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2009年 10月 20日

マウンテン州タジャンに救援物資を運搬


待望のハルセマ・ロードが小型車にのみ開通!という知らせを受け、土砂崩れ後、一刻も早く現地に届けようと用意していた救援物資を,マウンテン州タジャンにようやく届けに行ってきました。

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           ↑開通はしましたが、まだまだひどい状態のハルセマ・ロード

土砂崩れの現場は、タジャンのカヤン東バランガイ(村)。10月8日、午後6時半くらいに起こった土砂崩れは一瞬のうちに17軒の家を呑みこみ、28家族、2歳から70歳までの35名の命を奪いました。13軒が一部倒壊し、3人がケガをし、1名が奇跡的に被害からのがれましたが、ショックのため口もきけない状態とのこと。
最後の遺体は土砂崩れから1週間後の15日に発見され、村人が中心の広場に集まり弔いの儀式が行われ、すべての遺体は埋葬されたそうです。村の共同墓地には、新しいお墓がたくさん並んでいました。

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        ↑土砂崩れの現場。下に見えるのが村の中心の広場です。
         コンクリートの家の一部の残骸さえ残っておらず、
   土砂の恐ろしいばかりの勢いが想像できます。


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        ↑変わり果てたタジャン村の姿に呆然とするジャン先生。
          ジャンはタジャンの出身です。

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「想像してください。いつもは子供たちの笑い声が響き渡っていたこの広場に30個以上の棺が並んだのです。土砂崩れのあと、村の人たちは、土砂崩れの現場を来る日も来る日も掘る作業です。大きな村、バギオなど大きな町からの道路は全部不通のため、近隣の村からのボランティアの人たちだけが助っ人でした。それと平行して、山の木を切ってきて棺を作り、そして、今、すべての犠牲者をなんとか埋葬しまし。しかし、私たちには悲しんでいる時間はない。みんな疲れきっています。でも、次の台風が迫っています。生き延びるために、今やらなければならないことはたくさんあります。ごめんなさい。でも、亡くなった人たちのことはあとで悲しみます。」

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      ↑土砂崩れはこの山から起こりました。    
      村に入る道の上方が崩れ、大きな岩がいくつも落ちてきて
      村の中心の広場近くまでを土砂で埋め尽くしました。
      村の人の話しでは、この山のてっぺんに90年代から裂け目ができ、
      毎年少しずつ広がってきているそうです。
      それが土砂崩れの原因ではないかというのが村人たちの見解です。


土砂崩れ現場の上の方に小さく人の姿が見え、カンカンと音が聞こえます。村の人がやっていたのは、今度の雨や台風で、この土砂崩れでむき出しになった岩が落ちてきて、新たな災害を生まないように、手作業で岩を砕く作業です。もっと上方の木が残っている地域で動いている人影は、もっとも大きな、今にも落ちそうな岩にダイナマイトを仕掛けるための穴掘りです。とにかく、これ以上の災害、これ以上の犠牲者を出してはいけない、と村の人たちの砂をかむような作業は続いていました。

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       岩をくだく作業をする人々↑

100人以上が犠牲になったラ・トリニダードのリトル・キブガンの土砂崩れ現場には、100人以上の警察官がものすごい勢いで遺体収容のための作業をしていましたが、タジャンでは、すべて村人と近隣の村人による作業です。フィリピン国軍や警察の姿は見られません。遺体収容の作業には、最後になってマンカヤン町のレパント鉱山会社からボランティアが18人送られてきて、最後の一人の収容に協力してくれたそうです。いわば彼らは採掘のプロです。


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        ↑MPPTC学長と村人のミーティング

町の広場の一角にできていたインフォメーション・センターでは、救援物資の受付と掘り出し作業のための道具の貸し出しがされていました。また、女性たちは土砂崩れ現場で働く人のための炊き出しです。私たちが行った日は日曜。広場の隣の教会ではいつになく長いミサが行われ、そのあとには、地元の大学MPPTC(マウンテン州ポリテクニック・カレッジ)の学長ネビスさんが、村の人を集めてミーティングをおこなっていました。

