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2024年 06月 30日

CORDILLERA FOLKTALES –子供たちのための環境&アートワークショップ【フンドゥアン編】民話語りの取材

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事業期間:2023年4月~2024年3月
事業地:フィリピン共和国コーディリエラ地方
助成:りそなアジアオセアニア財団環境助成

●イフガオ州フンドゥアンでの民話の聞き取り
期間:2023年8月17日~21日

 世界遺産の棚田で知られるイフガオ州フンドゥアン町で民話の聞き取りを行った。フンドゥアン町には道路の至っていない村がいくつかあるが、そのうちの一つであるルボオンLubo-ong村の小学校教員から、環境教育プログラムを実施してほしという要望がCGNに届き、また、ルボオン村に若き語り部がいるという情報を得て、ルボオン村に民話の聞き取りに行った。
ルボオン村には車を降りてから急峻な山道を徒歩で約3-4時間。いまも昔ながらの暮らしを伝える小さな村であった。しかし、グローバリゼーションの影響はこんな遠隔の村にも届いていて、生計手段を求めて、働き盛りの村人たちは道路近くに移住し、森林を切り開き、販売用の高原野菜の栽培を始めていた。村に残されているのは、幼い子供たちと母親、そして老人たちが多かった。

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民話の語り部は、若干39歳のダーウィン・ティヤブDarwin Tiyabさん。祖父から聞いたという以下の3つのお話と2つの詩に加え、なぞなぞも紹介してくれた。
1.ガンガーの物語:バナウエ町とルボオン村のいさかいに関する物語。
2.バンバンリ:障害を持つ孤児が、魔法をかけられた生き物の助けを借りて人生の苦難を生き抜く。
3.パホック:一人の誇り高きハンターが、いかにして自然から罰せられたか。
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ルボオン村ではダーウィンさんのほかにも、2人の元バランガイ・キャプテン(村長)の老人たちが物語を共有したいと、CGNチームが滞在していたバランガイ・ホールを訪れた。高齢であることから2人とも記憶が定かでなく、一人は時間軸があいまいな物語を話した。もう一人は、すでにイフガオの人にはよく知られているイフガオ創世の伝説を話した。
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翌日(2023年8月19日)は、山道を道路まで戻り、そこから借用車でポブラシオン村に移動。バンバン村出身のカミア・ドゥルヌアンCamia Dulnuanさんから民話の聞き取りを行った。カミアさんは以下の3つの民話を話してくれた。

1. 壷の話 :カブニャン(天上の世界)に行った青年ダノが、幸運をもたらすために戻ってきたが、家族は信じなかった。ダノが天界から持ってきた壺は今も受け継がれ、ハパオ村の誰かが所有しているという。
2. 猿の金のネックレス :バンバン村で生まれた物語。
3. ピューク(台風) :ある日、インハビヤンは風にさらわれた。インハビヤンにはブガンという妹がいる。インハビヤンは風の姿でブガンを訪れ、ブガンに子孫が自分たちの財産を認め、ピューク(台風)から免れるよう、風のために田んぼを作るよう伝えた。
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翌日(2023年8月20日)には、ハパオ村で観光ガイドをしているジョセフ・マディヲJoseph Madiwoさんから、両親から伝え聞いたという2つの物語を聞いた。

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「ワリホンとプゥウインガン(Walihon ki Punwigingan )」
指を使って狩りができる父親の狩猟物語。父親は息子に森での狩りのルールを教えた。しかし、息子はその指示に従わず、森で大きな動物に食べられてしまった。息子が森から戻らなかったので、父親は何が起こったのかを確かめに行った。父親はモチ米を持っていき、息子を食べた動物を見つけて殺した。その動物の腹には息子の骨が入っていた。父親は骨を取り出し、人間の骨格のように並べ、持ってきたモチ米を使って骨をつないだ。最後に息を吹きかけると、息子は生き返った。
「イントゥゲイとインゥイェイという兄弟の話」
イントゥゲイはバンバン村のジヌムタッドと結婚し、口蓋裂の子供を授かったが、二人は赤ん坊が口蓋裂であることを受け入れられず、生まれた子供を壷の中に入れてしまった。イントゥゲイの妹のインゥイェイは兄を訪ね、偶然にも壷の中に閉じ込められた赤ん坊を見つけてしまった。哀れに思ったインゥイェイは赤ん坊をハパオ村に連れ帰り、育てることにした。ある日、イントゥゲイとジヌムタッドがインゥイェイを訪ねて行くと、口蓋裂の子供がいた。自分たちの子供かもしれないと思ったが、恥ずかしくて聞けなかった。家に帰り、赤ん坊を入れた壷の中を調べてみると、赤ん坊はもうそこにはなかった。そして、インゥイェイの家で見たのが自分たちの赤ん坊だと確信した。二人が死ぬと、すべての財産は口蓋裂のあるその子のものになったのだ。

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聞き取った民話はすべてイフガオに住む人々の民族語の一つであるトゥワリTuwali語で語られた。8つの民話の書き起こしと英語訳の下訳は、民話の聞き取りに同行した在フンドゥアン町のマリセル・ガンゴッドMaricel Gangodが担当。在ラ・トリニダードのイフガオ州出身のライターであるリチャード・ハンダアン・キヌッドRichard Hangdaan Kinnudさんが、最終的な書き起こしと翻訳作業を行なった。
キヌッドさんによって書き起こしと翻訳が終わった8つの民話は、ポッドキャストで公開した。民話の英語訳はCGNのブログサイトに「CORDILLERA FOLKTALES」のブログを開設しそこに掲載した。YouTubeで公開予定の語りのビデオは、字幕付けがたいへんな作業となっていて、3年目に持ち越された。

●聞き取った民話をテーマとしたワークショップ
民話をテーマとしたワークショップはルボオン村の小学校本校と、道路沿いに1年前に設立されたという分校の2校で行うこととした。ルボオン小学校本校では民話をテーマにした演劇ワークショップを行い、分校ではヴィジュアルアートのワークショップを行った。事業1年目のタジャンでの経験から、民族語の書き起こしと翻訳がたいへん困難であることが分かり、言葉を主とするラジオドラマではなくアウトプットは演劇とし、YouTubeでビデオとして発信することとした。




by cordillera-green | 2024-06-30 12:07 | 環境教育


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