2012年 12月 18日
かまぼこアートセンターってふざけた名前。いったい何? なぜフィリピンの山の村の環境教育ワークショップに参加しているの? って思った方も多いはず。 かまぼこアートセンターとは、越後妻有で3年に一度開催されている「大地の芸術祭」に設置されているかまぼこ型の倉庫をモチーフとしたアート作品。招待作家の小沢剛君が2003年にこの地域で目にするかまぼこ型の倉庫に目をつけて、「なぜかまぼこ型?」「どうしてここなの?」との素朴な疑問に端を発して、あれこれ調査や想像を膨らませていった結果、大小7つのかまぼこ倉庫をアート作品として展示したのがはじまりだそうです。 その後、この倉庫をアートセンターとして、中に作品を展示してくれる作家を一般公募。厳選なる選考かどうかはわかりませんが、見事選考された作家たちが、かまぼこアートセンターのアーティストというわけです。 かまぼこアートセンターのHP http://kamabokoartcenter.com/news/1307/ なぜ、かまぼこアートセンターのアーティスト達がコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)主催の環境教育ワークショップに参加することになったのか? かまぼこアーティストのいわばボスである小沢剛君と私が、古――い友人で、さまざまな腐れ縁でつながっているという関係からなのでした。 小沢剛HP http://www.ozawatsuyoshi.net/ もともと小沢君と知り合ったのは90年代初めのタイのバンコク。当時、「地蔵建立」というアートプロジェクトで世界の紛争地域などに平和のための地蔵を建てようという計画を持っていた小沢君を含め、どういう縁かで集まった数名でタイ・ビルマの国境を越え、当時、武装していたカレン族解放区の軍事拠点マナプロウというところに一緒に行くことになりました。 今やすっかり有名になった環境保護団体GREENPEACEの若者や、早稲田大学のカパティ部の学生、小沢君、当時ジャーナリスト志望だった私、そして私たちに声をかけてくれたアラビア語をしゃべる謎の若者というメンバーだった気がします。 当時のビルマは1988年の民主化を求める学生のデモに軍が発砲して多数の犠牲者をだし、また政治犯としてたくさんの活動家が拘束されていました。軍の拘束を逃れた学生運動の指導者たちはカレン族の解放軍の拠点のタイ・ビルマ国境の山中に潜んでいたという状況でした。 そんな紛争地域で平和を祈る大きな「地蔵」を建てようという小沢君の計画に何の縁か同行することになったわけですが、泊めてもらっていた学生軍のキャンプが政府軍の爆撃を受け、大きな地蔵の建立どころでなく、防空壕の中で迫撃砲の飛んでくる音にびくつきながら、それでもアーティスト魂を奮い立たせ、ほとんど恐怖に涙ぐみながら地蔵の絵を描いてカメラに収めていたような気がします(おぼろげな記憶)。なんとかタイに生きて戻ってそこで一行は解散し、小沢君は北に向かっていったと思いますが、あとから聞いたところだとバスの中で泥棒にあってすべてを失ったとか。その、命からがら撮った防空壕の地蔵の写真もです。そんなわけで作品には残っていないビルマの旅が、出会いだったわけですね。 その後、人生いろいろで、私は1996年にフィリピン移住。2001年に現在のコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)を設立し、最初のプロジェクトが「コーディリエラ・エコロジカル・ペインティング・コンペティション」という環境問題啓発ポスターに使う絵を公募で選ぼうという企画でした。バギオは「バギオ・アート・ギルド」という団体がインターナショナル・アート・フェスティバルなどを開催していて芸術の街として知られていましたが、一般の人のアートに対する感覚はたいへん保守的。せっかくアートコンペをやるなら、ちょっと違う視点で作品を見てくれる人がいるといいなと思って、古――い記憶をたどり、小沢君に 「審査員で来ない?」 と声をかけたのでした。 たぶんすでに結構忙しい売れっ子だったはずなのに、ギャラも出ないこのボランティア仕事に 「行こうかな」 って来てくれたのが再会のとき。バギオのビクトリーバスのターミナルで、昔と同じバックパック一つでぼーっと立っていて、迎えに行った私に開口一番 「俺、なんでここにいるんだろう」 と言ったのを今でも覚えています。縁とはそういうものなのよ~~。 