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2018年 06月 29日

クムスタカ・リンク・スタディツアー 2018

コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は1年に何回か、コーディリエラ山岳地方の暮らしや文化を日本のみなさんに体験してもらい、「自分にできること」を考えてもらう機会を作るスタディツアーを企画しています。

埼玉県ふじみ野市に拠点をおく市民団体「クムスタカ・リンク」のスタディツアーもその一つです。「クムスタカ・リンク」は毎年春にふじみ野市会議員の鈴木啓太郎さんと一緒にやってくる大学生たちのグループ。パンガシナン州のマーシン村で障害のある子供たちの支援をしようということで始まった団体だそうですが、活動の幅を広げ、「学校へ行こう!プロジェクト」でフィリピンの子供たちの就学支援なども行っています。

CGNではクムスタカ・リンクのスタディツアー全旅程10日間のうち4日間を担当し、バギオ近郊の先住民の村でのプログラムを提案しています。


なんといっても「クムスタカ・リンク」スタディツアー組の特長は「もったいないレンジャー」。

ゴミをポイしてしがちなフィリピンの子供たちに、

リサイクルできるものはリサイクル!、

使えるものはまだ使おう!、

ほんとのゴミもちゃんとごみ箱に捨てて!、

自分の村をきれいにしよう! 

というメッセージを子供たちに人気の○○レンジャーによるヒーローショーで伝えようという活動です。

ピカピカ、ツルツル、パツパツの衣装も本格的にそろえて、タガログ語で演じます。先輩から後輩に受け継がれ、毎年少しずつ内容を改良しながら、続けてくれている人気のプログラムです。


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↑もったいないレンジャーを披露した後は、トリニダードの高校生と一緒にバナナの葉っぱに用意されたランチを楽しみました。



そして、もう一つ特筆すべきは、クムスタカ・リンクがスタディツアーの参加経験を帰国後に活かすために、きちんと地域で報告会を行い、また参加者全員が経験を振り返って記録集を出版していること。

今年の春のツアーについての力作ニュースレターも完成して、PDFファイルが届きました。

参加者の生徒さんが心を込めて書いた報告集です。


そして、忘れてはいけないのが、クムスタカリンクのみんなが、CGNが山の村で栽培指導しているコーヒーの生豆を仕入れて、自分たちで焙煎し、学内カフェやエコイベントなどで販売してくれていること。ツアーに参加した時だけのサポートではなく、日本でも「自分たちに小さくてもいいからできること」を探して、活動してくれている姿勢には感服です。

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↑スタディツアーではコーヒー栽培農家のお手伝いもしました。



***


以下は、スケジュールの概要です。

今年の参加者はマーシン村からランドン君兄弟4名を加え、14名でした。


【1日目】2/16(金)

午前9:00 パンガシナンにジプニーでお迎え⇒ ラ・ウニオン州バウアンへ移動( 約2時間 )     
早めの昼食
午後パブリック・マーケット見学&食材買い出し
「Villa Himawari Beach & Pool Resort」にて、海辺のクボ(小屋)と着替え用のお部屋をレンタル
・遊泳/ビーチでのんびり/周辺散策など自由行動。
夕食は、BBQを用意。
19:00出発でバギオへ移動(約2時間)
21:30頃 TALA到着
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【2日目】  2/17(土)
午前7:30 朝食 /
9:00 TALA 出発 ⇒ トゥブライ町コロス集落へ移動(約 1.5 時間 )
途中、食材の買い出しに立ち寄り"
・コーヒー農園
・農場案内
・鶏を絞めて農家さんとランチ 
午後
・鉱山開発地域の見学⇒バギオへ移動( 1時間 )"
17:00頃 TALA到着
18:00〜オリエンテーション(CGNの紹介&質疑応答)
19:00〜 夕食をとりながら、映画「クロスロード」鑑賞&感想シェア会
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【3日目】  2/18(日)
6:00 TALA出発 ⇒ Pizza Volanteにて朝食 ⇒イトゴン町へ移動(約40分)                
・フィリピン人と一緒にウラップ山トレッキング(往復約6時間)  
イトゴン町⇒バギオ市(約40分)
17:00頃 TALA到着
・翌日の準備
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【4日目】  2/19(月)
午前7:30 朝食
9:00 TALA 出発 ⇒トリニダードへ移動(約 1 時間 )
トリニダードの高校( Benguet National High School - Puguis Annex. )で高校生たちと、環境教育ワークショップと交流
・もったいないレンジャー
午後⇒バギオ市内へ移動(1時間)
15:00頃 イリリカ アーティストビレッジ前にて解散         
⇒市内自由行動:観光、買い物など  
(案)バギオ博物館、パブリックマーケット 
夜 希望者はナイトマーケットへ(帰りは各自タクシー)
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【5日目】  2/20(火)
帰路へ早朝5:00頃 TALA出発マニラへ


*****

2日目夜にバギオと郊外で撮影された青年海外協力隊50周年記念映画「クロスロード」を鑑賞したのち、宿泊先のゲストハウスTALAでCGNの反町とスタディツアー前半の振り返りを行いました。以下参加者の学生さんたちの声です。


・片柳さん

コーヒー農園では農家の苦労や作業工程を初めて知ることができたし、有機農業への関心が高まった。現在、日本で関わっている畑で活用したいと思う。映画を見て、自分も誰かに影響を与えられる人になろうと思った。


・松雪さん

ツアーで農園のパーマカルチャーの文化に感銘を受けて、自身の夢である保育士になれたら、子どもたちに物を大切にするように教えたいと思った。そして自分たちは幸せだと感じた。


