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2010年 04月 26日

アースデイ in バギオ2010 Boyette Rimban監督のドキュメンタリー上映会


先週末、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、アースデイのためのふたつのイベントを主催しました。

まず土曜日には、Boyette Rimban(ボイェット・リンバン)監督の2本のドキュメンタリー映画の上映。(会場:VOCAS)

1本目は「Lake Bato」
 ビコール州のバト湖を撮影したリンバン監督の最新作です。
 法律では湖の面積の10%までが漁獲用のわなを仕掛ける範囲とされいるのが、いまや湖のほとんどをわなが覆う漁業の現状。減り続ける魚、苦しくなる漁民の生活。近年、頻繁に起こる洪水。そのたびに家ごとみんなで担いで移動させる様子など、環境破壊が湖とともに生活する人々の暮らしにどんな影響を与えているかを捉えています。
 そんな映像の合間のインタビューの中で、唐突に、善良そうな漁師が「兄を政治家の家族に湖の船上で殺された」というリアルな話をして観客は度肝を抜かれます。さらに驚くのは、殺した本人が堂々とインタビューで「あれは事故だった」と答え、遺された妻は「2万ペソ(4万円)で示談となったが、それじゃ足りない」と言います。日々、魚を獲って細々と暮らす漁師が有力者によっていとも簡単に殺されてしまうという事件さえ、このビコールの湖のある暮らしの中では日常なのか。。。。。あまりにフィリピン的で言葉を失ってしまいました。

 2本目は、「Moving Mountain」。2002年制作の、コーディリエラ地方の鉱山開発の様子を捉えたドキュメンタリーです。ロケ地はコーディリエラ地方の鉱山開発現場、4箇所。
 まず、バギオ近郊のベンゲット州イトゴン。ベンゲット・コーポレーションという大きな鉱山会社が撤退したあとの金鉱山で、細々と金を手で掘りわずかな収入を得ている先住民たちのコミュニティの暮らしを追っています。いわゆる「ポケット・マイナー」と呼ばれる個人で小規模に鉱山掘りをする人たちで、多くが先住民族です。
 そして次に、それとは対照的なベンゲット州マンカヤンのレパント鉱山と、イトゴンのフィレックス鉱山の大規模な鉱山開発の様子。地下の通路で大型重機によって縦横無尽に鉱物資源の採掘をする映像は、まるで映画で見た隠された地下都市のようで驚きます。
 最後に、紹介されたのが、カリンガ州バルバランの、コミュニティの人の完全にマニュアルの小規模な鉱山掘りの様子。

ボイェット監督は、環境保全に考慮しないばかりでなく、鉱物資源を持っている地元に富をもたらさない大会社による鉱山会社による採掘には懐疑的な姿勢をとり、何の機械もなく、コツコツと昔ながらのつるはしでコミュニティで富をシェアする伝統的なバルバランの鉱山開発にはシンパシーを表明しています。

 1月にレパント鉱山で「第3回コーディリエラ・ユース・エコサミット」を開催したときに、鉱山会社の人にツアーをお願いしたのですが、強力なコネをもってしても、トンネルの中までは案内してもらえませんでした。ボイェット組がカメラを持ち込むには、たぶんたいへんな手間と時間をかけ交渉を重ねてのことだったと思います。大会社による採掘が地中でいかにして行なわれているかを捉えた本当に貴重な映像で、ぜひ環境&鉱山開発に関心のある人(私たちNGOのスタッフ含む)に見てもらいたいと思っていました。

 イトゴンのベンゲット・コーポレーションの鉱山開発の跡地は、昨年10月の台風ペペンで120軒もの家が流されたところでもあります。もちろん、映像はそれ以前に撮られたものですが、不自然な鉱山開発が人々の暮らしに与える影響について記録しています。実は、知り合いのカリンが民族がたくさんこの地域のポケット・マイニングに参加していて、個人的にたいへんなじみのある場所です。より深く北ルソン、あるいはバギオに住む先住民族の暮らしの現状を知りたい日本の方を、ときたま案内する場所でもあります。

 CGNが、この「Moving Mountain」を上映するのは今回が3度目。
1回目は作品が完成したばかりの2002年に、CGNがはじめて主催したアースデイのプログラムの一環でセント・ルイス大学の視聴覚室で上映しました。当時はボイェット監督とは面識なし。
 あれから7年。昨年、CGNでコーディリエラの環境問題を扱った映像上映を企画したときに、「Moving Mountain」を思い出し、監督に連絡をとり初対面。
「バギオでMoving Mountain を上映したことがありますか」
とうかがったら
「多分6、7年前に一度だけ」
とのこと。
それってもしかしたら、CGNが企画したアースデイ・イベントのことでは!?

 いくら繊細なる鉱山問題を含む映画であるとはいえ、政治的にそれほど偏った視点もなく、大変な労力とお金を費やしてコーディリエラ地方を舞台につくられたドキュメンタリーが、この7年間、バギオ市の人々の目に触れる機会がなかったなんて、なんともったいないことかと思い、私が観たかったそのほかのボイェット監督の作品とともに上映会と監督によるFORUMをフィリピン大学バギオ校にて開催しました。それが2回目です。

 そして、今回が3回目。今回もボイェット監督自らDVDを携えてバギオ入り。映画を見てくれた人たちの質問に応えてくれました。

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   ↑左の立って質問に応えているのがボイェット監督。キドラット・タヒミックも鑑賞。


 ボイェット監督は今はマニラのケソン市をベースとしていますが、出身はバギオ。キリスト教のコンベントで育ち、山岳地方各地を家族とともに宣教した経験を持ち、イロカノ語はもちろん、イスネグ語まで解します。  CGNは、この「Moving Mountain」を含むボイェット監督が情熱を傾けて撮りつづけている環境映像のバギオでの上映に協力していこうと思っています。環境問題に関する情報は、いろいろ多様であれば多様であるほどいいと思っています。それぞれの立場で、向き合っている環境の捉えかたはいろいろですから。グローバルな視点で地球温暖化を語るのだけが正しい環境活動家とは言えないかもしれません。

 ボイェット監督の作品上映に興味のある方。ぜひ、CGNまでご連絡ください!

by cordillera-green | 2010-04-26 23:56 | 環境イベント


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