付いた)」
「自然のすべてはつながっている。一つが死んでしまったら、ほかのものに影響する。一つがなくなったら、自然のバランスが崩れてしまう」
「フライドチキンのような形のもの[歯科に食べられた松ぼっくり]を見せてくれた。日本の自然は面白い!」

ジェフェインちゃん「太陽が光の源であり、また人の生命の源でもあることを学んだ」

ジョアス君「“WEB OF LIFE”のアクティビティから、この世のすべてはお互いに必要としていることを学んだ」

オディー君「サガイポという楽器を作るが楽しかった」

マリアちゃん「絵を描くために土を探すのは簡単だ。そこにあるものだしお金もかからない。それに環境も壊さない」
「もし木がなくなったら、鳥もいなくなってしまうね。」

スポンサーのNEC、そして仕切り役のキープ協会のみなさま、とても素敵な機会をほんとうにありがとうございました。
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(写真*広瀬稔さん)

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# by cordillera-green | 2015-04-18 11:30 | 環境教育

虹のかかる村・アンボンドランでの植林プロジェクト1年目を終了しました。

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イオン環境財団から助成をいただいたCGNの植林プロジェクト。2014年度はバギオから車で約2時間のベンゲット州トゥブライ町アンボンドラン村で実施しました。アンボンドランはイバロイ族の言葉で「虹のかかるところ」という意味だそう。カパンガン町との境に近い小さな村で、まだ森や美しい渓谷の残るところですが、森林破壊が進行していて乾季には水不足になることもあるそう。ほとんどが野菜畑に転換してしまっているもののまだわずかに残っている田んぼに水を供給するためにも水源林の保全と回復が大事と、村人と町役場が一つになって共有林とそれぞれの私有地に植林を行いました。
村人たちが自らの意思で育てる森とするため、アグロフォレストリー(森林農法)によるアラビカ・コーヒー栽培を指導し、緑化とともに森から収入が得られ、村人たちの暮らしの助けになる森づくりプロジェクトとしました。
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○アグロフォレストリー(森林農法)による水源林の再生と保全
29633本の苗木を購入し、事業の受益者である住民団体「Citizen for Ambongdolan for the revitalization of the Environment(CARE)」メンバーとメンバー以外の住民を指導して植樹を終えた。内訳はナラ8,973本、ベンゲット松7,986本、アルノス3,541本、コーヒー9,163本。毎月最終金曜日を「植樹の日」と定め、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)のスタッフやボランティアも参加して、6 ヘクタールの共有水源地への植樹を完了した。共有水源地に植樹したのは、3,500本のコーヒーと2500本のベンゲット松の苗木である。残りの苗木はCAREの26名の受益者とアンボンドラン小学校に配布し、合計約10ヘクタールに植樹に適した雨季(6-9月)に植樹を完了した。2015年3月現在の植樹地のモニタリングでの調査によると、コーヒーの苗木はほぼ全部が順調に生育中、ベンゲット松は例年に比べ乾季の到来が早かった影響で30%ほどが枯死。ナラは約15%が枯死した。乾季中にナラの葉はほどんどが落葉した。

○苗木場の設置
トゥブライ町自治体環境課、アンボンドラン村、受益者団体「CARE」と協議の上、既存の苗木場を拡張し有効利用することとした。資材の提供と苗木作りの指導をCGNの担当スタッフの森林専門官が行い、4500本の苗木の生育を開始した。生育後、枯死した苗木の植え替え、自主的な植樹地の拡張などに使用される予定である。
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○研修旅行と講習会の開催(2回)
以下の内容で実施した。
① 2014年6月13日 ベンゲット州コロス集落26名のCAREのメンバーとトゥブライ町自治体職員3名が参加し、コロス集落のアグロフォレストリーによるコーヒー栽培のモデル農場を訪問し、2グループに分かれ、コロス集落の農民リーダーであるダミーロ夫妻による研修を受けた。苗木作りと育成に役立つミミズ堆肥の作り方、苗木育成・管理に有効な簡易な木酢液採取施設の作り方などを実践を交えて指導した。また、コーヒーとアルノスなどの木に加え、そのほかの果樹などの樹種やサトイモ、サツマイモなどの換金作物を混栽したアグロフォレストリー(森林農法)のモデル農場を実際に見学し、事業地のそれぞれの植樹地における栽培計画を立てた。また、インドネシアにおけるコーヒー栽培のメンテナンス方法のビデオを鑑賞し、移植後の植樹地におけるメンテナンスの実際を指導した。    
②2015年1月30日&31日 ベンゲット州ラ・トリニダード町ベンゲット州国立大学(BSU)アグロフォレストリー・モデル農場ベンゲット州国立大学(BSU)教授のバレンティン・マカネス教授を講師に迎え、植樹したコーヒーの苗木の病気・害虫対策、生育後の木の若返り、剪定などのメンテナンス方法を指導した。受益者団体「CARE」とアンボンドラン村の住民リーダーの計12名が参加した。

○小学生対象の環境教育(2回)
環境保全の重要性を伝え、水源林保護の意味を学んでもらい、植林に対する意識と意欲の向上を目的としてアンボンドラン内の二つの小学校で環境教育ワークショップを開催した。
① 2014年7月25日 アンボンドラン小学校森林の役割、植樹した森の生育のプロセスなどを学ぶ体験型ワークショップを開催。地球の危機的環境状況をわかりやすくアニメで表現したビデオ「タートル・ワールド」も上映。3-6年生の19人と教員が参加した。
② 2015年3月21日 ランビス・プライマリー・スクールアンボンドラン小学校の分校で山中にあるあるランビス・プライマリー・スクール(幼稚園と小学校1-3生のみの学校)で野外自然教室を開催した。13人の児童、9人の父兄、1名の教員が参加し、森の中を歩きながらアクティビティを行った。2回のワークショップとも、サステナブル・アカデミー・ジャパンの野外教室指導者養成講座を修了したフィリピン人ファシリテイターが指導に当たった。 