・緒方さん

日本では大学のカフェで働いているので、農園でコーヒー農家の作業行程を知れてよかった。ここでの経験や感じたことを帰ってスタッフに共有したい。現地の生活や風景を映画と自分の目で見ることができてよかった。


・鈴木さん

フィリピンへは何度目かの訪問だったが今回はいつもより辺境の地に訪れて、自分が今までフィリピンを知ったふりをしていたことを思い知った。中途半端な見学や勉強には限界があるのだなということを学んだ。コーヒー農園では、その土地の人や環境と同じ視点で関わることが大事だと感じた。


・佐藤さん

2009年の土砂崩れの事故を村人が予期できた話を聞いて、自然と共に暮らしている人たちの感覚と自分たちは違うのだなと思った。そして、幸せの価値観も違うのだと思った。家族や親戚の繋がりの強さを感じたし、そこを本当に大切にしていることがすごいと思った。映画の中で一つのテーマになっていたボランティアは偽善か否かということは自分もよく考えることがある。例えばマーシー村のゴミ問題を私は気にしているが、現地の子どもたちと自分たちの価値観の違いに苦しんでいる。その問題一つを取ってもどこまで関わるかが難しく、同じ目線になることは難しいと改めて思った。下地がないところに行って一から活動する協力隊はすごいなと思ったし、興味が出た。


・須藤さん

自分は教育について学んでいますが、農園にてアグロフォレスト(パーマカルチャー)のことを聞いて植物を育てることは教育とも似ていると思った。そして日本で関わっているカフェで実際に体験ことを説明ができることが嬉しい。映画では知っていた観光地としてのフィリピンではなく、抱える問題の側面からフィリピンをみることがれた。劇中の「シングルマザーで子供を産むと働けなくなる」という言葉が印象的だった。自分の日本での活動では共働きの家庭の子を対象としているが、フィリピンにも託児所のようなものができたらと思う。


・久保田さん

農園で話を聞いてコミュニティの中で自分たちのことが完結していてかっこいいと思った。災害の時の地域の結びつきの強さに驚き、日本には無くなってきてしまってきているものだなと思った。豊かさについて再考するきっかけになった。


・鈴木啓太郎さん

海が綺麗で、手付かずのビーチに感動した。映画を見るのは3度目だが、反町さんと共に見られてよかったと思う。商業的なところでしょうがないところはあるが、やはりすこし違和感があるのは綺麗にまとまりすぎてしまっているところ。ルポならばもっと違うエンドになっていると思うし、実際に協力隊の人や関係者はそういうことを思いながら見ているのだろうというところまで思いを至らせることができると深みが出ると思う。しかし、協力隊の活動を見直すにはとてもいいきっかけになると思う。経済的な発展もマニラで垣間見て、他の地域との格差の拡大を強く感じた。これからのフィリピンについては、そこをカバーしていく動きがないと今の良さが無くなってしまうと思う。


・加藤さん

環境や農業にはそこまで関心が高くなく詳しくなかったのでとても新鮮だったし、いい経験になった。フィリピンは2回目だが前に訪れた村とは違う村の現状を知れて良かった。日本では福祉の勉強をしているがフィリピンは福祉の格差も大きいと感じる。そこにはお金が大きく関係していると思う。この問題をどうにかしたいなと思った。映画鑑賞では自分のできる範囲で精一杯やることが大切だと感じた。なので、今回車椅子とマットレスを実際に村に持っていけて良かったと思う。


・島村さん

コーヒーは大好きだがコーヒーが何からできているかを初めて知った(笑)。フェアトレードやアグロフォレストリーを実際に見ることができてより理解が深まった。日本では肉片の形でしか見たことがないので、鶏をしめるのを見学できたのは貴重な体験だったと思う。映画の鉱山問題については、綺麗な海や山などのフィリピンのイメージに反してこういった問題もあるのだなと驚いた。来年から社会人なのでこの経験を活かしていきたい。


・ランドンさん

2013年にキブガンで体験したことが蘇った。今日の活動(アグリフォレスト)は2016年に日本で出会った3人の農家たちと同じビジョンだったと思う。CGNの活動やパーマカルチャーの思想はとても難しいが、先進的なことなので色んな人にこの思想が伝わればいいと思う。特に友達の多いマニラやマカティにも。映画はメッセージ性が明確だったので感銘を受けた。


・CJさん

コーヒー農場では全て無駄にしない姿勢やエコシステムが素晴らしいと思った。環境の持続可能性に目を向ける活動に感銘を受けた。自然は誰のものでもなく次世代に残していくものだからだ。また、昔自分が訪れた時とは違って人口が過密で、交通手段に大きな問題をバギオは抱えている。大学の専攻で扱っているマニラの問題だけではなく。他の地方にも様々な問題もあるということに改めて気づいた。映画を見て鉱山地帯での問題にも考えさせられるものがあった。


・マシューさん

コーヒー農園での今日のレクチャーは初めての経験だった。フィリピンの農園のことについて色々知れたし、パーマカルチャーの生きるものと生きてないものを分け隔てなく全体を俯瞰して見るエコシステムに感銘を受けた。映画では鉱山の問題について地方のリアルな問題を知れた。これからそれらの問題が、CGNの活動などを通して改善されることを強く望む。


・ジーノさん

コーヒー農園では体験を通して多くを学べた。私はあのコーヒー農園の農家の姿勢が好きだ。この思想(アグリフォレスト)をみんなが学んでいけば、もっと改善されることがあると思う。映画に関してはフィリピンが持つ問題について考えさせられた。

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by cordillera-green | 2018-06-29 21:59 | スタディツアー


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