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2025年 06月 30日

CORDILLERA FOLKTALES –子供たちのための環境&アートワークショップ【カリンガ州ルブアガン編】コンテンポラリーダンスワークショップ

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事業期間:2024年4月~2025年3月
事業地:フィリピン共和国コーディリエラ山岳地方
(カリンガ州ルブアガン町)
助成:りそなアジアオセアニア財団環境助成

CORDILLEARA FOLKTALES事業3年目は、新たにさらに山奥のカリンガ州ルブアガン町を対象として、民話の収集とコンテンポラリーダンスのワークショップを行い、成果物はそのワークショップを記録したドキュメンタリー短編作品(32分)とした。ワークショップのファシリテーターには日本からコンテンポラリーダンサー(荻野ちよ)、現代美術家(小池芽英子)、音楽家(山崎伸吾)の3名を招聘した。3名は帰国後試行錯誤を繰り返しながらビデオ編集を重ね、完成したショート・ドキュメンタリーはYouTubeで公開された。民話の語り1本もYouTube、SpotifyのPodcast、Mediumブログで公開した。
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[活動内容詳細]
◆ルブアガン町の伝統文化継承者によって語られた民話のYouTube/Podcast/Mediumでの公開
ルブアガン町は古くはカリンガ州の中心であった歴史ある町で、古くから地域のリーダー的な存在であるバワーBawar一族が伝統文化の継承を熱心に行ってきた。今も手織物、民族芸能、儀礼などが継承されてきている。
バワー一族の長であるSapi氏はルブアガンの歴史、文化、暮らしのまさに生き字引であり、民話に関しても、高齢であるにもかかわらず、先代から伝え聞いた多くの物語を鮮明に記憶している
プロジェクトチームはSapi氏の語る物語をビデオに収録したいと要請したが、氏は「自分はすでに多くの物語を次の世代に伝えてきた。私の語りではなく、コミュニティで子供たちに語り聞かせをしている母親たち、それを聞いた育った若者たちの語りをぜひ記録してほしい。彼女、彼らもそれを誇りに思うだろう」と話した。

それでもSapi氏はなめらかな語り口でよどみなく一つのルブアガンの歴史に関する物語を語ってくれ、私たちはそれをビデオに収め、YouTubeとPodcastで公開した。

⇒YouTubeチャンネル-Cordillera Folktale [Ikgus](英語字幕付き)
⇒Podcastチャンネル-Cordillera Folktales-Kalinga [Ikgus]

物語の英語訳はMediumの「Cordillera Folktakes」ページにて公開した。

◆コンテンポラリーダンス・ワークショップ
日本から3人のアーティストを迎え、ルブアガンの聖テレシタスクールの約20人の希望者を対象に3日間のコンテンポラリーダンスワークショップとそのビデオ撮影を行った。

●スケジュール
5月1日 日本人アーティスト3名 日本(関西国際空港)→マニラを経由してバギオ到着
5月2日 スタッフと合流し、バギオ市→ルブアガンをレンタカーで移動(約9時間)
5月3日 ルブアガン町の手織りの村マビロンで織り手を訪問してインタビューなど、文化と暮らしについての調査・観察
5月4ー6日 コンテンポラリーダンス・ワークショップ[3日間]
5月7日 ルブアガン→バギオ市 レンタカーで移動(約9時間)
5月8日 バギオ市→マニラ→日本(関西国際空港)