その時の滞在では、コンペの会場に来ていたかわいい女子大生をスカウトし「ヴェジタブル・ウエポン」シリーズの制作をしました。(その子は今バギオの新進作家の奥さんでうちの子どもの数学の家庭教師です!) それから数年後、フィリピンに移住するときに今やすっかり有名になった映像作家の鎌仲ひとみさんに貸していたさいたまにある実家の持ち家を別の人に貸すことになり、「おんぼろのまま有効利用してくれる人はいないかしら」と思って思いついたのが小沢君。 「広いからアトリエにもなるよ。庭もあるよ、池もあるよ。鳥も来るよ」 と声をかけたのですが、 「東京を出るには抵抗があるな。さいたまか。。」 と贅沢を言っていました。 今ではすっかりボロ家をかわいがってくれているみたいで、懐かしの庭が古墳発掘現場に姿を変えアート作品になっていたのを発見して驚いたこともありました。 その後は店子と家主の関係なのですが、帰国の際に 「家の様子を見に行く」 とこじつけてたま~に寄らせてもらったり。。。。 縁はまだまだ思わぬ方向に向かっており、妻有トリエンナーレ「大地の芸術祭」でフィリピンからの招待作家の在バギオの作家キドラット・タヒミック(すごい仲良しなのです)と小沢君が、2015年の大地の芸術祭でコラボするとの話。そんな計画の打ち合わせ・準備などで小沢君もすごく久しぶりに最近、バギオにやってきたりしています。 ↑キドラットさん。エコアートフェスにも駆けつけてくれました そんな流れで、今やすっかり知られる現代美術家になった小沢君が 「若い作家にも色々な経験してもらいたいんだよね」 と、CGNが主催している山の村でのアートプログラムにかまぼこアートセンターのアーティスト達が参加できないかという話に発展したというわけです。 前置き長すぎですね。自分でもどうしてこういうことになったのかほとんど記憶がなかったので思い出しながら過去を振り返ってみました。 そんなわけで今回のアートを活用した環境教育ワークショップシリーズには、かまぼこアートセンターから山本麻世、小池芽英子、荻野ちよ、深澤孝史、寺澤伸彦の5人の作家が参加してくれました。エコ・アートフェスには、深澤さんを除く4人が参加。 (深澤さんのワークショップの様子は近々報告します) 会場に設置したソイル・ペイントのティピー・テント・ブースの一つをかまぼこアートセンター・メンバーのワークショップ会場としてお任せしました。ハイビスカス絵の具のお絵かき、コーヒー草木染めワークショップに加え、ラガン・デイケアセンターで行った深澤孝史さんのワークショップの保育園児たちの盆栽みたいなナチュラルな作品展示も。エコアートフェス中、その前後の滞在期間中、休む間もなくアートへの奉仕の日々。キッズに大人気のかまぼこメンバーたちでした。 そうそう、キドラットの長男カワヤン主催のAx(is)アート・プロジェクトの「ハルセマロード・アートプロジェクト」にも、かまぼこアートセンターの山本麻世、小池芽英子さんは参加して、フィリピンのアーティストとの交流も立派に図ってきました。 山本麻世さんはでっかい黄色い編み編みをイフガオ族の若者たちの手によって、ハルセマロード沿いシニプシップの法面に展示してもらいました。ここじゃなくちゃできん展示だあ。 小池芽英子さんは「地球を渡る鳥たちよ」と題して出会った人に鳥の絵を描いてもらったり、ずーっと持ち歩いていた黄色いフニャフニャ地球儀に書き込み&縫い込みをしてもらったりしました。 ↑CGNオフィスでスタッフにも協力求む 小池芽衣子さんはそれらを京都市美術館別館で12月16日まで開催していた「日本コリア友好美術展」で展示。日比のアート交流に大きなパワーを発揮してくれました。 ↑CGNスタッフのリリーの鳥さん ↑ラガン・デイケアセンターで書いたソイル・ペインティング かまぼこアートセンターのみなさん! どうもありがとうございました~~! (反町眞理子)
by cordillera-green
| 2012-12-18 13:45
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フィリピンの環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク」の活動を紹介するブログです。。cordigreen@gmail.com by cordillera-green カレンダー
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