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2012年 09月 24日

コーヒーの森づくり事業 2年目終了間近です

WE21ジャパンと一緒に実施中のベンゲット州トゥブライ町のコロス集落における「コーヒーのアグロフォレストリー栽培による災害に強いコミュニティづくり」プロジェクトは2年目の終盤を迎えています。
例年にない長雨に見舞われた雨期もそろそろ終わりに近づき、日中は快晴、夕方から夜にかけて雨という植林には理想的なお天気続き。コロス集落の人たちも張り切ってコーヒーの植樹を進行中で、目標本数を植え終わっていないのは22名のうちあと4名となりました。その4名も2年目の事業終了の今月末には植え終わるのは確実です。
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   →WE21のモニタリング視察(8月)。雨の中で強行。

そんな中、本年度最後の講習会も実施しました。今回は座学ではなく、すでにコーヒーの収穫が本格的に始まっている農園を訪問し、コーヒー栽培組合の方にお話を伺うことになりました。
訪問したのはベンゲット州トゥバ町ポブラシオン。
トゥバ町でコーヒの栽培が始まったのは1986年とのこと。今ではコーヒー栽培農家は100軒以上もあるそうです。今のようにコーヒー栽培の技術指導をしてくれる機関がなく、植え方も育て方もみな工夫しながら行ったそう。でも、ちゃんとアルヌスやベンゲット松のシェイドツリーの下でコーヒーの木が元気に育っていました。
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このプロジェクトでコーヒー栽培の講習会を受けてきたコロスの人たちは、
「この木はもっと剪定しないといけないな」
「葉に斑点が出ているから病害虫にやられている」
「樹と樹の間隔がが狭すぎますね」
「松の木の下でもちゃんと育っている」
とさながらコーヒー栽培専門家。きちんと学んだことが身についている証拠です。
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 ↑講師を務めてくれたShirly Palao-ay さん。
  Tuba Coffee Growers Associationのリーダーです。
  体験に基づいた話が何しろ説得力があります。

トゥバ町役場の一室には最近、農地改革省(DAR=Department Agrarian Reform)から支給されたというピカピカのパーチメント用の脱穀機も設置されていて、コロスの人はちょっとうらやましそう。
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選別のための穴あきのテーブルも設置されていました。
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皮むき器は、金属製の歯ではなくゴムを利用したもの。
「これならコーヒーチェリーは傷つかない」
と感心するコロスの人たち。
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こういった栽培地の訪問で収穫に対する具体的なイメージを持つことで、植樹はもちろん、コーヒーの木の手入れにもやる気が出てきます。収穫まで3-5年。頑張りましょうね!

もう一カ所、トゥバ町タロイにあるバイオガス施設も訪問しました。豚舎の豚の糞尿を集めて地下のタンクに貯め、メタンガスを発生させて燃料として煮炊きに使うというシステムです。ティノさんがこのバイオガス装置を作ったのは1996年。もう16年も稼働し続けています。
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タンク自体は地中なので、見ることができるのは糞尿の入り口と、メタンガスのパイプが行きつく先のガスコンロのみ。
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コロスの人たちは青い焔に感嘆の声。
「バイオガスの話は聞いたことはあったが信じられなかった。今、実際に目にして納得した」
と、ものすごく熱心にティノさんを質問攻め。
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LPGプロパンガスは値上がりを続け、今では800ペソ(1600円)もして、コロスの平均的な家族ではかなりの高級品です。しかたなく、みな松の木の枝を薪としていますが、薪集めは高齢化が進むコロスではなかなかの重労働です。それに加えて、再定住地でのトイレの問題も浮上しているらしく、
「人間のトイレを使ったバイオガス装置も可能か」
といった議論にも発展しました。

-豚を飼うことで、収入にもつながる。
-豚の糞尿の活用により水や土壌の汚染がなくなる。
-バイオガス装置で燃料を作ることができる。
-薪収集による森林破壊が食い止められる。
と一石二鳥ならぬ4鳥?
なんだかいいことづくめのバイオガス。
やはり森林破壊が深刻なネパールではすでに1200基が作られ、政府も1基当たり300ドルの助成をしているとか。

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  ↑ネパールでバイオガスを普及しているLOVE GREENのバイオガス設計図です。
   ティノさんのも、CGNが作っているもの基本は同じシステム。

CGNでは、カリンガ州パシルやマウンテン州タジャンでモデル事業を行ったこともあります。これからどんどん需要が増えていきそうな気配です。

by cordillera-green | 2012-09-24 17:01 | 植林/アグロフォレストリー


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