●ファシリテーター
荻野ちよ
鳥取県倉吉市在住のコンテンポラリーダンサー。
2014年までダンサー/振付家として京都を拠点に国内外で活動(モノクロームサーカス、双子の未亡人所属)。演劇、美術、ファッション、文化人類学など、ジャンルを超えたコラボレーションに積極的に参加。2012年マウンテン州で行われたCordillera Green Network(CGN)主催の環境をテーマとしたアートワークショップシリーズに参加。子供たちとの創作ダンス作品の発表を行った。帰国後、地域おこし協力隊として鳥取県琴浦町に移住。2016年鳥取中部地震をきっかけに再びダンスワークショップや創作に関わり始める。
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●映像制作担当
小池芽英子
京都在住の絵描き・美術家・パフォーマー・映像作家。地域や人々と関わりながら、自身の独特のペースで個性的な地道に続けている続けている。韓国、タイなどの子供たちと交流し、その作品の日本での展示活動なども行ってきた。2012年、荻野ちよとともにCGN主催の環境をテーマとしたアートワークショップに参加。以降、フィリピンの演劇人との演劇制作などにも参加。たびたびフィリピンを訪れている。今回は盟友・荻野ちよのダンスに関する考え方の最大の理解者として映像作品の撮影と編集を担当した。
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●音楽担当
山崎信吾
音楽家としてダンスやパフォーマンス作品の音楽制作を多く手掛けてきた。一方で、京都伝統産業ミュージアム のチーフディレクターを務め、京都の伝統工芸に関する展示のキュレーションなども行っている。今回は伝統文化が継承されている遠隔地のコミュニティにおけるコンテンポラリーダンスのワークショップに関心を持ち、荻野ちよの誘いをうけて参加した。コミュニティで聞かれるあらゆる音に関心を寄せ、録音し、映像作品への挿入を試みた。
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●そのほかのスタッフ
反町樹歌(通訳、ワークショップ・アシスタント)
Rainel Lee(撮影)
Gladys Maximo(撮影)
足達洋樹(撮影)
Ruel Bimuyag(コーディネーター)
Irene Bawer bimuyag(コーディネーター)
Yurie Nhel Cadangen(コーディネーター)
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※なお、事業責任者の反町眞理子は父親の容体悪化で急遽日本に帰国することとなりワークショップを欠席した。

●ワークショップ(3日間)の内容
参加者たちにはあらかじめ家族や親戚から「民話」を聞いてくるように課題を出されたた。本で読んだ民話、上記のSapi氏に聞いた民話などが披露された。
荻野ちよは、民話の内容にこだわらず、それらをコミュニティの中で「伝えていくこと」の価値をテーマとしたダンスワークショップを行った。
また、集団で移動しながら形を変えていく鳥の群れを模し、隣人を意識しながらグループとして動き、移動するという要素をワークショップに加えていった。
参加者たちは、ダンスと言えば伝統の民族舞踊か、YouTubeやTikTokで見るヒップホップを想像していたが、自分自身の身体の内部と、それに接する環境とに意識を集中して、振りつけられたのではない動きで身体を動かすということが、ダンスであるのかどうかに戸惑いながらも、先住民ならではの研ぎ澄まされた五感(あるいは六感)を駆使し、独特な世界の創出に成功した。
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◆ショートドキュメンタリー「Lilayan-Folktales carried by the wind」(32分)制作
帰国後、小池芽英子はルブアガンで自身とスタッフが5台のカメラでとらえた映像から選りすぐりの映像を抽出して編集を開始した。全体の構成は、ファシリテーターを務めた荻野ちよが行い、山崎伸吾がサウンドを担当した。
この作品はワークショップの記録を目的としたわけではなく、世界の片隅の小さな村で、伝統が脈々と伝わり、今も生き、変化しながらも、次世代に伝わっていっていることを、参加者の若者たちの動きを中心にして表現した。字幕を極力入れなかったのは、鑑賞者には映像に映し出される身体表現に集中してっもらいたいという意図からである。
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身体表現のプロである荻野ちよとアーティストの二人は、フィリピン先住民ならでは身体性や音感をワークショップの過程で発見し、そこに新鮮な驚きを感じ、それらを映像作品に織り込んでいった。
ファシリテーターとスタッフが手織りの名人を訪ねた際に聞いた、村に23種類ある織りの模様の一つが「毛穴」を表したものであるという話は、先住民の感覚をある意味よく表現している。「毛穴」は、身体の中と外をつなぐ通路である。それを織物の模様にするのは、ルブアガンの先住民が環境と人間とのつながりを常に意識していることの表れではないのだろうか?
荻野ちよは、2012年に来比したときの環境をテーマとしたワークショップでも、「人は環境の一部であり、環境と人間は切り離せない」と話し、言葉を一切使わない身体表現で素晴らしいダンス作品を子どもたちと創作した。今回もこの「毛穴」の話に大きくうなづいたと思われる。

今回の訪比では荻野ちよのダンス作品の音楽制作の経験のある山崎伸吾が同行し、現地で演奏・採集した音を中心に映像にサウンドを加えたことで、ワークショップの会場であった100年の歴史のある木造校舎のクラシックな雰囲気を引き立て、いつの時代に作られた映像なのか見た人が迷い子になるような映像作品として完成した。

編集は31回を重ね、1年近くを要した。日本からの来訪者の3名が本業の傍らに貴重な時間を割いて創作された力作である。反町とスタッフもコメントや翻訳などで協力をしたが、作家たちのによる創作作品として仕上がった。
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by cordillera-green | 2025-06-30 13:59 | 環境教育


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