○環境メッセージ入りの看板の制作と設置受益者である「CARE」メンバー全員(26名)から環境保全を伝えるスローガンを募集し、その中から3つを選考し、事業紹介(事業名、事業地域、助成団体と実施団体の名前を記載)の看板に加えた。事業終了後も住民たちが環境保全の意識を持ち続け、自主的に植樹地の管理、メンテナンスを継続することを期待して村内4か所に設置した。
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# by cordillera-green | 2015-03-31 18:42 | 植林/アグロフォレストリー

梅田哲也と山の村カヤン・キッズたちのパフォーマンス「Composite」


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コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)はフィールドワークの植林などをメインとした環境NGOなのですが、環境教育にアートを取り入れていること、代表の反町が日本人であることなどから、国際交流基金のフィリピンにおけるアートプロジェクトをはじめとし、日本人アーティストがフィリピンでワークショップや公演、創作活動をするお手伝いをする機会が増えています。
新進のマルチな現代美術家、梅田哲也さんが国際交流基金主催のアートプロジェクト「Media Art Kitchen」でやりきれなかったパフォーマンス・アート・プロジェクトを、国際交流基金のマニラ日本文化センターの三富さんの協力でコーディリエラ地方の山の村でやりたいとのことで、2014年10月マウンテン州のカヤン村で子供たちを対象に1週間の音とパフォーマンスのワークショップを開催し、最終日に村の小学校の校庭で村人たちに披露しました。その一部始終を渡辺寿岳さんがビデオに収め、音の記録を西川文章さんが行いました。

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インターネットもないのどかな山の村の空き家に民泊し、村のおばちゃんたちにご飯を作ってもらい、警戒心いっぱいの子どもたちになんだか教えているのか、教えられているのかわからないワークショップをしてきた梅田組ですが、村の人が話している民族の言葉の響きや、村に伝わるお話や、そのお話を伝える語り部のおばあちゃんや、山の幸のご飯とそれをみんなと食べるというスタイルもお気に召してくれたようで、2月に再訪したいとのこと。そして今度は、ワークショップで作ったパフォーマンスを大都会・マニラのフィリピン大学の「Composite」というイベントで公演するということになりました。

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ピタゴラスイッチでおなじみのアルゴリズムたいそうみたいに、梅田君の案内での子供たちのパフォーマンスは一人一人の動きはシンプルですが、グループで動くと不思議な調和が生まれます。歌(?)もしかり。単純な言葉の繰り返しですが輪唱のように繰り返し繰り返し声が重ねられて、大きくて静かな渦が生まれます。システマティックで無機的な動きや声のように見えますが、演じているのが山の村を駆け回って育った生気に満ちたキッズたち。だからこそ、そのエネルギーが際立って澄み切った空間が創出されました。

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ダンスといえば民族舞踊かヒップホップと思っていた子供たちはワークショップのはじめのころは「なにこれ??」って感じだったみたいですが、そのうちにお互いの動きや声を感じながら大きな輪の一部である心地よさにゆったりと身を任せ、本番では素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。

ワークショップをやった山の村・カヤンからバギオまで5時間。そしてバギオからマニラまで7時間。2日がかりの車での大移動は、ほとんどの子供たちにとって初めての経験で、出発10分でほぼ全員がゲロゲロ状態。子供たちの旅の一部始終を映像に収めようと目論んでいた梅田組もそれどころでなくなり、ゲロゲロキッズたちのケアにおろおろ。梅田君は、アーティストの顔からすっかり子供らの父さんお兄さんの顔に代わってマニラ入り。
フィリピン大学デリマン校のキャンパスでの公演はナショナル・アーティストのラモン・サントスの新作との対バンで周囲はちょいと緊張気味なものの、子供たちは自分たちの力で堂々と素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。

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パフォーマンス後の宿泊先のホステルでの夕食の席で、子供たちは梅田組に感謝の自作の歌を歌ってくれました。サイコーに照れ屋の梅田君、もうどうしていいかわからなくなっちゃったと思いますが、キッズたちとの水面下での連携プレー、見事でした。
言葉少なですが、歌と動きと心で動いた10日間の旅がどんな映像になるかとても楽しみです。

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# by cordillera-green | 2015-02-28 10:18 | アート

Aanak di Kabilingan(アナク・ディ・カビリガン)「黒い犬 Fugtong」You Tube

2014年5月に公演をさせていただいたTIUシアターがビデオを編集してYou TUbeにアップしてくれました。
まったく演劇ワークショップ・プロジェクト関係の映像記録をとっていないので大変ありがたいです。


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# by cordillera-green | 2014-10-20 22:36 | アート

アナク・デ・カビリガンの辿ってきた道。マカティでの公演!

