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アラビカ・コーヒー収穫ツアーの参加者から感想をいただきました

 コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)が山岳地方各地で行っているコーヒーのアグロフォレストリー(森林農法)による栽培指導事業は、すでに開始から10年以上がたちました。収穫量も増えつつあり、CGNでは収穫後の加工指導のトレーニングも行っています。また、農家が丹精を込めて育ててきたコーヒー豆が適正価格で取引され、確実に農家の収入につながるように、ソーシャル・エンタープライズ部門https://kapitako.jimdo.com/を創設し、日本のフェアトレードショップへの輸出も本格化させています。
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 山奥深い山岳地方の村々から長い旅路を経て、日本やフィリピン国内でCGNの事業地で栽培されたコーヒーをお楽しみいただいている皆さまに、生産地での植樹、収獲、収穫後の加工を体験してもらおうと、CGNでは雨季(日本の6-9月)には植樹ツアーを、収獲期(11月-翌年1月)には収穫体験ツアーを企画しています。
 2017-2018年収穫期には、4回の収穫ツアーを企画し、フィリピン産のコーヒー産地に興味津々の方々にご参加いただきました。
 2018年1月の収穫ツアーにはパナイ島イロイロ市の日系NGO法人「LOOB」のスタッやインターンの方々も参加くださいました。食品加工の世界で活躍され、退職後の現在はLOOBでアドバイザー的な立場で活動されている江原嘉夫氏より、感想とご意見、ご提案をいただきましたので、ご紹介させていただきます。
 たった1日の農園訪問での的確な観察力とご提案、オリジナリティあふれるアイデアには感服です。企業で培った経験や知識を、こんな小さい片田舎のコーヒー農家でも応用して真摯に意見を下さり心より感謝いたします。

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↑真剣にコーヒー選別体験を行う江原氏(手前黄色いTシャツ)


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CGN Coffee Harvest Tourに参加して                 

江原嘉夫

 なぜ環境NGOがフェアトレードを営んでいるのか、環境と事業とが結びつく背景が理解できました。

1.フェアトレードの意義(私の理解)
 先住民は貧農で市場に遠路農作物を売りに行っても仲買人に買いたたかれ、不当に利益を搾取されている。
 コーヒー園を営むことで不当な利益をむさぼる仲買人を介さず、最終顧客に近いバイヤーを顧客にした市場に参入し、世界標準のフェアな市場のプレイヤーとなる。
 一方、コーヒー園を営まない農家はサヨテSAYOTEという果物を栽培し、生計を立てている。これらは仲買人に買いたたかれるため、貧しい農家は熱帯雨林を伐採してサヨテ畑にして収量を増やし、生計をたてようとしている。そのため、人口増に伴いサヨテ畑が拡張され熱帯雨林が減少しつつある。
 サヨテはコーヒーよりも安いが年間を通じて収穫することができるため、年に1回の収穫しかできないコーヒーよりも不作時のリスクが小さく済むため、普及が進んでいる実態である。しかしながら、モザイクウィルスによる病気がサヨテに大発生し、サヨテ農家は大打撃を受け、コーヒー農家への転向を希望する者も出始めた。コーヒー農家で生計が建てられれば、大いに期待できる。
 コーヒーの木はシェイドツリーShade treeを必要とし、サヨテよりも森林保全の方向へと向かう。また、フェアトレードでつかんだ顧客であれば不当な利益の搾取もなく、努力の報われる農業への転換が期待できる。
 山間地の若者は学校に行って仕事に就きたいと願っているが、貧農のために学校へ行けない若者がたくさんいる。それらの若者の中には、仲買人に一生買いたたかれる貧農の暮らししかない自らの将来を憂い、希望を失って農薬を飲んで自殺するものが多いという。そんな不当な搾取が人の自己実現機会を奪い、本人に落ち度のない形で不幸な人生に終わっているのであればそれはunfairどころではなく許されないことだ。コーヒー栽培を通じてフェアトレードを行い、その貧困のサイクルを打破すること。ここにフェアトレードの大きな意義があるのだと感じた次第です。

2.コーヒー農園で気づいたこと
1)第一印象
・コーヒーの木が整然と並んでいるのかと思ってたら、さにあらず。ぽつりぽつりと木いちごを取るような感覚で摘み取った。枝の高いところに実がなっていたがなかなか取れない。山形のサクランボのように高いところはおいしいのだろうか? そうでもなさそう…。
 であれば、やはり積極的な剪定とシェードツリーとのハーモニーのとれた整然としたコーヒー畑にしないと狭い面積で採算をとるのは難しいのではなかろうか?
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↑アグロフォレストリーでのコーヒー栽培はシェイドツリーとして植えた木の他、
バナナやかんきつ類、パッションフルーツ、しょうが、パイナップルなど
さまざまな換金作物と一緒に植えられている。

