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2008年 12月 02日

ホワイト・リボン・キャンペーン

ホワイト・リボン・キャンペーン_b0128901_1017668.jpg バギオにある「Save Our Women Inc」というNGOが、ドメステッィク・バイオレンス(domestic violence=DV 同居関係にある配偶者や内縁関係や両親・子・兄弟・親戚などの家族から受ける家庭内暴力のこと)に反対する「ホワイト・リボン・キャンペーン」をやっています。こんな一見平和なバギオでドメステッィク・バイオレンスなんてあるの?と思いますが、あまり知られていないからこそ「The Violence is Real(暴力は本当にあるのです!)」をスローガンを掲げて、「おもに男性から女性に対して頻発している暴力に反対しよう」「近親者や近隣者がその事実に気がついたら周囲から注意を促そう」「場合によっては保護を求めよう」、そして、「フィリピンの法律はDV対策に十分でないので改正を求めて行こう」とキャンペーンを行っています。
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 ご存知のようにフィリピンの大統領は女性のアロヨ大統領。上院議員にも下院議員にも女性はたくさんいますし、女性の知事や市長も珍しくありません。そういう意味では日本より女性の地位は高いかも。でも一方で、フィリピンのニュースでは、目を覆いたくなるような女性や子供に対する虐待のニュースもしょっちゅう目にします。 

 閉鎖的な山岳民族のコミュニティではそんなことありえないかと思いとそうでもなく、CGNがせかい未来予想図プロジェクトで手を組んでいるHCRCIのアイリーンによると(CGN=HCRCI=未来予想図プロジェクトについては、このページをごらんください)、心身障害者に混じって、家族から虐待を受けたという女性が駆け込んでくることも多いといいます。伝統的に部族間戦争があった山岳部では、男性の役割は「戦い」、女性の役割は「家を守る」ことでした。部族間戦争がほとんどなくなった今でも「男尊女卑」的な風習は残っていて、女性が家事から育児から畑仕事までほとんどすべての仕事をこなしているような家庭もよく見ます。男性陣は昼間からグウタラ飲んだくれているというとわけです。
 アイリーンの話では、HCRCIに逃げ込んできたある若い女性は、母親の再婚相手に性的虐待を受けたばかりでなく、近所の男性の相手をするように強要され、父親は近所の人からわずかな金さえとっていたそう。母親はもちろんやコミュニティの住人たちも気づいていながら、暴力を恐れて誰も声を上げることができなかったということです。小さいコミュニティだからこそ、声を上げることができず、外に助けを求められないこともあるのです。 
 障害のある子供たちの扱いについてもそう。アイリーンによれば、檻に入れ、ロープでつなぎ、水浴びもさせず、残飯だけを与えるような動物同然の扱いをしているような例もあったといいます。
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 女性や子供、障害者にも人間としての「権利」があるという当たり前のことが、閉鎖的な小さな村の中では通用しないこともあるのです。HCRCIが社会福祉省も手が届かない山の村々に足を延ばしているのは、なかなか表に出てこないそんな事例を知り、被害にあっている人たちを救うためです。閉鎖的な社会では、一度行っただけではなかなか本当の姿は見えてきませんから、何度も足を運びます。基本的には、HCRCIがうたっているように「Community based rehabilitation program(地域社会をベースとしたリハビリテーション・プログラム)であるべきで、辛抱強く、地域や家族への指導を続けていくのですが、どうにも手に負えない場合は、保護を行っています。といっても、HCRCIはシェルター施設を持っているわけでないので、アイリーンの実家に預かっているのだそうです(シェルターをいつの日か持つことがアイリーンの夢です)。むしろ、山岳部の閉鎖的な小さなコミュニティのほうが、外に情報が出て行く可能性がないがゆえに、ひどい状況が多いそうです。

ホワイト・リボン・キャンペーン_b0128901_10253752.jpg このホワイト・リボン・キャンペーンは、ただいまセッション・ロードのベーカリー「Goldilocks」や「St.Joseph」ドラッグストアのあたりで、展示をしながら署名を集めています(12月10日まで)。署名をしてくれた方はドメステッィク・バイオレンスに反対する意思表示として小さな白いリボンを胸に最低1週間はつけることになります。



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 なお、関連企画として「Save our Women」をテーマとしたポスター・コンテストも行われ、受賞作を含む応募作品の77点が、マインズビューの近くのGibraltar rd.にあるHotel ElizabethのBliss Caféに展示されています(12月12日まで)。ぜひ足を伸ばしてみてください。

バギオにお住まいでない方には、高校生部門の作品はここ,大学生部門の作品はここでも見られます。

SAVE OUR WOMENの連絡先は
C-101 Lopez Building, Session & Assumption rd., Baguio City
Tel.446-6617
CP 0905-2947828/0920-5767707
http://saveourwomen.multiply.com/

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 ↑チラシを分ける「SAVE OUR WOMEN」のメンバーのジム。Bliss Cafeのオーナーでもあります。アートに、人権問題に、環境問題にと幅広く活動するCGNのよき理解者&友人です!

by cordillera-green | 2008-12-02 10:31 | 山岳民族の暮らし


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