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 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の活動は多岐にわたっていますが、今や看板事業といえるのが、演劇をツールとした環境教育です。環境教育の手法は、ファシリテイターが参加者や目的やその場の雰囲気などによっていろいろな手法を編み出していくもので、ゲームや歌やネイチャーアートなどを使った手法を、世界中の環境教育に携わる人たちが実践しています。でも、演劇を手法に取り入れている人は意外に少ないらしく、インターネットで「演劇」「環境教育」などで検索してフィリピンの田舎町で地味に活動しているCGNを訪ねてくれるという人もこのところ増えています。

 

 演劇ワークショップを環境教育に取り入れようという試みは、CGNが設立された2001年以降間もなく始まっています。設立メンバーの一人が舞台演出家で、当時バギオやその周辺で、おそるおそる始めた環境教育プログラム(当時は「アース・エデュケーション」なんて呼んでいましたっけ)でネタ切れして困ったときに、その舞台演出家に頼んで演劇ワークショップをやったのが最初だったと思います。たった3日間くらいで、全く演劇の経験のない若者たちがみるみる変わって堂々と演技しているのを見て驚いた記憶があります。単発でいくつかの村の環境教育プログラムの中で演劇ワークショップを行い、どこでもたいへん好評で、また、できた作品を村の人や学校の人に見せることで、ワークショップに参加した人以外にも波及効果があって、少しずつCGNのおすすめ環境教育プログラムとして実施数を増やしていきました。でも、始めた当初は日本のパートナー団体の人からなどは、”「演劇」と「環境教育」は結びつかないなあ……”などと理解を得にくい面もありました。


 コーディリエラ山岳地方の先住民族コミュニティでは、今でも伝統の唄や踊りを伝えているところが多くあります。職業として民族楽器演奏者などプロの音楽家がいるわけではなく、コーディリエラ地方の音楽はコミュニティの人たち誰もが輪になって参加するものです。また、チャンティング(朗誦というのかしら?)と呼ばれる唄も、シチュエーションによって(たとえば祝いの席とか)基本の旋律は決まっているものの、歌詞はそれぞれ即興でつけていくことが多くあります。先住民の人たちは民族ごとに異なるそれぞれの音楽や踊りを誇りとしていて、コミュニティでの冠婚葬祭などの儀式で、若い人たちも自然に村に伝わる唄や踊りを身につけていきます。

 そんな先住民族の村で若者向けに行う演劇ワークショップですから、あっというまに参加者たちはすばらしいアクターに変貌します。歌や踊りに合わせて体を動かすのは得意中の得意、子供の時に大人たちから聞いた民話や伝説を思い出して即興で身体や言葉で表現するのも、とても楽しそうにやすやすとこなしていきます。なんにもない(ときには電気さえない)先住民族の村で、環境教育の手法を模索する中で「身体一つでできるから!」とはじめてみた演劇ワークショップでしたが、先住民の人たちのタレントを活かし、コミュニティで埋もれつつあった物語(民話)を発掘し、そしてなんでも共有する先住民族コミュニティの中で“密室”教育でなくて、成果をだれにでもシェアできるというぴったりの手法だったわけです。


 CGNでは2007年から本格的に演劇ワークショップをメインとした環境教育事業を立ち上げています。演劇はバギオでは、ごく一部の大学で盛んなだけで、一般にはほとんどなじみのない芸術活動です。バギオには多目的のコンベンションセンターがあるだけで、劇場もありません。当時、市民劇団はひとつもなく(今は一つあります)、指導できる人も知りませんでした。2007年に本格的に立ち上げた演劇を使った環境教育プログラムのために、演劇の経験のある人がいると聞けば会いに行って、「先住民族のコミュニティでワークショップをやってくれないか」とお願いしてきました。コーディリエラ地方の6つある州それぞれで一つずつパイロット・コミュニティを選び、指導者を派遣し、環境問題をテーマとした演劇ワークショップを開催してもらいました。そして、その成果を鑑賞しあい、共有しあい、また、新たな環境問題に対する知識を得る場として「コーディリエラ・ユース・エコ・サミット」という環境イベントを企画しました。

 

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第一回の「コーディリエラ・ユース・エコサミット」が開催されたのは2007年の12月、バギオ・コンベンション・センターにおいてです。コミュニティでワークショップをしてくれた指導者たちがPETA(フィリピン教育演劇協会)でトレーニングを受けた人が多かったせいか、「なんだかいつも同じようなステレオタイプの作品が多いな」と思っていたこともあり、いろいろな演劇のあり方を紹介し、教育や社会問題解決の手段として演劇の活用を考えられないかと、日本から「プレイバックシアター羅針盤」と音楽ユニットKURIをゲストとして招待しました。また、キープ協会の桶本隆男氏による「開発と環境問題」、湊秋作氏による「環境教育」についての講演も行いました。


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2回は20091月、イフガオ州マヨヤオとカリンガ州ルブアガンで開催しました。環境と音楽をテーマして活動していた愛知県のNGO「環音」と連携し、山本公成氏(ミュージシャン)、OTOさん(ミュージシャン)、正木ラビさん(環境活動家)、直井保彦さん(写真家)&恵さん、小向定君(ミュージシャン)、JUN AMANTOさん(ダンサー)、そして環音代表の広田奈津子さんとたくさんの素敵なゲストの方たちが参加してくれて、演劇にとどまらず、環境とアートをテーマとしたイベントとなりました。

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 2009年度は元燐光群の演出家・吉田智久氏、バギオ出身の舞台女優のレイ・バキリンさんもファシリテイター陣に加わって6州で巡回環境演劇ワークショップ「エコ・キャラバン」を実施しました。まとめとしての第3回のユース・エコサミットを、20101月、ベンゲット州マンカヤンのレパント鉱山とアブラ州バンゲッドのディバイン・カレッジで開催。日本からは再び大阪からダンサーのJUN AMANTOさん、イスラエル在のコンテンポラリー・ダンサーの河原田隆徳さん&ゾーハさん、音楽を使った子供の教育のNGO「コンソメWパンチ」が参加してくれました。