・有機農法のコンポスト作成、木酢の製造など、あらゆる有機農法を実行している。お母さんパワーは凄い。すべてのアイテムをこなしていることにおいて、有機農法十種競技のメダリスト級の実践家ではなかろうか!
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↑コーヒー収穫ツアーのために農園を開放してくれたフェリーさんの農園には
ミミズ堆肥施設も。

2)設備に関して

① デパルパー(果肉除去機)
 デパルパーが貧弱。摩擦の強くかかるところが減りやすいウレタン製?と思われるプラスチックでできているとは! 耐久摩耗性からいって設計センスを疑う。軸の芯だしも適当だ。フィリピン農水省推奨とはフィリピンの農水省もだらしがない。その点、CGNさんが東ティモールの手作りのデパルパーの技術をフィリピン農家に伝えようと、農家さんを連れて研修ツアーを実施した行動力はさすがだなと思いました。もっと生産機械を大事に、そして工夫して改善を重ねることが生産性向上につながると思います。
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↑お世辞にも性能がいいとはいいがたい手回し果肉除去機(デパルパー)

②臼と杵
Dehull(脱穀)と粉砕が臼と杵の手作業とは生産農家なのに生産財が貧弱すぎると思います。この工程の機械はそんなに高価にならないと思うので、忙しい農家さんの時間を人力に使うのはもったいないと思いました。時間がコスト(金銭)である感覚がないのではなかろうか?
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↑江原さんも杵臼による脱穀に挑戦。重労働だ。

③小規模コーヒー農園用のロースター
 中小企業の鉄工所に頼んだらできそうな気もするけど金属素材の機能(熱伝導とバーナーの火にさらされてもさびないこと)であることが求められそう。円筒内にフィンを据え付けて撹拌効率を上げるのもありでしょう。要はロースターの構造や材質の機能をあきらかにすれば、ほかの素材でロースターの設計ができるかもしれません。焼鳥では備長炭の遠赤外の調理が好まれてます。
 電気炉内で遠赤外線でのローストをやったらおいしいコーヒーができるかも…と思いました。
 確か遠赤外焙煎の宣伝文句の焙煎豆を買った記憶があります。新製法でオリジナルなコーヒーを作ってみるのも面白いと思います。電気炉なら温度コントロール(火加減)も簡単で、リリーさんのように熟練工でなくとも再現性良く熱履歴をかけられる気がします。プレミアムコーヒーを狙って従来法をエキスパートレベルで追うのもいいですが、一般受けするオリジナルな製法開発も面白いと思います。
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↑農家さんはパーチメントいう殻付きの状態か、生豆の状態でコーヒーを販売する。
自家用には鍋で辛抱強く焙煎。

 ちなみに私はカッピングでNGでしたが、液のTastingになったときにC(正解)に傾きかけたのも事実です。コーヒー初心者の好みを引き寄せる戦略もありでしょう。日本のお米でも、昔は無洗米はなかった。精米技術の進歩(精米機内でスポンジ粒と一緒に擦って糠を落とす)で無洗米が珍しくなくなりました。むしろ糠を取る手間が省ける分、無洗米が売れてます。洗米の排水負荷がかからない分、環境にやさしい形態となっています。技術革新の賜物でしょう。

④コーヒー豆の粒度をそろえる篩(ふるい)
 ダイソーで百円のバドミントンのラケットを買って篩うのではだめですかね。篩の目を細かくする方向であれば糸をさらに巻き付けて篩を正方形にすることはできると思います。サイズが合えばいいんですがね! ミシュレッジ付きでの篩なら精度は悪くともそのあとの製造工程の手間を考えると一次篩として使ってもよいような気もします。ロースト時の焙煎のばらつきを抑えることが目的なら、焙煎時の豆の撹拌で小さい豆が伝熱面にあまり来ないようにする撹拌邪魔板の設計で粒度分布の許容度を広げることもできないでしょうか?たとえば、円筒底面に小さい豆だけが載るような8mmφくらいのバスケットをつけて観覧車のごとく小さい豆は伝熱面の遠いところまでリフトされて落ちるなんてのもどうかしら?コーヒー好きの機械屋がいたらおもしろいですね。どこかに居そうな気もします。

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↑オレンジ色に熟するグラニカ品種
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↑年末年始の休暇を利用して、日本の二つのフェアトレードショップからも
収穫ツアーにご参加くださいました。





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by cordillera-green | 2018-02-04 15:10 | スタディツアー