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Cordillera Green Network ブログ

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2010年 03月 07日

台風ペペン復興事業-コロス集落・持続可能な農業推進プロジェクト開始

 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、昨年10月の台風ペペンによる土砂崩れで40軒が被害を受けたベンゲット州ツブライ町アンバサダー村コロス集落で、「SUSTAINABLE AGRICULTURE ASSISTANCE FOR THE TYHOON VICTIMS IN COROZ(=コロス集落における台風被害者に対する持続可能な農業アシスタンス)」事業を開始しました。

 コロス集落での台風被害の様子は以下のブログをごらんください。
   http://cordillera.exblog.jp/12356840/
   http://cordillera.exblog.jp/12514439/

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      ↑コロス集落に向かうハルセマ道の土砂崩れ現場は
       まだ災害外直後以降なんら工事が行われていません。
       土砂を掻き分けただけの状態。
       雨季の大雨や台風で、通行止めになるのは間違いありません。

 CGNスタッフによる現地調査インタビューでは、コロス集落の住民達がもっとも必要としているのは、収入源である畑を元に戻すための「野菜の種」「肥料」「農薬」「畑に水を引くためのホース」ということでした。
 ベンゲット州の農民のほとんどが化学農法を行っていますが、化学肥料や農薬を買うためにローンをしている農民が多く、台風などの災害で畑がダメになり収穫できないと、ローンが膨らんでいくという悪循環が生まれます。台風ペペンの被害ももその例にもれませんでした。多くの農民がローンの返済ができずに、利息を膨らませてしまいました。

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    ↑コロス集落の土砂崩れ現場は5ヶ月たったいまも何も手を加えられていません。

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    ↑道路も崩れたままなので、この先に住む人たちは交通手段がありません。
     政府の指導により40軒全員が、別の場所に移り住むことになりました。

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    ↑集落では焼き畑農業が行われていました。
     雨がまったく降っていないこの時期に山に火を入れるのは
     大規模な火災につながる可能性があり、たいへん危険です。
 
 CGNは、コロス集落での農業復興事業を

・今後起こりうる災害にたいして最小限の被害で抑えられるような強い環境を作る
・ローンに頼る化学農法から手間はかかるが、経済負担の少ない有機農法に転換、しライフスタイルを変換する

ためのいい機会と捉え、単に農民側からリクエストのあった「必要としているもの」を与えるだけでなく、セミナーやワークショップを通して、災害に強く環境負荷の少ない農業とライフスタイルの指導を行っていくことにしました。

 3月2日、事業の最初のプログラムとして、40軒の受益者向けのオリエンテーション&セミナーを行いました。内容はCGNの紹介に始まり、「気候変動」「地球温暖化」「エル・ニーニョ現象」など、台風ペペンと現在の水不足で、一般の農民にとっても他人事ではなくなった地球上で起こっている環境問題の解説、持続可能な農業の利点と紹介、斜面に植えれば土砂崩れの防止にもなり、かつ収入も望めるアグロフォレストリーの紹介など。
 一般の農家の人たちは、なかなか地球温暖化の話など熱心に聞いてくれることが少ないのですが、台風ペペンで深刻な被害を受けたコロス集落の人たちはたいへん熱心に耳を傾けていました。
台風ペペン復興事業-コロス集落・持続可能な農業推進プロジェクト開始_b0128901_1595928.jpg
 
     ↑セミナーの進行は、アジア学院(栃木県)で持続可能な農業を学んだローデス。
    
 いままでの数回の現地調査では、住民側からの植林に対する要望はなかったのですが、今回のセミナーの後には、
「植林やアグロフォレストリーの指導もしてくれ」
「苗木も配布してほしい」
という積極的な意見が出ました。
住民自らが「変わろうとしている」という意思をたいへん心強く思いました。
 コロス集落での持続可能な農業(そしてアグロフォレストリー事業)が成功すれば、ベンゲット州のほかのコミュニティにとってたいへんいいモデルケースとなると思います。 
 来週からは、さっそく有機農業の実践指導を開始します。

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   ↑農業指導は、やはりアジア学院で学んだレナートがローデスとともに行う予定です。

 
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     ↑ローデスがアジア学院で有機農業を学ぶために留学していたときの
      同級生・伊藤幸史神父がバギオを訪問中で、
      コロス集落でのセミナーに参加してくださいました。
      写真は、コロス集落からの帰りに寄ったカソリックのシスターたちが運営する
      オーガニック・モデル農場を訪問したときのもの。
      こんなおいしそうなレタスがコロス集落でも採れる日が来ることを目標に
      がんばりましょう!
  
  
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      ↑シスターたちは、バギオ市内の有機野菜ショップで売る
プチトマトの出荷作業をしていました。
       見てください。このおいしそうなトマトの色!

by cordillera-green | 2010-03-07 15:12 | 被災地復興事業


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