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2019年 10月 08日

コーヒー育苗による森林保全事業 2018-2019報告③ 受益者と担当した森林官の感想

マンカヤン町バリリ村

マンカヤンには以前からコーヒーの木があったが、このプロジェクトは新しい取り組みだ。しかし、種まきから苗木ポットに移すまでの育苗は少々複雑だった。私たちは実生の苗から栽培することに慣れている。いままで私たち農家は何の手もかけず、ただコーヒーの苗木が自然に育つままにしてきた。プロジェクト受益者になってよかった点は、苗場での育苗が重要であることを知ったことだ。また、たい肥、有機肥料、化学肥料のいずれもが、苗木栽培を促すことを知ることができたことだ。

 わたしたちは苗木を大事に育てている。これらの苗が、新しい苗木づくりにつながるからだ。将来は、育てた苗木をコーヒー栽培に興味がある他のコミュニティに共有したいと思っている。バリリ村がマンカヤン町のコーヒーの苗木の供給源になることを目指したい。

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カヤン村

タジャン町は、昔、森林を守るバタンガンBatanganという 伝統システムがあったが、今それが町の条例として復活している。また、結婚するすべての夫婦は、植林をしなければならないという法律もある。カヤン西村では、毎年6月12日(注:フィリピンの独立記念日)に植林をしており、すべての家庭はカヤン村の共有林に植林をしなければならない。そのため、カヤン西村では、苗木を生産する苗場が必要なのだ。

CGNは、2年前に始まった事業で、共有林での植林だけでなく、私有地でコーヒー栽培をすることを住民に教え始めた。カヤン西村の行政も住民も私有地にも植樹をすることを推奨してきた。今回のプロジェクトで、そのための苗木を無料で手に入れることができるようになったのだ。

カヤンには以前はコーヒーの木があった。そしてコーヒー豆はお金の代わりとして砂糖との物々交換に使われた。しかし、いつのまにか誰もコーヒーを買わなくなり、コーヒーの木は手入れをされずに放られたままになっていた。しかし、住民たちはいま一度、違う品種のコーヒー栽培をし、コミュニティを豊かにしたいと思っている。コーヒーの木の面倒をちゃんとみてなるべく早く収穫を得る決意だ。

だが、コーヒーは他の植物と違い、入念な世話が必要な植物だ。夏の間の苗木は、水が不足し、ゆっくりとしか育たない。雨季の間は、コーヒーの木を食べる害虫が出るため、常に苗木の世話をする必要がある。それでもやはり、コミュニティにとって苗木生産は社会生活のサポートとなるであろう。育てだ苗木を環境資源省(DENR)が実施する他の植樹プロジェクトに販売することも可能だからだ。

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 アンバサダー村

(CGNが9年にわたって事業を行っているので)アンバサダー村コロス集落の住民は、アグロフォレストリーについてよく知っている。環境面、社会面においてアグロフォレストリーの重要さが分かっている。彼らは、環境保全のためにコーヒーを植林し、また一年の終わりの追加の収入源としてもコーヒーを栽培している。

ここの住民は苗場造りから収穫後の加工に至るまで、コーヒー生産に関する技術について知識がある。苗場造りも新しいことではなかった。しかし、それでも新しい品種の栽培には関心がある。その品種がたくさん実をつけ収穫量が多く、将来の暮らしの向上に役立つかもしれないからだ。

今回のプロジェクトを通し、苗木の質向上のためにも、まだまだ経験を積む必要があると感じた。過去にコミュニティを訪れてくれた山本博文氏、スマトラ島から訪ねてくれたガニ・サリバンGani Silaban氏もそうだが、今回講師を務めてくれたジャワのエコ・ポロムウィディEko Poromwidi氏から学ぶ機会をもてたことには、とても感謝している。コーヒーの品質の良しあしは苗木づくりが決定づける。いい苗木を植えることができたら、確実にその木はよく育つということを学んだ。

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森林官・リリー・ハミアスの感想

異なる地域、異なる標高、異なる文化の地域で活動することになったが、プロジェクトに対する誠意と意欲は共通しており、プロジェクト遂行は難しくはなかった。彼らのプロジェクトへの誠意を感じたので、苗場造成の困難を乗り切れると感じながらプロジェクトを担当してきた。彼らの文化は、彼らの仕事の仕方、そして育てている苗木にも影響していると感じた。

一方、コーヒーに関するある先入観やある程度の知識を持った農家と接するのは難しいと感じた。真によい品質の苗木を栽培したいと欲しているものは、きちんと細部まで気を使って仕事をする。ここでも文化は人の仕事の仕方に影響を及ぼすと実感した。

この苗場プロジェクトはコーディリエラ山岳地方で唯一無二のものである。この事業は、ほか地域のコーヒー農家、コーヒーに関する研究者に基礎的な情報を提供し、今後のコーディリエラ地方のコーヒーの品質向上に貢献することだろう。 

苗場における調査では、苗木が苗場でいかに生育するかを知ることができた。しかし、引き続き移植後の生育具合の観察を続けていくことに尽力したい。苗場における環境と、移植後の外の環境では異なっているからである。
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by cordillera-green | 2019-10-08 01:06 | 植林/アグロフォレストリー


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