 2010年の夏休みにはレパント鉱山で、それまで各地で開催ワークショップに参加したいろいろな民族の若者たちを集めた10日間のワークショップ・キャンプを開催。メイベル・バトン氏、マジョリー・アミストソ氏、エドガー・バナサン氏、若手演出家アンジェロ・アウレリオ氏、JUN AMANTO氏、吉田智久氏と、CGNが誇る強力なるファシリテイター・チームで、プログラムを実施しました。そのワークショップの成果の発表は、レパント鉱山とマウンテン州タジャン・ルボン村にて行われました。また追加公演で、201012月にイフガオ州フンドゥアン町ハパオ村の世界遺産の棚田で行った「平和と環境のためのアート・プロジェクト」でも発表を行いました。



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 そして、その10日間サマー環境演劇ワークショップ・キャンプに参加したメンバーからの16人を伴って、2011年に5月には震災後まもない日本ツアーを実施。山梨県で環境教育ワークショップやエコアートフェスへ参加、愛知県の劇場での公演、愛知県立大学、東海高校訪問などを通して、日本の若者との交流を図りました。

  また、2013年からは、フィリピンの学校の唯一の長い休暇である夏休み(46月)を利用した、さまざまな民族の若者が集う合宿性のワークショップも再開。海外での経験も豊富な演劇教育のファシリテイター、花崎攝さんにも指導チームに加わっていただき、演劇を環境教育に生かすための新しい手法を学んでいます。


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 最初の「コーディリエラ・ユース・エコサミット」の演劇発表部門のタイトルとして掲げたのが「アナク・デ・カビリガンAanak di Kabiligan」。先住民族の一つカンカナイ族の言葉で「山の子供たち」を意味します。いろいろな民族の若者たち、子供たちが集うからということで単純につけた名前でしたが、その後は、CGNがコミュニティで行った環境演劇ワークショップに参加した若者たちのことを呼ぶようになり、2011年の日本ツアーの時のいろいろな民族のユースによるグループの名前も「アナク・デ・カビリガン」としました。メンバーが固定されているわけでなく、その都度、参加者は違うのですが、「CGNのコミュニティシアターワークショップに参加した先住民の若者」という条件でゆるくつながっているグループです。

 ワークショップ参加時はコミュニティのハイスクール(中学)に通っていた「アナク・デ・カビリガン」のメンバーたちですが、最初に演劇ワークショップを始めてから10年近くがたっており、「アナク(子供)」から青少年に、そして、次世代を育てる大人に成長しつつあります。


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 ベンゲット州カバヤンで行った初期の演劇ワークショップに11歳で参加したナタリンはまもなく20歳。(写真前から二人目)いまは、バギオの大学でマスコミを専攻する個性的な大学生に成長し、将来はメディアを使って人々に様々なメッセージを伝える仕事をしたいと夢見ています。最初に参加したワークショップですっかり演劇のとりこになってしまったナタリンは、CGNが主催してきたその後の「アナク・デ・カビリガン」の演劇ワークショップに皆勤賞。今回のマカティでの公演では見事におばあさん役をこなすまでになりました。


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 2009年度のレパント鉱山でのワークショップに参加したロジャーは、早くも今年大学を卒業。在学中も時間を見つけてCGNの演劇を活用したワークショップでアシスタントなどを数多く勤めてくれました。大学を首席で卒業しただけでなく、コミュニティでの社会貢献が評価され、コーディリエラ地方の最優秀学生10人の一人に選ばれました。表彰式に唯一人、ふんどし姿で参列している様子はローカルニュース番組でも盛んに報道されていました。



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 2009年度、山奥深いカリンガ州バルバラン村で吉田智久氏のファシリテイとした演劇ワークショップに参加したカートは、カガヤン州ツゲガラオの大学で日本語を専攻し、日本語の先生になることを目指しています。在籍する大学には日本人の先生が二人もいるそうで、久々に会ったら流暢な日本語であいさつされて驚きました。12時間もかかる本当に遠い田舎から、アナク・デ・カビリガンのワークショップに何度も参加してくれているうちに、すばらしい集中力でアクターとしてどんどん成長。マカティの公演ではセリフは全部吠え声という主役の犬を存在感たっぷりに演じました。


 そのほか、コミュニティでのワークショップに何度も参加し演劇が大好きになった「アナク・デ・カビリガン」のメンバーの多くは、今、大学で教育学を専攻し、将来、それぞれのコミュニティで先生になることを目指しています。家が貧しく大学に通えそうもない6人のアナク・デ・カビリガンの学生には、彼らの活動に何らかの形で触れる機会のあった日本の人たちにお願いし、CGNの「コーディリエラ・グリーン奨学金プログラム」を通じて里親になってもらっています。


 10年近くも継続してきたCGNの演劇ワークショップですが、今までマニラで発表する機会がありませんでした。今回、日本の舞踏グループ「ケイ・タケイ・ムービングアース・オリエント・スフィア」と劇団「黒テント」による「西遊記のアジア」公演にお邪魔する形で、マカティに新しくオープンする(仮オープン中)TIUシアターで公演の機会をいただいたのは降ってわいたようなお話でした。


