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ブギアスでの植林-160名のボランティアと木を植えました

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 キープ協会(山梨県)と共同で実施している緑の募金公募事業「ベンゲット州ブギアスにおける水源共有林の再生および保護事業」は、雨期に入って植林作業が急ピッチで進んでいます。

実は、フィリピンではアキノ政権が国を挙げて「国家緑化プロジェクトNational Greening Project(NGP)」を2011年に立ち上げ、2016年までの6年間で150万ヘクタールの国土(共有地)に1憶5000万本の苗木を植えようという壮大な計画があります。

ホームページにある年次計画はこんな感じです。

Year 1: 100,000 ha100 M seedlings
Year 2: 200,000 ha200 M seedlings
Year 3: 300,000 ha300 M seedlings
Year 4: 300,000 ha300 M seedlings
Year 5: 300,000 ha300 M seedlings
Year 6: 300,000 ha300 M seedlings
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 政府のありとあらゆる機関に植樹通達が出ていて、天然資源省、警察、学校関係、バランガイなどなど、だれもかれもが苗木探しに奔走し、ノルマを果たそうと必死な形相。7月28日(土)には、ブギアス町のあらゆるセクターが参加して大がかりな植林事業が行われることになり、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)も合同植林事業に参加しました。
 雨期真っ盛りとはいうものの、このところバギオはうんざりするような雨続き。植林は根が付きやすい雨期に行うのが普通なので雨の中の植林作業は当たり前なのですが、この日は幸いもに雨が降り出すのが遅かった~~。朝早くから作業を開始した住民ボランティアは約160名。久々の青空とお日様の光を楽しみながら、天然資源省CENROの職員、警察官、キリスト教関係者など総動員で国道沿いなど3カ所に植林をしました。
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 バギオ市の英語学校CNSで学ぶ日本人マネージャーと韓国人学生、8月からCGNのインターンとなるヤス君も植林初体験。バギオとは違った壮大な山の景色に感動する一方、植樹地のあまりの急斜面に唖然。植樹作業の厳しさを実感していました。
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 植樹地のブギアスはバギオから車で2時間半ほどの高原の野菜の産地。コーディリエラ地方の山岳部を水源とする13の河川のうちのひとつアグノ川の水源がブギアスにあるのでが、広大な共有林が地元住民によって野菜畑に転換されてしまっています。急峻な斜面の見事なばかりの段々畑には息をのみますが、調子に乗って山のてっぺんまで木を切りつくし畑にしてしまったため、ブギアスの人たちは今深刻な水不足に悩まされています。水源は枯れ、野菜栽培のための水は雨頼み。雨期にしか栽培できない畑が増えました。それに加えて最近の異常気象で雨期の雨量や台風の襲来が増え、災害で野菜が被害を受けることも頻繁。さらに、中国からの安価な野菜の輸入により野菜の価格は左右されるようになり、価格は不安定極まりないと言います。白菜は1キロ5ペソなんてこともあるそう。野菜農家の人の暮らしは苦しくなる一方です。
森林の行き過ぎた畑への転嫁による環境への影響は、水不足にとどまらず、地盤沈下も引き起こしているほか、化学肥料の大量使用により水質汚染も起こっています。一時「野菜王国」を高らかに誇っていたブギアスは深刻な事態に直面しているわけです。
 老人たちの中にはこういった状況に危機感を抱き、「私が子供だったときはこの辺りは森だったのです。元の森に戻さなければならない」という声も聞かれるようになりました。事業地であるレンガオアン・バランガイ(村)のバランガイ・キャプテン(村長)も本気で、広がりすぎた野菜畑をもとの森に戻すために行動を開始し、CGNにサポートを求めてきて、今回の事業がスタートしたというわけです。
 
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 共有地であるはずですが、そこをたいへんな努力をして開墾したのは農民たち。いくら「ここは共有水源地。皆の暮らしのために元の森に戻すから植林させてくれ」と言ってもすぐには「うん」とは言いません。CGNの担当スタッフとバランガイの役員たちは1軒1軒、不法に共有林を畑としている農家を回り説得し、「畑を放棄する」という契約書にサインをしてもらっています。実はこの植林事業でもっとも困難なのは、植林作業の裏にあるこういった地道な活動なのです。
 
 今回の植林に参加していた天然資源省CENROの職員は CGNの担当スタッフを捉まえて、国家緑化プロジェクトにおける中央からの命令と山岳地域の現状のギャップについてずいぶん話をしていました。ブギアスの植樹ノルマは130ヘクタール。しかも最低3ヘクタール以上のまとまったエリアでないといけないそう。もちろん共有地に限ります。植える苗木はベンゲット松。植樹間隔は5×5か4×5フィート。コーディリエラのような山岳地方では通常2×2、あるいは2×3フィートで植えるのが普通なのですが。
 国家を挙げての植樹計画。気候変動、地球温暖化が叫ばれる中で素晴らしい計画です。どうか、植樹本数だけを国家の宣伝材料に使うのではなく、育てていくことに焦点を当てた植林活動にじっくり取り組んでもらいたいと思います。

(反町眞理子)

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↑担当スタッフ・ブルーノ、CNS英語学校のまみさん、新インターンのヤス君と

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by cordillera-green | 2012-07-31 20:48 | 植林/アグロフォレストリー