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2025年 06月 30日

CORDILLERA FOLKTALES –子供たちのための環境&アートワークショップ【教材制作】

◆事業1年目のタジャンで収集した民話教本「Dad-dad-at di I-Tadian」の制作
カンカナイ語の表記とその英語訳に関しては実に多くの方からコメントをいただいた。事業責任者の反町がカンカナイ語話者でないので、判断がまったくできず、遅々として進まない編集作業にはもどかしさを感じた。タジャンの出身の当団体スタッフでカンカナイ話者のLily Jamiasが編集作業を引継ぎ、ようやくコメントをいただいたみなの合意を得て完成となった。
大変な作業であったが、この過程からタジャンの年長者たちの自分たちの物語に対する愛情の深さを実感することとなった。同時にクリスチャナイズ(キリスト教化)が進み、とくに教育を受けた層は、オリジナルのストーリーを子どもたちへの教訓を含んだ物語に書き換えたがるといった状況も出てきた。
もともと、口承で伝わってきた民話に「正解」はなく、語り部と聞き手によって内容が変わるのは自然なことである。それを、子供たちが学校で使う教本にするときに、本来の物語になかったレッスンが加えられたり、残虐さを伴う描写が失われたりすることをどう捉えるかは判断が難しい。
教本には、現在は若い人があまり使わなくなっているカンカナイ語の単語の注釈や写真を入れるなどして、カンカナイ語の継承にも役立ててもらえるようにした。2年目にインターネットでアップロードしたオリジナルの語りのYouTubeやPodcastが、将来、タジャンの人たちの伝統文化・言語継承の役に立つことを期待する。
なお、ビジュアルには事業1年目に8つの小学校で行ったアートワークショップで子供たちが作った作品を使用した。
フィリピンの学校が休みに入ってしまったことから、テキストブックの配布は休み明けにタイミングを見てを予定している。印刷部数は800部。タジャン町のすべての小学生に配布する。なお、タイトルの「Dad-dad-at di I-Tadian」はカンカナイ語で「タジャンの人々の物語」という意味である
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◆事業2年目のイフガオ州フンドゥアンの民話「Walihon and Putwigungon」の制作
タジャンの民話を題材とした子供向け環境教育テキスト「Dad-dad-at di I-Tadian」制作過程におけるカンカナイ語表記の苦労から、2年目のイフガオ州フンドゥアンに伝わる民話に関しては、英語訳のみを表記した絵本とした。物語は、3人の語り部から聞いた話のうち、Joseph Madiwoが語った「Walihon and Putwigungon」というハンターの親子の話とした。
この物語に出てくる「Ayyu」と呼ばれるお守りは、いまでもイフガオの先住民の一部が大事に身に着けているものだという。物語では今ではイフガオでも数が少なくなってしまった野生生物(イノシシ)と人間の関係を語っており、たくさんの野生動物が人間社会とバランスを保って生息していた時代に思いを馳せてほしいという意図があった。また、死者の世界と人間の世界を行き来したり、死者がよみがえったりするのはイフガオの民話にはよくある話で、キリスト教的にはタブーと扱われかねない物語が、ごく当たり前に自然にコミュニティで語り継がれていることを示したかった。ここでも1年目のタジャンでの教本制作で物語が「ねじ曲げられかねない」というジレンマを教訓とした。
イラストを依頼したGeorge Rosalesは、事業1年目にタジャンでのアートワークショップでファシリテーターを務めたアーティストである。透明感のある水彩を得意とし、子供たちに水彩画を個人レッスンで教えている。Rosalesはイフガオからほど近いイサベラ州の出身であるが、イフガオ先住民の出身ではないことから、「Walihon and Putwigungon」の語り部であるJoseph Madiwaを訪ねてもらい、物語に出てくるモノや場所について聞き取りをしたり実際に森やコミュニティを歩いてもらったりした。
子供向けの本としての再話と編集作業は、以前からコーディリエラ地方の民話の出版物について調査し論文にまとめたこともあるSacha Garah Jasminに依頼した。Jasminはバギオ市育ちであるがイフガオの血も引いており、ある程度のトゥワリ語は理解したが、不明な部分はトゥワリ語の話者に確認を取りながら子供向けの再話原稿に仕上げてくれた。
フンドゥアンのすべての小学生に配布するために1000部を日本でオンライン印刷した。7月に来日するフィリピン人演劇グループのメンバーがフィリピンに運び、Rosalesがイフガオに配達し、Madiwoのサポートで配布した。
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by cordillera-green | 2025-06-30 14:29 | 環境教育


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