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 4月の終わりの花崎攝さんとアンジェロ・アウレリオ氏を講師とし、マウンテン州サバンガンで行った「アナク・デ・カビリガン」のワークショップ(りそなアジアオセアニア財団助成)に参加した若者たちが、TIUシアターのステージに立ちました。マカティでの公演を前提のワークショップでなかったため、作品制作に費やした時間はワークショップ最終日の3時間ほど。マカティで発表を行えることが確定し、バギオに再集合して1日半、そしてマニラに到着してから1日。たったそれだけの練習でしたが、メンバーたちは実に堂々とステージの上で輝いていました。いつの間にやらすっかり大人になってしまったステージ上の彼らを見て、以前のように「失敗しないかしら??」と、ひやひやドキドキ、胃が痛くなるような思いをすることもなく、落ち着いて信頼たっぷりに彼らの演技を見ることができました。


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 10年目を迎えるアナク・デ・カビリガン。メンバーたちがこれから次々と社会に出ていくことを想定して、よきコミュニティ・リーダーとして成長してくれるようにと、ワークショップでもファシリテイター養成の要素を少しずつ加え始めています。グルーバル化の波の中で、そして発展めざましいアジア経済の中で、豊富な自然資源を擁するコーディリエラ山岳地方の先住民族コミュニティに資源開発の誘惑の手が伸び始めています。お金による「豊かさ」と引き換えに、彼らが古来、受け継いできた自然資源、伝統文化、人と人とのつながりという「真の豊かさ」を失うことのないよう、コミュニティの人々が昔から続けてきたように、集い、情報を交換し、話し合い、納得して判断を下していくために、アナク・デ・カビリガンのメンバーたちのさまざまな経験が大きな力になってくれることと信じています。

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# by cordillera-green | 2014-06-14 15:59 | 環境イベント

夏休み、環境演劇ワークショップ3連発!

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 ただいま、フィリピンは夏真っ盛り。

 ただでさえ3ヵ月とめちゃ長い夏休みが、今年は政府の方針で学校の年度の開始を世界基準(?)に合わせて8月にしたいということで、なんと例年より2ヵ月長い5カ月の夏休み。おいおい、1年の半分が休みですよ。大学生の長男は夏期講習と日本語家庭教師で寝不足気味、長女は5月末のバレエ・リサイタルために毎日レッスンに加え、夏休みの特別バレエ教室の初心者教室のアシスタントでバイトで超多忙。。ハイスクール出たばかりの次男は、ヒマを持て余しております。。。 やれやれまだ3ヵ月ある夏休み。。どうしましょうか。


 さて、家庭ではもてあましているこの5カ月のながああああい休暇ですが、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)としては

「じっくりと環境教育に使わない手はない!」

と、、3つのコミュニティで、子供たちとユースを対象とした「演劇を活用した環境教育プログラム」(りそなアジア・オセアニア財団助成)を開催しました。


 まずは、カリンガ州ティガラヤン町での環境教育ワークショップ。

町内にある15のバランガイ(村)の7つのトライブ(部族)のハイスクールの学生の参加者を募り、地域の民話と環境問題をテーマとした演劇とボディワークのワークショップを行いました。講師はCGNおなじみのアンジェロ・アウレリオに加え、大阪からダンサーのJUN AMONTO氏が忙しい時間を割いて参加してくださいました。さまざまな民族の参加者が持ち寄った民話は奇想天外、興味津々。アンジェロ氏によるワークショップではそれらの民話をベースにした演劇作品作りに加え、身近な環境問題をテーマとした即興会話劇を制作しました。

 

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 また、ティガラヤンではバギオとマニラのアーティストたちがファシリテイターとをして、ルプルパ小学校とバンガッド小学校という二つのコミュニティの小学校で生徒を対象に3つのビジュアル・アートを活用した環境ワークショップを各校3日ずつ開催しました。

 

ソイル・ペインティング 

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ゴッズ・アイ

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マスク・メイキング

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 ワークショップで制作した演劇作品と、アート作品は、ティガラヤン町のお祭り「UNOY Festival」と、同時開催されたアースデイ会場で発表しました。

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 ワークショップ第二弾は、マウンテン州サバンガン町での、山岳地方のさまざまな民族のユースを対象とした環境演劇ワークショップ。日本から演劇ファシリテイターで舞台演出家、舞台女優としても活躍する花崎攝氏が来比してくださり、アンジェロ・アウレリオ氏とともに、参加者の地域のユースが抱える社会問題をテーマとしたフォーラム・シアター、日本の水俣病のドキュメンタリー・ビデオをみてのその感想を詩作と寸劇、先住民が伝えてきた森や森に宿る精霊、野菜動物などを扱った民話をベースとした演劇制作など、手法を使った環境をテーマとした演劇ワークショップを行いました。ユースたちがそれぞれの故郷であるコミュニティで、環境・社会問題解決のために演劇を活用してくれることを目的としたプログラムです。

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ユースたちが二組に分かれて制作した民話をベースとした作品は、最終日の夜にコミュニティ住民たちを招待して発表しました。

https://www.youtube.com/watch?v=pi1TI4pUkEM

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普段は会う機会もほとんどない、さまざまな民族が情報を交換し、ふれあい、共同し、演劇を通して友情をはぐくみ、民族間のわだたまりを取り除き、連帯を強める大変いい機会となりました。

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 夏休み環境演劇ワークショップの第三弾は、世界遺産の棚田のあるイフガオ州キアガン町で、NCCA(国家文化芸術協議会)がサポートしている「スクール・オブ・リビング・トラディション」(SLT)の子供たちを対象としました。サバンガンでのワークショップに参加したユースのうち5名を選抜し、ユース・ファシリテイターとしてワークショップの指導を担当してもらい、花崎氏、アンジェロ氏とともに指導を担当してもらいました。ユースリーダーたちは実に堂々としたファシリテイトぶりで、将来、コーディリエラ山岳地方で彼らが子供たちを引っ張っていくエコリーダーとして活躍する姿が鮮明にイメージできました。


