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「フィリピンのアートと国際文化交流」(鈴木勉著:水曜社刊)でCGNの活動が紹介されています

 
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フィリピンは世界でももっとも多く日本のNGOが活躍している国の一つだと思います。特にマニラの有名なごみ捨て場「スモーキーマウンテン」は以前から日本人にとってはたぶんフィリピンで最も有名な場所でしょう。ゴミ捨て場の場所はだいぶ前にケソン市のパヤタスに移っていますが、地道にこの地域で支援活動を続ける日系NGOもいくつかあります。

 また、日比混血児「ジャピーノ」、ストリート・チルドレンのサポート、貧困層への医療の補助、女性支援など、さまざまな分野で日系のNGOが活躍しています。多くがマニラ周辺の貧困対策がらみの活動でしたが、マニラを足掛かりに最近は地方に活動の枝を伸ばし始めているNGOも多くなりました。
 地方進出とともに、地方の貧困層の必要としている生計向上プログラム、環境破壊を食い止めるための保全活動、村のクリニック建設などの衛生保健分野のサポート、遠隔地に暮らす先住民族のための教育や栄養サポートなど、活動の内容も幅がどんどん広がっています。

 私たちコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は日本のNGOではなく、フィリピンで法人登録しているローカルNGO。なので、多くのフィリピンで活動している日本のNPO法人とはちょっとスタンスも成り立ちも違います。もともと最初に始めた活動が、マニラからバスで12時間離れたカリンガ州に住む先住民族のための教育委支援と環境保全に対する意識を高めるための啓蒙活動(ポスター制作&配布)。いや、今から考えれば、怖いもの知らずでもっともハードルの高い地域とテーマから始めちゃったわけでした。それ以来、11年近いNGOの日々は悪戦苦闘の毎日でしたが、最近はようやく手法も何かの時の対処法も人的ネットワークも確立して、あたふたパニックの頻度は減ってはきました(まだありますが)。

 設立以来11年間、いかにして閉鎖的で頑固で、でも歌と踊りが何よりも得意で好きな先住民族の人たちに、環境の大切さを教えたらいいかと試行錯誤を繰り返してきたのですが、たどり着いたのが「“アート”と“伝統文化”で環境教育!」です。 私自身が長く深く先住民族の人たちと交流しその文化を知るうちに「実は私たちが教えることなんて何もなく、彼ら先住民族が先祖ら以来伝えてきた知恵に学ぶべきなのだ」と気づき、それをこれからの次代を担う先住民族の子どもたちに楽しく伝えていくことこそが一番なのではないかと行きつきました。伝統文化の見直しは先住民族としての彼らの誇りを復活にもつながります。

 2005年から5年間、国際交流基金マニラ日本文化センターの所長を務められた鈴木勉さんは、そんな私たちの地味な活動の力強くサポートしてくれました。演劇を通して環境教育を行う「コーディリエラ・ユース・エコサミット」のために、会場のものすごい山の中のカリンガ州ルブアガンや鉱山の村ベンゲット州マンカヤンにまで足を延ばしてくれました。その行動力には恐れ入っていました。
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     ↑2009年カリンガ州ルブアガンでのエコサミットに参加
      日本からのゲストアーティストやCGNと現地のスタッフと。
      最前列の左端が勉さん。

 勉さんは、マニラやそのほかの地域でもあまり知られていないフィリピンのアーティストたちに会い、日本や世界の人にその素晴らしさを伝えようと積極的に活動されていました。映画、演劇、パフォーミング・アート、映画などなど、自分で見、出かけて行ってアーティストに話を聞き、メインストリームにある有名な作家だけでなく、コミュニティ根ざして活動する作家、先住民族文化、社会的メッセージの強い作家などなど、なかなか外国に紹介されない個性的なアーティスト達、そしてそういうアーティスト達と草の根で交流しようという日本のアーティスト達のバックアップを骨惜しみ失くしてくれていました。
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    ↑ルブアガンのエコサミットの会場となった
     セント・テレシタ・ハイスクールの学生たちのパフォーマンス      

 そんな勉さんのフィリピンでの5年間の経験をもとにして書かれた本「フィリピンのアートと国際交流」(水曜社)が出版されました。「フィリピンアート・ガイド編」「国際交流・実践編」と2部構成のこの本は、フィリピンやアジアのアートに関心のあるアーティストにも、国際交流で活動したいと思っているNGOやNPO関係者にもぜひ読んでもらいたい本です。「豊穣の島々から、世界へ」と帯にありますが、日本にはまったく紹介されてこなかった知られざる豊かなフィリピンの文化を知ることができます。また、 CGNと反町の活動についても「カタリスト(触媒)としての国際交流」という項でしっかり紹介していただいています。

 
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     ↑ベンゲット州レパント鉱山での「エコ・キャラバン」です。


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「フィリピンのアートと国際文化交流」

鈴木勉 著
A5判並製 240頁予定
予価2,940円
(本体 2,800円 + 税5%)
978-4-88065-284-9 C0036
好評発売中

ネガティブな社会情勢とは裏腹な芸術の宝庫、豊穣の島々・フィリピンからはじまる国際交流

フィリピンは一般的にネガティブな印象で語られることが多い。不安定な社会や貧困。政治腐敗と治安の悪さ。日本映画で描かれる暗黒世界マニラ……。
しかし現実は演劇、映画、社会派アート、フェミニズムアートからゲイカルチャーなど都市部、地方を含め様々な活気のあるパフォーミングアートの宝庫でもある。

本書は第1部でフィリピンの活気に満ちた現代文化とアートを中心に、この国の多様な姿を紹介し、第2部では国際文化交流の現場から、日系移民らの現在とNGOの活動、国際共同制作による現代演劇や日本のポップカルチャーとの新たな交流など、新時代の日本とフィリピンの関係性を模索する。

著者:鈴木勉(すずき つとむ)
国際交流基金、バンコク日本文化 センター、アジアセンター知的交流課、ジャカルタ日本文化センタ ー、などを経て2005年からマニラ事務所長。東南アジアでの日本 文化の紹介や現地文化財保存プロジェクトなど担当。朝日新聞、 週刊エコノミストなどへ執筆多数。

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by cordillera-green | 2012-08-13 23:02 | アート