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             ↑女性たちの炊き出し
    

土砂崩れ直後、バギオ市の私達からの
「何が必要とされているの」
という携帯電話での問いには、まず
「現場で掘り出し作業をする人のための食料」
と返事がありました。
その数日後には
「食料は近隣の町からたくさん届けられてある。水も大丈夫。
今必要なのは、掘り出し作業のためのスコップ、鋤などの道具。そしてお墓のためのセメント」
という返事。
結局、私たちの食料や古着の救援物資は、運搬手段がなく、
遺体収容作業が終わってから届けることになりました。

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            ↑CGNからの救援物資を運ぶ。
            黒板には受取った救援物資のリストが書かれています。

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            ↑インフォメーション・センターの
             掘り出し作業のためのツール(道具)の貸し出しを
             書き込んだ黒板。ツールといってもこんなもんです。

「ほかにNGOなど外部の団体はきましたか?」の問いには、
「昨日、アヤラ財団バギオ支部とバギオのラジオ局が1局」
とのこと。やはり、ここはマニラやバギオからは忘れ去られつつある山岳地方の片隅の小さな村なのです。

「今は何が必要なの?」
という問いに、インフォメーション・センターに集っている村の役員のおじさんたちは、
「壊れた道路の再建、崩れた場所をエコ&メモリアルパークにするための建築費用」
といいます。でも、まだ頭の中が混乱していて、よく考えがまとまらない様子。
しかし、あの急斜面をパークなどにできるのでしょうか?
今後の安全性が保障されているのでしょうか。
「それは、お国の仕事でしょう? 政府は緊急災害対策費用として、国際機関や先進国からかなりの支援を受けるだろうから、それを、ここにも回してもらうように努力をしなくちゃだめよ。これだけの被害があるのだから。それが村役員の仕事でしょう」と私たち。
「まったく政府はあてにならない」と役員のおじさんたち。

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       ↑カヤン西村の村長に状況を訪ねる反町とジャン副代表

さすが、MPPTCのネビスさんの意見はこうです。
「専門の地理学者による調査がまず必要。すでに州政府にリクエストはしました。その上で、この村に危険がなくてこのまま住み続けることが可能かどうか判断しなくてはなりません。もし可能なら、安全に住み続けるには、何が必要か、どうやって環境を維持していったらいいか、環境NGOのあなた方の協力が必要です。落ち着いたらバギオのオフィスを訪ねますね」

やはりMPPTCで働くCGN副代表、ジャン・タクロイ教授の妹リンダさんはこうです。
「毎日この広場に犠牲者が運ばれて、この1週間毎日のようにお葬式。小さな村だから、子供たちの多くが、親戚や友達を亡くしました。まだよく寝られないという子供たちもいます。心は深く傷ついてトラウマに苦しんでいる。次の台風が来ると聞いただけで泣き出す子もいる。中期的、あるいは長期的なリハビリの計画が必要です。子供だけじゃない。大人もそう。今は、やるべきことがたくさんあって、みな、まだ実感がわかない。または、考えないようにしている。でも、これから時間がたち、考える時間ができたときに、みな苦しみます。心のケアをしていかなくてはいけません」
この村のハイスクールの校長先生の一家4人も家族全員なくなっています。子供たちのショックの大きさはうかがい知れます。

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     ↑リンダさん(左端)、ジャン副代表を含めて、今後の救済の方針について相談。

村では、すでに、いろいろな委員会を作って、村復興のための一歩を踏み出そうとしています。ほとんど、村人たちだけの力で。

CGNでは、タジャン村の復興と再建のために、村の人たちが本当に必要としているサポートを続けていきたい考えています。

民間テレビ局GMAのニュース(10月16日付け)では、フィリピン全体で、台風ペペンによる死亡者は419名で、すでにマニラの洪水による死亡者341人を大きく超えています。少なくとも51人がいまだ行方不明。184人がケガ。4,040の家が全倒壊、34,843の家が一部倒壊。
被害受けた人の総数は27州361町と27市の4,585の村で、662,274家族、3,106,978名。15,629家族、74868人が168の避難所で生活しているとのこと。

CGNでは、台風ペペンの被災者のための義援金を募集しています。こちらをご覧ください。

by cordillera-green | 2009-10-20 20:23 | 緊急支援


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