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 このプログラムは、当初は開催地は1ヵ所で、各民族の若者を集めたワークショップと開催地の地域の若者を対象としたワークショップを同時開催する予定ででしたが、複数のファシリテイターが共同して一つのグループを指導することにより内容の充実を図ることができるということ、そして、多くのコミュニティから夏休み中に子どもたちを対象としたワークショップを開催してほしいという依頼を受け、かなり欲張って3ヵ所での開催としました。

 3カ所それぞれで、民族、自然、文化、風習が違うながらも、ファシリテイターの導きで参加者の子供やユースがその地域の自然や伝統を自ら再発見し、考え、その問題の本質を見極め、話し合い、解決に向けて前向きに取り組む、いいワークョップとなりました。次代を担う新しいファシリテイターの育成にも焦点を当てたとことで、1回限りの環境教育プログラムでなく、地域に広がっていくプログラムとなったと思います。

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 それにしても、驚き、感動したのは、それぞれのワークショップに参加した子供たち&ユースたちのすばらしいエネルギーです。それぞれ最低3日間という長いワークショップでしたが、子供たちは実にすばらしい集中力で参加してくれました。二つとないオリジナルのアイデアが次々と生み出され、学んだばかりの手法で形となって表現されていくことに、圧倒されました。

 

 それぞれのワークショップで制作した作品は、ワークショップの最後に地域の人などを対象に発表を行いましたが、その集大成として、サバンガンで各民族のユースがワークショップで制作した「FUGTONG」を、5月31日(土)にマニラで行われる「アジアの西遊記」公演の一部として発表できることになりました。

 

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「アジアの西遊記」はフィリピンと演劇を通した交流を長年続けている黒テントと、ケイタケイ・ムービング・アースの方たちによるダンス・シアター公演です。マニラにも行ったことのほとんどない先住民のユースたちが、いきなりプロの方たちと同じステージに立たせていただくという光栄です。

 

 


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# by cordillera-green | 2014-05-14 01:01 | 環境教育

サグボ村での2年間のアグロフォレストリー植林プロジェクト終了しました

 イオン環境財団の助成をいただいたベンゲット州カパンガン町サグボ村での水源保全と再生事業は2014年3月末に終了しました。サグボ村のパートナー団体の「Dayukong Association(DAI)」は、在バギオの老舗NGO「ショントク財団」を通して、神奈川県ののNPO「WE21ジャパン」と事業を行ったことがあり、組織運営がきちんとされていて、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)がかつて実施してきた事業の中でも、もっともスムーズに進行した事業といえると思います。
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 また、サグボ村がバギオから2時間強と比較的近いこともあって、バギオの英語学校で学ぶ日本人生徒さんたち、フィリピン大学バギオ校のエコクラブの生徒さん、また、日本からのスタディツアーのみなさんなど、外部の多くのボランティアの方たちが参加し、支えてくれた事業でもありました。
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サグボ村の植林事業では、1年目の2012年度にDAIメンバーの28名(家族)によって、28,000本ガ植えられ、2013年度には、ベンゲット松5,200本、アルノス12,480本、カリエンドラ6,290本、竹500本、アラビカ・コーヒー18,970本の計43,440本を追加しました。たいへんな数ですが、サグボ村の住民はカンカナイ族という北ルソンの先住民のひとつで、伝統の互助システム「アルヨン」の習慣を今も実践していて、手の足りない植樹地は協力し合って植樹作業を終えました。
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 サグボ村は北ルソンの主要河川のひとつ・アンブラヤン川の水源でつい最近まで深い原生林に覆われていたのですが、市場経済が急激に入り込み、人々は現金収入を求めて森を切り開き、焼き払い、サヨテ(はやとうり)の棚にかえてきました。
 サヨテは地元の人には「グリーン・ゴールド」と呼ばれる人気の換金作物です。どんな急峻な斜面でも針金と竹で簡易な棚の骨組みを作れば栽培でき、あまり手をかけなくてもどんどん成長します。年間を通して収穫でき、農家の人にとっては年間を通して収入を得られるというメリットがあります。一方で、1キロあたりの価格は他の野菜に比べると安く、急な斜面を運ぶ作業はたいへんな重労働になります。棚を必要とするサヨテ栽培は、森をきれいに焼き払ったあとにしか作れません。しかし、「背に腹は変えられない」と、山岳地方では、貴重な森が住民たちの手ですごい勢いでサヨテ畑に代わりつつあるのです。
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 住民たちの生計向上にも配慮しながら、貴重な森林破壊を食い止め、サヨテに代わる現金収入源を紹介して、水源を守ろうというのがこの事業の目的です。サヨテの棚の下に、土を肥やすカリエンドラというマメ科の木、生長のはやいアルヌスというハンノキ科の樹木とともに、アラビカ・コーヒーの苗木を植え、サヨテで収入を得ながらコーヒーを育て、将来、コーヒーから十分な収入が得られるようになったら、サヨテ畑をコーヒーのアグロフォレストリー農場に全面的に転換しようという計画です。
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 2014年3月、事業最後のプログラムとなる講習会と事業引渡しのプログラムを行いました。たまたま、石川県のコミュニティ・トレードショップ「アル」のオーナー・小浦むつみさんがフィリピン訪問中で、お店で扱っているフェアトレードコーヒー”シサム・コーヒー”のふるさとを見たい」とはるばるサグボ村まで足を伸ばしてくれました。ショップで熱意を持って販売してくださっている方との栽培地のモニタリングは「想いにはコーヒーの味や品質の形でお返しするしかない」と、身の引き締まる気持ちでした。
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(小浦さんのブログ「コミュニティトレードショップ・アルのフェアトレード日記」でもサグボ村訪問のレポートをしてくれています)

シェイドツリーがなく、直射日光を浴びているものの中には、葉がおちてしまったものも見られましたが、苗木たちの生育状況は概して良好。
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DAIの事務所裏に作られた苗木場はよく手入れされ、植え替え用のコーヒーの苗木がすくすく育っていました。
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 事業では、苗木の配布と植樹に加え、さまざまな講習会も開催してきました。
 2014年1月には、地域全体の関心を高めるためにハイスクールでの環境教育ワークショップを開催しました。全校生徒の250名が参加。CGNの環境教育ファシリテイターたちが勢ぞろいし4つのチームに分かれ、ゲーム、アート、ビデオ素材などなど、さまざまな手法を使ったワークショップを開催しました。
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 ハイスクールからは、校庭にあるステージの環境保全のメッセージをこめた絵を描いてほしいとリクエストを受け、CGNのボランティア・アーティストたちが卒業間近な4年生と一緒にじっくりと時間をかけて絵を描きました。
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 日本から訪問してくれた環境活動家でミュージシャンの野澤隆氏(ジイさん)、環境教育ファシリテイターのアキちゃんも飛び入りで参加。楽しみながら環境の大切さを学ぶことができました。
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 3月末の最後の講習会は、現在、ベンゲット州国立大学に留学中のコーヒー栽培研究者の山本博文氏を講師に招き、インドネシアのバリ島とスマトラ島のコーヒー栽培方法を紹介してもらいました。また、今後コーヒーの成長とともに問題になる可能性のある病害虫対策について事業担当のレナート・ギリンゲンが講習を行いました。
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 どんな植林事業でもそうですが、植えるより育てるのがたいへんです。植えるのは1回だけですが、育てるのは一生、あるいは何世代にもわたって継続していかなくてはなりません。この事業に限らず、CGNが学校などでの子どもたちに対する環境教育にこだわるのは、大人が植えた木を子どもたちが育て、またその子どもたちに伝えていくという、地域や世代をこえた大きな枠組みで環境保全を考えてもらいたいからです。
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 事業最後の炎天下での視察の最中にも、畑に代えるために燃やされたばかりの木々を目にしました。「今日・明日の暮らしのためのお金」か「次世代に残す資源」か、住民たちは毎日毎日苦渋の選択を突きつけられています。誰も喜んで森に火を入れたりはしていないのです。ここは彼らの土地、最後の判断は彼ら自身が下すしかありません。よりよきコミュニティの未来のために、私たちよそものが彼らに投げかけられることはほんの小さなことかもしれませんが、ちいさな疑問が、議論を生み、動きとなって、よりよい選択のための住民自身が歩みだしてくれることを祈っています。
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# by cordillera-green | 2014-05-11 11:24 | 植林/アグロフォレストリー

先生を対象としたアートを活用した環境教育ファシリテイター養成プログラム2013年度の全9回終了です

 他にはないオリジナル・プログラムで、環境教育に関心のある学生さんやその道のプロからも多数お問い合わせをいただいているコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)の環境教育プログラム。2013年度も地球環境基金の助成を受けて、CGNのスタッフ総力をあげてマウンテン州サバンガンでの環境教育プログラムに取り組んできました。

 2012年度は、たくさん日本からのアーティストの人たちが来比下さり、アートの手法を環境教育の場でどういかしていくか、パイロット・スクールにて試験的にさまざまなワークショップを行い、最後にそれらワークショップで制作した作品を持ち寄って「エコ・アートフェスティバル」を開催。1000人以上の人が訪れるコミュニティ史上かつてない「環境イベント」となりました。
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 その経験を元に2013年度の事業では、学校の先生たちがCGNや町のアーティストたちの力を借りずに、授業の中でアートを活用した体験型の環境教育ワークショップを行えるようにするのが目的。範囲をひろげて保育園からハイスクールまでの先生たちを対象に、アートを活用した環境教育指導者養成講座を開催してきました。対象地域もサバンガン町すべての16のバランガイ(村)に拡張し、より広い地域ですべての学校で環境教育が行われる下地作りとしました。

 2013年度に開催した講習会・ワークショップは以下の通り。

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 ・教員対象の環境教育トレーニング
マニラのデ・ラ・サール大学で環境教育を教えるマージーを講師に、フィリピン、そして北ルソンの生態系・自然の豊かさ、環境教育を行うことの大切さ、学校での環境教育の方法など、1年間のプログラムをはじめるに当たって、CGNが意図することを伝える内容としました。
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小学校高学年の先生対象「アートを活用した環境教育指導者養成講座」(2回)
 1回目は、カパンガン州在住の日本人紙漉きアーティスト・志村朝夫さんなどを講師に、地域の植物を素材にした手漉き紙つくりのワークショップを行いました。パイナップルの葉からの繊維のとり方、身近にある稲わら、バナナなどの繊維が強く、紙の材料に適した素材の発見など。また、木灰など、自然の中にあるものを紙作りの材料に生かす方法も学びました。
 2回目はその手漉き紙を使ったアート教室。自然のなかにある葉っぱの形や色のバリエーションに気づき、その形から連想されるものを水彩絵の具の絵もくわえて、アート作品にしてみようというもの。絵の具には、身近な土を使うことも提案しました。
 また、村で大きな問題になってきているプラスチックゴミの減量につながるエコバッグ作りも行いました。いらなくなったボロの衣料を使ってエコバッグを縫い、そこにさつま芋のイモ版で模様付けし、世界にひとつしかない自分だけのエコバッグを作ろうというワークショップです。
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ハイスクール教員対象「環境演劇指導者養成講座」(前後半 2回)
 CGNが今までの環境教育プログラムでも頻繁に取り入れてきた演劇を、さらに多様に活用して環境問題解決の糸口を探すきっかけを与えようというプログラム。在バギオの講師が、地域の民話を発掘しそこに潜んでいる自然との共生との知恵、伝統文化の価値、現代社会での応用などを加味してひとつの演劇作品を完成する「フォークロア・シアター」を指導しました。
 一方、日本からのファシリテイター花崎攝さんは、ブラジルで始まったという「フォーラム・シアター」という観客も参加してお話作りに加わることのできるという手法を紹介していただきました。
 演劇に欠かせない音楽には、失われかけている山岳地方の貴重な竹製の民族楽器作りとその暮らしや伝統儀式の中での使い方などを学びました。
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・小学校低学年と保育園・幼稚園の先生対象「野外自然教室指導者養成講座」(2回)
 幼児向けの環境教育を、環境教育先進国スウェーデンの手法などを取り入れて、日本各地で行っているサステナブル・アカデミー・ジャパンの講師を日本から招き、幼児のための野外教室のインパクト、重要性、自然を学ぶことの意味などについてのレクチャー、そして、実際に屋外でゲーム、紙芝居、唄、シアターなどを取り入れ、子どもたちに二度と忘れない体験をしてもらいながら楽しく環境教育を実施する方法を学びました。講師が日本から持参してくれた環境教育教材を、身近に感じられるローカル色の強いものにアレンジし、子どもたちが心から楽しめるプログラムを実践しました。
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・環境教育フォーラム(2回)
 年度の終わりに、養成講座で学んだワークショップの手法を各学校で実践してもらい、その成果を発表しあい、課題、問題点を話し合う「フォーラム」を開催しました。ハイスクールの先生たちのフォーラムでは、5つのハイスクールの生徒たちがワークショップで制作した演劇作品を上演し、フォーラムシアターも実践。参加型のプログラムにたいへんな盛り上がりを見せました。
 小学校と保育園の先生たちのフォーラムでは、生徒たちが作った作品のいくつずつか持ち寄ってもらい会場のホールに展示しました。コミュニティの住民が多数訪れ、子どもたちのエコな作品に関心をよせていました。
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# by cordillera-green | 2014-04-17 15:19 | 環境教育

レイテ島被災者に木版画メッセージカードを届けました

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 2月に実施した国際交流基金主催のふるさかはるかさんの木版画ワークショップ。
 バギオのハイスクールで木版画で何を作ろうかとアイデアを出し合っていたときに、ふるさかさんからでたのが11月8日ビサヤ地方を襲った巨大台風の被災地の人への励ましのメッセージカード作りでした。被災者の人の置かれた状況に想像をめぐらし、何を伝えたいかを考え、それをどうビジュアルで表現し、そして、木版画という手法で、どうやって表したら、被災者の人々に伝わるか。。。丁寧にゆっくりと手順を踏みながら、ワークショップをファシリテイトしてくれました。
 出来上がった作品は、ハイスクールらしいカラフルな、心のこもったメッセージカード。
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 さてさて、そのカードをいかにして被災者の人々の元に届けるか。まだまだ混乱状態にある被災地で、アートなカードにこめられたやさしいメッセージを、それを必要としている同年代の子どもたちに届けたい!少しの時間であっても被災者の子どもたちがアートの生む豊かな時間に身をゆだねてほしいね。。と、CGNスタッフ。ただカードを渡すだけでなく、受け取ってくれた子どもたちにも小さなアートワークショップをして、お返しのカードを作ってもらうことになりました。

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たまたま、このワークショップのコーディネイトを担当していたスタッフのヴィンスがレイテ島のタクロバン町の出身で、張り切ってレイテ島の親戚と連絡を取り、3つのハイスクールの生徒たちにメッセージカードを渡し、お返しのカードを身近な自然素材を使って作るというミニ・アートワークショップの開催が実現しました。

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その他のレイテ島のハイスクールの生徒さんのカードの写真はこちら

日時:2014年2月18日~20日
会場:
サン・ジャキン・ナショナル・ハイスクール
San Juaquin National High School
サン・ホセ・ナショナル・ハイスクール
San Jose National High School
アラン-アラン・ナショナル・ハイスクール
Alang-Alang National High School


たまたま、台風被災地の調査をしたいという大阪のJUN AMNTO氏の来比日程とも重なり、JUN氏にお願いしてワークショップ・シリーズの最後には2000人以上の生徒を前に、みなを元気付け、また、亡くなった方への慰霊の気持ちを込めたパフォーマンスをしていただきました。

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3つの高校でミニ・アートワークショップを終えての、ふるさかさんの木版画ワークショップからレイテ島まで、全行程のコーディネイトを担当したヴィンス君の感想。

「被災の状況は想像以上で、復旧活動もあまり進んでいるように見えず、仮設テントで授業を行うハイスクールの生徒たちでしたが、ワークショップで作ってくれたバギオのハイスクール生へのお返しのカードは、前向きな気持ちを表現した素晴らしいものでした。世界中で苦しい状況にある人々に伝えたいユニバーサルなメッセージが込められています。日本の地震の被災者も含め、世界中の苦しい立場にある人に届けたいと思いました。」
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1月後半から1ヶ月間のプロジェクトは、全国紙Inquireでも紹介されました。

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# by cordillera-green | 2014-04-04 19:01 | アート